連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第299回「“らしさ”が求められる時代」
どれも面白かったっていうか,よくよく考えたら最近のゲイムで致命的に面白くないものっていうのが,そもそも少ないと思うのよ。まったくないとは言わない。でも,少なくはなった。……気がする。
もちろん,期待していたほど心を刺激しなかったゲイムっていうのはあると思うわ。でもね,それはあくまで期待ありきの「面白くない」であって,びた一文分も面白くないってゲイムにお目にかかることって,最近は少ないんじゃないかと思うわけ。
昔はあったわよね。具体名は挙げないけど,「プレイヤーの超能力を開発する」という名目でただひたすら選択肢から正解を当てさせられるゲイムとか。原作をガン無視して「消えた子犬を追って冒険に出る」という設定にしちゃった双子と幼なじみの女の子が恋愛する有名野球漫画のゲイムとか。「あっへそくりだ!」とか。とりあえず発売することだけが目的だったんじゃ? なんて思わざるを得ないようなゲイムが乱発されていた時代が,確かにあったのよ。
そういう意味では,ゲイム業界も成熟してきたのかなって思うわね。だって,今は少なからず“プレイヤーがどう感じるか”を意識して作られたゲイムがほとんどだもん。言ってみれば,“お金を払ってもらうためには,ここまでヤって当たり前”の最低ラインが上がったんでしょうね。この部分に関しては,今のゲイムはすごいと素直に思うわ。昔も今も値段は同じくらいなのにね。
という感じで,極めて自然に話が逸れていってるわけだけれども,要するに私が言いたいことはただ一つ。面白いゲイムが増えたねってことですよ。だからこそ,消費者に選んでもらうための“+α”が必要なんだけど。この+αがいわゆる“売り”ってやつなんだけどね。
これは現在の私の考え方なんだけど,斬新さを追求してゲイムが作られる時代は終わった気がしてるの。平たく言うと,最近のゲイムって,必ずしもプレイヤーから斬新さが求められていないと思うのね。
例えばPlayStationやセガサターンが発売された頃,もしくはニンテンドーDSやWiiが発売された頃って,それぞれのハードの性能に合わせた,それまでにないゲイムが数多く生まれていたわ。見たことのない,遊んだことのないゲイムって,それがそのまま個性になって,売りにもなっていたの。
でも,先日Xbox Oneが日本でも発売されて,ひとまず次世代機と呼ばれていたハードが出そろった形となった現在も,斬新さが売りになるかと言われると,そうでもない状況が生まれている。なぜか。経済状況もあるでしょう。スマホゲイムの台頭もあるでしょう。でも,状況以外の理由,すなわち購買意欲の視点から考えてみると,“売りになるかどうかのポイントが変わってきた”からじゃないかな? って思うわけ。
斬新かどうかは,もはや買う理由にはなっていなくて,“らしさが出ているかどうか”が,消費者がお金を出してもいいかどうかを判断するポイントになっている気がするの。
そうね……。先日のゲイムショウに当てはめてみると,まず「龍が如く0 誓いの場所」(PlayStation 4 / PlayStation 3)。これは“「龍が如く」らしさ”が伝わってきたから,私はきっとお金を出せる。「EA SPORTS UFC」(PlayStation 4 / Xbox One)も実際にプレイしてみてUFCらしかったから,お金を出して買おうと思ったわ。
注目するポイントは人それぞれだと思うの。そのゲイムを作っているクリエイターでもいいし,キャラクターに命を吹き込んでいる声優さんでもいい。アニメーターでもいいし,原作者でもいい。何なら,会社でもいい。それらとはちょっと違うけど,「売れているらしい」や「みんながプレイしているらしい」ということだっていいのよ。要は,安心感。買う側にとっての安心感がほしいわけね。
これだけの情報だったら「じゃあモンハンをプレイすればいいじゃん」って思うでしょ? でもね,違うのよ。このゲイムにはこのゲイムの“らしさ”がちゃんとあるのよね。
まずね,オフラインでも仲間のキャラクターがちゃんと働いてくれるの。これは本当に大きい。序盤であれば,自分が何もしなくてもミッションクリアできちゃうくらい仲間が強い。だから,序盤で足踏みすることなくサクサク進められちゃうのね。あと,その仲間のストーリーがちゃんと描かれているから,感情移入もできる。同じハンティングアクションでも,ここまで違いを表現できてるわけ。ぶっちゃけ,プレイしていて斬新さみたいなものは,さほど感じなかったわ。でも,違いは確実にあるし,何より面白い。
加えて,私が「コーエーテクモゲームスらしいな」って思ったのは,日本の歴史上の人物達をミタマとして集めていく要素。坂本龍馬だったり,徳川家康だったり。このミタマには,いろいろなスキルがあるんだけど,ミタマのスキルを使い分けることで戦闘を有利に進めていけるわけ。歴史シミュレーションをいっぱい作ってきた,コーエーテクモゲームスらしい演出よね。
モンハンにはモンハンのらしさがあって,討鬼伝には討鬼伝のらしさがある。らしさがあるから,どっちも面白いんだよ。いやこれホントに。私としては,どっちもプレイしてほしいわ。面白いんだから。
「モンハンをヤってるから,もうハンティングアクションは間に合ってます」って人,本当にもったいないわよ。ハンティングアクションってジャンルは同じでも,それぞれ個性と売りが違う。だから,モンハンが好きな人こそプレイしてほしいわね。討鬼伝 極,おススメです。
ここからはしっかりとゲイムとは関係ない話なんだけどね。討鬼伝 極のように,初めて体験しても,らしさが伝わってくるっていうのは,実は重要なことだと思うの。それは人付き合いでも同じで。
初めて話をした人でも「あ,この人はこういう人なんだ」っていうのが分かると,一気に距離って縮まるでしょ? 少なくとも,相手がどういう人なのかが分かれば,どの距離でその人と接すればいいかを測ることができる。まあ,どの距離感で他人と接するかは人それぞれだけど。
だからこそ「自分がこういう人だ」って相手に伝えることって重要だと思うのね。人付き合いが苦手な人って,結局“相手に自分がどういう人か”を伝えられてないから距離を取られているケースが大半だと思うのよ。
では,どうすれば相手に“自分がどういう人なのか”を伝えられるか。難しくなんてないわ。「自分はこれが好き」って言ってしまえばいいのよ。「これは嫌い」だと棘が生まれてくるけど,「これが好き」っていうのは,基本的にポジティブな感情だからね。
それでアンタが何を好む人かってことは伝わるわ。別に,斬新な感性の持ち主じゃなくてもいいのよ。誰もそれを求めちゃいない。アンタが何を好んで何に喜びを感じるか。そんなシンプルな感情が「らしさ」を生むのよ。
……と,討鬼伝 極をプレイして,そんなことを思った秋の夜長でございました。あなたはどんなゲイムを面白いと思いましたか? どんなゲイムが好きですか? それを相手に伝えてください。それがあなたの“らしさ”なのです。今週はそんな感じで終わりらしいです。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「無双OROCHI2 Ultimate」
PlayStation 3:「魔都紅色幽撃隊」
PlayStation Vita:「討鬼伝 極」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ゼルダ無双」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「メゾン・ド・魔王」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
|
キーワード
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.