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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第730回「続けることは難しく,続けるための需要を生み出すには変化が必要」
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印刷2023/04/13 11:00

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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第730回「続けることは難しく,続けるための需要を生み出すには変化が必要」

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 続けることは簡単だけど難しい。今週は総じてそういうお話です。
 私,プロレスラーなんですけども,プロ生活は20年を超えました。アマチュア時代から数えると26年。ほぼ四半世紀と考えたら,けっこう続いてるほうだとは思います。ただ,この仕事を続けること自体は,そこまで難しいことではありません。辞めなければいいんですから。
 プロレスは特殊な職業で,他のプロスポーツと違って需要がすべてです。また,他のプロスポーツはその競技に対する運動能力が求められますが,プロレスはたとえ負け続けても需要があり続ければ,立派にプロとして続けていけるのです。

 では,誰にとっての需要か。それは,顧客に対してはもちろん,会社やメディアに対しても総合した需要です。簡単に言えば,話題になればそれでいい部分もあるし,お客さんを呼べればそれでいい部分もある。だから,需要さえあれば運動能力が落ちても続けられる職業なのです。
 ただ,いつまでも続けられるということは,逆に言うといつまでも需要を生み出し続けなきゃいけないということでもあります。このしんどさは確実にあります。プロレスラーだけではなく,人前に出る仕事ってそういう要素がけっこうあると思います。歌手にせよ,芸人にせよ,アイドルにせよ,声優にせよ。なってさえしまえば,続けることだけはそこまで難しい事ではありません。

 その代わり,続ける根拠を自分の中に持ち続けることは,キャリアを重ねれば重ねるだけ難しくなってきます。売れてりゃいいんですよ。需要があるってことをダイレクトに感じられるから。職業として確立されているということは,社会の歯車として認知されてるってことでもある。
 単純に,ファンがいて経済活動が成り立てば,それで社会にお金が回る。問題は,売れてない時です。続けるのが非常に難しい。そして,逆に辞めることも年々難しくなってくる。なぜなら,人生をBETして当たらなかった場合,引っ込みがつかなくなるから。
 自分の中に続けてもいい根拠を持ち続けるのは,けっこう大変です。続けるということは,残酷なことでもあります。でも,それもまた人生。幸い,今のところの私は自分の中で,続けてもいい理由と需要を生み出せるイメージを失ってはいません。なので続けられています。今のところ人生は楽しいです。

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 ……ということを「Winning Post 10」(以下,ウイポ10。PC / PS5 / Nintendo Switch / PS4)をプレイしてて思ったのです。先週までアメリカに行ってたのですが,その間もほとんどウイポ10を遊んでました。アメリカから帰ってきても遊んでます。
 面白い。そもそも私がウイニングポストシリーズが好きなのもあるけども。シリーズは30周年らしいんだけど,1作目からヤってます。一番遊んだのはスーパーファミコン版の「2」だと思う。当時,競馬ゲイムは「ダービースタリオン」が覇権を握っていたけど,私はウイポのほうが好きだった。厳密に言えば両方面白いんだけど,面白さの種類が違うので比べるのはナンセンスだなと当時から思っていた。

 ダビスタは淡々かつ粛々と,競走馬の生産とレースを繰り返させる作り。一方,ウイポ2は競馬の世界の人間ドラマを描いてたんですよね。馬主として,騎手との関係や他の馬主との関係に焦点が当てられていた。そこが好きだった。
 ダビスタはこれまでにも数作出ているけど,途中でブランクがあったりした。でも,ウイポは継続してリリースを続けてきた。ゲイム内容ではシリーズの途中から,競馬の歴史を追体験する歴史シミュレーションの要素が入ってきた。とにもかくにも,面白みの部分にテコ入れしながらシリーズを続けてきた。

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 そして競馬ゲイムのスタンダードの座は,いつしかウイニングポストになっていた。正直なところ,毎年データを変えて出すのはズルい! とは思うけれども,それでも面白いし,最新データで遊びたくて実際に買っているんだから,これはこれでいいんでしょう。それにしても「続けること」の難しさと,うまく続けられる方法を編み出したウイポには頭が上がらない。だって,続けることで需要を生み出してるんだもの。

 で,ようやくウイポ10の話になるわけですが,今作は「馬の個性」にフォーカスしてます。ぶっちゃけ,基本の流れは変わってないのですよ。過去の歴史を追体験するっていう。でも,「なぜナンバリングなのか」という疑問に対しての答えは,「馬の個性を掘り下げた」ではないかと思うのです。
 今までのシリーズは,競馬の歴史に挑むというものだった。それだと,流れていくんですよね。歴史の確認でしかなかった。それが,新作では馬の個性を表現することで,馬をより可愛く思えるようになった。育てている感が持てるようになった。
 結果,今までのシリーズよりも感情移入しやすくなった。

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 厳しいことを言えば,ゲイムのイメージとしては今までの延長ではある。でも,より深く掘り下げることには成功している。私がプレイした中ではそういう感想です。とっつきにくいかもしれないけど,面白いですよ。
 実際,競馬の馬券を滅多に買わない私でも,歴史としての競馬は面白いと思ってるので。競馬に興味が無い人も,ひとつの物語としての競馬を楽しみたい人にはプレイしてみてほしいですな。
 というわけで,今週は続けることの難しさと,続けるための需要を生み出すには変化が必要だってこと,そしてウイポは続ける術を知っているタイトルだということを語ってみました。30周年,おめでとうございます。これからも,ぜひ続けてください。

今週のハマりゲイム
PlayStation 5:「eFootball 2023
Nintendo Switch:「Winning Post 10」「OCTOPATH TRAVELER II
iOS:「ロードモバイル
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
ディーノ選手が所属するDDTプロレスは,4月15日(土)19:00より東京・新宿FACE大会「MAX BUMP 2023 TOUR in SHINJUKU 」を,翌16日(日)13:00より新潟・万代島多目的広場大かま大会「DRAMATIC EXPLOSION in NIIGATA」を開催します。ディーノ選手は両日共に飯野“notセクシー“雄貴選手とのタッグで,HARASHIMA選手&中村圭吾選手,大鷲 透選手&彰人選手と対戦予定。「何はともあれ,夜に新宿で試合をした翌日の昼間に新潟で試合をするスケジュールは,さすがにどうかと思う」とのことでした。

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