インタビュー
「モンスターハンター フロンティアG」開発陣に聞く。PS3,Wii UそしてPS Vitaへ,プラットフォームを広げつつG3アップデートで新たに生まれ変わる
なお,PS Vita版は,PS3版のプレイヤーと一緒に遊べるワールドが用意されるほか,PS3版とのデータ連動に対応し,1アカウントでPS3とPS Vita両方でのプレイが可能になる予定だ。
これら追加プラットフォームでのサービスインに先駆けて,2013年10月16日に大型アップデート「G3」が実施される。
前回のインタビュー記事でもお伝えしたように,2013年7月の「G2」アップデートは,“G級”が実装されタイトルを「MHF-G」に改称した「G1」アップデートで評判が良くなかった部分の改善を目的に,当初の予定を繰り上げて実施されたという経緯がある。
さらにPC版では,2013年9月にサーバー統合が行われ,これまで3つあったサーバーが1つにまとめられた(関連記事)
。一般的にオンラインゲームにおけるサーバー統合は,アクティブプレイヤーの減少から行われることが多い。「MHF-G」においても,G1アップデート以降のアクティブプレイヤー減少に歯止めがかからず,サーバー統合に踏み切ったのではないかという考えもよぎる。
それまでの安定路線から一転し,不振とも呼べる状況に陥ってしまった中,カプコンの「MHF-G」チームはどのような巻き返しを図っているのだろうか。
4Gamerでは,「MHF-G」プロデューサーの杉浦一徳氏と同ディレクターの木本龍己氏にインタビューを実施し,プラットフォーム拡大の狙いをはじめ,G3アップデートの内容と今後の施策,またG2アップデートの振り返りなどの話を聞いてきた。「MHF-G」プレイヤーはもちろん,PS3やWii Uでこれから「MHF-G」を始めようと考えている人も,ぜひ最後まで読み進めてほしい。
「モンスターハンター フロンティアG」公式サイト
G3アップデートプレビューサイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まずは,8月1日の「カプコン・ネットワークゲームカンファレンス」で発表された,「MHF-G」のPS3版とWii U版の話を聞かせてください。PS3とWii Uでサービスを展開しようと考えたのは,いつ頃だったのでしょうか?
PS3版に関しては,2010年にXbox 360版のサービスを始めた頃には展開を考えていました。Wii Uは,問題なく「MHF-G」を動かせるスペックだったので,2011年に発表されたときからサービスできたらいいなとは考えていましたね。結果的には,ほぼ同時にサービスインすることになりましたが。
4Gamer:
PS3版が11月でWii U版が12月と,2か月連続でのサービスインとなりますが,なぜこのような形になったのでしょうか。
杉浦氏:
一言で説明するのは難しいのですが,さまざまな状況を判断して,このタイミングがベストだと判断して決めました。
本格的なオンラインゲームを,2つの家庭用ゲーム機でほぼ同時にサービスインさせるというのは,カプコンでは前例のないことです。まったく不安がないわけではありませんが,「MHF-G」チームではPC版からXbox 360版への移植を経験済みですから,それほど心配はしていません。
また,移植はPS3版とWii U版の2チームに分かれて動いていますから,万が一先行テスト期間にトラブルが起きることがあっても,もう片方に影響が出るようなことはありませんので,ご安心ください。
4Gamer:
念のためお聞きしますが,PS3版とWii U版のサービスは,PC版/Xbox 360版と同じなんですよね?
