インタビュー
セーラー服の女性キャラも登場!?「CODE NAME STING」,サービス一時休止の理由と再開までの計画をプロデューサーとGMに聞いた
8月の正式サービス開始から3か月足らずの短い期間で,なぜこうした大胆な決定がなされたのか,また再開までの間,具体的にどういった改変が行われるのかなどを,本タイトルの運営プロデューサーを務めるHac氏と,ゲームマスターのCeCill氏に聞いてみた。
まずユーザーインタフェースの改善でコミュニティ形成の促進を図る
運営プロデューサーのHac氏 |
ゲームマスターのCeCill氏 |
4Gamer:
本日は,よろしくお願いします。早速ですがSTINGのサービスを一時休止する理由や経緯などを教えてください。
Hac氏:
もともとSTINGは,2年間の開発期間と約1年間の韓国での先行展開を経て,日本でのサービスを開始したのですが,まだまだコンテンツが足りません。運営チーム内でSTINGに足りないもの,必要なものを書き出していったところ膨大な量になりました。それを実装するとなると数か月はかかる,さらにサービスを継続しながら要望に応えていくのは無理だろうと判断しました。
4Gamer:
実際,プレイヤーからはどういった要望があったのでしょうか。
最も多かったのは,ユーザーインタフェース(UI)の改善ですね。一言でいうと,「不親切だ」ということでした。例えばフレンド登録ですが,あまりにも一方通行すぎるんです。登録してもフレンドの位置情報が表示されないので,一緒にプレイするのが困難だったり。そういった部分は,確実に改善していきます。
4Gamer:
2009年のゲームなら,あって当たり前の部分を強化していくわけですね。
Hac氏:
ええそうなります。さらに派生して「クランアジト」も実装します。基本的には,今,Web上で行っているクラン内のやり取りを,ゲーム内でもできるようにします。
4Gamer:
それはWebサイトとゲーム内を連動させるという意味でしょうか。
そうです。クラン加入の申し込みなどオーソドックスな部分は,サイトからでもゲーム内からでも行えるようにします。こういった機能は既存のFPSにもありますが,それ以外にも一味違ったものを企画しています。詳細は追って発表しますよ。
4Gamer:
なるほど。そのほか,UI関係の強化や改善にはどんなことを予定していますか。
Hac氏:
要望の多かったチャット機能の改善を行います。今まではチャンネルやロビーごとに完全に独立したチャットだったのですが,クランチャットに関しては,どのロビーにいても伝わるようにします。これで,クラン戦をしたいのにメンバーがいないという問題を解決できるでしょう。
4Gamer:
と,いいますと?
Hac氏:
これまでは,ほかのチャンネルでプレイしているクランメンバーを把握しにくかったんですよ。「ゲーム内にメンバーが誰もいないと思っていたんだけど,実はいた」といったことがよく発生していました。そういった事態を未然に防いで,クラン戦を活性化する効果が期待できます。
4Gamer:
別のロビーにいるメンバーをクランチャットで召集できるようになるんですね。
Hac氏:
実は今までのチャットは,MMORPGのように細かくフィルター設定ができるようになっていたんですが,それが逆に分かりにくいという部分に繋がっていました。それを簡易化して,さらによく使う必要な機能をフィーチャーすることになります。
4Gamer:
全般に,コミュニティに関わるUIを強化するというイメージでしょうか。
ゲーム自体に関するUIも強化しますよ。ロビーでは,これまでも各ルームのゲームがどれくらい進行しているかは確認できたのですが,リーダーが誰なのか,次にどういうマップになるのかといった詳細は分かりませんでした。
そこで,ルーム名をマウスオーバーするだけでそれらの情報が分かるようにします。また,サーバーに入るまで各チャンネルの状況が分からなかった点についても,サーバーとチャンネルの情報をまとめて確認できるようにします。フレンドなどがどこにいるかといったことも分かりやすくなるでしょう。
キャラクターを一新。外見や設定がより親しみやすいものに変わる
4Gamer:
ゲームの内容についてはどうでしょう? 何か変更はありますか。
Hac氏:
もちろんありますよ。まず,登場するキャラクターを一新します。まだ日本のデザイナーに発注した段階なので,すべてをお見せすることはできないのですが。
4Gamer:
設定なども変わりますか。
Hac氏:
6か国の特殊部隊所属という軸の部分は変わりません。一番大きい変更は外見ですね。今までのリアル路線を,カジュアルなものにします。
4Gamer:
カジュアル……日本で主流のゲームやアニメ,特撮モノみたいなイメージでしょうか。
Hac氏:
ええ,そういった感じに近くなります。正直なところ,今までのリアル路線は「キモい」という声が多かったんですよ(笑)。そこで,どういったものがいいんだろうとお客様に直接聞いてみたところ,いろんなゲームのキャラクターなどが例に挙がったんです。
4Gamer:
なるほど。日本に馴染みが深く,親しみやすい格好よさを目指すんですね。
Hac氏:
そういうことです。女性キャラクターも投入しますよ。第一弾のラフは上がっていて……セーラー服だっけ?
