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印刷2009/01/19 17:11

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剣と魔法の博物館 モンスター編 / 第118回:フンババ(Humbaba)

剣と魔法の博物館 〜モンスター編〜
第118回:フンババ(Humbaba)
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 シュメール神話,アッカド神話,バビロニア神話,アッシリア神話などを総称してメソポタミア神話というが,そこには個性豊かなモンスターが多数登場する。以前紹介したパビルサグや,サソリとドラゴンの合成獣であるムシュフシュなどは,知っているという人も多いことだろう。今回はメソポタミア神話の中から,英雄ギルガメシュと死闘を演じたとされるフンババ(Humbaba)を紹介してみたい。
 フンババは,古代メソポタミアの伝説的な英雄ギルガメシュの活躍を描いた「ギルガメシュ叙事詩」に登場するモンスターである。その姿については諸説あるが,単眼で牛のような角を生やし,獅子の身体に禿鷹の爪を持ち,性器と尾が蛇になっている姿が比較的よく知られている。書物によっては,単に龍蛇と訳されていたり,巨人とされているものもあるようだ。
 このフンババ,かなり強力な力を持っているようで,その叫び声は洪水,口は炎,息は死などと言い伝えられている。また視線には石化能力が秘められている場合もあるようだ。このあたりはTRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に登場するゴーゴン(単眼で牛型のモンスターであり,炎を吐き,石化の視線を持つ)と酷似しており,興味深い。
 なお,フンババは森の守護を役割としており,森に侵入したギルガメシュとその親友のエンキドゥに警告をしていることから,知的な一面もあるようだ。
 ゲームでは,「ファイナルファンタジー」シリーズや,MMORPG「ドルアーガの塔 〜the Recovery of BABYLIM〜」などに登場することで知られており,どちらも巨人型のモンスターとして描かれている。ちなみに作品によっては,「フワワ」という名前が採用されていることもあるが,これはシュメール語の音により近い表記である。

 

 フンババとギルガメシュの戦いについても紹介しておこう。「ギルガメシュ叙事詩」は12枚の書板で構成されており,フンババが登場するのは,第3〜第5の書板においてである。全体の1/4にあたるボリュームで,ギルガメシュ叙事詩のメインエピソードと言っても過言ではない。
 このエピソードは,粗暴だったが改心したギルガメシュと,その親友のエンキドゥの二人が,フンババ退治を決意するところから始まる。二人は武器商人に大きな剣や斧を作らせて,フンババが潜む森に出発。やがて森に到着し,仮眠を取っていたギルガメシュは,山が落ちてきたり,雨に打たれて手足がしびれたりという不吉な夢を見る。ちなみに,この悪夢は現実にはならなかったが,ギルガメシュ叙事詩の後半で発生する,ある不幸を暗示したものだと解釈されている。
 さて,森に侵入したギルガメシュ達はフンババから警告されるが,それを無視して進んだために,フンババとの戦闘が発生してしまう。二人は善戦するが決定打が与えられず,戦いはこう着状態に陥る。すると,太陽神シャマシュ(Shamash)が東西南北の風,つむじ風,凍てつく風など,ありとあらゆる風を巻き起こしてギルガメシュ達を援護してくれたのだ。こうしてフンババは視界を奪われ(石化能力が使えなくなった?),ギルガメシュ達に捕獲されるのである。
 敗北したフンババは命乞いをしたが,エンキドゥが反対したためにフンババは呪いの言葉を吐きながら死んでいった。こうしてフンババを退治した二人は,森からたくさんの杉の木を伐採するとユーフラテスの河岸へと運び,建築に役立てたという。

 

リー・バン

 

■■Murayama(ライター)■■
古今東西の広義でのモンスターを,これまで118種類も紹介してきた当連載だが,実は,第120回という中途半端にキリのいい記事で,ひとまずの最終回を迎える。執筆者であるMurayamaにコメントをもらおうとしたところ,「今はこの連載に関する“ある作業”が忙しくて,手が回らない」とのこと。うーん,“ある作業”って一体何だろう。
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