杉浦氏:
そうです。Wii U版にはWii U GamePad対応という独特の要素がありますけど,基本的なゲーム内容はどのプラットフォームも同じです。厳密に言えば,オプションサービスについてはPC版とXbox 360版で一部に違いがありますから,PS3版とWii U版はXbox 360版と同じサービス形態になる,と言うのが正しいですね。
4Gamer:
PS3版/Wii U版のサービスイン時のバージョンは,G3アップデートが適用されたものになるんですよね。
杉浦氏:
そうですね。そこは当然,PC版/Xbox 360版と同じものになります。ただ,PS3版とWii U版は独立した新規サーバーでの運営になりますから,PC版やXbox 360版のように,いきなりG級クエストや剛種クエストといった高ランク帯のものを配信しても意味がありません。しばらくの間は状況を見つつ,配信クエストを調整していく予定です。
狩人祭に関しても,ハンターの皆さんがゲームに慣れないうちに実施すると戸惑ってしまうでしょうから,サービスを開始してから最初の1か月は開催を見送ります。その翌月から,他プラットフォームと期間を合わせて実施するつもりです。
4Gamer:
PS3版/Wii U版ともに無料ダウンロード版が配信されるとのことですが,無料で体験できる範囲は,PC版やXbox 360版のトライアルコースと同じですか?
杉浦氏:
そうですね。PS3版はSony Entertainment Networkアカウント,Wii U版はニンテンドーネットワークIDさえあれば,無料ダウンロード版をインストールして,トライアルコースの内容をお楽しみいただけます。ハンターライフコースを登録していただければ,オプションサービスを除くすべてのコンテンツをプレイできるようになります。
ハンターライフコースをご利用いただくには,料金決済のためにカプコンオンラインゲームズ(COG)アカウントとID連携をさせる必要があります。面倒に感じられるかもしれませんが,ゲーム内やCOG公式サイトで順を追って説明しますから,実際にはそれほど難しくないはずです。
4Gamer:
トライアルコースにとくに期限や起動回数の制限はないんですよね?
杉浦氏:
はい。ハンターライフコースの有効期間が切れてもゲームにログインできますし,トライアルコースの範囲であれば,クエストをプレイしたりチャットをしたりすることも可能です。
それから,PS3版/Wii U版のサービスに合わせて,Xbox 360版のトライアルコースも仕様を変更します。これまではXbox Live ゴールド メンバーシップが必要でしたが,G3アップデート以降は,無料のXbox Live シルバー メンバーシップでも,トライアルコースを利用できるようになります。
4Gamer:
PS3にはPS Vita,Wii Uにはニンテンドー3DSがありますが,それぞれで携帯ゲーム機を使った連動要素などの予定はあるのでしょうか。
実は,このインタビューが掲載される頃には発表していると思いますが,2014年にはPS Vitaで「MHF-G」をサービスする予定です。
ちなみに3DSの場合は,ほかのプラットフォームと違ってゼロから作り直すことになるので,今のところ予定はありません。新ハードでのサービスが落ち着いて,余裕があれば何かやってみたいという感じですね。
4Gamer:
ついにPS Vitaにも進出ですか。PS Vita版とPS3版は,サーバーが独立した形でのサービスになるのでしょうか。
杉浦氏:
PS3版とPS Vita版のサーバーは基本的に同一で,一つのSony Entertainment Networkアカウントで両機種からログインできます。「MHF-G」のプレイデータはサーバーに保存されますから,PS3とPS Vitaのどちらでも同じキャラクターで遊ぶことが可能です。
ただ,サーバー内で,PS Vita版から入場できるワールドには制限が入ります。具体的には,PS3版専用のワールドと,PS3版/PS Vita版で一緒に遊べるワールドに分ける形ですね。
それぞれのハードのスペックや,昨今のインターネット回線の普及率を考えれば,それほど心配する必要はないと思っていますが,同じサーバーに異なるハードが混在することを気にされるお客様もいらっしゃいます。最初は慎重に行きましょうという理由から,ワールドを分けることにしました。
4Gamer:
PS3版で「MHF-G」を始めた人は,PS Vita版のサービスが始まったら両方の機種で遊べるようになるわけですね。ちなみにPS Vita版は,3G回線にも対応する予定はありますか?
