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インディーズゲームの小部屋:Room#158「The Ball」
「インディーズゲームの小部屋」の第158回は,スウェーデンの独立系デベロッパ,Teotl Studiosが開発した一人称視点アクション「The Ball」を紹介する。
4Gamerでも,すでに何度かお伝えしているように,本作は元々「Unreal Tournament 3」のMODとして制作され,Epic Games主催のMODコンテスト「Make Something Unreal」で2位に入賞した作品。当然ながら,元々のMODバージョンはUnreal Tournament 3本体がなければプレイできないが,今回紹介するのはこれをブラッシュアップし,UDK(Unreal Development Kit)を使ってスタンドアロンのゲームとして開発しなおしたものだ。
時は1940年,メキシコの休火山を調査していた考古学者の主人公が,火山中腹で深い縦穴に落ちてしまうというシーンからゲームは始まる。しかも,あいにくクレーンは故障してしまっており,代わりのものを空輸するにはしばらく時間がかかりそうだという。やむなく出口を探すために周囲を探索してみた主人公は,そこで銃のような形をした奇妙な道具と身の丈よりも大きな金属に覆われたボール,そしてこれまで誰にも知られていなかった古代の遺跡を発見するのだった。
この遺跡はいったい誰が,何のために造り上げたのか? ゲームの目的は地上への出口を探しながら,この地下遺跡の謎を解き明かしていくことだ。まあ,出口を探すと言いつつ,結局はどんどん火山の地下深くに降りていくことになるんですけどね……。
火山内部には想像以上に巨大な地下空洞が広がっており,なんと村落の跡や階段状のピラミッドなど,ここが地下であることを思わず忘れてしまうほどの大規模な遺跡が残されている。しかも,ところどころには赤々と炎を上げるたいまつや焚き火もあり,いかにも何かが息を潜めていそうな雰囲気だ。
遺跡には,さまざまな仕掛けやトラップが施されているのはもちろん,現在は休火山になっているとはいえ,まだ溶岩が煮えたぎり,地下水脈が流れ込んでいる場所もある。プレイヤーはこの巨大地下空間を,冒頭で手に入れた謎の銃と巨大なボールを使って仕掛けを解きながら探索していくことになる。
キャラクターの操作方法は一般的なFPSとほぼ同じで,W/A/S/Dで移動,Cキーでしゃがみ,Spaceバーでジャンプが可能。しかし,マウス左クリックでボールを突き動かし,右クリックで離れた場所にあるボールを引き寄せられるというのが,本作ならではの特徴だ。このボールは非常に重たいらしく,手で押そうとしてもびくともしないので,ボールに接触した状態で銃を操作し,ビリヤードのような要領で突き動かしていくのだ。
遺跡内部の仕掛けには,プレイヤー自身が押したり踏んだりして作動させる青いスイッチと,ボールを使って作動させる赤いスイッチの2種類があり,うまくボールを誘導して両方をいっぺんに押さないと開かない扉なども存在する。また,ひびが入った壁に勢いよくボールをぶつけて破壊したり,入り口をふさいでいるブロックを,ロープを使ってボールに結びつけ,ボールを引き寄せることでどかしたりといった場面もある。
さらに,この遺跡には先住者達のミイラやトカゲ人間,腐ったゴリラなどといった凶暴なクリーチャーが棲息しており,プレイヤーに襲い掛かってくる。こんなときも,先の銃とボールが大活躍する。もちろん,銃を巧みに操ってボールを操作し,ゴロゴロ……グシャッ! とばかりに敵を押しつぶしてしまうのだ。まったくひどい攻撃方法だとは思うが,ほかに武器がないのだから仕方がない。まさに,ボール様々である。
なお,画面左下に表示されている2つの数字のうち,上にあるものがボールとの距離を,下がプレイヤーの体力を示している。敵に襲われて体力をすべて失ったり,溶岩やトゲだらけの床に落ちたりするとゲームオーバーとなって,近くのチェックポイントからやり直しだ。
ゲームモードは,上述のストーリーと探検が楽しめる「Campaign」と,次々と出現する敵とひたすら戦い続ける「Survival」の2つ。Survivalモードでは,4つのマップでクリーチャー達との死闘が満喫できる。
Unreal Engine 3によって描かれた不気味な地下世界でのボールを使ったパズル要素と,同じくボール使って敵をなぎ倒していく豪快な戦闘が魅力の本作。とくに,巨大なボールをゴロゴロ転がすという独特のゲームシステムは,ビジュアル的なインパクトも抜群だ。
4Gamerでは「こちら」で本作の体験版を掲載しているので,興味を持った人はまずはそちらから試してみよう。また製品版は,Steamで19.99ドルにて発売中だ。日頃から,ボールは自分の友達だと思っている人や,一風変わったアクションゲームを求めている人はぜひどうぞ。
■「The Ball」公式サイト
http://www.theballthegame.com/- 関連タイトル:
The Ball
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