プレイレポート
本邦初? 「ヨーロッパ・ユニバーサリスIII ナポレオンの野望」あえてプレイなしで綴る,英雄ナポレオン一代記
というわけで,「ゲームが扱う年代のなかで,いついかなるタイミングからでもスタート可能」というEU3の特色を生かしつつ,このゲームのナポレオン戦争はどんなものであるのかを,ゲーム開始期日を推移させることで見てみることにしよう。
プレイ,つまりプレイヤーによる介入/改変を行わないことによって,このゲームのデザイン/リサーチ方針に沿って再現されたナポレオン時代の史実が,そのままズバリ展開するはずだ。RTSのプレイログでもあるまいに,史実に関してこんな楽しみ方が可能な歴史ゲームというのは,前代未聞のような気がする。
ナポレオン戦争の流れは全体として,
1.フランス革命後の混乱期
2.ナポレオンの台頭(イタリア遠征,エジプト遠征)
3.クーデターによるナポレオン独裁政権の樹立
4.ナポレオンの皇帝即位。この間,オーストリア・プロイセン・ロシアにイギリスを中心とした対仏大同盟との戦いが何度も繰り返され,ナポレオンはそのことごとくに勝利
5.事実上ヨーロッパ大陸を制覇したナポレオンが,イギリス打倒を目指して「大陸封鎖令」を出す(対英経済制裁)
6.封鎖による経済的ダメージは大陸国家のほうが大きく,ロシアが離反
7.対ロシア戦争開始,焦土戦術と冬将軍によりナポレオン大敗
8.ナポレオン帝国の崩壊
9.一度は追放されたナポレオンが再び帝位に返り咲くも,最後の対仏大同盟との戦いに敗れて百日天下に終わる
という感じになる。
EU3NAにおいて,さすがにナポレオン戦争における個々の会戦までは再現されない。ワーテルローの戦いの日を選んでも,ワーテルローに各国の軍隊が集結していたりはしないのだ。
これはある意味仕方のないことで,15世紀半ばから19世紀初頭にわたって,世界中の国家の軍隊配備状況を1日単位で調べることなど絶対に不可能である。そのためEU3においては,ゲーム開始の段階で,各国の軍隊は事実上全軍がその国の首都に配備されており(植民地など例外もあり),再現されているのはその当時の版図と外交関係のみである。
だが,少なくともその版図と外交関係は,筆者が思ったよりもはるかに細かく再現されている。以下,スクリーンショットを追ってEU3NAの「ナポレオン戦争」を追いかけてみよう。
なおゲームの性質上,全体としては変化に乏しい画面が大量に並んでしまうことをあらかじめお詫びしておく。ただ,人物関係などについてもかなり細かなデータが入っていて,「EU3=抽象化の度合いが強い作品」という印象をある程度覆してくれるはずだ。
トゥーロン攻略戦以前
伝説の始まり「第一次イタリア遠征」
エジプト遠征からブリュメール18日へ
1798年,ナポレオン率いるエジプト遠征軍が途中のマルタ島を占領 |
1798年7月2日,エジプトのアブキール湾に遠征軍が到着する |
1798年12月,第二次対仏大同盟が結成される。画面ではまだ成立していないが |
1799年11月9日。史実ではブリュメール18日のクーデターでナポレオンが独裁政権を成立させるが,歴史イベント化されていない模様 |
第二次イタリア遠征(マレンゴの会戦など)
アウステルリッツの三帝会戦
1804年5月27日,ナポレオンが皇帝に即位(史実では5月28日)。よくよく見ると,これまでのフランスの政体「革命共和国」が「革命帝国」に変わっている |
西南ドイツ諸邦もナポレオン帝国の同盟国に。とはいえプレイヤーが担当するには,限りない愛情が必要な気配 |
綺羅星のようなフランス革命帝国の将帥達。こんな粒揃いの国なんて,そうそう存在しない |
1805年12月26日。オーストリアがプレスブルクの和約を締結する。またもオーストリア領が狭くなる | |
このころ,オランダの支配者はナポレオンの兄。ナポリの支配者は弟。なんというか親族経営だ | |
ちょっと不思議なデータ。フランス海軍が壊滅したトラファルガー沖海戦の前後の様子。船の数が同じなんですが…… |
イエナ・アウエルシュタットの会戦
1806年10月27日,フランス軍はベルリンに入城。ブランデンブルクがきちんとフランス占領下になっていることが分かる |
プロイセンの軍制改革を押し進めたグナイゼナウ。能力的に優秀なのは間違いないが,彼だけでは…… |
ティルジット条約を受けて「ドイツ国民に告ぐ」を講演した,フィヒテもしっかりと登場 |
ナポレオンの潰瘍「スペイン遠征」
最後の大勝利「ワグラムの会戦」とその幕間
1809年4月9日,オーストリア軍がバイエルンに侵攻を開始 |
1809年,北方戦争ではロシアが完全な優勢に立っている |
1809年10月9日,北方戦争で負けたスウェーデンは,フィンランドをロシアに割譲 |
スウェーデンの指揮官を見てみると……ちゃんとベルナドットがいる! しかも,そこそこの能力 |
1811年3月20日にはナポレオン2世が誕生しローマ王となる……が,ゲーム的にはこんな感じ。さもありなん |
ナポレオン帝国全盛期のフランス支配地域。グリーンが直接・間接的支配地で,対等関係の同盟国も多数 |
破滅への道行き「ロシア遠征」
ロシア遠征直前の大陸軍の全貌。第2軍「225K」人ってあなた……。なんともはや,大軍である |
1812年6月23日,運命のロシア遠征がいま始まる。ちなみにだいたい130年後のほぼ同日,同じことをする人が出現する |
9月15日にモスクワが陥落(史実では14日)。15日にモスクワは大火に包まれ,都市の大半は焼け落ちることになる |
10月19日,ナポレオンはモスクワからの撤退を決意。ゲーム的にはこの日にモスクワの占領状態が解除される |
撤退を決めてから1か月でここまで大幅な後退。冬将軍の猛威により,遠征軍は自壊していった |
12月10日,遠征軍がニェメン川を越えて撤退完了。遠征軍,ロシア軍ともに深いダメージを負った戦争となった |
12月12日にはロシア軍がポーランドの分割を開始。プロイセンも分割に噛んでいる |
諸国民の戦い,テュイルリー宮殿の別れ
8月12日,オーストリアもフランスに宣戦。フランスは追い詰められていく |
1814年4月11日,フランスではルイ18世が即位して革命政権は崩壊。ナポレオンがエルバ島に流されているところ |
夢の終わり「百日天下」
1815年2月26日,エルバ島を脱出したナポレオンは再びフランスの帝位に就く |
エルバ島から帰ってきたばかりのナポレオンを待っていたフランス。赤は敵対国家。こりゃあ無理でしょ |
1815年6月18日,ワーテルローの戦い前夜。総合的にいってフランスに勝ち目はなかったと思われる |
1815年7月8日。ルイ18世が王位を回復,ナポレオンの時代は終わった |
- 関連タイトル:
ヨーロッパ・ユニバーサリスIIIナポレオンの野望【完全日本語版】
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ヨーロッパ・ユニバーサリスIII【完全日本語版】
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