杉浦氏:
いえ,対応はWi-Fi接続のみの予定です。今ではWiMAXをはじめとした高速モバイル通信サービスを利用しているお客様も増えていますし,PS Vita版「MHF-G」のサービスが始まる頃には,3G回線が主流ではなくなっている可能性もあります。ですので,無理に3G回線に対応させる必要はないというのが,現状での判断ですね。
モンスターのバリエーションを充実させるための喰血竜「バルラガル」と,これから「MHF-G」を始めるプレイヤーの目標として用意した輝界竜「ゼルレウス」
4Gamer:
それでは次に,10月16日に実装される「G3」アップデートの話を聞かせてください。まずは新モンスター「バルラガル」はどのようなモンスターなのか,あらためて教えてください。
「バルラガル」は海竜種で,剛種クエストとG級クエストに登場するモンスターです。「喰血竜」(がけつりゅう)という二つ名のとおり,長い舌でほかのモンスターやハンターの血を吸うのが特徴です。
血を吸った対象の特徴によって胴体側面の色が変化して,ブレスをはじめとした攻撃の属性が変わります。たとえばドスイーオスの血を吸ったら毒属性,ドスゲネポスなら麻痺属性になるといった感じですね。
4Gamer:
プレイヤーキャラクターの血を吸ったときは,どのように変化するのでしょうか。
木本氏:
ハンターの血を吸ったバルラガルは,胴体の側面が赤く変化します。その状態での攻撃には,剣士なら武器の斬れ味が悪くなり,ガンナーなら装填している弾やビンがなくなる,という効果が付与されます。
そのほかにも,水場で潜ると水流ブレスを,毒沼で潜ると毒ブレスを吐くようになるといったように,フィールドの環境に応じた変化もします。バルラガルはそういった吸収を行うと体表にヌメりが出て,効果が切れるとヌメりがなくなるので,体表の状態をチェックすれば狩猟の参考になると思います。
バルラガル |
バルラガルは,見た目がけっこうグロめというか,好き嫌いがはっきり分かれそうなモンスターですよね。以前,生理的に受け付けないプレイヤーもいるので,そういうモンスターはアップデートの顔には向かないのではないか,という話を聞いたことがありますが,その点は問題視されなかったのでしょうか。
木本氏:
バルラガルは,G2アップデートで実装したゴウガルフより先にデザインに着手していたのですが,見た目のこともあって,実装するタイミングを見計らっていたんです。ただ,生態としては面白いモンスターなので,今回は冒険してメインに据えました。
杉浦氏:
人気だけで実装を決めると,新モンスターは飛竜種ばかりになってしまいますから,たまには冒険してバリエーションを増やすことも必要なんですよ。
確かにアクラ・ヴァシムのときは,生理的にダメというお客様もいらっしゃいました。ただ,中にはフルフルのように,嫌われているというよりむしろ愛されているモンスターもいます。今回のバルラガルは,いわばフルフルと同系統といえるモンスターですから,大丈夫ではないかと判断しました。
4Gamer:
では,バルラガル素材で生産できる武器と防具の特徴を教えてください。新スキルなどは発動するのでしょうか?
木本氏:
バルラガルの素材で生産できる武器は,剛種武器とG級武器で全11武器種を用意しました。剛種武器はG級覇種武器まで強化可能です。
防具は,剛種防具が「ストロマ」シリーズ,G級防具は「プランダG」シリーズというものです。吸血つながりでヴァンパイアをイメージしたデザインで,プランダGシリーズでは新スキル「吸血」が発動します。
これは,モンスターを攻撃すると,一定確率で与えたダメージの一部を吸収して体力を回復できるというスキルになっています。
プランダGシリーズ(剣士タイプ) |
プランダGシリーズ(ガンナータイプ) |
4Gamer:
PS3版とWii U版のパッケージイラストには,白いリオレウスのようなモンスターが描かれていますよね。このモンスターもG3アップデートで実装されるんですか?
