インタビュー
韓国WeMade Entertainmentと資本提携した,YNK JAPAN(旧社名)の今後はいかに。WeMade Online社長インタビュー
単なる資本提携だけでなく社名まで変更されて驚いた人もいたかと思うのだが,一番気になるのは,この資本提携/社名変更による今後の方針,および既存ゲームへの影響だ。
今回の韓国WeMadeとの資本提携の経緯,WeMade Online(旧YNK)が今後どのような企業になっていくのかなどにについて,WeMade Onlineの代表取締役 崔 鍾玖(Choi Jong Goo)氏に話を聞いてみた。
韓国WeMadeと資本提携しパートナーシップを構築したWeMade Online(旧:YNK JAPAN)。その経緯とは?
本日はよろしくお願いします。YNK JAPANが韓国WeMadeとの資本提携により,WeMade Online(旧:YNK JAPAN)に社名が変更されたという発表を聞いて驚いたのですが,まず,韓国WeMadeをパートナーとして選んだ理由と経緯を教えてください。
崔 鍾玖氏(以下,崔氏):
はい。これまでは,ご承知のようにYNK KOREAが当社の筆頭株主であり,YNK KOREAの所有するタイトルを中心に,日本でのパブリッシングを行ってきました。しかし,今後,当社がさらなる成長をする上で,パブリッシングするタイトルのポートフォリオの拡充を図る必要があり,1年ほど前からパートナーシップが組める相手を探しておりました。
そんな中,昨年10月に学生時代の友人を通じて韓国WeMadeを紹介してもらい,現在に至っております。
4Gamer:
旧社名で失礼しますが,YNK JAPANの株式の一部が――発言権を持つ程度には相当な量ですが――韓国WeMadeに譲渡されるにあたり,YNK KOREA的にとくに問題はなかったんでしょうか。
崔氏:
YNK KOREAは,筆頭株主ではなくなったものの,韓国WeMadeに次ぐ当社の大株主ですので,当社の業績が拡大することによるメリットがあります。また,YNK KOREAは当社の主力タイトルである,「新生R.O.H.A.N」「シールオンラインプラス」のライセンス元であり,これまでどおりパートナーシップを維持していきます。
4Gamer:
YNK KOREAにとっても,今回の株式譲渡はメリットの大きなものだということですね。
崔氏:
ええ,そうです。
4Gamer:
韓国WeMadeとの資本提携が行われて,社名がWeMade Onlineに変更されましたが,社内体制やルール,ポリシーなどに変更はありましたか?
基本的にはありませんでした。というのも,韓国WeMadeと今回の契約の話をする中で,「YNK JAPANはとても面白い会社ですね」と評価していただきまして,結果的に経営体制を含めて,そのまま維持するということになりました。もっとも経営については,実はYNK KOREAも2008年度以降は,ほとんどノータッチだったのですが。
4Gamer:
なんというか,ある意味理想的な資本提携先ですね。
崔氏:
ええ。韓国WeMadeとしては,経営経験が未熟にも関わらず,YNK JAPANにおいて,約3年で,ある程度の経営の形を作ってきたことを評価し,我々と資本提携を行いパートナーシップを構築したということになります。
4Gamer:
しかし過半数以上の株を握ったにもかかわらず経営体制など含めてそのままということは,韓国WeMadeは,YNK JAPANの持つ「人材」と「スキル」を評価した上で資本提携を行い,あとは任せたぞ,というノリなわけですか?
崔氏:
流れとしてはそうです。もちろん実務的には,韓国WeMadeからしっかりと意見を受けますし,ここ3か月でもさまざまなミーティングを韓国WeMadeとやってきました。
逆に,いま感じているのは,社内の人数が少ないこともあって,経営的な部分や,ゲームの運営についての専門性が欠けているところです。
4Gamer:
……専門性,といいますと?
