男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第604回「『嘘をついちゃいけません』は，果たして正しいのか？」

著者近影

　私が子供の頃に教わったことが，大人になった今の世の中にも通じるかどうかは分からないって話をします。今から。
　有名な話だと，現在のところ教育の場において，鎌倉幕府は1192年じゃなく1185年に成立したされています。私の世代は「い（1）い（1）く（9）に（2）つくろう鎌倉幕府」で覚えたのに。今でも諸説ある扱いだそうだけど，私的には今後は「い（1）い（1）や（8）こ（5）れで」で覚えようと思うわ。「いいやこれで鎌倉幕府は」。あとは冥王星が惑星じゃなくなったとかもあるんだけど，
　ま，この辺はいいのよ。問題は道徳というか，考え方の話で。こちらは正解がないぶん，修正が難しいのよね。例えば，昔は「とにかく頑張れ」って考え方が主流だったじゃない。でも，今は「頑張りすぎるのも良くない」って考え方も生まれてきた。ね？　正解，分からないでしょ？　目的を達成するために頑張ったほうがいい場合もあるし，頑張りすぎて自分を追い込んで自分を壊してしまったら，それはそれで良くない。ただ，他人は頑張りを含めた効率や結果で人を判断する。それもまた間違ってはいない。やっぱり，正解が分からないよね。
　ただ，現時点での私の落とし所としては，「社会的評価は他人が決め，自分の人生の評価は自分が決める」といったあたり。みんなが共有している社会で生活を送っている以上，他人と比べられるのはしょうがない。ただ，自分くらいはせめて他人と比べず，正しく自分を評価してあげようよ，と。これ，実はけっこう難しいんだけどね。甘えと紙一重だから。
　例えば，自分に足りない部分があったとしましょう。これを自覚したとき，頑張ってそこを補うのも自分だし，個性と割り切ってあらためないのも自分しかいないわけ。これまた何が難しいって，どちらも間違いじゃないって部分よ。
　1000円のものを買うのに900円しか持っていない場合。誰かに借りてもいいし，値切ってもいいし，買うのを諦めてもいい。ただ，このたとえの場合一番いいのは1000円を持っていることであって，お金じゃなくて能力の場合は1000の力を持つほうがいいのですよ。足りないときっていうのは，自分の持っている力を900から1000にする機会なわけです。その機会をどう扱うかも自分なのですね。
　1000とは言わず，1500にするのも自分。900のまま納得するのも自分。ちなみに私の場合は1000必要なときに900で何とかする能力を100育てたいと思うタイプなので，つまりこのたとえは何が言いたいのか全然伝わらないから失敗なんだけど。

　さて。前置きが長くなりました。そんな私が今，最も疑問に思っていること。それは「嘘をついちゃいけません」は，果たして正しいのか？
　子供の頃は，無条件に「嘘をついちゃいけない」って教えられたわ。ただ，そうするとサンタさんをどう捉えるべきなのか。遊園地のマスコットキャラクターをどう説明するのか。なまはげとかもそう。私も経験あるけども，誰かが危篤になってしまったとき，思っていなくても「きっと大丈夫」って自分に言い聞かせることによって平静を保つとか。ポジティブな嘘もあると思うの。
　なので「人をだます嘘はついちゃダメ」で教育するのって難しいことなのかなあ，って思うの。「嘘をついちゃダメ」だけだと，それ自体がもう嘘になる気がするんで。
　というわけで，今週紹介するのは「グノーシア」（Nintendo Switch / PlayStation Vita）です。急でしょ？　グノーシアが，そういう切り替えの早いゲイムだから，それに合わせてみた次第。
　簡単に言えば，人狼ゲイムですよ。一人でできる人狼ゲイム。人狼ゲイムと言えば，多くの人が集まって嘘を見破るアナログゲイムとして有名ですね。それをうまいこと1人でプレイできるゲイムに仕上げたのが，このグノーシアなのです。私が人狼ゲイム好きってのもあるけども，すげー面白いわ。1プレイが10分程度と短いのもいい。
　嘘ありきのゲイムなのよ。誰かが嘘をついている。その嘘を見破る。その繰り返し。プレイを数多く重ねていって，少しずつストーリーが進展していくっていう作りだけど，単純に1プレイが楽しいのがいい。ミスってもすぐ次のゲイム。うまくいってもすぐ次のゲイム。本当にテンポがいい。


　人狼ゲイムの初心者に向いているかどうかは正直分からないけど，ルールを知っている程度にかじっていれば，ほぼ間違いなく面白いはず。対人のように気を使わなくてもいいし。相手がNPCだと分かっているから遠慮なくガンガン嘘をついても問題なし。でも，思ったようにみんなの意見を操れないという，人狼ゲイムならではのジレンマも味わえる。
　アナログゲイムとしての人狼が持つランダム性やジレンマは，なかなかコンピュータゲイムでは表現しづらいだろうなと思っていたから，このグノーシアには感服するほかはないわね。見事。人狼ゲイム好きなら迷わずプレイしていい。ちゃんと人狼ゲイムとして面白いし，ストーリーを楽しむアドベンチャーゲイムとしても面白い。限定的ではあるけど，相当オススメできるゲイムよ。ぜひ。
　人狼もそうだけど，このゲイムから学べるのは「嘘をつくとどうなるのかを想像できる」っていう点じゃないかしらね。生まれた嘘に対し，良い嘘か悪い嘘かの判断なんて誰もできない。でも，嘘をつくのも人間だし，だまされて悲しい気持ちになるのも人間なの。一方で，嘘で気が紛れたり喜んだりすることだってある。この嘘をついたらどういう結果になるのか。もちろん思い描いた結果になるとは限らない。でも，嘘は無責任だからこそ責任を持ってつかなきゃいけないんじゃないかしら。
　「嘘は責任をもってつけ」。フェイクニュースが取り沙汰される今だから心に留めておきたいなと思いました。


　ところで，誰でもいいんで私にPlayStation 5を買い与えてくれたら今後無償で馬車馬のように働きますけど，どうですかね4Gamerさん？　嘘かどうかは買い与えてみて判断してください。

今週のハマりゲイム
PlayStation 4：「eFootball ウイニングイレブン 2021 SEASON UPDATE」
PlayStation 4：「Fall Guys：Ultimate Knockout」
Nintendo Switch：「グノーシア」「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」
iOS：「龍が如く ONLINE」
iOS：「ハンドレッドソウル」
iOS：「ウイニングイレブン カードコレクション」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，今週末の10月25日に東京・後楽園ホール大会「Road to Ultimate Party 2020」を開催します。ディーノ選手は「お戯れシリーズ第二幕」として，中村圭吾選手と対戦予定です。「キャリアわずか1年の中村の夢と未来と希望をぶっつぶす」とのことでした。