戦闘型セーラー服ですね(笑)。
4Gamer:
それは,かなり極端な変化ですね。それだけ見た人は,何かしら誤解してしまいそうですよ。
Hac氏:
ええ,もちろんこれはリメイクに当たって一番大きく変化する部分の例です。ほかのキャラクターが揃うと,いろいろ納得してもらえると思いますよ。
4Gamer:
その女性キャラクターはどこの国出身ですか。やはり日本でしょうか。
Hac氏:
セーラー服自体は日本によくあるようなデザインですが,韓国人と北朝鮮人のハーフという設定です。まあ,すでに公開されている6人の男性キャラクターの娘や家族……あるいは隠し子といったような位置付けですね。
4Gamer:
そういった複雑な設定などもあるわけですか。
Hac氏:
ええ。キャラクターごとの設定をすべて作り直し,新たに生い立ちやこれまでの経緯といったストーリーを作りました。お互いの関係性なども設定しています。この辺りは,日本のコンシューマゲームのキャラクター設定を思い浮かべてもらうと分かりやすいかもしれません。せっかく国家や特殊部隊という設定があるので,それをうまく生かそうと考えたんですよ。もともと女性キャラを投入する予定もありましたので,この機会にまとめて実装しよう,ということになったのです。
参加人数の異なる大小マップと,対モンスターモードの追加で遊びの幅を広げる
4Gamer:
逆に変更しない部分はありますか。
Hac氏:
評価していただいている打撃感や,あるいはFPSとしての難しさですね。これらは,STINGの強みだと考えています。したがってFPSとしてのよい部分を変化させずに,周辺の不満を取り除いた感じになり,銃声や足音の反射問題も解消します。とくに3Dサウンドに関しては研究を進めまして,かなり細かく距離感を掴めるようになりますよ。これは引き続き研究を進めて,より緊張感のある展開を楽しめるようにします。
4Gamer:
なるほど,よい部分を伸ばすことも考えられているんですね。
Hac氏:
ええ。例えば,STINGはマップの広さを評価していただいていたのですが,さらに広いものを準備しています。それに合わせて,15人対15人,つまり最大30人が参加できる設定も用意しました。さらに少人数で戦えるハーフサイズのマップも登場します。したがって,参加人数に合わせてどのマップで遊ぶか選べるようになるわけです。
4Gamer:
モードの追加などはどうでしょうか。最近はCo-opモードのあるタイトルが人気ですけれども。
Hac氏:
それも予定しています。対NPCのモードなんですが,一般的なCo-opモードとはちょっと違う……。
CeCill氏:
まだ詳しくお話しできないのですが,「えっ?」というような内容になります。
Hac氏:
いろんな要素を詰め込んだな,と感じるのではないでしょうか。今までの「傭兵モード」や「占領モード」のようなマップに紐づくタイプではなく,システム自体が異なります。ちょっと言ってしまうとAIで動くモンスターを倒すモードなんです。しかし,ただモンスターを倒してスコアを競ったり,Co-opでボス討伐を目指したりというようなものではありません。例えば回復機能──いわゆるメディックを利用したり,ほかにもゲーム内で提供されるさまざまなアイテムを利用したりしながら,皆で協力してクリアを目指す。今,お伝えできるのはここまでですね。
4Gamer:
それは専用マップがあるのですか。
Hac氏:
既存のマップや,先ほどお話しした新マップなどを利用します。
4Gamer:
うーん,イメージとしては「ロストプラネット 2」ですかね。
Hac氏:
目指す部分は近いかもしれません。もちろん,同じようなゲームになるわけではありませんよ。あくまでもモンスターを倒す,協力を必要とするアイテムが登場するという点において近いということです。また,このモードは段階的に導入する予定で,最終的にはいくつかのミッションが連続していくような形式も考えています。そのほか,モンスターを倒している最中に「称号イベント」など特別なイベントが発生したり。
4Gamer:
なるほど,楽しみですね。
Hac氏:
そういえば,称号システムも変わりますよ。これまでは重火器の扱いに長けていると「重火器マスター」,ほかの武器に長けているならその武器のマスターといったように個別になっていましたが,それらを複合した称号も登場します。スナイプとナイフが得意なら……例えば「ニンジャ」とか(笑)。まあ,それはやりすぎですけれども,そういったような複合称号ですね。
4Gamer:
称号を集めるのが一段と楽しくなりそうです。
Hac氏:
また今までの武器関係の称号は,武器に依存していました。例えばM4だったら,M4を捨ててしまうと関連するKILL数や称号は消えてしまったんです。これには開発上の理由があったのですが,今回,それを完全に取り除いて,プレイヤーキャラクターに称号を持たせることにしました。
4Gamer:
そうなるとM4を捨てても称号は残り,またM4を手に入れればKILL数が蓄積していく,と。
Hac氏:
そうです。これも,お客様の要望が多かった部分で,ようやく実現できるようになりました。
