連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第760回「アキラメタラソコデ試合終了デスヨ!」
……ここまで書いて,私はインターネットで「龍が如く7外伝」について調べ始めた。どこまで事前に情報が発表されているのだろうか。知っておいた方がいい情報は,知っておいた方が楽しめる。それを確認するために調べまくっていた。
その時だった。本当に急に,である。
PCのスピーカーから,けたたましく鳴り響く警告音。
どこをクリックしても消えることのないポップアップ。
どうやってもブラウザを閉じることができない。
そこには,
「このPCへのアクセスはセキュリティ上の理由でブロックされています。Windowsサポートに連絡する:○○○-(○○)-○○○○(※電話番号)」
というメッセージが書かれていた。
操作は受け付けない。警告音とアナウンス音声で「絶対にシャットダウンはしないでください」と呼びかけられ,否が応でも焦ってくる。こうなると,手の施しようがない。
「これ怪しいな」という気持ちがなかったわけではない。だが,緊急事態感とうるさい警告音により,「ウイルスにやられた!」と焦ってしまい,表示された電話番号に電話をかけてしまった。
冷静になった今なら電話をかけたこと自体がミスだと分かるのだが,人間って焦ると冷静な判断ができないもんで。疑いながらも焦りが上回り,電話してしまった。
数回のコールで出た相手は,カタコトの日本語を操る外国人。「Microsoftオンラインサポートデス。ドウシマシタカ?」と聞いてくる。
思わず,電話を切ったよね。だって怪しいんだもん。
すると,すぐに非通知で折り返し電話があった。非通知て。この時点で私の疑いは20%から40%に上がった。
「アンシンシテクダサイ。ハッキングサレタンデスヨネ。ワタシガアナタヲタスケル。」
私は聞く。「いや,大丈夫ですかコレ? 怪しすぎませんか?」
ついつい本音が。でも,厄介なのはPCの警告音。普通に焦らされるし。あとから考えると,この時点で相手は名前を名乗っていない。
「コノ警告音ハ,アブナイ。セキュリティソフトダウンロードシテ!」
そう言って,口頭でURLを伝えてきた。私としても怪しさはまだ40%,焦りもあったし,URLを入力してダウンロードしてしまった。それは遠隔操作のソフトだった。
相手のナビゲートに従い,遠隔操作ができるようなこちらのPC情報を教えてしまう。これもまた失敗だった。
「危ナカッタ。ワタシ,Microsoftノ社員。コレミテクダサイ」
だが,焦っている私はそれを見てちょっと安心してしまった。ありがとう,ガネッシュ。疑い度は30%にダウン。
「今スグノ危険ハ私ガ回避シマシタ」
そうドヤったガネッシュは,今すぐセキュリティを入れないと30分後にPCのデータが破損されると言った。ガネッシュは私に聞いてくる。
「今,PCニ大切ナ情報ハ入ッテイマスカ? カードトカ?」
とっさに答える私。「PCで支払いはしたことない」
「ソレハヨカッタ。デモ,メールトカ大切ナ情報ハアルデショ?」
「まあ,あるかな」
「ジャア,ディフェンスシナイト」
そして,遠隔操作でメモ帳を使って私にプレゼンしてきた。
簡単に言えば,5年間で5万円,10年間で8万円のプランがある,と。
ここで疑い度70%まで一気に上昇。というか,この時点でなんとなく詐欺だなー,今私やらかしてんなーって冷静になってくる。
「ドウスル? 時間ナイヨ」
おそらく時間が迫ってる感じを出して,焦らせてくるのが手口なんだろうね。
私は「怪しいからちょっと考えさせて」と答えた。
するとガネッシュったら「怪シクナイヨ! コレ私ダカラ!」と言って,もう一度社員証を見せてくる。つくづく,遠隔やられてんのキツいなー。
「私,ネパール人。Microsoftノアメリカ本社デ働イテマス」
疑い度100%。
「あれ? なんで日本じゃないの?」
「最近ノウイルス,アメリカジャナイト対応デキナインデス」
なんでだよ。
「いや,日本向けなら日本人いるでしょ? その人に電話変わって」
「何人モイルケド,ミンナ忙シイ」
はい,120%。
「時間ガナイヨ! アト20分デ終ワルヨ」
あくまで焦らせてくる作戦のようだ。色よい返事をしない私に業を煮やしたのか,ガネッシュは聞いてもいないのにハッカーの情報を見せつけてきた。
「ハッカーッテ知ッテル?」
140%。確かハッカーじゃなくてクラッカーって言うんだよね,実際は。
「話シテル間ニ突キ止メマシタ! コイツガハッカーデス」
見せてきた画像はザンギエフ(「ストII」時代の)のモヒカンを剃ってスキンヘッドにしたような,いかにも悪そうないかつい男の顔。もう無理。200%。限界突破。思わず私は笑ってしまった。ただの偏見だけど,ザンギエフはPCなんて触らない。ハッカー設定なんだったら,もうちょっとそれっぽい顔にしてほしかった。
「無理っすよ。高すぎる。もうデータ消えてもいいや。PC買い替えます」
「ソレハ意味ガナイデス!」
「だってそれだけ出すんだったら,買い替えた方が安全なんで。もうこのPC,あきらめます」
「アキラメタラソコデ試合終了デスヨ!」
ちょっと! おい! ガネッシュ!!
