お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2009/06/26 13:23

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted / 第223回:E3 2009落ち穂拾い 〜 記事にならなかった気になるPCゲーム

奥谷海人のAccess Accepted

 そろそろE3 2009も昔の出来事のように感じられてきた今日この頃だが,今回は会場で発表されていながらも,諸般の都合により記事にできなかった新作タイトルを紹介してみたい。いずれも2009年〜2010年の発売が予定されており,PC版もリリースされる作品が多い。やや時間は経ってしまったが,どうしても紹介しておきたい新作ソフトにスポットライトを当てていこう。

第223回:E3 2009落ち穂拾い 〜 記事にならなかった気になるPCゲーム

 

E3特集で紹介できなかった,気になる新作を一挙公開
image

E3のような大きなゲームイベントでは,取材は時間との戦いとなってしまう。そのため,どうしてもメジャーなタイトルを優先してしまいがちだ。振り返って考えてみると,メジャーとはいえないものの,もっと遊んでみたかった新作ソフトは少なくない。ちなみに2010年も6月14日〜16日までロサンゼルスのコンベンションセンターでE3が開催されることが発表されている

 思い返せば2006年。参加者からは「身動きの取れないほどの人ごみをなんとかしてほしい」と訴えられ,開催地であったロサンゼルス市からは「ボンデージや水着姿の女性が闊歩するイベントは健全ではない」と文句をつけられ,加えて,入場者のバッグをすべてチェックするという厳重なセキュリティ態勢のため,会場の外は長蛇の列,ミーティングに遅れてしまう人が続出するといった事態も発生していたElectronic Entertainment Expo。
 ブースを出展する参加企業からも,「出展費用が高すぎる」とか「会場内の音が大きすぎて,新作について十分な説明ができない」などのダメ出しが入っており,E3の主催者であるESA (Electronic Software Association)は当時,四面楚歌の状態だった。
 実際,NCsoftと隣接するブースの間でイザコザも起きている。これは,NCsoftが「Auto Assault」の派手な宣伝パフォーマンスを行っていた際,流れていたゴス系のハードロックが規定の音量を超えていたとされるもの。ESAの通知を受けたNCsoftは「これまでにやってきたことをやめろと言われるなら,もうE3には参加しない」と表明。そのことだけが理由ではないだろうが,その後NCsoftはESAから脱退し,2007年を最後にE3には参加していない。

 

image

 そうした数々の問題が噴出していたため,ESAは2007年からの2年間,規模を大幅に縮小した「E3 Media & Business Summit」を開催し,参加者数を8000人程度に制限することを決定し,会場もロサンゼルス近郊の保養地サンタモニカに移している(2008年にはロサンゼルスのコンベンションセンターに戻っているが)。
 しかしこのE3 Media & Business Summitはあまりにもエクスクルーシブなイベントになってしまい,クリスマス商戦に向けたメディアの宣伝効果も期待できなかった。皮肉なことに,この路線変更は“ゲーム業界最大の祭典”としてのE3の重要性が再認識される結果になったのだ。

 そうした経過を考えても,2009年6月上旬に開催されたE3 2009は大成功だったといえるだろう。本連載の第221回,「大規模ゲームショウに回帰したE3 2009」でもお伝えしたように,年末から2010年初めにリリースされる予定の新作に的を絞り,より実務的な「メディアを通したアピールの場」としての機能が発揮されていた。
 ヨーロッパの中小メーカーの参加が少なかったのは残念なことだが,それも8月のドイツ,9月の東京と,それぞれリージョナルな役割が明確になってきた結果だと考えられる。

 

image

 さて,今年のE3は,コンシューマ系タイトルに手を広げた4Gamerとして初めてのE3となったわけだが,取材班全員で努力したものの,どうしても紹介しきれないタイトルが出てしまった。マルチプラットフォームでリリースされるタイトルが圧倒的に増えているので,コンシューマ機向けタイトルの取材は不可欠だ。とはいえ,時間の限られた取材だけに,なかなか思うに任せられない部分も多かったのだ。
 というわけで,今回はE3 2009特集で記事にしきれなかったタイトルを,いくつかここで紹介してみたい。どれも,スマッシュヒットになる可能性を十分持っているだけに,今後の展開に注目しておきたい新作ばかりである。

