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【PR】ゲーマー向けヘッドセット「SteelSeries Siberia v3」を試す。PCにゲーム機,モバイルに対応の新世代モデルは,新しい鉄板だ
白いオーバーヘッドタイプのヘッドセットである“無印”Siberiaは,SteelSeriesにとって最も古い製品シリーズの1つだ。2007年以前,Soft Tradingという社名を名乗っていた頃の同社が,「白いIcematと黒いSteelSeries」といった感じで,2つのブランドを同格に扱っていたというのはもはや昔話の類いだと思うが,その頃に「Icemat Siberia」として存在していたSiberiaという製品には,そこから始まる歴史がある。そして実際,世界市場はもちろんのこと,日本においてもユーザーの数は多い。
仮に使ったことがなかったとしても,ゲームショップやPCショップなどの店頭で,その白い外観を目にしたことがあるというケースは少なくないだろう。
そんなSiberiaが完全リニューアルというのだから,これはもう,文句なしに一大事だ。4Gamerでは,新世代Siberiaにおける主力モデルとなる「Siberia v3 Gaming Headset」(以下,Siberia v3)を入手できたので,Siberia v2との比較を交えながら,その実力に迫ってみたい。
伝統の意匠はそのままに,大人びた新世代Siberia
操作系はぐっとシンプル化
Siberia v3がシリーズの主力だという話を冒頭でしたばかりだが,あえていえば,4グレードの上から3番めに位置する製品ということになる。
さて,そんなSiberia v3だが,「弧を描く2本のパイプで,網目加工された見た目に反して密閉型のエンクロージャが接続され,さらに,2本の金属糸でつながれるスエード調のヘッドバンドを持つ」というその意匠は,伝統のSiberiaシリーズそのままだ。従来製品のユーザーであれば,一目でシリーズの新型だと分かるデザインになっている。
また,白モデル黒モデルとも,エンクロージャ部やエンクロージャとパイプをつなぐ機構のプラスチックは,Siberia v2だと光沢感があったのに対し,Siberia v3ではマットな質感となった。総じて,従来製品と比べて,かなり大人びた印象だ。
一般論としては,スピーカードライバーは大きいほうがダイナミックレンジに優れており,簡単にいうと高域と低域が出やすくなる。その意味でSiberia v3の仕様はやや不利ということになるが,果たしてどうか。実際の音は後段で検証したい。
これはなぜか。SteelSeriesのCTO(最高技術責任者)であるTino Soelberg(ティノ・ソルバーグ)氏にメールで問い合わせたところ,氏からは,「インラインリモコンは多くのゲーマーにとって邪魔で,また,音量ボリュームは別のところで調整できる。そこで『ユーザーが音量調整の場所を探す』という混乱を避けるべく,操作系をシンプルにした」という回答が返ってきた。
PCであれば,ゲーム上で音量は調整できるだろう。最近のゲーマー向けキーボードを使っているなら,そこに用意された音量調整機能を使うこともできるはずだ。あるいはスマートフォンやタブレット,携帯ゲーム機なら,本体側で音量調整を行える。
Soelberg氏によれば,SteelSeriesによる調査でも,PCゲーマーはキーボード上の音量調整機能を使うケースが多かったという。ならば,マイクミュートの切り替え機能を,インラインリモコン側でなく,本体側に用意してしまえばいいではないか,というわけである。
インラインリモコンがないため,インラインリモコンをどこかに固定することを考えなくていいというのは,いざ使ってみると結構楽だ。
装着感はSiberia v2より明らかに上
マイクの秀逸な設置しやすさは変わらず
従来比でよりコンパクトになったSiberia v3だが,実際の装着感はどうか。結論から先に述べると,装着感は明らかにSiberia v2より上である。
その理由だが,おそらくは,ヘッドバンドとエンクロージャの接続部分がより低くなったためだろう。キツすぎないながらもしっかりした側圧があるためソフトなイヤーパッドとの組み合わせにより,柔らかで,かつ安定した装着感が得られるようになっている。
迫力の中低域と,音源に忠実な高音を持つSiberia v3。ゲームとの相性もよい
肝心の音はどうだろうか。4Gamerにおけるサウンド系のメインライターである榎本 涼氏によるアドバイスを受け,さらに一部のテストでは実際に氏の自宅スタジオへ持ち込んで波形を取るなどしつつ,実際に音楽やゲームで試聴を行い,またマイクの入力テストを行った結果をお伝えしたいと思う。
音楽試聴はPC上のiTunesおよび携帯音楽プレイヤー上で行い,ゲームのテストでは,まず,榎本氏のヘッドセットレビューに準じる形でPCから「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,CoD4)および「Battlefield 3」(以下,BF4)の試聴を実施。その後,PS4で「The Last of Us Remastered」,3DS LLで「大乱闘スマッシュブラザーズ for ニンテンドー3DS」(以下,スマブラ3DS),iPad Air 2上で「World of Tanks Blitz」をプレイしつつ,その音を聞くことにした。
