連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第267回「受け入れること」
今置かれている現実,つらいこと,認識のズレ,思想の違い,悩み,喧嘩,失恋,失敗,敗北,不安,過去,現在,未来,etc... 人間は生きている限り,受け入れがたいことに直面する機会がたくさんあるわ。人生,うまくいくこともあれば,うまくいかないこともある。
これを読んでるあんたも,想像してみて。一番最近あった大きな失敗を。ないならないで,良いことよ。それはとても幸せなことだからね。ただ,多くの人の場合,うまくいかないことのほうが多いってことを,覚えておいてもいいでしょうね。きっとそのほうが優しくなれるから。
さて。最近の失敗を思い浮かべた? ここですよ。ここが人生の分かれ道だと私は思うの。うまくいかなかった。では,次は? うまくいかせたいよね。それが,たぶんだけど成長ってやつ。その成長のために必要なのが“受け入れる”って作業じゃないかしら。
うまくいかなかった現実と,うまくいかせられなかった自分。まずはこれを受け入れる。とはいえ,人間だからね。すべてを受け入れられるわけではないわ。当然,受け入れられない場合もある。でも,受け入れられないものを最初から“受け入れない”って突っぱねるのでは,成長はできない。
そこで必要なのが“受け入れようとしてみる”って姿勢。受け入れられないけど,こういう条件だったら受け入れられるかもしれない――。そういう可能性を考えてみる。受け入れることそのものよりも,受け入れるために考えること,それが成長につながるんじゃないかなって私は思うの。
自分の思った通りにいかないこと,それは生きている限りいっぱいある。その時に,受け入れようとする機会を作るかどうか。これこそが人間だけが持っている能力なのかなって思うわ。
でね。“受け入れる”って行為は,きっとエンターテイメントなんだと思うの。ライバルが重要なところで主人公を助けるっていうストーリー,いっぱいあるでしょ。マンガでもそう。冷静に考えてみたら,ベジータなんてどの面下げて地球に住んでるんだって思うし,別のあるマンガでは「独眼鉄が無眼鉄になっちまったな」ってセリフと共に,片目の仲間の残ったほうの目を潰して虐殺した敵が,気付いたら仲間になったりしているわけで。
マンガでなく昔話も紐解いてみれば,どう考えても大勢の人間で勝負したほうが勝ち目があるのに,犬やキジや猿を仲間にして鬼を退治に行く有名な話があったり,親を殺されたカニが猿に復讐するために栗と臼と蜂を仲間にしたり。もはや生物ですらないっていう。
こういう例を考えていくと,敵じゃないにしろ自分とは違うものを“受け入れる”っていうのは,エンターテイメントになり得るってことだと思うのよ。なぜなら,現実にはなかなか難しいことだから。基本,エンターテイメントって現実からぶっ飛んだところに面白味があるものなの。
もちろん,現実を描いたものや,ノンフィクション的なエンターテイメントもあるわ。でも,そんな作品ですら,普通すぎて面白くない部分はほとんど描かれていない。普通すぎて面白くない部分があえて描かれている場合もあるけど,それって作品にリアリティを持たせるためなどの理由が必ずある。
ちょっと話がそれたけど,要するに自分とは立場の異なる存在を仲間として受け入れる話は,エンターテイメント的に鉄板の部類に入るジャンルなんだろうな,と。
なんせ,モンスター同士をかけ合わせることで新たなモンスターを産む「配合」を駆使すれば,ナンバリング作品のラスボス的存在も仲間にできるのよ。昨日の敵は今日の友,まさに受け入れるゲイムと言ってもいいでしょうね。
もっと分かりやすく言いましょうか。このゲイムは戦闘が楽しいの。モンスターをスカウトするための戦闘も楽しいし,配合のためにモンスターをレベルアップさせる戦闘も楽しい。そういうゲイムなの。
ストーリーもあるにはあるんだけど,ゲイム展開としては,エリアごとにあるダンジョンをクリアしていって,新しいエリアを出現させることの繰り返しというシンプルな構成。で,エリアごとにスカウトできるモンスターが違うのね。ただひたすら,モンスターを仲間にする楽しさを突きつめてる。
結果,プレイしやすい。そして何より,基本的に配合すればするほど,モンスターが強くなるのがいい。RPGの良さって,どんどん強くなっていくのが実感できるところにあると私は思っているのね。このゲイムはまさにそれ。だから,強くしようという目的を持って,戦闘に臨める。戦闘をさせられているのではなく,自分の意志で戦闘に臨めるのが,このゲイムのポイントだと思う。
それでいて戦闘そのものが重くなく,いい意味で作業的だから,気楽に遊び続けやすい。そういう意味で,非常に割り切った,迷いのない作品だとも言えるでしょうね。
ストーリーで感動したい人に向けた感じのゲイムではないけど,自分が強くなっているのが実感できるRPGらしいRPGであることは間違いないわ。そういうゲイムが好きな人には強くオススメ。
というわけで,今週は“受け入れる”ということについて語ってみました。DQM2は,敵だったモンスターを味方として受け入れるゲイム。人生という名のRPGも,受け入れたくない現実を受け入れることで強くなれる。そういうことです。
受け入れるとは言っても,ネガティブに下を向いてちゃ意味ないよ? 私が職業としているプロレスでは,相手の技を受け止めるときに,胸を張って堂々と受けるの。そこがプロレスのいいところ。見るのは後ろでも下でもなくて,今そこにいる対戦相手。現実。そして,その先にある未来。
私にだって多少なりともできてるんだから,あんたにできないはずないわ。いやマジで。今がつらい人は,とりあえず来週まで頑張ってみよう。ではまた来週!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「真・ガンダム無双」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵
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