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Access Accepted第606回:「GDC 2019」がいよいよ開幕。IGFの大賞にノミネートされた6作品を紹介
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印刷2019/03/18 12:00

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Access Accepted第606回:「GDC 2019」がいよいよ開幕。IGFの大賞にノミネートされた6作品を紹介

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 世界最大規模のゲーム開発者会議,Game Developers Conferenceが今年もサンフランシスコで開催される。ゲーム開発からビジネスまで,ディープな話題が語られるカンファレンスとして,ゲーム関係者だけでなく感度の高いゲーマーにも注目される恒例の催しだ。今週は,GDC 2019の見どころと,同時開催されるインディーズゲームの祭典「Independent Games Festival」の大賞にノミネートされた個性的なタイトルを紹介したい。


2万8000人が集う世界最大規模のカンファレンス


 北米時間の2019年3月18日〜22日,カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニ・センターで,恒例のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2019」が開催される。主催のUBM Game Networkの発表によれば,過去最多となった昨年のGDC 2018の参加者は2万8000人で,セッション数は5日間で700を超えたという。会場がサンフランシスコに移って初めて開催されたGDC 2005の来場者数は1万2000人であり,右肩上がりの成長を続けている。

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「GDC 2019」公式サイト


 本連載の読者に説明するまでもないとは思うが,GDCではゲームデザインやプログラム,アート,オーディオ,ビジネス&マーケティング,マネジメント,マネタイゼーションなどをテーマに,VR,人工知能,教育,モバイルゲーム,ゲーム体験,最新トレンドなど,幅広い分野の講演が行われる。登壇者もインディーズゲームの開発者から著名なゲームデザイナー,さらには大学の研究者など多彩で,また,Amazon,Google,Intel,NVIDIA,AMDといった大企業がスポンサーとして名を連ね,最新技術やプラットフォームの紹介を行う。

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 そんなGDC 2019でフォーカスされそうなワードが,「ディスカバラビリティ」だ。先週の本連載でも取り上げたので詳しい説明はそちらに譲るが,PC向けだけでも1年に1万本近い作品がリリースされる現状,自分が作った作品が消費者の目に触れる機会がない状況が問題になっているのだ。とくにプロモーションの予算がなかったり,広報担当者すらいない小規模なインディーズゲームデベロッパにとっては深刻な問題であり,世紀末的惨状だということから「インディカリプス」(Indie-calypse)などとも呼ばれている。
 GDC 2019では,このディスカバラビリティ問題に関して,インディーズゲーム専門の「Independent Games Summit」で10種類ほどのセッショントラックが予定されている。消費者へのアピールに成功した開発者のポストモーテム(事後検証)や,SNSを駆使した予算のかからないマーケティングの方法論などが語られるという。

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 いつものように4Gamerでは,GDC 2019に取材班を送り込んでレポート記事を掲載する予定だ。ゲーム開発者達がどのような問題に直面し,それをどう解決しているのか,あるいはあの名作ゲームはいかにして作られたのか,このGDCでしか聞けない物語をお届けできるだろう。
 それらは明日以降のお楽しみにしていただくこととして,ここからは,GDC 2019と併催されるインディーズゲームの祭典「Independent Games Festival」の大賞「Seumas McNally Grand Prize」にノミネートされた6作品を紹介してみたい。

2019 Independent Games Festival Reveals This Year's Finalists!



■Do Not Feed the Monkeys
開発元:Fictiorama Studios,BadLand Games
対応機種:PC
公式URLhttps://donotfeedthemonkeys.com/


 「Do Not Feed the Monkeys」は,動物保護の観点から下等な人間どもの生活を観察する秘密組織,「Primate Observation Club」に入会したプレイヤーが,監視カメラやソーシャルネットワークなどを駆使して他人のプライベートな生活を盗み見るという人間観察シミュレータだ。
 もちろん,見ているだけでは面白くない。そこでプレイヤーはときおり観察対象の生活に介入して,恋を成就させたり,犯罪を未然に防いだりする。それだけでなく,場合によっては相手の人生を破壊してしまうことも可能だというから,かなり危険だ。風刺の利いたゲームだが,手描き風のアートによる,ほのぼのとした雰囲気にまとめられている。



■Hypnospace Outlaw
開発元:Tendershoot, Michael Lasch & ThatWhichIs Media
対応機種:PC
公式URLhttp://www.hypnospace.net/


