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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第170回「お前の名刺を言ってみろ」
名刺とは一般的に,初対面の人に自分が何者かを知ってもらうために渡す,自分の社会的地位や連絡先が記された紙のことね。でも,私が今問うてみたのはそういう物質的な名刺のことではなく,心の持ち方としての名刺のことなの。
私の中では,各々が持つ心の名刺の前では普通の社会人が持っている物質的な名刺など,名刺のうちには入らんわけで,心の名刺さえしっかり持っていれば,名刺など便宜上以外では本来必要ないものなのよ。
……ああ聞こえるわ。ここまでのくだりの意味が分からないと私を非難する声が。「何言ってんだ? ハードバンプで脳をヤっちまったのかゲイレスラー?」という。
そう! まさにそれ! その「ゲイレスラー」こそが私の心の名刺なの。というのも,自己紹介をするときに,自分を一番説明できる言葉こそが,今ここで私が言っている「名刺」なわけです。私の場合は「ゲイレスラー」。この一言で,ゲイであることやプロレスラーであることを説明できてしまう,まさに名刺の役割を果たす言葉なのね。
で,自分を説明できる言葉を持っておられるか皆の衆? 要するに私は,冒頭でそのように問いただしたわけです。まあ,持ってたから偉いってわけじゃないけどね。ただ,心の名刺を持っていれば,他人に自分のことが伝わりやすいっていうメリットはあるわ。
そして,この心の名刺とはえらいもんで,自分のことだけではなく,自分が好きなものや自分が取り扱うもの,何なら他人のものまで説明できてしまうことがあるの。
で,商品を取り扱う職業の人はこの心の名刺……「言葉の名刺」と言い換えてもいいけど,これを持ってないといけないような気がするのですよ。なぜなら何も知らない人に対して,その商品について説明できるのとできないのでは,購買意欲を喚起する能力に大きな差が出てくるから。
まあ,根本的にファイナルファンタジーが国民的タイトルだから通じるという部分もあるけど,そもそもゲイムミュージックを音ゲイにしようとした発想がまず凄い。
あ,もう先に言ってしまうと,めちゃくちゃ面白いわよ,このゲイム。最近のFFを熱心にプレイできていない私ですら,ギンギンに面白いんだから,シリーズファンなら間違いなく楽しめるはずよ。
さっきも白状した通り,私はシリーズの熱心なファンってわけでもないのよ。同じスクウェア・エニックスの国民的RPGでも,「ドラゴンクエスト」シリーズ派だしね。結局はどっちも好きではあるけども。だから,今までのFFシリーズの音楽を音ゲイとしてプレイしたところで「なつかしー!!」とは,あんまりならないの。でも,不思議なことに面白いの。
音楽についてほとんど知らないのに面白いと感じる理由の一つとして,単純にFFシリーズの曲がゲイムミュージックとして優れているっていう点は挙げられると思う。プレイしていて気持ちいいんだもの。
でも決してそれだけじゃない。私はこのTHEATRHYTHM FINAL FANTASYが面白いもう一つの理由として,「よく分かんない仕掛けが用意されてる」っていう点にも注目したいわね。
どういうことかというと,さっきから繰り返している通り,根本的にはこのゲイムは音ゲイなのよ。でも,その音ゲイのプレイの良し悪しによって,手に入る経験値の量が変わるのね。
で,経験値を得て何が起きるかというと,自分が選んだ歴代FFキャラクターのレベルが上がるのよ。キャラクターのレベルが上がると,そのキャラクターがアビリティを覚える。で,その結果ちょっとだけ音ゲイをクリアするのが有利になる。ま,もちろん色々な効果があるから一概に有利になるだけではないけども,少なからずプレイの手助けにはなるのね。そこがまず楽しい。
で,ほかにも敵味方のFFキャラクターが描かれたコレカと呼ばれるカードを集めることもできるし,繰り返しプレイしていくとどんどん新しい曲や難度の高い曲が増えていく。
まとめると,レベル上げ,コレクション,ステージの広がり……。そう,要するに,音ゲイにRPG(FF)の要素が入っているのよ。しかも違和感なく。だから,面白い。
