連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第244回「星殖活動」
いきなりだけど,問題提起を。
プロレスって,入場も試合の一部に含まれているのね。学生プロレスを含めて18年間プロレスをヤってきた私から,ちょっと偉そうに言わせてもらうけど,そこのところを分かっていない同業者の多さが気になっているわ。
これって,突き詰めると「プロレスにおける入場」が何を意味するかって話につながるのね。簡単に言うと,つかみなわけです。自分がどんな選手で,お客さんにどういう見られ方をしたいか。いわば,入場は自己紹介なの。
みんながみんな派手なことをする必要はないわ。でも,緊張感を漂わせるファイトスタイルの選手は緊張感を押し出した入場をするし,陽気な試合をする選手は入場も陽気。トップどころの選手達は全員が全員,入場の大切さを分かっているの。要は雰囲気作りよね,コトが起こる前の。
この連載でもたまに言ってるんだけど,最近のゲイムは序盤からプレイヤーを飽きさせないようなゲイムが多いわ。それがたとえ,じっくり遊ぶタイプのゲイムであっても。きっとそれは,そうしないとプレイヤーの関心がほかのゲイムにいっちゃうから。最初から心をつかまないと,最後までたどり着きにくいのよ,この使い捨ての世の中だと。
でもね。人間って最初に興味を持ってしまうと,あとはなんとなく注目し続けてしまう一面を持ってるの。だから,最初のインパクトは非常に重要なのね。
先日,南海キャンディーズの山ちゃんの単独ライブにイってきたんだけど,凄かった。これまた最初のつかみが。山ちゃん自身のTwitterでのツイートを振り返って,その時々で何が起きていたのかを語るという内容のライブだったんだけど,本編の内容に入るまでにめちゃくちゃ時間をかけるのよ。要するには近況をしゃべっただけなんだけど,それがもうすでに面白い。っていうか,そのフリートーク部分は本編に入るまでに必要だったから長かった,と私は見ているわ。
他人がツイートを振り返ってるのって,普通に聞いてる人からすればどうでもいいことじゃない。だからこそ,聞いてる人にとっての“どうでもいい”を壊さなきゃいけない。そのためのフリートーク。結果的に本編の前フリになってた部分もあるし。たぶん,全部山ちゃんとスタッフの計算どおり。
とにかく,構成力と,その構成を現実のものとする技術,その両輪が噛み合って素晴らしかったわ。こういうのを見るとホント悔しくなってくるわね。まあ,要するに本編への導入って,それだけ大切なものなんだよってことが伝われば,冒頭にしてこれだけ長く文字数を取った甲斐があるってもんです。
というのも,前作は「CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ!」だったから。このネーミングを見たとき,私は思ったね。なんて攻撃的なタイトルなんだろうか,と。皆の者! よく聞けい! スパイク・チュンソフトが攻めてきたぞー! と。
そして今作のネーミングを見て思ったわね。あー,誰かが怒られたのかな,と。だって,前作買うのはなんとなくツラかったもん。お店で店員さんに「お客様,何かお探しですか?」って聞かれたときに,「俺の子供を産んでくれ!」と言わなきゃいけないのよ? アメリカならこの時点で訴訟の準備が始まってるわよ。それほどインパクトがあったの。
でも,インパクトだけじゃなくて,ゲイムの内容をよく表してもいたのね。だから,ネーミングとしては決して間違ってはいないのよ。インパクトを与えつつ内容を説明するという,両方を同時にこなしているわけだから。凄腕の弁護士がウォーミングアップを始めさえしなければ……いや,それは妄想だけど。
ただまあ,今作のネーミングが前作に比べておとなしくなっているのは否めないわ。しかし! これって,考え方なのよ。前作のネーミングが「プロレスラーにとっての入場」だったとしたら? 「山ちゃんのライブにおける髪型の話」だったとしたら? ウン,まんまと心をつかまれてる。
このゲイムって,主人公とヒロインが「愛交ノ儀」を行って星の子を産んで共に戦うっていう内容なのね。それってまあ要するには生物の生殖活動をモチーフとしているわけなんだけど,ゲイム側はそれを完全にすっとぼけてる感じなの。
このゲイムの場合は,「せい」に「星」という漢字を当てて,“星殖活動”とでも言えばいいのかしらね。ぶっちゃけ,完全にお色気要素ではあるんだけど,絶妙に明言を避けているの。嫌いじゃないわよ,こういう風に作り手とプレイヤーで共犯意識を抱いちゃうようなもの。