 

Alpha Protocol

発売元:SEGA  開発元:Obsidian Entertainment  発売予定日:2009年10月

image

 Alpha Protocolは,現代のスパイ戦をテーマにしたアクションRPGだ。プレイヤーのクラスはなく,「重火器」「ステルス」「ガジェット」といった九つのスキルをレベルアップしていくという,RPGとしては一風変ったシステムになっている。開発を担当するObsidian Entertainmentらしく,ゲーム開始前に行える入念なプレイヤーカスタマイズも面白い。
 ゲームの自由度はかなり高く,プレイヤーが操作する諜報員マイケル・トートンがミッションでどんな選択をするかによって,そのあとのミッション内容やストーリー展開に変化がでてくるという。例えば,あるミッションで目的の一つである武器入りコンテナの爆破に成功すると,新たなミッションをくれる重要なNPCを救助できる代わりに,コンテナに入っていたレアアイテムは入手できなくなるという具合。
 SEGA of AmericaのブースではXbox 360版のみが公開されていたが,「Dragon Age: Origins」「Mass Effect 2」と並んで個人的に最も気になる新作RPGである。
 これが「Neverwinter Nights 2」をBioWareから委託されて開発していたメーカーの新作だといえば,アンテナにひっかかる読者も多いのではないだろうか。

 

Section 8

発売元:SouthPeak Games  開発元:TimeGate Studios  発売予定日:2009年8月

image

 Kohanシリーズや「F.E.A.R. Extraction Point」など,玄人好みのゲーム開発で知られるTimeGate Studiosの新作FPSは,銀河の果てで起こった市民戦争で戦うスーパーソルジャー達の物語だ。The 8th(第八師団)に所属する荒くれ者達によるユニットが,乗っ取られた惑星を奪取するためにはるか上空から飛び降りて戦地に赴くという設定で,空中からユニットがバラバラと降ってくる“バーン・イン”(Burn-in)が特徴だ。
 映画「G.I.ジョー」や「Halo 3: ODST」のように,このような大気圏外からの降下というシチュエーションがアメリカで流行っているのかどうかはよく知らないが,スタート地点からホットスポットに向けて走っていく必要のある通常のマルチプレイFPSとは一線を画しているといえよう。
 E3会場に設置されていたのはXbox 360向けα版のみであったが,12人のプレイヤーと20人のBOT,つまり32人が対戦できるようになっていた。バーン・イン直前にアサルトやスナイパーなどのアーマーセットを選ぶクラスベースのシステムになっており,グループごとに別々の場所に降下し,待ち構える敵軍と戦うのは面白かった。

 

Split/Second

発売元:Disney Interactive Studios  開発元:Black Rock Studios
発売予定日:2010年第1四半期

image

 Activision Blizzardの「Blur」,Electronic Artsの「Need for Speed: Shift」,Microsoft Game Studiosの「Forza Motorsports 3」,さらにはSony Computer Entertainmentの「グランツーリスモ 5」「ModNation Racers」など,新作から人気シリーズの最新作まで注目ソフトが揃った感のある2009年後半のレーシングゲーム市場だが,Disney Interactive Studiosの新作「Split/Second」もなかなか気になる作品で,メディアの評価も高い。開発しているのは,もはやDisneyのコアゲーマー向けタイトルの代表作ともいえる「Pure」でおなじみのBlack Rock Studiosで,2010年早々にはリリースされる予定だ。
 Split/Secondは,そのタイトル「間一髪」が如実に示すように,レース中に事故がどんどん起き,それらを間一髪で切り抜けなくてはならない。それらの事故をうまく使って前方を走るライバル車をクラッシュさせ,そのスキに追い抜くことも可能という,アクション性の高いレースゲームだ。
 PowerPlayと呼ばれるこのシステムでは,建物の爆破や飛行機の墜落,高架の崩落などが起き,そのたびにコースがダイナミックに変化していくという。
 このところ,巨大な環境オブジェクトを破壊させるようなスケール感の大きい物理効果を活かしたゲームが増えてきたが,このSplit/Secondもそんな,レーシング+αの楽しさを持った作品なのである。

 