崔氏:
実は先々週,韓国WeMadeで,第1四半期のワークショップがあり,参加してきました。そして参加してみて,とても面白いと思った部分がありました。開発側もコスト意識をもっているんですよ。ワークショップでは,第1四半期と第2四半期の計画を発表するのですが,開発部隊が時間とコストの説明もしていたのです。
4Gamer:
なるほど。それは,少なくとも日本国内ではあまり聞かない話ですね。
崔氏:
ゲーム開発ではあまり見られないですよね。その善し悪しは別にして,そういったバランス感覚に感心しました。事業を進める上で,開発部隊から新しい製品がいつ出せるか分からないと,何も準備ができませんから。
もちろん,それに合わせて慌てて作って,ゲームのクオリティに影響が出るというケースもあるかもしませんが,作る側がコスト意識をもっているのが重要です。
4Gamer:
たしかにどんな仕事であれ,各々のコスト意識はとても大切です。
シールオンラインプラス |
新生R.O.H.A.N |
韓国WeMadeの作品が選び放題だが
契約はビジネスライクに
ところで,韓国WeMadeが日本と接点を持ちたいということは,当然何らかのプランニングがあるからですよね。私も何年も前から「日本に進出したい」という内容の話を,WeMadeさんから直接聞いてましたし。
崔氏:
詳しくは話せませんが,差し支えのないのところで申し上げると,日本のトレンドを発信するネットワークをしっかりと作ってくれというものです。将来,日本で大きな事業を立ち上げるためには,日本でのプラニングが当然必要になります。そのために何を売るかではなく,いまのゲームの流れ,トレンドなど,日本のプレイヤーの感覚を掴んでおきたいわけです。
4Gamer:
なるほど,作る側としては日本のトレンドは常に追っておきたいでしょうね。
崔氏:
はい。もちろんそういった情報は,あとで検索すればすぐに手に入るものです。しかし,時間が経つと情報は陳腐化してしまうので。
4Gamer:
そもそも,そんなに多く検索に引っかかるようになってからでは遅いですしね。それにしても,聞いた限り今回の資本提携は,韓国WeMadeもやる気十分と感じられて,良いお話ですね。
崔氏:
ええ。でも良い話だけではなく,成長や刺激のために,多くの宿題に対して,結果を出さないといけません。
その上,ここまで友好的なのであれば,ベースラインの約束は守らないといけません。約束というよりも,韓国WeMadeの期待ですね。
4Gamer:
何か取り決めなりコミットラインがあるんですか?
いえ,そういったものではありませんが,韓国WeMadeが株主になったあと,第1四半期と第2四半期の話というよりも,もっと中長期な話をしてまして,ここまでもって行こうという,事業計画的なことを話しました。
実は,韓国WeMadeの役員一同が3月初旬に来日し日本のスタッフに挨拶をしたいという申し出がありました。そこで,WeMade Online(YNK JAPAN)は日本のゲーム業界で先頭グループに入ってほしいと,このために覚えてきた日本語で韓国WeMadeのCEOに言われまして。さらにそのためのガイドラインも言ってくれました。というか,言われてしまいました(笑)。
4Gamer:
どんなガイドラインが提示されたんでしょう。
崔氏:
数字として,はっきりと言われましたね。
4Gamer:
厳しい数字ですか? それとも「まぁこれならなんとか」という数字?
崔氏:
いやあ……とても厳しいですよ。ただ,現実的には厳しい数字ではありますが,常識で考えれば,それくらいはないといけないな,とは感じています。
4Gamer:
なるほど。買収や増資の話に関わらず,海外企業にありがちなのが,日本の事情をよく分かってないというパターンですよね。韓国WeMadeは,そこを分かった上で頑張れということですか。
崔氏:
両面があると思います。というのは,すでに日本で「タルタロス」や「蒼天」といった,韓国WeMadeのタイトルがサービスされていますから,ある程度の情報は持っているので。
4Gamer:
あ,そういえばそうですね。そうか。日本の情報は取得できていたわけですね。
崔氏:
個人的に考えているのは,マーケットの中での存在感が,将来の競争力になるということです。やはり,会社がそこそこの規模では,開発元から見てあまり魅力が感じられません。これからは,それなりの作品に対して,お金があるので運営権をくださいと言っても,契約できないケースがあると思います。
4Gamer:
なるほど。その一方でWeMade Onlineは,韓国WeMadeとの資本提携により,韓国WeMadeの持つ作品の優先権は持っているんですよね。
崔氏:
ええ,もちろんです。
4Gamer:
選び放題ですね。
崔氏:
いやあ(笑)。韓国WeMadeからは“資本提携先と言えどもビジネスライクで行くよ”と言われています。つまり,ゲームに関して,タダで持ってくるわけではなく,ちゃんとほかのパブリッシャと競争して,同じ条件であれば優先的に,という話になるわけです。
4Gamer:
資本提携先との距離感は,それくらいが良さそうですけどね。あれもやれこれもやれ,って言われても困るし。
崔氏:
基本的にゲームにしても,経営の部分にしても,韓国WeMadeに頼らないでくれという姿勢は明確にしています。もちろん,何かあったときには支援してくれますけれど。
4Gamer:
日本側から韓国WeMadeになんらかの作品を紹介したり,IPの買い付けを行ったりといった,逆のパターンも想定してますか?
崔氏:
もちろんあります。ですが,まだまだ勉強不足ですので,本作的なスタートは,2010年の後半からだと思っています。
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