連載
インディーズゲームの小部屋:Room#537「Forgotton Anne」
某サマーセールが始まったおかげで,またじわじわと積みゲーを買い増している筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第537回は,ThroughLine Gamesが開発した「Forgotton Anne」を紹介する。本作は,人々から忘れられた物達が住む不思議な世界を舞台にしたアドベンチャーゲームだ。遊ぶ時間もないのにあれもこれも欲しくなってきて,これはヤバい……。
古いおもちゃや手紙,かたっぽだけ無くしてしまった靴下。そうした,人々からすっかり忘れられてしまった「Forgotlings」と呼ばれる物達が住む世界「Forgotten Lands」。彼らはいつか再び思い出してもらい,持ち主のもとに戻ることを切望している。主人公の少女アンと,彼女の師匠であるボンクは,この世界にいる数少ない(おそらく2人だけの)人間だ。
そんなForgotten Landsで,あるとき反逆者(というか反逆物?)による爆破テロが発生する。この世界の秩序を守る役目を与えられているアンは,ボンクの指示を受けて反逆者を追ううちに,数多くの決断を迫られ,やがて世界に隠された秘密や自らの出生の謎に迫っていく……。
アンは手袋にはめ込まれた「アルカ」という石を使って,この世界のエネルギーであり,Forgotlingsの生命の源でもある「アニマ」を自在に吸い取り,ほかの物体に与えることができる。これは主に,空っぽのシリンダーにアニマを充填して扉を開けるといった謎解きのために使う能力だが,反逆者からアニマを吸い取って,生命を持たないただの物に戻してしまうといった使い方もできる。
物語を進めるうえで,アンはしばしば,相手が本当に反逆者なのか,それとも無実なのか,はっきり分からないまま決断を迫られる場面に直面する。また,事件の真相も見かけほど単純なものではなく,Forgotlingsからの問いかけにどのように答えるのかを決めなければならないときもある。
そんなとき,アンが相手にどう接してきたかによってその後の展開が変化し,最後の決断によって大きく2つの結末が待っているのが本作の特徴だ。
また,スタジオジブリ作品に影響を受けたという,手描きアニメによるグラフィックスも本作の大きな魅力となっている。本作は一見すると横スクロールアクションのようだが,実際にはストーリーと謎解きに重点が置かれており,アクション性は低い。敵と戦ったり,何かミスをしてゲームオーバーになったりということはなく,パズル要素も比較的簡単なので,誰でも最後までプレイできるだろう。
プレイヤーの選択によるストーリーの変化を楽しむ作品だけに,日本語化されていないのは残念だが,家具や雑貨が生き生きと動き回るおとぎ話のような世界観や,幻想的で美しいアート,コペンハーゲン・フィルハーモニー管弦楽団による優美な音楽は,どれも素晴らしい出来栄えだ。そんな本作のPC版は,Steamにて2160円で発売中なので,興味を持った人はぜひどうぞ。
■「Forgotton Anne」公式サイト
https://www.forgottonanne.com/- 関連タイトル:
Forgotton Anne
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フォーゴットン・アン
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