連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第689回「『くまのレストラン』に感動した話」
20年もヤっていれば,いろいろ言われたりしますわな。一番多いのは「あんなの(本物の)プロレスじゃない」かな。まあ,私としてはその意見も分からんでもない。相手の股間を狙うという,ふざけたファイトスタイルだからね。
ただ,「じゃあ,(本物の)プロレスって何?」っていう質問で返したときに,納得できる返事をもらったことはない。どんな答えが来ても「それ,誰が決めたの?」と再度聞いてみると,しっかり答えられる人はいなかった。
プロレスはルールがあいまいでそれが良しとされている以上,正攻法ってのが無いんですよ。一般社会でも法律の盲点を突いてくる人がいるように。スポーツでも社会でもルールがあって,そのルールの境界線で人はせめぎ合う。ルールという境界線があいまいなプロレスは,どうしても人それぞれの解釈に委ねられるのです。だから「プロレスって何?」って聞かれても答えられない。
よく政治家や著名人が「○○と××の争い,あれってプロレスだよね」みたいな使い方をして,プロレスラーやプロレスファンから批判されるみたいな流れがあるけども。あれ,正直なところ私,よく分からないのですよ。おそらく使うほうは「あらかじめ勝敗が決まっていて,それでも争っているように見せること」を「プロレス」と言っているんだろうけど,それは間違っているのですよ。リング上で起こったことがプロレス。そうとしか言いようがない。
確かに相手の技を受けるという要素がある。それをもって「勝敗が決まっている」と思われてるんだろうけど。でも「技を受ける」という要素はプロレスラー側の話であって,見る側には関係ない。リング上で起こっていること,結果こそがすべてなのです。プロレスに限った話じゃなく,どんなスポーツでもそう。唯一,未来が見渡せる神様の視点から,「あらかじめ勝敗が決まっているのに争っている」ように見えたとしたら間違ってないけどね。なので,神様ではない人間が物事を「プロレスだ」と断じてしまうのはいささか強引で,何を言っているのか分からないのですよ。要は,人間の視点でプロレスを例えに使わないほうがいい。おそらく使いこなせないから。
で。ゲイムに置き換えてみると。「これってゲイムなの?」と思ってしまう作品がある。でも,そもそもゲイムって何なんだろう? 言葉の意味としては「遊び」「遊戯」。これ,解釈次第でどうとでも取れるじゃない。
だけど考えれば考えるほど,ゲイムもまた自由なものなのだという結論に至るのですよ。売れているゲイムだけがゲイムじゃない。eスポーツもあるし,そうじゃないものもある。大作ばかりってわけでもない。でも,いろんなゲイムがあっていい。産業の視点で言うならば,売れるかどうか。そうじゃない場合は携わった誰かが幸せになれたかどうか。楽しめたかどうか。あとは,ゲイムの定義なんて,けっこうどうでもいい。だから,デジタルゲイムとしてリリースされている以上,それはもうゲイムってことで良いと思うのですよ。リング上で起こったことがすべてプロレスであるように。
しかし! これは紛れもなくゲイムだ,と私は思った。なぜかというと,面白いからだ。ストーリーを読み進めていくゲイムなので,ストーリーについては触れない。このストーリーは,アニメでも,場合によっては映画やなんかでも表現できるだろう。ただ,ゲイムというプラットフォームでこそ,ストーリーが最大の効果を発揮するような気がする。操作して,話しかけての繰り返し。でも,そうすることで,主人公やレストランに対する情がわく。
要は,死と生をテーマにしたストーリーなのだけど。自分が操作したりボタンを押すテンポだったりで,物語が展開する。これによって,押し付けではなくなる効果が生まれる。視聴するだけのコンテンツであれば,見ているだけで情報が流れ込んでくる。でも,ゲイムの場合は自分で情報を取りに行く。この違いで,この作品はゲイムなんだなと思える。けっこう高いレベルでオススメ。3時間でちゃんとゲイムを楽しんだ満足感を得られるので。
内容に関しては,プレイした人それぞれが感じ取ってほしい。私の感想は,「人は必ず死ぬのだけれど死に方やタイミングを選べないことのほうが多いんだな,だから後悔のないように生きよう」といった具合。
というわけで今週は,くまのレストランのゲイムとしての在り方に感動したというお話をさせていただきました。自分は正しい。けども,他人の正しさと自分の正しさは違う。そういうお話でした。また来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 5:「eFootball 2022」
Nintendo Switch:「くまのレストラン」
iOS:「ロードモバイル」
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション」
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