 「Hypnospace Outlaw」は,1990年代のインターネットをシミュレートしたという,一風変わった作品だ。プレイヤーは,「ヒプノスペース」と呼ばれる空間を舞台に,2DアートのWebサイトや低ポリゴンのバーチャル世界を散策したり,スクリーンセーバーやMIDIファイルをダウンロードしたり,隠しページを探したりして,当時のインターネット文化を体験する。
 「HypnOS」(ヒプノス)という架空のOSまで用意されており,デスクトップのカスタマイズなどが可能だ。当時問題になった(現在でもまだ問題だが)アドウェアやツールバージャック,ハッキングなども登場し,プレイヤーはそうしたネット上のアウトロー達を取り締まり,インターネット世界の平穏を守るといった役どころを演じることになるようだ。



■Minit
開発元:Kitty Calis,Jan Willem Nijman,Jukio Kallio & Dominik Johann
対応機種:PC/PlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch
公式URLhttp://minitgame.com


 モノクロのシンプルなドット絵で描かれた見下ろし型アドベンチャーの「Minit」は,毎日が60秒で終わってしまうという呪いを解くために奮闘する主人公を描いた作品だ。
 60秒が経過すると主人公は強制的に元の場所に戻されるが,手にしていたアイテムや解いたトラップなどはそのまま残る。このギミックを利用して,プレイヤーは60秒で入手できるアイテムや行ける場所などを探り,次の60秒でパズルを解いたり敵を素早く倒して次のステージに向かったりするという,練り込まれたシステムになっている。ゲームをクリアすると,1日が40秒に短縮されたハードモードが解放されるなど,やり込み要素も多いようだ。



■Noita
開発元:Nolla Games
対応機種:PC
公式URLhttps://noitagame.com/


 横スクロールのアクションゲーム「Noita」は,パッと見,よくあるプラットフォームゲームのようだが,最大の特徴は画面のピクセルの1つ1つに物理計算を行っていること。
 魔法を使った爆発で土地を変形させたり,タンクの液体をこぼしたり,なんだったらマップごと破壊したりすることも可能で,破壊シーンや水の挙動は非常にリアルで滑らかだ。プレイヤーは,火炎,凍結,電撃,爆破など,さまざまな属性の魔法を会得し,地形を利用しながらダンジョン最深部への旅を続けていく。キルされると持っていたアイテムを失ったり,ゲームを始めるたびにマップがランダムに自動生成されたりなど,ローグライクなシステムが採用されており,長く楽しめるゲームになっているようだ。



■Opus Magnum
開発元:Zachtronics
対応機種:PC
公式URLhttp://www.zachtronics.com/opus-magnum/


 「SpaceChem」「SHENZHEN I/O」などで知られるゲーム開発者,ザック・バース(Zach Barth)氏の個人スタジオZachtronicsが2017年にリリースした「Opus Magnum」は,街一番の資産家の家で働く錬金術師を主人公とした作品だ。プレイヤーは物質を原子レベルで改造できる「変成機関」(transmutation engine)と,用途に合った部品を使って,依頼された物を生み出していくというパズルゲームだ。
 どのような要素を結合/変質させるかだけでなく,コストの低減や処理速度の向上なども考える必要があり,自分なりのやり方をいろいろ試せるところが面白い作品だ。Steam Workshopに対応しているため,ユーザーの作ったパズルも数多く登場している。



■Return of the Obra Dinn
開発元:Lucas Pope
対応機種:PC/Mac
公式URLhttp://obradinn.com


 「Papers, Please」で2014年の大賞を受賞した埼玉県在住のゲームクリエイター,ルーカス・ポープ(Lucas Pope)氏の新作「Return of the Obra Dinn」は,一人称視点のミステリーアドベンチャー。
 1802年に消息不明となった東インド会社の船「オブラ・ディン号」が5年後,船員や乗客が1人もいなくなった状態で港に帰ってくる。プレイヤーは,保険会社の調査官として船に乗り込み,過去を再現できる特殊デバイスを使って,乗船していた60人ほどの運命を調べていくことになる。
 白黒二値しかなかったクラシックなMacintoshの画面をイメージしたという,「1ビット・レンダリング」という独特のグラフィックスも魅力だ。



著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
来週3月25日の「奥谷海人のAccess Accepted」は,筆者GDC 2019取材のため休載します。次回の掲載は4月1日を予定しています。
  • 関連タイトル:

    Do Not Feed the Monkeys

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    Minit

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    Noita

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    Return of the Obra Dinn

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