Torchlight

発売元:Perfect World Entertainment  開発元:Runic Games  発売予定日:2009年内

image

 中国系メーカーによる欧米市場への初の本格的参入としてスポットライトを浴びるPerfect World Entertainment(北京完美時空網絡技術有限公司)だが,そのラインナップのなかでもブースの裏に隠れるように展示されていたのが「Torchlight」。ちなみに,このゲームを作るRunic Games,実はFlagship Studiosの創設者であるMax Schaefer(マックス・シェーファー)氏らが,Flagship Seattleの元メンバー達と再結成した開発チームであり,カートゥーンっぽいグラフィックスながら,「Diablo」や「Mythos」の雰囲気が残るアクションRPGになりそうだ。
 Torchlightは,“Ember”というレアメタルを入手するため,トーチライトという名の炭鉱町の地下に潜っていく勇者達の物語とのこと。キャラクタークラスは三種類になる模様で,E3会場では,すでに発表されているタンク系の“Destroyer”とメイジ系の“Alchemist”を使ってゲームが遊べた。
 本作はオンラインが必須であり,人々の社交場でもあるトーチライトの町がロビーとしての役割を果たし,そこから仲間と連れ立ってダンジョンに潜っていくというシステムになっている。MODのサポートもフォーカスされており,製品版にはプレイヤーが自分でダンジョンを作れるツール類が含まれる予定だ。

 

Singularity

発売元:Activision Blizzard  開発元:Raven Software  発売予定日:2009年内

image

 「Modern Warfare 2」や「Wolfenstein」など新作FPSの多いActivision Blizzardだが,「Unreal Engine 3」を利用した「Singularity」というゲームのデモがクローズドブースで行われていた。アメリカ空軍の兵士であるNate Renkoが,調査のために上陸したロシア領の孤島で,冷戦時代に実施された秘密実験の失敗による「時空間の崩壊」に出くわすというストーリーで,モンスターや兵士など,どことなくオリジナルの「Half-Life」を連想させる設定だ。
 ゲームのカギになるのは左手に装着したTMDと呼ばれるデバイスで,特定地域の時間を巻き戻したり早送りしたりできる。このTMDを使ったパズル的な要素もあり,デモを見た限り,過去や未来と現在が複雑に交錯しているため,ゲームシステムを理解するにはかなりの時間を要しそうな印象だった。
 さらに,TMDには過去のオブジェクトを現在に引き寄せて相手に投げつけたり,敵を時空間の彼方に放り投げることも可能のようで,ちょっと分かりづらいかとは思うが,Half-Lifeのグラビティガンに時間の概念を取り入れたような感じだ。

 

The Saboteur

発売元:Electronic Arts  開発元:Pandemic Studios  発売予定日:2009年第4四半期

image

 Electronic Artsの「The Saboteur」は,MercenariesシリーズでおなじみのPandemic Studiosの新作であり,第二次世界大戦期のフランスを舞台にしたスパイアクションだ。アーティスティックなグラフィックスを背景に,暴力的ながら女に甘いアイルランド系の英国諜報部員が活躍する,大人向けのアクションゲームになっている。
 The Saboteurは,Ubisoft EntertainmentのSplinter CellシリーズやAssassin's Creedシリーズに対する,EAの刺客ともいえそうだ。ナチス占領下のパリの街が忠実に再現されており,プレイヤーはオープンワールドな世界でミッションを請け負いながら,フランス解放の手助けをするのである。
 ゲームでは色が重要な要素になっており,ナチスの影響が強い場所では,ハーケンクロイツの旗以外すべて白黒になっている。さらに敵キャラクターは赤,味方は青いオーラを発しており,プレイヤーはステルスや変装で敵の要所に潜入したり要人に近づいたりして,ミッションを遂行する。最後は敵と銃撃を繰り返しながら車を乗っ取り,元プロドライバーの腕を活かして逃走することになるのだ。彼が活躍してナチスから開放された場所は,華やかながらノスタルジックな色彩が蘇るのである。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
サンフランシスコ在住の4Gamer海外特派員。ゲームジャーナリストとして長いキャリアを持ち,多様な視点から欧米ゲーム業界をウォッチし続けてきた。業界に知己も多い。本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,連載開始から200回以上を数える,4Gamerの最長寿連載だ。
  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:11月20日〜11月21日