連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第95回:「無難な時代だからこそ,無難じゃないものを」
著者近影
ゲイムも進歩したもんで。っていうか世の中が変わってきただけかもしれないんだけども,最近のゲイムって,プレイヤーを突き放さない傾向にあると思うの。簡単に言うと,チュートリアルが充実してるって話ね。
昔はそうじゃなかった。ゲイムの内容を説明するのなんて,説明書だけだったわ。あとはゲイムをプレイしながら操作方法を覚えろと,プレイヤーは作り手からかなり突き放されていた気がする。
それが,時代は進んでプレイヤーを突き放せないゲイム業界,というか世の中になった。テレビでも規制が多くなって,刺激の強いものを見ることはできなくなった。ちょっとでも常識から外れたものは,ネットで話題になって,常識を外した者に多勢が襲いかかるようになった。
結果,無難なモノが幅を利かせる時代になった。無難に面白いものが売れ,無難に面白いものが視聴率を稼ぎ,無難に面白い人が人気者となる,今はそんな時代。
おっと勘違いしないでね。私は今の時代を嘆いているわけじゃないの。無難な時代が悪いことなのか? と聞かれたら私は「全然そんなことはない」と答えるわ。
だってそうじゃない? みんなが無難なものに寄って行くならば,無難じゃないものだって目指しやすくなるものなのよ。
それこそ,エリート高校でそこそこ勉強できるよりも,ヤンキー高校で勉強ができたほうが,その世界での市場価値は高いわけ。逆にいうと,ヤンキー高校でどれだけケンカが強くても,トップ以外の価値は低いのね。でも,エリート高校でケンカが一番強ければ,キャラクターとしてはほかを抜きん出ているわけで。
だから,私が今の目立ちたい学生さんには,自分が置かれている状況(市場)を分析して,市場にないものを提供すれば売れるってことを言いたいわね。
例えば,サッカー部に所属していたとして,普通に練習してもレギュラーになれなさそうな場合は,ゴール後のパフォーマンスをめちゃめちゃ練習すればいいのよ。そうすれば,周囲の人達はパフォーマンスが面白い奴に点を取らせてみたくなるから,ボールが集まるわけね。すると,回ってくるチャンスが増える。そして,点を取ったときの印象が強くなって,いいプレイヤーに見えてくる……と。
一見,遠回りな方法が実は抜け道で,近道だったってことはよくあるわ。努力をした者が強い,と偉い人たちはいうけれども,ただやみくもに努力をさせるのは指導の方法としてどうなのか? と,私は常々思っているわ。努力にも質がある,と私は思っているから。
ただひたすら努力するよりも,どう努力すればいいのかを考えた末の努力のほうが,効果は高いはず。今やってる努力が効果的かどうかを教えてあげるのが,指導者の力の見せ所だと私は思う。
話はだいぶ逸れたけど,要するに,無難じゃないものを駆使して無難な人達を取りこむことに成功できたら,それはもの凄く大きな価値を生むってこと。
で,「メタルマックス3」です。
この無難なエンターテイメントがもてはやされる時代に,突き放しにかかりましたよこのRPGは。
ゲイム開始早々から比較的説明不足で,いきなりゲイムの世界に放り出されるの。この感覚は,まさに一昔前のRPG。ちょっと前のゲイムでいうと「リンダキューブ アゲイン」でも同じ感覚を味わえたわね。ゲイム的なタイプは違うんだけど。
そして何が凄いって,決して親切じゃないこのRPGを,ちゃんと現代風ゲイムとして成立させているところ。具体的には,メタルマックス3におけるプレイヤーは,基本的に何をしようがどこへ行こうが自由なわけ。
もちろん,何となく敵の強さの順番から,こう行ったあとにこう行ったほうが効率的……といったものもあるにはあるわよ。でも,それが決して強制されないバランスで作られているの。
このことが何を意味するかというと,プレイしていて,ちゃんと自分で決めて行動している気にさせてくれるってこと。この感覚,意外と最近のゲイムでは味わえないのよね。
「昔のゲイムは良かった」みたいなことを言う人って,けっこう大勢いるけど,私は「そうなのか?」と思ってしまうのよねぇ。だって,技術や容量的には昔より今のゲイムのほうが確実に凄いから。
でも,市場として現在流行っているものではなく「昔の雰囲気を醸し出しているゲイムを,今プレイしてみたら思いの外良かった」っていう意見があるならば,それには全面的に賛成ね。
あと,「昔のゲイムは良かった」って言う人には,いいゲイム以上によくないゲイムもいっぱいあったってことを思い出してほしいわね。思い出を美しく語るのは,とっても後ろ向きな行為。過去は未来に向かうために見るものであって,酔うためにあるわけじゃないわ。……ウン,今私,いいこと言った!
そんなわけで,一風変わった雰囲気のRPGに触れてみたい人に,メタルマックス3はだいぶおススメ。純粋にRPGとしても面白いしね。
そんなわけで今週紹介したゲイムはメタルマックス3だけなんだけど,今週,私にはとあるミッションが課せられているわ。それは,「ワールドサッカーウイニングイレブン 2010」と「ワールドサッカーウイニングイレブン 2010 蒼き侍の挑戦」の世界大会,「PES/WE 2010 World Finals」の日本予選!(関連記事)
世界大会に向けて,日本代表を決めるこの予選に参加してみようかと。私の実力は弱小チームを使ってレート500〜550だけれども! 勝率30%台だけれども! 挑戦することに意義がある! 来週はその結果の愚痴をしたためるとともに,棚上げになっていたPSPの「セカンドノベル 〜彼女の夏、15分の記憶〜」を紹介するつもり! お楽しみに!
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