連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第687回「『フィッシング・パラダイス』は名作」
……のはいいんだけど,そもそも“名作”って何のことなんだろうね。優れた作品や有名な作品のことを指すケースが多いみたいだけど。でも私が思うに,これって大いに主観的だと思うのです。強いて言えば,有名であるか否かを基準に判断することもできなくはないけれども,優れているか否かに関して言えば,誰の目線でそう評価されるのか次第ってところもあると思うのですよ。
ケツ論としては,自分にとって優れているかどうかで名作か否かを判断するってことでいいんですかね。でも,やっぱり「ドラゴンクエスト」は名作だし,マリオは名主人公と言い切っていい気はする。文字どおり,名があるって意味なのかな。どういう名なのかは,その都度違うとしても。
「くまのレストラン」(PC / Nintendo Switch / iOS / Android)というアドベンチャーゲイムがある。2019年にスマートフォン向けにリリースされ,数々のインディーズゲイムの賞を獲得した作品。2022年の今では,Nintendo SwitchとSteamで「完全版」という形で遊ぶことができる。以下,くまのレストランの紹介です。
「くまのレストラン」。天国と地獄の間にあるそのレストランでは、くまのシェフにより死者に最後の晩餐がふるまわれます。ハンバーガー、オムレツ、寿司、プリン、なんでもござれ。“記憶のかけら”さえあれば生前の好物を作ってご覧に入れましょう。
〜中略〜
「くま」と「ねこ」の二人が織りなす短編レストランストーリー。このゲームには、難しい謎解きも、ワクワクするバトルも、胸躍るアクションも、ありません。でも、そのかわりにきっと、ほんのすこし、思い出にのこります。
<くまのレストラン公式サイトより抜粋>
……ただ,私はくまのレストランをプレイしたことがない。しかし,のどかな釣りゲイム好きの私としては,本作を普通に釣りゲイムとして遊んでみたわけですよ。ケツ論から言いましょう。名作です。少なくとも私にとっては。
ドット絵で描かれた釣りゲイムだから,リアルさには欠けます。ただ,私が釣りゲイムを好きな理由って,程良い作業感があるからなんですよ。実際の釣りって,エサをつけたり,トラブルがあったら自分で解ケツしたりしなきゃいけない。まあ,それも楽しいって話ではあるんだけど。インドア派の自分が作業と成果の達成感を楽しむには,釣りゲイムぐらいがちょうどいいのよね。だから,魚やファイトのリアルさはさほど求めていない。
そういう意味で,本作のいかにもゲイムっぽい釣りシーンは,釣りゲイムとして受け入れやすいのです。でも,なぜ私がこのゲイムを名作だと思うのかというと。釣りをすることでストーリーが進んでいくからなのです。ストーリーを読むだけのゲイムだと,こういう印象にはならない。釣りという程良いアクション要素と,ストーリーが非常に心地いいバランスで組み合わさっているのです。
事前の情報がないゲイムをプレイしたときって,無意識にどういうゲイムかを探っていく部分があるじゃない。ひたすらストーリーを読んでいくゲイムの場合は「ああ読むゲイムなんだね」とか,RPGの場合は世界観の説明の長さと戦闘などのバランスで「あ,これ続けられないかもしれない」とか。いろいろ認識して判断するタイミングがあるのですよ。
その意味で,このフィッシング・パラダイスのテンポの良さは,かなり計算されていて素晴らしい。釣りの心地良さと,ストーリーの展開の早さのバランスが神懸かっているのよね。
その結果,何がプレイヤーに残るかといえば,“ゲイムをプレイしている感”。今,自分はゲイムをプレイしているんだなって思えるのって,人生における素敵な時間なわけですよ。ゲイム好きなんで。好きなことができる時間を過ごすことこそ,人生において最も大切だと私の価値観では定められているのでね。何ならお金はそのための道具であって,人生の目的ではない。稼いだ金を使ってどのように自分の好きな時間を作るかが,私の人生では重要なのです。
その点,ゲイムだったりサッカーだったり甘い物を食うことだったり,場合によってはプロレスだったり,好きなことがハッキリしてるのって,良いことなんだろうなと思う。ええ。プレイしているときに良い時間を過ごせたこのゲイムは,やはり名作だと思います。
くまのレストランを知らない私が遊んでも面白かったフィッシング・パラダイス,作り手の想いが詰まっています。しっかりと遊び手の気持ちを汲んでくれるストーリーやゲイム設計が用意されているっていうことに,妙に嬉しくなってしまう。結果,くまのレストランも遊んでみようと思った次第です。遊んだ感想はまた近々ここで報告します。良いと思っても,仮に悪いと思っても。早ければ来週にでも! では来週どうなってるかお楽しみに。
今週のハマりゲイム
PlayStation 5:「eFootball 2022」
Nintendo Switch:「太閤立志伝V DX」
iOS:「ロードモバイル」
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション」
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(C)2020 Odencat Inc.
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(C)2019 daigo sato
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