連載
インディーズゲームの小部屋:Room#09「ゾランの使者」
近い未来のこと。この地球には,人類とは異なる知的生命体が存在していた。彼らは地球を惑星ゾランと呼び,第2の地球人という意味を込め,自分達を第2ゾラン人と名乗った。人々が彼らの存在を知らずに暮らしていたある日,一体のロボットT3が謎の少女と出会う。なぜかラーメンのどんぶりを頭に被り,エルトナ・ミューと名乗るその少女は,T3に第2ゾラン人が地上に侵攻しようとしていると告げる。T3はエルトナに導かれ,第2ゾラン人の野望を阻止するために深く暗い地下を目指し旅立った……。
本作は,T3を操作して襲い来る敵を倒す横スクロールアクション。今となってはそこはかとなく郷愁を覚える低解像度のドット絵と,音数の少ないBGM,(いい意味で)世界観もへったくれもないマップデザインや敵キャラクターなど,あえて狙ったファミコンっぽさが全開のゲームだ。卵型の胴体に足が生えただけというT3のデザインからして,古き良き昭和の香りが漂っている……ような気もする。
T3は背面のブースターを噴かすことで上昇でき,その間は空中で左右に移動できる。ブースターを噴かし続けると高く上昇し,小刻みに噴かせば低空飛行ができる。ただし,ブーストは一定時間しか持続せず,切れてしまうと空中ではまったく身動きできなくなってしまうというのが,アクションゲームとしての本作のキモだ。また,下キーを入力しながらブースターを噴かせることで地上を高速で移動でき,慣性をつけてより遠くまでジャンプすることもできる。ブーストの持続時間は2〜3秒と短く,感覚で掴むしかないので,早めに慣れておきたいところだ。
そんなT3の前に立ちはだかる敵は,ナメクジやキョンシー,メイド(?)に火の玉,さらにはUFOにひよこ等々と,まったくもって意味不明だ。こやつらに対抗するため,T3にはいくつかの武器が用意されている。主砲のほかに,弾数無制限で使用できる2種類の補助武器,後方や真上に発射される3種類の副砲,使用回数に制限があるが,バリアや威力の高い攻撃を行える数種類の特殊武器がある。これらを状況に応じて使い分けながら,地底人の本拠地を目指すのだ。
主砲は,敵を倒したときに出現する「エネルギースフィア」や「エネルギーキューブ」を取り,エネルギーを充填することで威力が上昇する。しかし,エネルギーは補助武器や副砲の切り替えにも使用する点に注意が必要だ。補助武器や副砲を切り替えるとエネルギーが消費され,主砲の威力が下がってしまうのだ。
本作では,一部のマップを除いていつでも前のエリアに戻れるので,主砲の威力が下がって苦しくなったときはエリア切り替えを繰り返して敵を倒し,エネルギーを補充しておくといいだろう。また,マップに点在する宝箱を開けることで,攻撃力や防御力アップなどのさまざまな効果を持つアイテムを入手できるので,すみずみまで探索を忘れないようにしよう。
さて,割と色々な設定に無茶がある本作だが,アクションゲームとしてのツボはきっちりと押さえられており,やり応えのあるゲームに仕上がっている。とくに,ブースターを使用してのジャンプワークが攻略のうえでの大きなポイントで,シビアな操作が要求される。特殊装甲隊の公式サイトからは体験版がダウンロードできるので,ドット絵とアクションゲームを愛する人は試してみてほしい。体験版では全6章のうち,第1章がプレイできる。また,製品版は735円(税込)で発売中。体験版をプレイして,「そもそもエルトナって一体何者?」と気になってしまった人は,その謎を製品版で解き明かしてみてはいかがだろうか。(ginger)
■特殊装甲隊公式サイト
http://moetoku.sakura.ne.jp/
2007特殊装甲隊
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