そうやって前作でブッ込んでしまっている分,今回は「みんな分かってるんでしょ」的な感じにしたんだと考えると,このネーミングにも納得できるのよね。
そして実際,前作よりも今作のほうが面白いわ。ここで言う面白さは,すなわちプレイしやすさなんだけども。本当にゲイムテンポがいい。戦闘も時間がかからないし,テキストの早送りもできる。ダンジョンも長すぎない。それでいて,だんだん強くなる感じも体感できる。何より,それだけテンポが良くても面白さがちゃんとそのテンポに合っている。
一般的に,テンポを早くすれば,プレイしてるほうはやめ時を見つけづらくなるし,その意味においてプレイはしやすくなるのね。なんか長いなぁとか,重いなぁ,みたいなストレスを感じなくて済むわけで。ただ,それって「テンポがいいことが,すなわち楽しい」という,“楽しさ”の本質から,やや外れたものになる可能性もはらんでいるの。一概に悪いことではないんだけどね。
でも,このゲイムのテンポの良さはそうではなくて,ちゃんと目的がハッキリしたうえでのテンポの良さだから,根本的に面白い。目的というのは,前述の「より強い子供を産む」ってところ。もちろん,このゲイムはRPGだから,ストーリーがあり,ゲイムを進めていくうえでの目標はあるわ。
でも,ここで言う目標とは,プレイヤーがゲイムを続けるモチベーションとなる目標のことね。その,いわば“柱”があるゲイムは強いわね。CONCEPTIONシリーズは,この柱というか個性がある限り,面白くあり続けるんじゃないかしら。
RPG好きで未プレイの方はぜひ。印象以上にプレイしやすいはずよ。もちろん,前作をプレイしたことのある人にも断然おススメ。新システムが何やらいっぱい追加されているけど,ノリは一緒。
むしろ,新システムを搭載することで,より戦闘が楽しくなっている感じ。それでややこしくなったり重くなったりはしていないわ。重要なのは新システムではなく,前作の良いところはそのままに,いろいろとプレイしやすくなっているってところだから。
とまあ,今週はCONCEPTION IIを紹介したわけです。ゲイムとは別の話になるんだけど,ネーミングについて学ぶところは多かったわね。とくに,「せい」の字を別の感じにすることで,下ネタじゃないような見せ方にできるって部分が。
私,なぜかプロレスリングでの戦い方がセクハラ的に評されてしまうことが多いのよ。相手を倒すことしか考えていないというのに。でもまあ,見る側がそう見たいのだったら,百歩譲ってそれでいいわ。ただ,それも「性的嫌がらせ」ではなく「静的嫌がらせ」っていう風に表現したら,急におとなしい感じになるわけで。または「聖的いやがらせ」だったら,もう神々しく見えてしまう。そういうヤり方もあるんだってことを,CONCEPTION IIから学びました。
だから,今後は私のことをゲイレスラーあらため「同聖愛者レスラー」として扱っていただきたい。ちょっとした聖人っぽく見えるしな。今後は,その方向でイこうと思っとる次第です。なので,今後は誰の聖にするでもなく,聖性堂々と聖いっぱい頑張っていきますので,皆さん聖大なるご聖援のほど,よろしくお願いいたします! 聖イエス! また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2013」
PlayStation Vita:「CONCEPTION II 七星の導きとマズルの悪夢」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ZombiU(ゾンビ U)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「逆転裁判5」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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- 関連タイトル:
CONCEPTION II 七星の導きとマズルの悪夢
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CONCEPTION II 七星の導きとマズルの悪夢
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