はい。それがPS3版のサービスインのタイミングで実装する輝界竜(きかいりゅう)「ゼルレウス」です。このモンスターは,剛種クエストとG級クエストの「烈種」で登場する予定です。
ゼルレウスは,体の形態を変化させて行動や外見が変化する「モードチェンジ」が最大の特徴です。
ちなみに,登場するのは塔の頂上部なのですが,光のイメージでデザインしたモンスターということもあって,空から光が差し込むようなゼルレウス限定のフィールドになっています。
4Gamer:
ゼルレウスの行動は,モードチェンジでどの程度変化するのでしょうか。
木本氏:
ハンターから受けた攻撃に応じてモードチェンジするので,とくに烈種では,ハンター同士の連携が重要になってきます。実装後にいろいろと試していただきたいので詳細まではお話しできませんが,手応えはけっこう変わりますよ。
4Gamer:
ゼルレウスの素材で生産できる武器や防具は,どのような特徴を持っていますか?
アルテラシリーズ(剣士タイプ) |
アルテラシリーズ(ガンナータイプ) |
デザインは,シリーズ王道の格好良さを目指したデザインですね。武器は11武器種すべてを用意しました。生産段階では剛種武器で,最終的には烈種武器まで強化が可能です。
防具のアルテラシリーズは剛種防具として生産して,こちらも烈種防具までの強化段階を用意しています。発動スキルの「適応撃」は,ハンターの体力が100以上のとき,モンスターを攻撃した部位の肉質に応じて,最も有効な攻撃属性でダメージを与えます。
具体的には,モンスターの特定部位を攻撃したとき,斬/打/弾属性のうち最もダメージの大きい数値を,実際のダメージとして与えられるというものです。
4Gamer:
イメージとしては,ランスの与ダメージの仕組みを,弾属性を含めたものに拡張したような感じでしょうか。
木本氏:
そうですね。使用している武器のもともとの攻撃属性を100%とすると,それ以外の属性では多少減算されるのですが,今まで斬属性や打属性でしかできなかった部位破壊もできるようになります。
4Gamer:
「適応撃」のスキルが発動していれば,ハンマーやボウガンで尻尾を切ることはできますか?
木本氏:
できます。ただ,そういった部位破壊できる箇所は,もともと特定の武器属性が通りやすい傾向にあるので,部位破壊が起こる状況は限られてくると思います。
ちなみに,「適応撃」で打属性のダメージを与えても,もともとの武器が打属性でなければ気絶値は蓄積されません。モンスターをめまい状態にできるのはハンマーと狩猟笛だけ,というのは今までと変わりません。
4Gamer:
G3アップデートでは,そのほかにどのようなモンスターが登場するのでしょうか。
公式サイトでも告知していますが,G3アップデートでは今までとは様子が異なる「シュレイド城」が実装されます。
これは新たな極限征伐戦に向けたもので,この場所ではお馴染みの“あのモンスター”がG級になって登場します。極限征伐戦ということで,“原種”とは比べものにならないほど狩りがいのあるモンスターになっていますので,ぜひご期待ください。
そのほか,特異個体では「アクラ・ヴァシム」「グラビモス亜種」「ドスガレオス」「リオレイア希少種」の4体が追加されます。こちらは,SR向けとG級向けの両方を用意しました。
アクラ・ヴァシム(特異個体) |
グラビモス亜種(特異個体) |
ドスガレオス(特異個体) |
リオレイア希少種(特異個体) |
4Gamer:
実装される新モンスターは,剛種とG級で登場するのが今後も基本になるのでしょうか。
木本氏:
基本はそうですね。G3アップデートでいえば,PS3版やWii U版でプレイを始めたお客様は,ゼルレウス剛種の狩猟を目指してHR100を突破していただくというように,HRを上げるモチベーションとして位置付けています。「MHF-G」には,既存のモンスターはもちろん,オリジナルモンスターも多数実装済みですから,HR100に到達するまで新鮮な気持ちでプレイしていただけるはずです。
杉浦氏:
剛種クエストはHR100以上にならないと挑戦できませんが,現在はHRやSRが非常に上がりやすくなっているので,以前と比較すると剛種クエストへ挑戦できるHR100までの到達時間は相当早くなっています。
Xbox 360版の事例を踏まえれば,ハンターライフコースを30日分登録していただければ,有効期間内にHR100以上にすることは十分可能でしょうし,1か月以内にG級に到達するお客様も出てくるのではと考えています。
G級クエストの難度をプレイヤー自身が決められるようにシステムを変更
4Gamer:
G級クエストに関して,G3アップデートでの変更点はありますか?