ひょっとしたら音ゲイであるからこそ,RPGの魅力がデフォルメされ,凝縮されているんじゃないかと思ってしまうほど,プレイしていて楽しいわ。シリーズファンは買いだし,そうでないゲイムファンも想像以上に楽しめると思うわよ。これはおススメ。
私,実はこのシリーズが相当好きで,好きな理由はきっと「仲間がいっぱい集まるから」なの。話はちと変わるけれども,コーエーテクモゲームスの「三國志」シリーズや「水滸伝」シリーズが好きな理由も,たぶん「仲間がいっぱい集まるから」。コレクション魂を刺激する作品に弱いのね。
もともと水滸伝という中国の小説も,「悪政を布く政府」を打倒する目的で仲間が集まってくるっていう面白味が売りで,人気を博しているのね。もちろん水滸伝と幻想水滸伝では,話自体は別物なんだけど,仲間が集まってくるダイナミズムには共通しているものがあるの。だから,私はこのシリーズが好きなのよ。
今回も,もはや原作の水滸伝とは時代設定もキャラクターも風景も全く似ても似つかないわ。けれども水滸伝の持つ「善と悪の在り方」であったり,「運命を背負って集まってくる」感じであったりがうまく表現できていると思ったわ。
加えてゲイム内の話をするならば,私個人はマップ移動や街内部の移動が簡略化されている点や,ストーリーに関わるイベントの区切り方が短くなっている分,ストーリーのテンポがいい点は歓迎したいわね。人によって判断は変わるでしょうけど。
簡単に言うと,今までのシリーズよりもプレイしやすくなっているのよ。迷うことが無いというか,プレイヤーが進むべき道筋がハッキリしているの。それは言い方を悪くすれば,RPGならではの自由度は減っているってことにもなると思うけれども。
ただ,私はこのシリーズに関しては,こういうアプローチもアリかなと思っているわ。なぜならさっきも書いたように,仲間が集まってくるという面白味やストーリーが途切れることなく頭に入ってくるから。下手に自由度が高いと,こんがらがっちゃうのよね。
どんどん仲間が集まってきて,その都度,ゲイム的に面倒なことがたくさんあったら,いちいち全員のことなんて覚えていられなくなるじゃない。だからそういうことを避けて,仲間が集まってくる過程をストレスなく見せるという今回のアプローチは,アリだと思う。
今作に関しては幻想水滸伝シリーズのファンはどう思うか分からないけど,逆に原作の水滸伝ファンは一度プレイしてみてもいいのかもしれないわ。テイストや雰囲気は違うけれども,これはこれで楽しめるような気がする。そこら辺の人におススメするわ。
という感じで,新作と比較的新しい作品の二つについて語ってみたけれども。やっぱり,心や言葉の名刺を持ったタイトルだと,こちらもそのつもりでプレイできるから分かりやすいわよね。エンターテイメントの全てがそうではないけれども,名刺があると売りやすいし勧めやすい。
私もそこら辺を意識して,今後ともプロレスのリング上で裸の男とくんずほぐれつするようにしたいものね。どうでもいいけど「ゲイレスラー」という言葉に含まれる意味を考えるにあたって,「ゲイがプロレスをヤっている」のと「プロレスをヤっているのがゲイ」では,どちらのほうが対戦相手は恐ろしいんでしょうね? ムフフフフ。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2012」
PlayStation Vita:「極限脱出ADV 善人シボウデス」
PSP:「幻想水滸伝 紡がれし百年の時」
Wii:「ぷよぷよ!!」
ニンテンドー3DS:「バイオハザード リベレーションズ」
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版」
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- 関連タイトル:
THEATRHYTHM FINAL FANTASY
- 関連タイトル:
幻想水滸伝 紡がれし百年の時
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