連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第322回「時間泥棒」
でも言葉とは不思議なものでね。“泥棒”っていう,単体ではネガティブな単語の上に,別の単語を乗せることで,逆にオシャレな言い回しになることだってあるの。
例えば“米泥棒”。私と友人のプロレスラーとの間で頻繁に使われる言葉なんだけどね,これはものすごくおいしいおかずのことをそう表現するの。すごくおいしい焼肉を食べに行ったとき,肉がおいしすぎて,気付いたら一緒に注文したはずのご飯があっという間になくなってしまう。こんな場合にはその肉が米泥棒。
ちなみに代表的な米泥棒としては,力士味噌が挙げられるわね。同僚のプロレスラー大鷲 透選手の実家が営む「相撲料理・ちゃんこ鍋 大鷲」で初めて食べたんだけど,そりゃもう衝撃を受けたわ。要するにニンニクが入った味噌なんだけど,お相撲さんが巡業先でもご飯をたくさん食べられるように作られたものなんですって。
大鷲選手のお父さんも大鷲選手も元お相撲さんなんで,そりゃまあちゃんこも味噌もうまいって話ですよ。長野県にあるので,近くに行ったらぜひ一度寄ってみてね。通販もやってるんだけど,力士味噌はちゃんこ鍋を注文した方にのみ販売してるっぽいわ。一回食べてみたら,米泥棒と呼ばれている意味が分かると思うわよ。
話を元に戻すと,“○○泥棒”っていうのは,必ずしも悪い意味だけで使われる言葉じゃないっていうことが言いたかったの。ことゲイムに関しても,○○泥棒はいい意味で使われるわね。代表的なものといえば,ズバリ“時間泥棒”。お察しのとおり,気付いたらえらく時間が経ってしまっているぐらいに面白いゲイムってこと。
とくに今作のミニゲイムでは,「神室町マネーアイランド」が秀逸。ジャンルとしてはシミュレーションゲイムになるのかな? 私の持論で「作業が心地良いシミュレーションゲイムは面白い」っていうのがあるんだけど,まさにこれは心地よい作業と言ってもいいゲイムに仕上がっているのよ。
シミュレーションゲイムとは言っても,店舗を買いに行ったりイベントが起こったりと,「龍が如く」シリーズならではのアクション性やアドベンチャー性が生かされているの。んでまた,いい人材を雇うにはサブストーリーをクリアしなければならなかったりもする。独立したミニゲイムとして存在してるんじゃなくて,ゲイム本編と密接に関わっているのがいい感じよね。
とくに今回って,経験値によるレベルアップじゃなくてお金を使って能力を伸ばす形だから,お金を稼いだほうが有利に進められるの。だから,このマネーアイランドって,寄り道要素ではあるものの,プレイすればするほど有利になるわけ。これがまたいい。ストーリーも相変わらず面白いけど,この様子だとしばらくは進められそうにないわね。
ちなみに今回は,桐生一馬と真島吾朗,この2人の物語みたいね。なんせ私,桐生編の神室町マネーアイランドに夢中になっているあまり,まだ真島編のマネーゲイム「蒼天堀水商売アイランド」にまで到達していないから,あくまで情報として知っただけなんだけど。そんなこともあって,ストーリーを進めてからの感想は,また来週にでも述べようかと。
そこで今週はね,龍が如く0は今までの龍が如くシリーズと何が違うのかを,私なりに語ってみようかと思うわ。もちろんさっきも言ったとおり,私はまだゲイムの中盤に差し掛かってきたぐらいだと思うの。だから,ゲイム全体についてはまだ何も言えない。
ただ,最初にプレイして気付いたこと,思ったことなら,今だからこそ言える気がするのね。それを言わせてもらうならば,龍が如く0は,リアルさの先に行った気がする。シリーズの最初のほうは,例えば「神室町として東京の街を再現した」とか,実在の企業とタイアップしてゲイム内に登場させたとか,有名俳優さんをモデリングしつつ声優さんとしても起用しただとか,とにかくリアルさにこだわってきた気がするのね。
それは,リアルさを押し出すことでプレイヤーの感情移入度を高める効果を狙ってのものだと私は思っていたわ。でも,龍が如く0は,それらを押し出さずとも,当たり前のようにリアルなのよ。リアルなことを売りにしていない。もちろんよくよく見たら,驚くほどリアルなんだけど,リアルであることだけで驚かせようとはしていない。ここが今作のすごさ。
「リアルなのはもはや当たり前なんで,その先に用意したキャラクターが織りなすドラマと遊びを楽しんでくださいな」って,ゲイムが言ってる気がするの。これが私の気のせいでないとすれば,なんて高度なプロ意識なんでしょう。
プロ意識と言ってもいろんな要素があると思うんだけど,どんなプロにも共通しているのは,「顧客に自分のどの優位性をアピールするか」って意識だと思うの。いわゆる“売り”よね。
何度も書いてきてるけど,エンターテイメント産業は,基本的に“努力”を売りにしちゃダメだと私は思ってるのね。例えばプロレスの場合,「これくらい頑張ってます」みたいな部分って,見せる必要はないと私は思っているの。それ自体が見世物として成立していたり,見せることで別の効果を得る意図があったりするなら話は別だけど。
でも,頑張りを認めてもらいたいと考えてアピールする人は,最初のうちは良くても最終的に大きな結果は残せない。なぜなら,努力それ自体は,自分に興味を持ってくれている人に対してしかアピール効果がないから。
一方で“売り”または“売りが生み出した結果”は,興味がない人からの注目を集めることができるの。「君のヤり方,すごく面白かったんだってね」「君の方法,すごく話題になってるね」「君のパフォーマンスですごく集客したみたいだね」っていう風に。
そういう意味で,龍が如く0にとって,リアルさはもう“売り”ではないの。リアルであるのはもはや当然のこととして,ストーリーやシリーズを通して育ててきたキャラクター達の一挙手一投足で,プレイヤーを楽しませることができる域にまで達したってことなんだと私は感じたのね。
要は,自分達で作ったハードルを越えて,また別の越えるべきハードルを作ったってこと。単にシリーズを重ねているわけではない。すごいわ。モノを作る人の姿勢として。
今週は,そんなことを思いながら龍が如くをプレイしてましたって話ですよ。ま,ここで私が何を言っても,ファンは買うんでしょうけど。それだけじゃなく,ファンじゃない人も買っていいと思うわよ。次にするべきことやサブストーリーの行くべき場所が表示されたりだとか,プレイヤーに対する親切さにも磨きがかかってるしね。
というわけで,今週は龍が如く0と,あとは相撲料理大鷲の力士味噌を強くオススメして筆を置こうと思います。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「龍が如く0 誓いの場所」
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「剣の街の異邦人 〜黒の宮殿〜」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ゼルダ無双」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「レジェンド オブ レガシー」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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- 関連タイトル:
龍が如く0 誓いの場所
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