連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第136回「ヤりきることがプロ。だから『メルルのアトリエ』はプロ」
テレビを見ていて面白くないと感じる芸人さんいるでしょ? まあ,感性って人それぞれだから,自分が面白くないと思っても,ほかの人は面白いと感じることはあるかもしれない。だから,たとえ自分が面白くないと思っても,ほかの人にとっては面白い可能性があるから「面白くない」と否定してはいけません! ……って風潮があるわよね,今。確かにそれはある種の真実ではあるんだけれども,私としてはそれはどうかと思う部分があるの。
例えば,世界にひとつだけの花の話ね。人はそれぞれ自分にだけ咲く花がある。ウン,正しいわ。けど,その正しいことが必ずしも正解だとは限らないと私は思うのね。
笑いに限らず感性なんて,例えるならばストライクゾーンと同じだと私は考えてるの。ストライクかボールかきわどい球に関しては,確かに人によって判定はまちまちだけど,誰がどう考えてもストライクのボールもあるし,逆に誰がどう考えてもボール球ってこともあるわけ。いいものはいいし悪いものは悪い。基本的にピッチャーの立場になったならば,アウトを取るためにボールを投げるべきで,打たれてもいいや自分は世界に一人だけのピッチャーだし……的な考え方はあまりよろしくないんじゃないかと私は思うのよ。
その上でどんな球を投げるかは,志によるんだけどね。直球だけで打ち取るのもよし,変化球にこだわるもよし。ストライクを狙うのだっていいし,ボール球だけで打ち取るのもある種カッコいい。要するに,相手を打ちとる意思がないといけないってことね。
で,話は戻って面白くない芸人さんがいたとして……イヤ,歌の下手な歌手でもいいんだけども,まあ今回は芸人さんで例えましょう。実際に面白くないことをやったとして,だからといって面白くないその芸人さんが,プロではないのか? と聞かれると,私は「プロだな」と思うわけ。
なぜかといえば,面白くないことでも,ちゃんと自分の仕事をヤりきっているから。これが言いたかったの。出だしの言葉では。たぶん,テレビに出てる人はよくこう思われてるわよね。「俺のほうが面白い」「私のほうが上手い」って。
違うの。芸人さんは面白いことをするのが仕事なのではなくて,面白いと思うことをヤりきることこそが仕事なの。いくら下手な歌でも,ちゃんと上手いかのように歌いきるのがプロの仕事。ま,もちろん面白いほうがいいし,上手いに越したことはないけれども。
要するに,他人より優れていることがプロの線引きなのではなく,他人より優れていることを商品にできるかどうかが,プロかそうでないかの違いなのよね。私が思うに。
オープニングでいきなり主人公が一人語りを始めるんだけど,どうしてもツッコんじゃうのよね。「君は誰に話しかけてるんだい?」と。当然,プレイヤーに対して話しかけているんだけど,あからさまに独り言の体で状況説明をしているのね。
まあ,ゲイムの導入部分で,キャラクターが一人で語り続けるというのはよくある手法なんだけど,メルルに関しては度が過ぎてる。でもね,嫌悪感を覚えることはないのよ。なぜなら,ヤりきってるから。
たぶん,作り手も露骨な独り言であると分かった上で,こうヤってると思う。というのも,このメルルって,見せ方としてマンガとアニメのテイストをゲイムに注入しているから。プレイすれば分かると思うんだけど,ぱっと見のイメージよりもアニメアニメしくはないのよ。それよりはむしろ,動くマンガのノリ。少女マンガ風のイラストが動いている感じ。たぶん,購買層をやや女性向けに設定したんじゃないかしら? 出てくる男性キャラクターの雰囲気からも,そういった部分が見てとれるしね。
……って,最近のこのシリーズが女性向けに作られてるんだったら,今さらこんなことを言うのは恥かしいわね。最近はあんまりプレイしてないけど,シリーズ最初の「マリーのアトリエ」を5周分くらいプレイした程度のシリーズファンの私としては,この変化には驚いてる。このように進化したのか,と。
ゲイムマシンのスペック向上に合わせて,シリーズも変化しなければならないこの時代に,最新作でこのようなチョイスをしたのかと思うとちょっと感動したわ。
アニメーションか,さもなければリアル路線の表現に向かいがちなファンタジーを題材にしたゲイムの中で,少女マンガのテイストで攻めてきた。たぶん,アニメアニメしい作りにすることもできたはずなのに。
私としては,この表現方法はアリだと思う。音楽もこの世界観にしっくりきてるし,独自の雰囲気を出すことに成功しているわ。ゲイムから伝わる空気感をもの凄く大事にして作られているのが伝わってくる。
シリーズファンがどう思うかは正直わからないけど,マリーのアトリエ,「エリーのアトリエ」「リリーのアトリエ」くらいまでは熱心にプレイしていた私からすると,このメルルはアトリエシリーズに再注目するに値する作品だと思う。錬金術モノは理屈抜きで楽しいから,この作品からっていうのもアリかもしれないわね。ぜひに。
というわけで,今週はメルルを紹介したわけだけれども! どんどん積みゲイが増えてきてる! それと,しれっと報告なんだけれども,「ワールドサッカー ウイニングイレブン2011」のマスターリーグオンラインで初期メンバーのままDivision 2まで行ったよ! 苦節8か月! もうボチボチ新作の情報も出始めてるこの時期に!
それにしても,この凄さは何と表現すれば伝わるかしら? 「ドラゴンクエストIII」でいうと遊び人だらけのパーティでクリアしたくらいと言えば分かってもらえるかしら? 「グラディウス」で言うとバリアとオプションなしでのクリア。「スパイvs.スパイ」で言うとナイフなしで棍棒相手に殴り勝つ。「キン肉マン マッスルタッグマッチ」で言うと命の玉を取らないブロッケンjr.でノーダメージ勝ち。「さんまの名探偵」だと,ものさしとかボールペンとかの物理的連打アイテムなしでやっさんとの競艇勝負に勝つ。「戦場の狼」で「何でこの人は一人で戦場に向かってるんだろう」という疑問を持たずに1面クリア。それくらいの偉業なのです!
もうちょっと称えていいよ! 褒めていいよ! そんな感じでまた来週! 来週までにDivision 3に落ちなきゃいいなあ。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「メルルのアトリエ〜アーランドの錬金術士3〜」
ニンテンドー3DS:「Fish Eyes 3D」
PSP:「ダンボール戦機」
Wii:「Wii Fit」
Xbox 360:「Fire Pro Wrestling」までNOW LOADING
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メルルのアトリエ〜アーランドの錬金術士3〜
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