インディーズゲームの小部屋：Room＃475「Rain World」

　新入生と新社会人の皆さんにお祝いとお悔やみを申し上げつつお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第475回は，Videocultが開発した「Rain World」を紹介する。本作は，家族とはぐれてしまったナメクジ猫の子供となって，外敵だらけの世界を探索していくというアクションアドベンチャーだ。学生時代に戻りたい……。


　家族仲良く，平和に暮らしていたナメクジ猫の一家。しかし，ある時，大雨によって引き起こされた洪水で子供が流されてしまったから，さあ大変。プレイヤーはそんなナメクジ猫の子供を操作して，家族と再会するために危険がいっぱいの世界をたった一人（というか一匹）で冒険することに。


　ところで，先ほどから当たり前のようにナメクジ猫という単語を使っているが，それは一体何なのか。もちろん，ナメクジのようにグネグネとした体を持った猫のことである！　別に筆者が勝手にそう呼んでいるわけではなく，正式に“Slugcat”という名称を与えられているので，そういうものだと思ってほしい。


　本作は広大なマップを探索し，次のエリアへと続くゲートを見つけ出していくアクションアドベンチャーで，ゲーム内には5つのサイクル（＝曜日のようなもの）がある。現在のサイクルは，画面左下に表示されるシンボルによって表され，その周囲をシンボルの残り時間を示す小さな円形のアイコンが取り囲んでいる。


　この円形のアイコンは時間と共に減少していき，サイクルの終わりが来ると大雨が降って洪水が起こり，ナメクジ猫はおぼれ死んでしまう。それを回避するには，大雨が降る前に完全防水のシェルターを見つけて避難するしかない。シェルターに逃げ込んでひと眠りすると次のサイクルに移り，その際にゲームの進行状況がセーブされる仕組みだ。


　しかし，単にシェルターを見つければ安心というわけではないのが，やっかいなところ。シェルターで休息するためには，十分な食料を確保しておく必要があるのだ。食料は，そのへんを飛び回っている小さな虫や木の実などを取って補充できるが，ナメクジ猫を捕食対象にしている凶暴なワニトカゲもいるので要注意。ワニトカゲとは，ワニとトカゲのあいのこのような危険な生き物で，正式名称はとくになかったので筆者が命名した。


　そんなワニトカゲに襲われると一発で食べられてしまうので，遭遇したら基本的には逃げるしかない。周囲に落ちている棒や石ころを拾って投げつければ相手をひるませることができるので，その隙に退避すべし。
　そうこうしながら探索を続けていると，次のエリアにつながるゲートを発見できるはず。このゲートは，壁に書かれたシンボルのサイクルにしか開かない仕掛けなので，もし時期が合わないときは，また食料を集めてシェルターで休み，サイクルを進めよう。


　ゲーム内では一応，黄色いミミズのようなガイドキャラクターが，大まかな行き先の指示などをしてくれるが，いまいち頼りにならず，こうした一連の流れは何度も死んではやり直しながら自分で見つけ出さなければならない。ちょっぴり不親切なため，とっつきにくさを感じるが，この記事を読んだ新米ナメクジ猫の諸君なら，もう大丈夫だろう。


　うろうろしているうちに，出会い頭にワニトカゲに食べられてしまうことなど日常茶飯事で，厳しい弱肉強食の世界を体験できる本作。しかし，ヌメヌメしたナメクジ猫の動きはとても愛らしく，見ていると何だか癒されるものがある。ゲーム難度は高めだが，ナメクジ猫のキュートな姿に引かれた人は，ぜひ挑戦してみてほしい。そんな本作は，Steamにて1980円で発売中だ。

■「Rain World」公式サイト

http://rainworldgame.com/