男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第429回「いいとこ取りの『ファイアーエムブレム Echoes』」

著者近影

　鍋がおいしい季節になりましたね。マスオです。
　……という冒頭のあいさつで季節感を表現したいのは分かるけども，鍋がおいしくない季節なんてありませんよ。鍋の種類にもよるしな。気温的に食べたら温まる，という意味では冬のあいさつなんだろうけど，でも鍋の具材となる野菜の旬の時期という意味では夏か秋がおいしく感じることだってあろうよ。春はニラやら春ごぼうやらがおいしい季節だしね。いつってわけでもない。だから，鍋で季節を表現するのはやめにしませんか。男色ディーノです。

　無駄に噛みついてみましたが，別になぜってことはないわ。本気でやめろと思っているわけでもないし。ただ，小さい頃からおかしいなあと思ったまま流して今に至っているってだけの話で。
　まあ，要するにゴールデンウィークで連載を1週お休みしたことで，距離感をつかみかねているってことなんでしょうね。なので，ここから3週間かけて元に戻そうと思うわ。ホラ，プロは1日練習を休んだら取り戻すのに3日かかるっていうじゃない。まさにそれ。
　というわけで，今週はこのゴールデンウィークでプレイしたゲイムについて語るとするんだけども，実はけっこうな数のタイトルをプレイしたのよね。地方巡業が多かったから，携帯ゲイム機でばっかり遊んでいたんだけど。
　ざっと「ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王」「追放選挙」「プロ野球 ファミスタ クライマックス」「ドラゴンボールヒーローズ アルティメットミッション X」「Winning Post 8 2017」ってところかしら。……本当にけっこうヤってるなオイ。さすがに一度で全部を語るわけにもいかないので，今週はそのうちのファイアーエムブレム Echoesについて。

　いや，面白いのよ。本当に。ジャンルとしてはシミュレーションゲイム。そう聞くと，難しいんでしょ？　って思うじゃん。そんなことは決してないの。基本的には戦闘はステージ制なんだけど，1ステージに5分かかるかどうかって感じ。テンポがいい。で，いい感じでキャラクターが成長するからモチベーションも保ちやすい。
　面白さの種類としては，プレイしやすさから来るそれ。ストレスがないっていうのかな。ソフトメーカーによってゲイムには面白さの傾向というか特色があると私は思っているんだけど，そこはさすがの任天堂のゲイムって感じ。結局のところ，誰がプレイしても面白いっていう。
　だから，シミュレーションゲイムだと思って敬遠しているならば，それはもったいない。将棋やチェスの駒にキャラクターをつけて，ルールも簡略化して最大限ライトにした，まさにゲイムにしかできないアプローチ。こういう面白さもあるって意味で，プレイしたほうがいいゲイムだと思うわよ。
　で，このゲイムの何がすごいって，ライトにしたうえでシミュレーションゲイムの面白さをちゃんと盛り込んでいるところなのよね。シミュレーションゲイムは複雑だというイメージを覆す一方で，ちゃんとシミュレーションゲイムの面白さは搭載しているという。まさにいいとこ取り。


　人間もそうなんだけど，短所と長所って隣り合わせなところがあるじゃない。例えば私だったら，ゲイレスラーという一般のプロレスのイメージにはいないタイプのプロレスラーとして存在できる。でも，それはあくまでイロモノであって主流になるもんではない。別の例えで言うと，マッチョな人がいたとして「それがいい」という人と「マッチョ嫌い」っていう人がいる。
　同じように，“シミュレーションゲイム＝難しい”というイメージがあるとして，「難しいけどそれがいい」って人と，「難しいから苦手」っていう人がいるわけで。でも，今回のファイアーエムブレム Echoesはいいとこ取りしちゃった。難しくない。でも，シミュレーションゲイム特有の，頭を使った感じと達成感は残っている。
　この，“ジャンルの長所を残したまま短所を改善する”を実現できているタイトルってあんまりないのよね。いいとこ取りは，みんな目指すの。でも“シミュレーションゲイムはこういうものだ！”っていう思い込みから抜け出すのは難しい。作る側もそうだし，何ならプレイする側も。
　そもそも，ゲイムのジャンルなんて誰かが勝手に決めたもんだからね。根本的には“プレイして面白い”のがゲイムだと思うのよ。ただ，キャラクターを動かしてゴールを目指したいのか，主人公を育成して装備を整えて強くしたいのか，スポーツとして遊びたいのか，頭を使ってじっくり敵を撃破したいのか。数あるゲイムの中からプレイしたいものを選ぶときに，“だいたいこういうゲイム”として説明するために生まれたのが“ジャンル”だと私は思っていて。
　だから，必要以上に縛られる必要はないの。面白ければ。「こんなのシミュレーションゲイムじゃない」「こんなの昔プレイしていたファイアーエムブレムじゃない」っていう批判はナンセンスだからね。仮にシミュレーションゲイムじゃなかったとしても，それがどうした，という。初心者でもシミュレーション好きでも楽しめる，これが今のファイアーエムブレムなんだから。
　プレイして楽しめたかどうか。本来，それ以上の評価基準なんてないわ。そういう意味で今回は最高の作品に仕上がっているんじゃないかしら。「ファイアーエムブレム外伝」のリメイクではあるんだけど，そんなことは実はどうでも良くて，昔プレイした人でも新鮮に楽しめるし，当然初めてプレイする人も楽しめる。そんなゲイムだなと思ったわ。クリア後のヤり込み要素もあるしな。というわけでファイアーエムブレム Echoes，迷わずオススメでございます。


　そんな感じでプロレスをヤってはバスに乗ってゲイムをヤって，宿でもゲイムをヤってという，ゲイム三昧のゴールデンウィークでございました。
　そして気付いたら40歳まであと1週間。40歳までに，要するにあと1週間で結婚する方法を，1週間かけて探そうと思っておる次第です。ゲイムしながら。
　ゼロからというかゲイだからむしろマイナスからのスタートだけど！　諦めたら！　そこで試合終了ですから！　そんな感じで30代最後の連載でした。さようなら30代。こんにちは40代。また来週。

今週のハマりゲイム
PlayStation 4：「三國志13 with パワーアップキット」
PlayStation Vita：「追放選挙」
Nintendo Switch：「ゼルダの伝説　ブレス オブ ザ ワイルド」
ニンテンドー3DS：「ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王」
iOS：「実況パワフルサッカー」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，今週末の5月14日（日），埼玉・春日部ふれあいキューブ大会「さいたまースラム！vol.20」を開催します。ディーノ選手はロイズ・アイザックス選手とのタッグで，大鷲 透選手＆入江茂弘選手と対戦予定。ロイズ・アイザックス選手といえば，相手の腕を必ずへし折る凶悪な技（技名は伏せておくので各自調査でお願いします）の使い手。ディーノ選手はうまくその技につなげて，世界中の腕という腕をへし折るんだそうです。折られたくないものですね。