連載
インディーズゲームの小部屋:Room#586「Reventure」
ご近所から大量の梅をもらったので,半分に分けてホワイトリカーとウイスキーに漬けることにした筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第586回は,Pixelattoの「Reventure」を紹介する。本作は,100種類のエンディングが存在するという横スクロールアクションアドベンチャーだ。これで半年後には浴びるほど梅酒が飲めるぞ。うへへ。
本作の目的は,一人の冒険者となって,ダークロードにさらわれてしまったプリンセスを救出すること。設定自体はありがちなもので,大雑把なピクセルアートを使った見た目から,よくある8bit風のアクションゲームかと思うかもしれないが,その予想は半分正解で,半分は間違い。本作最大の特徴は,何と言っても,100種類も用意されたエンディングの多彩さにある。
大まかなゲームの進め方は,マップをあちこち探索しながらアイテムを集め,それを使って仕掛けを解きながらプリンセスのもとを目指すというものだが,どのアイテムをどんなふうに使うかはプレイヤー次第。誰でもすぐに思いつくのが,手に入れた剣で王様など手近な誰かを殺害するというものだが,もちろんその場合にも,殺した相手ごとに異なるエンディングが用意されている。
筆者のお気に入りのアイテムは,誰彼構わず飛び付いてハグしてしまう「Mr.ハグ」という謎の品で,これを使って敵も味方も片っ端から抱きしめてやるのが面白い。当然,これにもそれぞれエンディングが用意され,どれかのエンディングを見るたびに持ち物が初期化されて,また最初からやり直しとなるのだ。いちおうの目的はプリンセスを救出することだが,こんな風にあれこれ試して,いろいろなエンディングを集めることこそ本作の真の目的と言えるだろう。
とにかく大量にあるエンディングは,自分が何かの拍子に死んでしまった場合にも存在する。敵に倒されたときはもちろんのこと,冒険に出発しようと家から出たとたんに小石に蹴つまづいて死んでしまったりと,どれもたいていバカバカしい結末が待っており,思わず吹き出してしまう。一度見たエンディングは冒険の履歴として記録され,全体で何パーセントの冒険者(=プレイヤー)が自分と同じだけのエンディングを見たのかが表示されるので励みになる。
基本的には,自由に思いつくままに冒険を楽しめばいいゲームだが,アイテムを取るたびにその重みでジャンプ力が低下し,段差や割れ目を飛び越えられなくなっていく点には注意しておこう。一度拾ったアイテムを自由に捨てることはできないので,どれを拾うかはしっかりと吟味したい。また,マップのあちこちに大量の隠し通路があるので,行き止まりに見えるような場所でも壁や天井に体当たりして確認することも重要だ。
さまざまなエンディングを集めていくと少しずつマップに変化が起こり,便利なアイテムやまだ見ていないエンディングのヒントが手に入ったり,ワープゲートやショートカットが使えるようになったりと,繰り返しプレイが便利になる仕組みも用意されている。自力ですべてのエンディングを見つけるのはかなり大変だが,このヘンテコな冒険の結末が気になる人は,ぜひ挑戦してみてほしい。そんな本作はSteamにて,820円で発売中だ。
■「Reventure」Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/900270/- この記事のURL:
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