どこでその日本語を? またしても笑ってしまう。こんなん無理やて!
私の笑い声を聞いて,向こうも無理だと悟ったのか,
「モウ切ルネ」
と言い残して電話を切られた。
とはいえ,これはこれで困った。ブラウザを消す操作ができないのである。
警告音はスピーカーの音量を調整すれば消すことはできるのだが,再起動してもブラウザは残ったままで操作を受け付けない。
困った私は識者に相談しようと思ってX(旧Twitter)を開いたものの,ちょうどそのとき,プロレスの同僚であるHARASHIMA選手が第一子誕生を報告するポストをしたばかり。なんだか聞きそびれてしまった。せっかく49歳で初めての子供を授かったHARASHIMAさんのタイムラインを,特殊詐欺の話で汚すのも気が引けるじゃん。
HARASHIMAさんの第一子誕生というおめでたい報告に皆がほっこりする真裏の同タイミングで、私男色ディーノはインターネットの特殊詐欺に遭いかけました。たぶん事なきは得たので今なら言える。HARASHIMA兄やん、おめでとう! pic.twitter.com/fCK7LG95t2
— 男色ディーノ (@dandieno) November 7, 2023
なので,PCの救急的なサイトに問い合わせをしてみた。すると,出張診断だけでも1万円は余裕で超える金額設定。ちょっと二の足を踏んでしまう。今の私は人間が信用できないから,このサイトだってひょっとしたら詐欺かもしれないし。
そこで活躍してくれたのが,この連載の前担当さんである。こういうことがあって原稿を書けない旨を伝えたら,PCを診てくれるって。ブラウザ問題をクリアしてくれて,PCのチェックもしてくれて,おそらくもう大丈夫だろうと。で,今に至る。
もし,こういったPCトラブルに巻き込まれた場合のポイントをまとめます。
- 電話をしちゃダメ。
- もし電話してしまっても,向こうの言うがままダウンロードしちゃダメ。
- ダウンロードしてしまっても焦らない。
ここまで私は来てしまった。
でも最終的に,
- 焦らせてケツ断を迫ってくる相手はたいがい詐欺。
- カードの情報だけは絶対に教えない。
- もし教えてしまった場合,カードをできるだけ早く止める。
これを守ればなんとかなろうかと思う。
あとは,しっかりと詳しい人に聞いたり,スマホ等で調べたりして,対処法をチェックする。そして,PCを調べて脅威がないか確認する。
こんな感じですかね。いやー,焦った焦った。
「普通分かるだろ」って思うじゃん? それがね,けっこう焦らされちゃうのよ。こちらを焦らせて,その心の隙を突いてくるのが詐欺なんだなって強く思った。
時間的に焦らせて選択を迫ってくるヤツに,ろくな人間はいないよ。けっこうマジで。
そんなわけで,今週は龍が如くについて調べていたら,龍が如くのサブストーリーにありそうな事件に巻き込まれたっていうお話でした。皆さんも,気を付けて! ではまた来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 5:「eFootball 2024」
PlayStation 5:「EA Sports UFC 5」
Nintendo Switch:「Vampire Survivors」
Nintendo Switch:「ピクミン4」
Nintendo Switch:「デイヴ・ザ・ダイバー」
iOS:「ロードモバイル」
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション」
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