連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第234回「再起動は何回してもいい」
そんなことを,よく考えるの。
私は外国語がまるでできないから,日本語のことしか語れないんだけど,「夢」という言葉には大きく分けて二つの意味があるわよね。一つは寝ているときに見るもので,もう一つは将来の希望。
ただ,昔からどうしても違和感を覚えていたのよ。これら二つを,同じ「夢」という言葉にまとめてしまうことに対して。
だって,全然違うじゃない。むしろ,正反対と言ってもいい。自分の希望とは関係なく勝手に見るものと,自分が見たくて見ているものという違いがあるんだからね。共通しているのは,現実には起こっていない自分の妄想みたいなもの……ってところぐらいかしら?
で,夢の話なんだけども,今回は将来の希望としての「夢」について語ろうじゃないの。
世の中の大多数の人間は,小さい頃に夢見ていた自分にはなれないでいると思うのよね。小さい頃って,文字どおり世間知らずだから,なれるものとなれないものの区別がついていないじゃない?
プロ野球選手やサッカー選手だったらまだマシで,「仮面ライダー」だったらもうアウト。イヤ,大きくなってスタントマンか俳優さんにでもなれば,その夢も叶うかもしれないけど,基本的にフィクションものって夢が叶う確率は非常に低いのが現実よね。
そういえば小学生のとき,友達が将来の夢の欄に「長州 力」と書いていたこともあったけど,これはもう完全に,夢見た瞬間にその思いが断たれること確定。さすがにどれだけ頑張っても長州 力にはなれん。なぜ彼は長州 力になりたかったのかという理由を推察するに,ファミコンソフト「新人類」がはやっていた時期だったからだと思われるわ。
ちなみにその友達とは小中高と同じ学校で,プロレス好き仲間でもあったんだけど,中学生時代の彼の夢は「スタン・ハンセン」だったの。この成長のなさ,今考えると泣けてくるわ。要するに彼は,ラリアットが好きだったんでしょうな。家に遊びに行って,庭の木にドラム缶がくくりつけられていたのを見たときはゾッとしたわ。ドラム缶,ちょっとへこんでたし。きっと「プロレススーパースター列伝」の影響だったんでしょうなぁ。それでも彼,成績は良かったから,国立大に進学したんだけどねー。
ま,連絡先を知らないから,もう長いこと連絡なんてとってないけど,とりあえず長州 力やスタン・ハンセンはおろかプロレスラーになっているという話も聞かないし。幸せに暮らしているといいわね,ホント。
……という例から見ても分かるように,小さい頃の夢は叶わないことのほうが多いの。今,憧れられやすい職業に就けている人達だって,小さい頃からずっとその職業に就きたいと思い続けてきたのかというと,必ずしもそういうわけではないだろうし。
そう考えると,「今の自分は,小さなころに思い描いていた将来の自分なのか?」と問われたときの答えは,「NO」であることのほうが多いと思うのね。極論すると,この世の中は夢破れた人達が大多数で,その人達の働きで社会が成り立っている……とすら言えるわけ。
で,ここで新たな問題が出てくるの。この世界は,大多数の人が夢を叶えることができない世の中なのか? という。でも,決してそうではない。夢破れた経験を持つ人がほとんどの世の中でも,夢は叶えられる。なぜなら,夢は変わるから。
人間って都合良くできていて,自分が感じたつらいことを適度に忘れられる機能が備わっているのよ。夢破れるのはつらいわ。でも,そのつらさを和らげて,次の夢を持つことだってできるのが,人間ってものなの。和らぐまでの時間は人それぞれだけどね。言ってみれば,人間のいいところって,“再起動”ができるところなのよ。
だから,つらい思いをしたその瞬間の感情のまま,やけになって行動を起こしたりしないほうが無難よ。あとから「なんであんなことしたんだろ」って,高い確率で思うことになるから。つらいときこそ,自分らしく。ね?
