連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第378回「私はバカになりたい」
「ドブネズミは汚い」というのは人間が人間のルールに基づいて勝手に定義しただけであって,ドブネズミにとっては関係ない。ドブネズミは誰からも愛されないのに,必死になって生きる。信念も何もなく,生きるために必死に生きる。人目を気にせず必死に生きる。美しいではないか。人間だけだ。美醜を決めたがるのは。
でも,人間だからこそ美醜を気にしながら生きることができる。「生きる価値」みたいなものを定めることができる。生命が尽きるまで生きることが生命の目的なのに,さらに価値を付けようとしている。でも,仕方がない。それが人間だから。
ドブネズミは美しいけれど,人間はドブネズミにはなれない。そのかわり,人間はバカになれる。美醜を定めてその美醜で上下を決める人間だけど,ドブネズミのように人目を気にせず必死に生きることはできる。だから,バカは美しい。こう書くと,逆にバカをバカにしているように思われるかもしれないけど,そうではない。
私自身がバカになりたいと思っている。これは本当にそう思う。そもそも「バカ」は言葉として広い意味で使われているから,一概には言えないんだけど,それでも総じてバカになりたいと心から思っている。
私にはロックンロール魂がないから,大衆に対する反骨精神もない。ただ,人前に出る職業に就いている経験から言うと,バカになれるのとなれないのとではパフォーマンスに大きな違いが出ることは間違いない。バカは全力でその物事に取り組む。取り繕うことはしない。
普段の生活はどうでもよくて,人前に出た時に,一度バカのスイッチを入れたら,あとは完全に思い込む。たとえ周りに理解されなくても,思い込んだ方向に突き進む。エンターテイメントである以上,見ている人を意識しなきゃいけないはずなのに,それでも自分の思い込んだ道を突き進む。
そういうバカな人は,ある瞬間に人の心を動かす。なぜなら,見ている人が真似できないくらい一生懸命だから。人は他人を見下しながら笑う。自分が高いところにいると錯覚して,「その気になれば自分はいつでもそこに下りていけるけど,それはしないよ」って思いながら笑う。
バカは,そういった人達の目を気にせずただ一生懸命進む。そして,バカが高みに上ってから,笑っていた人は気付く。見下していた人をいつの間にか見上げていることに。バカは,ただ一生懸命思い込んで進んでいただけ。ただ,それすらできない人が笑う。
突き進んだ結果,変な方向に行く人もいる。バカがすべて高みに上れるわけではない。でも,バカでないと上れない高みは絶対にある。だから,私はバカになりたい。
まあ,平たく言えばバカなゲイム,略してバカゲイね。格闘ゲイムとして「DEAD OR ALIVE=生きるか死ぬか」って,とてもいいネーミングだと思うの。ただ,残念ながら今作に生きるか死ぬかの瀬戸際は訪れないわ。
何が楽しくて38歳ゲイレスラーが,たぶんおっさんが開発したであろう,やわらかエンジン2.0でモデリングされた女性キャラクターを操って尻相撲をしなければならないのか。そして,そもそもなんで39歳を目前に控えたゲイレスラーがこのゲイムを選んでプレイしたのか。コーエーテクモゲームス好きであるがゆえに生まれてしまった悲劇よね。
いや,正直な話,このゲイムで私が楽しんでいいのか,うまく答えが出せないの。これはね,決して楽しくないって意味じゃないの。あえて言葉を選ばず言うんだけど,無駄に面白いのよ。ゲイム中でプレイできるミニゲイムのクオリティがやたらと高い。でも私の場合は,ガッツリ楽しむほど女性キャラに興味があるわけじゃないし,ゲイム業界屈指の開発力を持つコーエーテクモゲームスの技術の粋を結集したエンジンが演出するやわらかさに一喜一憂できるわけでもない。
そういう意味で,答えが出せないってこと。ただ,だからといって否定するのは絶対に違う。なので,私もバカになってこのゲイムについて述べようと思うわ。
私“も”というのがミソでね。これまたハッキリ書いてしまうけども,これを作った人は現実問題どうかしてると思うの。大人達が企画会議を開いて,少なくない開発コストを抱えて,時間もかけて開発したのが乳揺れやわらかミニゲイム集なんだから。これはね,イカ●てる。でも,見事発売までこぎつけやがった。カッコいいとしか言いようがない。
ゲイムの開発から発売にかけての一連の流れを詳しく知っているわけでもない私が言うのもなんだけど,ゲイム1本を発売するのってたぶん甘いことではない。もし,これで何かトラブルがあって誰かがクビになったりしたら,やわらか退職として後世に語り継がれるわけでしょ? そう考えたらバカになるにも覚悟がいるわけ。
とくにゲイムを商品として世に送り出すのってチームで行うことだから,バカになる人,その手綱を握る人,すべてが重要になってくるんだと思う。バカなだけではビジネスはできないからね。消費者にとっては当たり前に発売されているものを当たり前に買うだけなんだけど,このゲイムがちゃんと発売されるに至った過程に思いを馳せると,魂が震えるのよ。
普段の生活だと迷惑がかかる人がいるかもしれないから大きな声では言えないけど,少なくともエンターテイメントにおいてバカは美しい。関わった人達には報われてほしいわ。夢があるじゃん。バカな人が多くの人の心を動かすのって。何はなくとも一生懸命ブレずに進めるバカに私はなりたい。
そんなこんなでDEAD OR ALIVE Xtreme 3 Fortuneをプレイしてみて,実はちょっとだけ感動した私,男色ディーノがお届けいたしました。気になる人はプレイしてみてもいいのかもね。ではまた来週。たぶんパワプロ三昧。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「DEAD OR ALIVE Xtreme 3 Fortune」「ウイニングイレブン 2016」
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「金色のコルダ4」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「Splatoon(スプラトゥーン)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「妖怪三国志」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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DEAD OR ALIVE Xtreme 3 Fortune
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