まずは音楽の試聴からだが,聞き比べてみると,Siberia v2と比較して,Siberia v3では,中低域と,音質傾向を大きく左右することから,専門用語で「プレゼンス」と呼ばれる2kHz〜4kHzの帯域が強く,一方で高域は抑え気味になったのが分かる。結果としてSiberia v2の,よくも悪くもクリーンで,また高音がシャリシャリした感じから,Siberia v3では,迫力があり,音源の持つ強さに応じた高音を再生できるような音に変わっている。
本稿の序盤で,スピーカードライバーの小型化により,音質面に心配があるという話をしたが,それは杞憂だった。
耳に張り付かない,やや遠鳴りする傾向そのものは,Siberia v2から変わらず。この点はSiberia v2の後継機らしいところである。
高域は抑え気味ながらも,再生されていないわけではなく,プレゼンスは少し強めなので,音の輪郭は維持されている。結果,CoDはもちろんのこと,スマブラ3DSにおける攻撃時の効果音などは分かりやすい。それでいて,被り気味の中低域やプレゼンスの強さが,不自然に感じられることはなかった。
PCでRazer Surround Proを有効にしてみても「弱くなったとはいえ,再生されていないわけではない高域」の効果はあるため,Siberia v2と比べてサラウンドの定位感(=音がどの方向から鳴っているか)はしっかり把握できる。
BF3のような,中低域成分の非常に多いタイトルだと,Siberia v2と比べて中低域はさらにパワフルに聞こえる。それでいて,中低域がより上の帯域に被る印象はなく,プレゼンスのキツさも感じない。Siberia v2より純粋に「音がよくなった」印象だ。
PCにおいてRazer Surround Proを用いたサラウンドの定位感も良好だ。跳弾音が左前から右後ろに移動したり、後ろで銃声が鳴ったりするのもきちんと把握できる。
ユニークな波形のマイク入力は
「何を言っているのか分かる」特性に
さて,そんな測定結果が下のグラフだ。2つあるペイン(=領域)は上側が周波数特性,下側が位相特性の測定データで,周波数特性は,4kHz超付近にピークのある,ユニークな周波数特性になっている。リファレンス波形と比べると,このピークは5dB程度高く,一方,7kHz〜20kHzは10dB程度,60Hz〜1.5kHzの広い範囲で10〜25dB程度も低い。SteelSeries公式の周波数特性は10Hz〜10kHzだが,実際には30Hz〜20kHz程度といったところではなかろうか。
なお,位相波形は左右どちらにもブレておらず,まったく問題ない。SteelSeriesの従来製品と同じく,モノラルマイクが採用されているという理解でいいだろう。
伝統を守りつつ,順当に進化してきたSiberia v3
鉄板ヘッドセットは,よりゲーム向きに
Siberia v2が登場した頃は,高域をシャカシャカ鳴らすタイプのヘッドセットが好まれていたが,今では,より自然で,長い時間装着し続けても疲れない音が流行になっている。それを踏まえてSteelSeriesは,Siberia v2のユーザーが乗り換えたときに違和感を覚えないよう,基本的な方向性を維持しつつも,トレンドにも合わせてSiberia v3を仕上げてきたのではなかろうか。
PCとPS4,携帯ゲーム機,そしてスマートフォンにタブレット端末。アナログ接続なので,ただ差すだけで,さまざまなデバイスと組み合わせて利用できるのも魅力だ。定番,鉄板のゲーマー向けヘッドセットが正しく一新されたことを大いに歓迎したい。
SteelSeriesのSiberia v3製品情報ページ
そのほかの新世代Siberiaもチェック
本稿の序盤で触れたとおり,新世代Siberiaシリーズには,Siberia v3以外のラインナップもあるので,以下,簡単に紹介しておこう。
なお,シリーズ各製品は,最下位モデルを除き,いずれもPCとPS4のほか,大多数の携帯ゲーム機,スマートフォン,タブレット端末で利用できる。
Siberia v3 Prism
直販価格:1万7280円(税込)
外観上の大きな特徴は,エンクロージャの網目部分にLEDが埋め込まれており,任意の色で光らせることができること。USBサウンドデバイスとLEDイルミネーションに惹かれるなら,Siberia v3狙いの人であっても,考慮に値するだろう。
SteelSeriesのSiberia v3 Prism製品情報ページ
Siberia Elite Prism
直販価格:2万3452円(税込)
従来製品「SteelSeries Siberia Elite」のマイナーチェンジモデルとなる製品で,従来同様,白と黒の2モデル展開となる。非常に厚みのあるイヤーパッドと,Siberia v3&v2よりもしっかりした金属製アーチを採用したデザインや,LEDイルミネーションを内蔵するエンクロージャといった基本設計はそのままに,低めだったマイク入力レベルを最適化するなど,アラを潰してきた製品という理解でいい。
Siberia v3 Primsと同様に,USBサウンドデバイスが付属するため,PCとはUSB接続も可能だ。
SteelSeriesのSiberia Elite Prism製品情報ページ