うん。いつになくいいことを言ってる気がするから繰り返して強調しておくわね。人間は,夢破れるようにできている。でも同時に,人間は夢の再起動ができる。だったら,かっこいい再起動をしようじゃないのよ。
思い起こせばトロピコ4は,ひょっとしたらこの連載の中で最も多用されたワードかもしれない。毎週「今週のハマりゲイム」に登場していたからね。でも,長く入れっぱなしにしていたくせに,内容には触れていない気がするのよ。
なので,あらためてこのタイミングで触れておくならば,大ざっぱに言って「シムシティ」っぽいゲイム。シミュレーションね。島の国を作るシミュレーション。独裁者になるゲイム。善政を敷くもよし,多少強引に発展させるもよし。腰を据えてヤり込めば面白いけど,気軽に短時間で遊びたい人には向いてないかも。濃いシミュレーションを求めている人にとっては,相当ヤりがいがあると思うわ。
正直,Minecraft気分満々でXbox 360を再起動させたら,本体アップデートに時間がかかりすぎてしまい,その間にPlayStation 3で「バイオハザード リベレーションズ アンベールド エディション」を遊びまくって,ついつい翌日もそっちを続けちゃうというアクシデントもあったんだけど,Minecraftは期待どおりに面白かったわ。
何が面白いって,もちろん前述の要素もあるんだけど,私的にはリズムが良かったの。ゲイムにおける「リズム」って,ゲイムの進行のテンポを意味することが多い気がするけど,ここでは単純に音のリズムのことね。
プレイした人なら分かると思うんだけど,物を壊すときに出る「コンコンコンコンコンコンコンコン」という効果音のリズムが,非常に心地いいのよ。遊びとしての方向はまったく違うんだけど,なんとなく音ゲイをプレイしていて,うまくいったときの感じに近いというか。
このゲイムはすべてがブロックでできた世界で,木や岩のブロックを壊して素材として手に入れて,それを向き合わせたり加工したりして新しいものを作っていくのね。で,それを使ってさらに別の素材でできた物を壊していく。その繰り返しのゲイム。
要するに,ブロックを壊し,そして作るという繰り返しのゲイムで,壊すという作業には時間がかかるんだけど,そこで聞こえる効果音のリズムが心地いいおかげで,作業が苦痛にならないの。もし,壊すときに聞こえる効果音のリズムが悪かったら,このゲイムは一気に作業感の強いゲイムになって,結果ここまで面白いものにはならなかったんじゃ……? とすら,私は思うわ。
大げさに言うならば,このゲイムを通じて,エンターテイメントにおけるリズムの大切さをあらためて思い知ったわ。人間,心地いい音を聞くと,それだけで楽しいの。それが,Minecraftではゲイムの中にさりげなく入ってる。
時間にしてみれば数秒間。それを,ただ待つ時間にするのか,それとも楽しい時間にするのか。作り方によって,天国と地獄がはっきりと分かれるポイントが,ここだったと思うのね。そしてこのゲイムは,効果音のリズムの力で,本来待つだけである時間を,楽しい気分にさせてくれるものにしている。そこが世界中で愛されている理由じゃないかなあ。
PC版はプレイしてないから分かんないけど。少なくとも,Xbox 360版はプレイしてみて楽しかったわよ。2000円前後と値段も安いしコストパフォーマンスは激高でおススメ。
さて今回,Xbox 360を再起動して思ったというか再確認したんだけど,やっぱ,ハードは関係ないわ。面白いゲイムは面白い。そう考えると,ホントに素人意見で恐縮なんだけど,一つのハードで全部のゲイムが遊べたらいいのになって夢見ちゃうわね。
これはもう,現状バラバラで数多くあるプロレス団体が一つになればいいのにな,なんて言ってるようなもので,まったくもって現実的じゃないのは分かるんだけどね。競争が必要な場合だってあるし。
ただ,これだけは言える。ゲイムは,人間が夢を見るからこそ生まれるものであり,楽しめるもの。作り手は「こんなゲイムを作りたい」と夢を見て,プレイヤーは「こんなゲイムで遊びたい」という夢を見る。その夢と夢のぶつかり合いが,ゲイムなの。立場は違うけれど,作り手とプレイヤーは“面白いゲイム”という夢を共有しているってわけ。今後もそれを共有していきたいと思うわ。
その結果,ゲイム会社が儲かりゃいいじゃない。そしてゲイムに携わる人――作る人も宣伝する人も売る人も遊ぶ人も,みんな幸せになればいい。これが私の夢。
同時に私は,こういうような思いでプロレスをヤっているわ。対戦相手の股間をまさぐり,唇を奪うという形でではありますが。いつかみんなの夢が叶うといいね! 再起動は何回してもいいんだから。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「バイオハザード リベレーションズ アンベールド エディション」
PlayStation Vita:「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ZombiU(ゾンビ U)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「真・女神転生IV」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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- 関連タイトル:
トロピコ4 日本語版
- 関連タイトル:
Minecraft:Xbox 360 Edition
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