木本氏:
G3アップデートでは,G級クエストの難度設定をハンターの皆さんが決められるようになります。
G2アップデートでは,G級に上がればすべてのG級クエストを受注できるようになりましたが,★の数に応じた防御力補正がかかることもあって,G級に上がりたてだと,★6や★7のG級クエストに挑戦するのは難しい状態でした。
そこで今回は,G級に上がれば好きなモンスターを狩れるよう,システムをさらにリファインしています。
4Gamer:
具体的には,どのような形で難度調整が行えるのでしょうか。
★2以上のG級クエストでは,★が1つ増えるごとに防御力にマイナス補正がかかります。このシステムだけを独立させて,クエストを受注するか参加する際に,自分で★の数を決められるようにしました。
たとえば,★7のG級クエストでも★1に設定を変えれば,マイナスの補正を受けることなく,クエストに挑戦することができます。★の数を減らすとクエストクリア報酬は少なくなりますが,受けるダメージを抑えられるのでクエストを達成しやすくなります。
★の数はハンター個別の設定なので,ほかのハンターに影響することもありません。装備が整っていない方でも高難度クエストに挑戦しやすくなるので,今まで以上にお友達を誘いやすくなるのではないでしょうか。
4Gamer:
逆に,★1のG級クエストを★7にして難度を上げるようなことはできますか?
木本氏:
いえ,★の数を増やすことはできません。G3アップデート以降は,クエスト受付で適正ランクのG級クエストをお勧めとして表示するようになるので,★の数を難度調整の参考にしていただければと思います。
4Gamer:
次に,G級武器のシジルについて教えてください。G3アップデートでは,どのような特殊効果を持つシジルが追加されるのでしょうか。
ドリル突進 |
貫薙弓 |
リーチアップと回転斬りの組み合わせ |
今回追加されるシジルで目玉になるのは,「技変化シジル」と「技強化シジル」ですね。
技変化シジルは,特定の技の性質を差し替えるものです。たとえば,ランスの突進にエフェクトが加わってヒット回数が増える「ドリル突進」,オーラアローの貫通版で全弾ヒットすると高いダメージを与える「貫薙弓」,片手剣の回転斬りで剣撃とは別のヒット判定がある真空波を出せるようになる「回転真空斬」などがあります。
技強化シジルは,例えば大剣の斬り上げモーションのような,各武器種の特定アクションの威力を大きく引き上げるものです。
そのほかにも,斬れ味ゲージが差し替わったり,オーラが出てリーチが変化したりといったシジルを用意しました。今後もさまざまな種類のシジルを用意しますが,G3アップデートで,ハンターごとの戦い方を構築できるように武器をカスタマイズする,というシジルが本来目指していた目標にだいぶ近づけられたと考えています。
4Gamer:
そのほか,G3アップデートでは,各種カスタマイズができる「パートナー」が実装されるそうですが,これはどのようなコンテンツなのでしょうか。
木本氏:
パートナーは,狩りに連れていける自分専用のラスタで,実装は2013年末を予定しています。
今までのラスタは自分以外のハンターにレンタルするための存在でしたが,パートナーは外見や性格も自分好みにカスタマイズできる,自分自身のためのラスタだというのが最大の違いですね。
パートナーには自分の武具を装備させることができますが,反映されるのは外見と装備した武器の属性だけです。攻撃力や防御力などの数値は,クエストに何度も連れていくことで成長する形になっているほか,ギルド貢献ポイントを使ってスキルを取得させることもできます。
4Gamer:
