連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第323回「勝って成長する理由」
うん,ここまで私が述べている内容の意味なんざ,まったく伝わってないわよね。ちょっとていねいに説明しましょうか。先週,私はこの連載で「龍が如く0 誓いの場所」(PlayStation 4 / PlayStation 3)についての原稿を書いたわ。でも発売からまだ時間が経っていなかったうえ,サブストーリーやミニゲイムに興じすぎてしまったがゆえに,あまり本編をプレイできていなかったのね。
そこで私は開き直って,ほんのさわりの部分をプレイした感想を書いたの。で,来週――まさに今のこの原稿よね――ストーリーを進めたうえでの感想を述べる,なんて書いてしまった。
でも! 龍が如く0,恐るべし。この一週間,そこそこプレイする時間を費やしたにも関わらず,まだクリアできていないのよ。先週は桐生一馬のサブストーリーやミニゲイムで本編がまったく進まなかった。そして今週は,真島吾朗のサブストーリーやミニゲイムで本編がまったく進んでいないという。
要は,まだ語れんのよ今週も。〆切を一日ぶっ飛ばすくらいには頑張ったんだけどねー。というわけで,今週もさらに開き直って全然別の角度から気になったことを語ってみるとするわ。
そこで,ゲイムにおける成長と,その意味を考えてみたのね。ゲイムにおけるキャラクターの成長って,アイテムを取るか,戦闘で勝利するか,経験値をためてそれを費やすか,といったあたりがベーシックなものじゃない? 「風来のシレン」シリーズのように,プレイヤーキャラクターではなく,武器そのものをパワーアップさせていくタイプのゲイムもあるにはあるけど,だいたいは上記のパワーアップが一般的だと思うのよ。
でも,龍が如く0をきっかけに私,考えたの。どうしてゲイムは戦闘に勝ったら強くなるのか? って。キャラクターが強くなるっていう状態は,現実の世界に置き換えるなら,人間として成長するってことでしょ? 考えてみたら,戦いに勝った場合に成長するって不思議なのよね。なぜなら,“人間は負けたときに成長する”ものだと思うから。
人生にはいろんな戦いがあるじゃない。スポーツのような勝ち負けが分かりやすく存在するモノのほかにも,勉強も,仕事も,恋愛も戦い。言うなれば,戦いばかりが世の中にはあふれているわけで。だからこそ,負けたときにどうするかが,その後の成長に関わってくるわけ。
そして,著名なスポーツ選手や偉人も口をそろえて言うのよ。「失敗は成功の元だ」「私は負けることで強くなってきたのだ」的なことを。いや,実際にそのとおりではあると思うのよ。失敗して,次に失敗しないようにする。それが成長なんでしょう。人間は負けから学ぶもののほうが多い。それは分かる。
でも! ゲイムの世界では必ずしもそうだとは言えないわけで。と言うのも,さっきも述べたけど,ほとんどのゲイムでは勝たないと強くならないわけじゃない? でも,人生は負けたときに強くなる。この矛盾は何なのか。この矛盾はどこから生まれているのか。
実は,この矛盾にぶつかったのは今回が初めてじゃないのよ。大学生の頃,有り余る時間をゲイムに費やしていたとき,同じように思ったの。「偉い人は『失敗は成功の元だ』って言うけど,ゲイムは違うじゃん!」って。でも,当時はうやむやのまま「まあ,1999年7の月には地球も滅びるんだし細かいことはどうでもいいや」って思想に行きついて,考えることをやめてしまっていたのね。
でもね。私も無駄に歳を重ねたわけじゃなかった。あれから15年近く経って答えが出たね。ケツ論から言うと,ゲイムも,そして現実の偉人も何も嘘はついていなかった。勝ったときにだけ経験値が入り,負けたときに経験値が入らないのは何も間違っていないのよ。
えー。どういうことかと言いますと。そもそも,偉人や偉大なスポーツ選手って,基本的には勝ち続けてきた人なのね。試合や世の中との勝負には。となると,負けることの少なかった人が,「負けて強くなってきた」と語ることに対して,違和感を覚えるわけ。我々凡人にしてみたら,「良いこと言うなあ」と思う半面,「いやいや,どうせ才能がある人の言ってることじゃん」って同時に思っちゃうでしょ?
でもね,私,気付いちゃった。彼らは,言ってないだけなのよ。“勝って成長している”ことを。もう少し説明しましょうか。人間,負けたら成長します。これは,偉人が言うとおりきっと間違ってないと思う。悔しいという感情で,次に負けないようにするから。要は“負け”って,凡人にとって分かりやすい成長のポイントなわけ。
で,乱暴に言ってしまうとね,それって普通なのよ。負けた,じゃあ次は勝とう。こう思うのは当然であり普通でしょ。でも,勝ち続けている人が凡人と違うのは,“勝ったときにも成長してる”ってところだと思うの。
考えてみてちょうだい。あなたが何かに勝ちました,結果を出しました。そんなとき,ちゃんと「なぜ勝ったか」「どこのポイントを押さえたから勝てたのか」「もしあの局面で違う選択をしていたらどうなっていたか」「次にまた勝つにはどうすればいいのか」なんかを考えること,できてる?
勝ったときって,その理由が分かりにくいの。負けたときのように悔しさを感じないどころか,嬉しい。だから多少納得できないことがあったにしろ,「ま,勝ったからいいや」って考えてしまう。ここが落とし穴だったのよ。そう。負けたときに成長するのは当たり前。そして,勝ったときにも成長するから,偉人は勝ち続けられるの。そのくせ,勝って成長していることを偉人は教えてくれないのよ。ここで私はだまされていたわけ。
つまり! ゲイムで勝ったときにしか成長しないっていうのは,負けたときにする成長は当たり前すぎるから省略しているだけなのよ。だから,偉人が教えてくれない“勝って成長しろ”ってことを,ゲイムだけはちゃんと教えてくれているのね。……まあ,身も蓋もないことを言えば,単純に“勝つ”ことで,プレイヤーにメリットが与えられているだけなんだろうけど。
繰り返しになるけど,龍が如く0は戦闘で勝つとお金は得られるけど,経験値を得ることはできない仕組み。でも,お金を得る方法はたくさんある。これって,言い換えると「強くなる方法は戦闘だけでなく,たくさんある」ってことでもあるのよね。
人生に置き換えて考えてみると,これもまた一理あるんじゃないかしら。人間が成長するのは一つの方法や価値観だけではない。他人に影響を与えられて成長することもあるでしょう。それこそ勝負に勝ったり負けたりして成長することもあるでしょう。
でもね,“勝ち”や“負け”,“お金”や“友人”etc. 人生で避けては通れないすべての事柄に対してどれくらい向き合えるか,それらに対してどれくらい一生懸命受け入れて自分なりの答えを出すか。その度合いが成長に直結するんじゃないかなって,私はそう思うのです。
逃げてもいい。でも,ただ逃げるな。考えて,覚悟を持って逃げれば,それはそれできっと成長になる。そんなことを思えるようになった私は,15年前から成長してるのかな? と,「蒼天堀水商売アイランド」をプレイし倒しつつ考えた一週間でした。貯金の額は当時とあんまり変わらないけど。休日のゲイムのプレイ時間もあんまり変わんないけど。約束も〆切も守んないけど。あ,でも来週はなるべく守ります。ではまた。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「龍が如く0 誓いの場所」
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「剣の街の異邦人 〜黒の宮殿〜」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ゼルダ無双」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「レジェンド オブ レガシー」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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龍が如く0 誓いの場所
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