連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第333回「自分がどうあるべきか」
ゲイムといっても,いろいろありますよね。私自身,特別ヘビーなゲイマーだとは思っていないのですけれども,かといってライトではないという自覚もあります。ミドルですかね,自己評価としては。日本人なんで,中流階級意識が強いというか。
なので,いわゆる初心者向けのゲイムもプレイしますし,それこそヘビーなゲイムも嫌いではありません。ただ,ヘビーなゲイムとなると,費やさねばならない時間が多くなりがちなので,自制している感じですかね。
ほぼ毎日ヤってるゲイムはPlayStation 4版の「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2015」で,そこからちょこちょこといろんなゲイムに手を出しています。質より量です。1000人斬りと一人を1000回斬り,どちらが理想なのかでいうならば,私は1000人斬りをしたいタイプなんでしょうな。結果,ほとんど斬れてはないんだけれども。
というわけで,いろんなゲイムをプレイするタイプです。好きなジャンルはシミュレーションゲイムで,とくに好きなのはコーエーテクモゲームスの「三國志」シリーズです。ええ。そうなんです。
というのも,「三國志13」(PC / PlayStation 4 / PlayStation 3)の発売が決まったのよ。シリーズファンとしては,嬉しいったらありゃしない。前作は前々作から6年後のリリースだったから,この次もそれぐらい時間がかかるのかな? って思ってたから,その半分の約3年で新しい三國志がプレイできることに,興奮を抑えられないわね。
ゲイムの情報として今の段階で明らかになっているのは,3作ぶりに全武将でプレイできること,一枚マップによる表示ってところぐらいかしら。ファンとしては期待のあまりハードルを上げすぎてしまうのは良くないと思いつつも,やっぱり期待せずにはいられないわ。
しかし。ここまではいちファンの期待。そしてここからがいちファンの不安。男色ディーノ曰く,これすなわち「どこの層に合わせるのか」。
やっぱりね,ゲイムって,エンターテイメントであると同時にビジネスでもあるわけ。だから,商品として出す側としては,作るからには売らなきゃいけないのよ。で,シミュレーションゲイムが大ヒットしづらい今の世の中で,作り手はどのような層に向けて作品を作るのか。これが怖くもあり,楽しみでもあり。
前作「三國志12」(PC / PlayStation 3 / PlayStation Vita / Wii U)は,ライト層を意識しているとおぼしき作りだったわ。誰にでも分かるように,シンプルに作られていた。私はそれを否定しない。「三国志」を逸脱しない限り,それも「三國志」だと思うから。
ちなみに三國志シリーズで私にとってのフェイバリットは,「三國志II」と「三國志V」。単純に武将を集めるのが楽しかったっていうのが,その理由。でもね,今この時代に三國志を作るのって,本当にたいへんなことだと思うのよ。
なぜなら,さまざまなテクノロジーの進化によって,表現できることが増えちゃっているから。そのうえ,シリーズのファンの思い入れの年季と熱量が違うからね。三國志だけに限った話ではないものの,やっぱり三國志だからこそ,とくに難しいと思うのよ。だって,三國志は三国志で勝負しなければならないから。
そもそも三國志って,原作というか史実をもとにした「三国志演義」があるわけじゃない。すでにあるものを何度もアレンジしなければならないわけで。歴史だから,新しい話を作ることができない。だから,ストーリー性で勝負することはできない。
一方,キャラクターも歴史上の人物であり,その時代の雰囲気をうまく出さなきゃいけないから,はしゃぎ過ぎたデフォルメをすることはできない。武将に対してみんなが持っているパブリックイメージを壊すことは難しい。したがって,キャラクターで引っ張ることもできない。要は,ファンタジーに逃げることはしにくいのね。
では,何で勝負するべきか。もちろん,私には分からないわ。ゲイムの三國志のどこに楽しさを見出すかは,けっこう人それぞれだったりするから。三国志演義に描かれた歴史を再現する楽しみ方もあるでしょう。とにかく武将を集めるといったコレクション的遊び方もある。単純に,戦略を楽しむヤり方もある。内政に特化して国を豊かにし続ける楽しみ方もある。小さな勢力で天下を治めるといった遊び方もある。じゃあ最新作の三國志13は,一体どんな楽しさを提供してくれるのか。
結局ね,「三國志がどうあるべきか」という難題にぶち当たると思うのよね。作り手にとっても,プレイする側にとっても。それぞれの抱く思いや願望が,どんな形でゲイムに反映されるのか。その点が,プレイするにあたってのポイントになってくるんでしょうね。
ちなみに,「三國志がどうあるべきか」という難題は,私がエンターテイメント産業で仕事をするにあたって抱え続けている,そしてこれからも抱え続けるテーマと,ある意味では同じものなの。
「三國志」を「自分」に置き換えてみたら,少し分かりやすくなるかもしれないわね。「自分がどうあるべきか」。人に見られる職業の場合,少なからずこれを意識するのよ。
イチロー選手が今年マーリンズに移籍したとき,「『これからも応援よろしくお願いします』とは僕は絶対に言いません。応援していただけるような選手であるために,自分がやらなければならないことを続けていく,ということをお約束して,それを(ファンへの)メッセージとさせていただいてもよろしいでしょうか」とコメントしたの。これ,本当に素晴らしい姿勢だと思う。「応援よろしくお願いします」って,まあ言ってしまうとテンプレートなのよね。これさえ言っておけば,聞いているほうはたいがい納得する。でも,物事の本質はそうじゃない。応援って,そんな一方的なものじゃないのよ,本来は。まあ,テンプレートが悪いとは思わないけどね。
ええ,応援はもちろんありがたいわよ。皆の応援が世間を動かすことだってあるしね。だけど,それには自分が応援してもらうような選手にならないといけない。ギブ&テイクが成立しなきゃいけないのよ。応援した分,何かを与えてくれる。それは結果かもしれないし,ひょっとしたら姿なのかもしれない。気持ちなのかもしれないし,人間性なのかもしれない。
いずれにせよ,トータルで自分が応援に値する存在でいなければならないわけ。自分がどうあるべきかとは,つまるところ自分がどういう存在になるか,だと思うのよね。それさえ定まれば,「そのために何ができるのか」「どうすればいいのか」も見えてくる。
そういったことも踏まえて,三國志13が,いったいどういう三國志なのか。本当に楽しみね。応援しているわ。
てなわけで,今年12月に楽しみができましたっていう話で,今週はまとめさせていただきましょうかね。12月までの自分がどうあるべきか,それはまだ定まっていないけども。でも,少なくとも私はプロレスラーだから,プロレスを楽しみに生きている人のために一生懸命働くわ。だって,三國志を楽しみにしてる私のために三國志を作ってくれてる人がいるんだから。そうやって世界は回っているのね。ではまた来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「トロピコ 5」
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「剣の街の異邦人 〜黒の宮殿〜」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ゼルダ無双」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ブレイブリーセカンド エンドレイヤー」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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