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連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第315回「高校生をヤるために高校に通っていた」
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あの頃の担任の先生よりも年上になってしまった私が思うに,教える側も人間なのよね。学生の立場から見ると,教師って大人の代表みたいに思っていた節はあるんだけど,そんなもん人によるとしか言いようがない。学校が何のためにあるのか。もちろん勉強するためなんだけどね。当時はそんなことを考えたこともなかったわ。ただ単に高校生をヤるために高校に通っていた気がする。
でも,それでいいんだとも思う。私が通っていた高校は偏差値も普通で,進学校でもスポーツ校でもない共学の公立高校だったから,特殊な教育はまるで受けていないわ。進学校に対して「勉強ばっかりでかわいそうだな」,スポーツが盛んな高校に対して「厳しいんだろうな」って思ったりもしたんだけど,今にして思うとかわいそうでもなんでもなく,彼らにとってはそれが普通だったんだと思うの。
ヤりたいから,もしくはヤらなきゃ不安だから勉強をするわけだし,それはスポーツに関してもそう。環境に順応していくんでしょうね。きっとどんな環境でも,自分のことをかわいそうだと思う人間は思うし,端から見ていくら特殊な生活を送っていても,当人がそれを普通だと思えれば,平気で過ごせちゃうものなのよ。それが高校時代なんだと思う。だから,他人と比べる必要なんてなかったのよね。それもまあ,今だから思えることなわけで。
で,何が言いたいかというと,高校生活なんて“自分が高校生として過ごした”以外の意味なんてないってことなのよ。充実していようがしていまいが関係なく。アクティブな高校時代だろうが,あまり外に出ない高校時代だろうが,その時間の過ごし方に上下はない。その頃の時間は,まったく無駄になってない,と私は思っていて。
実際,私は高校生の頃,ろくに勉強もしてなけりゃ,怪我もしたけれど,サッカーを特別頑張ったわけではない。人付き合いも得意ではなかった。当時からプロレスは好きだったけど,何年後かにプロレスラーになるなんて思ってもみなかった。プロレスラーである今の自分が正解かどうかは,まだ分かんないけどね。でも,好きだったもので飯を食えているという意味で,一つの形にはなっているわ。
高校生。ギリギリ大人ではない3年間。特別なようで特別でない時間。将来の自分のベースになるかもしれない時間。
高校3年間を題材にしたゲイムも,探せばけっこうあるわ。甲子園系の野球ゲイムも,それに該当するでしょうね。でも,私的に高校生活を描いたゲイムの代表作は「ときめきメモリアル」だと思っているの。3年間という制限ある時間。そして,比較的誰にでも共感できるであろう恋愛というテーマ。勉強するもしないも自由,スポーツするもしないも自由。まさに高校生活そのものだと思うの。
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イヤ,もちろん全然違うのよゲイム性は。伝説の樹の下で告白されるってことはないからね,喧嘩番長6は。アクションゲイムだし。ただ,どこにグッと来たかって“目的が見えないまま高校生活を過ごす”って点。もちろんそこはゲイムだから,高校生活中にいろんな事件が起こるのよ。でも,それでも主人公は目の前の起こった事件に対する目的しか見えないままに,日々を過ごすの。このリアルさが私的にはたまらないわけ。
いや,そうは言っても目的を持って3年間を過ごす人も中にいるわよ。でも,そんなのほんの一握り。世の中の高校生の大半は,何も考えちゃいないわ。考えていたとしても,せいぜい進学するかどうかとか,プロスポーツ選手になれるかどうかとか,そこ止まり。その先の,社会にどういう影響を与える人間になりたいのか,世の中に何をもたらしたいのかまでは考えていない。もちろん,必要が無いのであれば,そこまで考えなくたっていいしね。つまるところ,そういう期間なのよ高校時代って。
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冒頭で「高校生をヤるために高校に通っていた」って言ったのは,そういう意味。あくまで私がそう思うって話なんだけど,高校時代っていうのはそれだけでもう価値があるのね。目的があろうが無かろうがそんなことに関係なく。
喧嘩番長6も,3年間をどう有意義に過ごしてやろうかっていうゲイムじゃないの。自分の周囲で起きることに身を委ねて,その中で自分の感情やら考え方やらで行動を起こす,そういうストーリーのゲイムなのよ。んでまた,ちゃんと主人公が知らず知らずの間に成長していくのよ。人間的に。そこもいい。
ちゃんとアクションも面白いし,ヤり込み要素も多いし。強いて気になった点を述べるとするなら,カメラワークがちょっと行き届いていないかなあってところぐらい。敵を見失うことが多々あるのね。そこだけは惜しい。でも,全体的にストレスなく遊べるいいゲイムだと思うわ。ここまで書いておいてなんだけど,高校時代を思い出す〜とか,そういったことは抜きにしても普通に楽しいし,比較的誰にでもオススメできるタイトルよ。ぜひに。
あと,これはほぼ確信に近い感想として,このゲイムを作っている人の中に,プロレスが好きな人がいるはず。このゲイムのところどころから,プロレスに対する愛が滲み出てるわ。このゲイムでは作法として喧嘩の前にタンカを切るんだけど,その時のタンカのワードを選べるのね。そのワードをタン語っていうんだけど,タン語にやたらプロレスの名言が多いのよ。
「キレてないですよ」て。「俺はお前の噛ませ犬じゃない!」て。喧嘩の前に使う言葉じゃないでしょうよ。使える技もプロレス技が多いし。喧嘩でギロチンドロップを使う人なんて見たことないわ。とはいえ,私的にはそのあふれるプロレス愛が愛おしかったわ。
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てなわけで,今週は喧嘩番長6を高校生活を描いたゲイムという視点で紹介してまいりました。いや,私が言う「高校の3年間はただ過ごすだけで価値がある」ってのは,頑張んなくていいって意味じゃないわよ。人生において高校生活で何かが決まるって思い込んでいるなら,けっこうそうでもないよって言いたいだけで。37歳のおっさんがこう言ったところで,当事者にはピンと来ないであろうことも分かってるんだけどね。なので,これを読んでいる高校生の方は難しいことを考えず,自分らしく高校生活を送ってくださいな。
ただ,一つだけ言わせてもらえるならば,一生懸命何かをヤっている人を笑うのだけはやめておいたほうがいいよ,とだけは言っておくわ。高校生だとヤりがちで,なんなら大人になってもヤる人はいるんだけどね。
普通は一生懸命ヤってる人が何かを成し遂げかけた頃に,笑っていた自分が恥ずかしいことに気付くの。笑っていた自分はあの時何をヤっていたんだろうって。何かをヤってる人をヤってない自分が笑うってのが恥ずかしいことだと気付けるかどうかで,世界の見え方が変わるから。言葉としてはややこしいけどこれマジで。
……と高校時代の私に言ってあげたい。でもね,高校生の自分に言ってあげたいことができた。これがすなわち,人間としての成長なのかなあと,喧嘩番長6のエンディングまでプレイして思ったここ最近でした。ちょっぴりいい話風にまとまったところでまた来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「ワールドサッカーウイニングイレブン 2015」
PlayStation 3:「実況パワフルプロ野球2014」
PlayStation Vita:「剣の街の異邦人 〜黒の宮殿〜」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ゼルダ無双」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「喧嘩番長6〜ソウル&ブラッド〜」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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- 関連タイトル:
喧嘩番長6〜ソウル&ブラッド〜
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- 3DS:喧嘩番長6〜ソウル&ブラッド〜
- 3DS
- アクション
- アドベンチャー
- CERO C:15歳以上対象
- スパイク・チュンソフト
- プレイ人数:1人
- 学園物
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