話を新モードに戻しますと,サーフマップ──いわゆる,お遊びマップを使ったモードも登場します。このモードは主にイベントで使おうと考えていまして,例えば季節や祝祭日に合わせたマップや,あるいはただ戦うのではなく,ジャンプだけで高い位置にあるゴールを目指すようなマップなどを提供します。
2010年春の再開に向けた準備は万端。日夜研究も進む
さて,今後のスケジュールですが,まず11月2日にサービスを休止しますよね。そのあと,2010年の春の再開ということになっていますが,一口に春といっても,結構幅があります。もう少し具体的な時期を教えてもらえないでしょうか。
Hac氏:
できるだけ早い時期を予定しています。というのは,今のご時世ですと,あまり間を空けるとお客様の記憶からSTINGが消えてしまいかねないからです。もちろん再開時には,これまでお話ししてきたものを一通り実装する予定です。ここでお話しできなかった細かい要素も,いっぱいありますよ。
4Gamer:
例えばどんなことでしょうか。ヒントだけでも教えてください。
Hac氏:
そうですね。今までは,「有言実行ができていない」とお叱りを受けることも多かったのですが,そのイメージを払拭すべく頑張って準備しているところです。
その取り組みの一つとして,GMも含めてチームスタッフ全員で,いろんなFPSタイトルのMODを研究しているんですよ。片っ端からプレイしてみて,「このMODは何が面白いのか」「何が評価されているのか」といったことを日夜確認しています。実際,STINGのGMは,FPSだけでなく他ジャンルのゲームをかなりやり込んでいますよ。
そもそもプロデューサーのHacが「GMは強い存在であるべきだ」という信念を持っていますからね。僕自身,「カウンターストライク」を長年プレイしてきましたし,またほかのGMもFPSをかなりやり込んでいます。銃一つとっても,ただ強い弱いを指摘するだけでなく,ゲーム内での使い方を踏まえたうんちくなどを二つ三つ持っているほど詳しいです。
4Gamer:
それは頼もしいですね。
CeCill氏:
STINGは,Source Engineを使っていますから,そこに期待するコアなお客様も多いのです。そういったお客様の期待に応えるには,GMもSTING以外のFPSやゲームについて詳しくなければなりません。チーム内で情報を交換して,お互いに広い視野を持ってGM業務に携われるよう日々努力しています。
4Gamer:
なるほど。
ちなみに,サービス再開にあたって,既存プレイヤーに対する補償や優遇措置などはあるのですか。
アイテムなどの配布は予定していないのですが,休止前のデータは確実に保持します。リセットしようという案も出たのですが,ここはチームで一丸となって死守したポイントですね。これはもう,優遇とか補償とかではなく,我々のできるせめてものお詫びに近いです。また,パッケージや推奨PCに付属するシリアルコードをまだ使っていないというケースに関しては,お詫びとして何かしら代替アイテムを提供します。
……しかし一番重要なのは,皆さんが望む面白いゲームを提供する,ということですよね。もちろん,そうするべく頑張っていますし,きっと再開時には驚いてもらえると思いますよ。
4Gamer:
それでは最後に,STINGのプレイヤーと4Gamerの読者に対してメッセージをお願いします。
CeCill氏:
休止は残念ですが,なあなあでサービスしながら直していくのではなく,ここで一度仕切り直します。再開後のSTINGにぜひ期待してください。
Hac氏:
今回の一時中止は残念ではありますが,要望をフルに生かします。多くの人に愛される作品にしますので,もうしばらく待っていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
その理由はいくつかあるが代表的なものとしては,FPSのプレイヤー人口がそれほど増加していないのにタイトル数だけが多くなったことで,パイの奪い合いになっていることが挙げられる。そうなると,ゲーム内容が対戦メインであることから,集客面においてプレイヤーの多い既存タイトルがどうしても有利になってしまう。また収益に直結する有料アイテムの販売も,対戦メインであるがゆえに安易な考えで設定/販売してしまうと,ゲームバランスを崩してしまう恐れがある。プレイヤーは増えない,だからといって客単価を上げようにもアイテムはそう簡単に売れない,といったところだろう。
そうした厳しい状況の中,Hac氏が率いるProject STINGチームは,STINGの改善と,それに伴う一時休止を決定した。YNK JAPAN内でも,上記の通り決して採算が高いとはいえないタイトルに多額の予算を投入することに対して疑問視する声があがったそうだが,Hac氏はビジネス面よりも,潜在層も含めたSTINGプレイヤーの期待に応えることが大切であると説得したという。
そんなHac氏とProject STINGチームの本気は,2010年春のサービス再開で明らかになるだろう。もちろん新たな情報が入り次第お伝えしていくので,楽しみにしていてほしい。
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