Siberia Raw Prism
直販価格:7560円(税込)
なお,接続インタフェースはUSBのみ。アナログ接続はできないので,この点はご注意を。
SteelSeriesのSiberia Raw Prism製品情報ページ
(静態写真撮影:佐々木秀二,モデル撮影:林 佑樹,モデル:姫乃たま)
■マイク特性の測定方法
マイクの品質評価に当たっては,周波数と位相の両特性を測定する。測定に用いるのは,イスラエルのWaves Audio製オーディオアナライザソフト「PAZ Psychoacoustic Analyzer」(以下,PAZ)。筆者の音楽制作用システムに接続してあるスピーカー(ADAM製「S3A」)を,マイクの前方30cmのところへ置いてユーザーの口の代わりとし,スピーカーから出力したスイープ波形を入力する流れになる。
PAZのデフォルトウインドウ。上に周波数,下に位相の特性を表示するようになっている
PAZを動作させるのは,Sony Creative Software製のサウンド編集用アプリケーションスイート「Sound Forge Pro 10」。スピーカーからの信号出力にあたっては,榎本氏が音楽制作においてメインで使用しているAvid製システム「Pro Tools|HDX」の専用インタフェース「Pro Tools|HD I/O 8x8x8」からCrane Songのモニターコントローラ「Avocet」へAES/EBUケーブルで接続し,そこからS3Aと接続する構成だ。
Avocetはジッタ低減と192kHzアップサンプリングが常時有効になっており,デジタル機器ながら,アナログライクでスイートなサウンドが得られるとして,プロオーディオの世界で評価されている,スタジオ品質のモニターコントローラである。
測定に利用するオーディオ信号はスイープ波形。これは,サイン波(※一番ピュアな波形)を20Hzから24kHzまで滑らかに変化させた(=スイープさせた)オーディオ信号である。スイープ波形は,テストを行う部屋の音響特性――音が壁面や床や天井面で反射したり吸収されたり,あるいは特定周波数で共振を起こしたり――に影響を受けにくいという利点があるので,以前行っていたピンクノイズによるテスト以上に,正確な周波数特性を計測できるはずだ。
またテストに当たっては,平均音圧レベルの計測値(RMS)をスコアとして取得する。以前行っていたピークレベル計測よりも測定誤差が少なくなる(※完全になくなるわけではない)からである。
結局のところ,「リファレンスの波形からどれくらい乖離しているか」をチェックするわけなので,レビュー記事中では,そこを中心に読み進め,適宜データと照らし合わせてもらいたいと思う。
用語とグラフの見方について補足しておくと,周波数特性とは,オーディオ機器の入出力の強さを「音の高さ」別に計測したデータをまとめたものだ。よくゲームの効果音やBGMに対して「甲高い音」「低音」などといった評価がされるが,この高さは「Hz」(ヘルツ)で表せる。これら高域の音や低域の音をHz単位で拾って折れ線グラフ化し,「○Hzの音は大きい(あるいは小さい)」というためのもの,と考えてもらえばいい。人間の耳が聴き取れる音の高さは20Hzから20kHz(=2万Hz)といわれており,4Gamerのマイクテストでもこの範囲について言及する。
周波数特性の波形の例。実のところ,リファレンスとなるスイープ信号の波形である
上に示したのは,PAZを利用して計測した周波数特性の例だ。グラフの左端が0Hz,右端が20kHzで,波線がその周波数における音の大きさ(「音圧レベル」もしくは「オーディオレベル」という)を示す。また一般論として,リファレンスとなる音が存在する場合は,そのリファレンスの音の波形に近い形であればあるほど,測定対象はオーディオ機器として優秀ということになる。
ただ,ここで注意しておく必要があるのは,「音声チャット&通話用マイクだと,15kHz以上はむしろリファレンス波形よりも弱めのほうがいい」ということ。15kHz以上の高域は,人間の声にまず含まれない。このあたりをマイクが拾ってしまうと,その分だけ単純にノイズが増えてしまい,全体としての「ボイスチャット&通話用音声」に悪影響を与えてしまいかねないからだ。男声に多く含まれる80〜500Hzの帯域を中心に,女声の最大1kHzあたりまでが,その人の声の高さを決める「基本波」と呼ばれる帯域で,これと各自の声のキャラクターを形成する最大4kHzくらいまでの「高次倍音」がリファレンスと近いかどうかが,マイク性能をチェックするうえではポイントになる。
位相は周波数よりさらに難しい概念なので,ここでは思い切って説明を省きたいと思う。PAZのグラフ下部にある半円のうち,弧の色が青い部分にオレンジ色の線が入っていれば合格だ。「AntiPhase」と書かれている赤い部分に及んでいると,左右ステレオの音がズレている(=位相差がある)状態で,左右の音がズレてしまって違和感を生じさせることになる。
位相特性の波形例。こちらもリファレンスだ
マイクに入力した声はチャット/通話相手に届く。それだけに,違和感や不快感を与えない,正常に入力できるマイクかどうかが重要となるわけだ。
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