連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第76回:「三出るゲイムはまあ大丈夫」
著者近影
慣用句や格言,ことわざの類って,一つ一つは説得力があるんだけど,矛盾する意味のものもあるわよね。
例えば「案ずるより産むが易し」「虎穴に入らずんば虎子を得ず」。とてつもなくおおざっぱに言えば「迷わず行けよ行けば分かるさ」ってことなんだけど,一方で「石橋を叩いて渡る」みたいに「慎重に慎重を期す」っていう意味の言葉もあるし。
結局のところ我々現代人は,先人の教えのうち,どれを信じればいいのか分かんないのよ。そして,私が思うにその格言の矛盾の中で最も有名かつ疑問なものは,「三度めの正直」と「二度あることは三度ある」,または「仏の顔も三度まで」。みんな思ったことあるでしょ? 一体どれが正しいんじゃい,と。
そしてここまで読んだまさに今,こう思ってるでしょ? 一体何の話じゃい,と。早まるな若い衆。要するに,同じようなことが三度あるのかどうか,確認すればいいんでしょうが!
というわけで,今週は最近発売されたシリーズもののIIIをプレイしてみたわ。
まずは「ゴッド・オブ・ウォーIII」(以下,GOW3)。これスゲイわ。
今まで映画のようなゲイムとして「アンチャーテッド」や「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」を紹介してきたけど,GOW3の場合は,もはや“ゲイムのようなゲイム”だわコレ。見事なまでにゲイムならではのダイナミックさ,操作感。プレイしていて,映画とかほかのメディアに引け目を感じなくていいんだな,と心の底から実感したわ。
私みたいに30歳以上の世代でゲイムをプレイしてる人達って,どこかしらで「ゲイムは子供がやるもんだ」っていう偏見にさらされて,その中で生き抜いてきた部分があると思うのよ。
でも,もう違うわね。確かにゲイムは子供が興味を持ちやすいメディアではあるけれど,大人のほうがより楽しめる表現が増えてきている。
その最たるものが「龍が如く」シリーズであり,「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズなのよ。ゲイム好きは,ゲイムに自信を持っていいわ。だってもう,映画にはゲイムのような表現は出来ないもの。完全にゲイムはゲイム。文化の一ジャンルだわ。
近い将来,業界内だけに響くものではない,アカデミー賞級の世界的式典も行われるかもしれない。それほどの文化度をGOW3から感じたわ。とりあえず,ヤっといていいんじゃないかな。向いてようが向いてなかろうが,損はないと思う。
次,「世界樹の迷宮III 星海の来訪者」。3作めにして,ようやく慣れてきたわ。“ツンデレ”でいうところの“ツン”に。難しいのよ。
いや,誤解してもらいたくないんだけども,ゲイムとして不親切っていうわけではないわよ。むしろ,今作はシリーズで一番丁寧かつ親切なくらい。
でも,このシリーズは一貫してプレイヤーを甘やかしてくれないの。今日び,プレイヤーに地図を書かせるゲイムがどこにあろうか。敵も最初から強いしな。でも,それはむしろこのゲイムの売りであるわけよね,ここまで来ると。それほど難度の高さが徹底してる。でも,決して理不尽ではないの。ここがポイントね。
ゲイムからツンされたあとは,当然“デレ”もあるわけで,いちいち街に戻るたびに生き残れた喜びがプレイしてて感じられるのね。新要素の海路も,なんだかゲイム性にマッチしてていい感じ。
シリーズファンは確実に買いで,IIIから始める人も手を出していいと思うわ。素直におススメできる良作ね。
ただし! ゆるいゲイム以外は苦手って人は手を出さないほうがいいかも。ツンを乗り越えないとデレは来ないわけだから。デレデレゲイムではないことは,事前に理解しておいたほうがいいわね。でも本当に面白いわよ。
最後は「三國志DS 3」。ハッキリ言うわ。DSのシリーズで私はこれが一番好き。とくに,「英雄バトルロード」が。
これは戦争に特化したモードなんだけど,ステージをクリアすると報酬がもらえるのね。で,その報酬で新たな人材を登用したり,武将をパワーアップしたりできるのよ。それこそチクチク国を育てる内政的な感じ。
だから,この手の作業が好きな私としては,内政気分で喜んで戦争ヤっちゃうわけね。今までの三國志だと,戦争のために内政をすることになるんだけど,英雄バトルロードに関しては逆で,内政のために戦争をするの。その感覚が新鮮なのよ。
そういう意味で,3にしてついにDSの三國志ゲイムとして完成した感があるわね。もちろん普通のモードでは,今までのように戦争のための内政もできるわ。戦争派も内政派も両方満足できるんじゃないかしら。
そういうわけで,三国志好きならばこれもまたおススメ。さすがに,三国志知らない人に無理矢理オススメすることはないけど,少しでも知ってるなら,是非。
さて,今週は三つの「3」を見てきたわけだけれども,結局,仏の顔も正直も二度あることも,全部しっくりは当てはまらなかったわ。
っていうか,よくよく考えたらゲイムの場合は基本的に前作が売れたから続編が出るわけよね。しかも3まで続くってことは,2もそれなりに評価されているわけで……。
やっぱ,続編を出すからには制作サイドもいろいろと上積みしてくるわけだしね,映画やドラマ,アニメのシリーズものに比べて技術の進歩も激しいから,伸びしろがあるってことなのかもしれない。もしかしたら,これもまたゲイムの特権なのかもしれないわね。
そう考えると,現在新たに格言を作るとすれば「三出るゲイムはまあ大丈夫」かなぁ。
ゲイム業界の問題として「シリーズものばっかり」という点が挙がるみたいだけど,そもそも私はそのことを悪いと思っていない。のだが,それはまた別の話。
|
- 関連タイトル:
ゴッド・オブ・ウォーIII
- 関連タイトル:
世界樹の迷宮III 星海の来訪者
- 関連タイトル:
三國志DS 3
- この記事のURL:
キーワード
(C)Sony Computer Entertainment America Inc.
(C)ATLUS(C)SEGA All rights reserved.
(C)TECMO KOEI GAMES CO., LTD. All rights reserved.
- ゴッド・オブ・ウォー III(初回生産版:主人公クレイトスの「スキン」ダウンロードプロダクトコードチラシ封入)
- ビデオゲーム
- 発売日:2010/03/25
- 価格:¥2,904円(Amazon) / 3713円(Yahoo)