パートナーに装備させる武器や防具は,基本的にアバター要素という扱いなんですね。
木本氏:
そうです。逆に言えば,未強化の武具を装備していても,レベルが高ければ心強い仲間になってくれるわけです。また,パートナーの好感度が上がると,一緒に食事をしたり睡眠学習時に添い寝をしてくれたりするようになります。
杉浦氏:
ラスタや一時ラスタでは,装備する武具はほかのハンターさん任せになりますから,自分好みの装備をさせたいというニーズに応えるのは難しい部分があります。ラスタの外見を含めて,自分好みの相棒をクエストに連れていけるようパートナーを企画しました。既存のラスタと使い分けながら育成していただければと考えています。
新しい「歌姫」は,アクション以外の楽しみとして用意したコンテンツ
4Gamer:
G3アップデートでは,坂本真綾さんが歌う「MHF-G」オリジナルのテーマソングが,「歌姫」の奏でる楽曲として実装されるそうですね。以前の歌姫とは姿形からして違うので,復活ではないようですが……。
そうですね。以前とは異なる新しいキャラクターです。
杉浦氏:
今回の歌姫は,ゼロから作っています。今の「MHF-G」のシステムでは,ゼロから作ったほうが早いという側面もありますが,モンスターハンターシリーズの歴史あるコンテンツに敬意を払うという意味もあって,過去のコンテンツそのものに手を加えて形を変えるようなことはしていません。
4Gamer:
インタビューの前にその歌を聴かせてもらいましたが,歌詞は特定の言語を使っていませんでしたよね?
杉浦氏:
はい。そこはサウンドディレクターと相談して,特定の言語は使わずに世界観を尊重する形にしています。
4Gamer:
ところで,新しい歌姫には「歌声に秘められた力」があるそうですが,歌を聴くと何が起きるのでしょうか。
木本氏:
歌を聴くと,ハンターがさまざまな効果を得られるというメリットがあります。ただ,その恩恵が強すぎると攻略に必須のコンテンツになってしまいますから,歌姫はそういうものを求めてというよりは,ストーリーを楽しむことに重きをおいて作っていきます。
歌姫のステージを見るには,シリーズクエストのような,ストーリー性のある一連のクエストをクリアするという手順を踏む必要があります。ストーリーはHR/SR/GRの3段階に分かれていて,ランクごとに段階的に進行していきます。
4Gamer:
ということは,歌姫のステージは,G級に上がるまで見られないということでしょうか。
歌姫のステージは,メゼポルタ広場のラスタ酒場近くに入り口があって,ここに行くと1匹のアイルーがいます。HRのストーリーでは,このアイルーのクエストをこなしていくのが中心です。同様にSR/GRのストーリーを進めると,最終的に歌姫のステージを見られるようになります。
杉浦氏:
以前のシリーズクエストは文章だけの簡素なものでしたが,今回はきちんと,キャラクターの身振り手振りを交えたイベントシーンのような演出を入れています。ストーリーは,歌姫の過去にまつわる謎を解き明かしていくという,少しRPG的な内容になっています。
ハンターの皆さんをあまりお待たせしないよう,起承転結のあるストーリーを週に数本のペースで追加するように,木本にはリクエストを出しているところです。
4Gamer:
すでにG級に上がっているプレイヤーはともかく,これから「MHF-G」を始める人にとっては,ちょっと時間がかかり過ぎる気もするのですが……。
杉浦氏:
歌姫のコンテンツは,アクションゲームという「MHF-G」本来の楽しみから少し離れて,息抜き的な要素として提供しようと企画したコンテンツです。お客様がHR/SRを上げるモチベーションの1つになれば嬉しいですが,歌姫のストーリーを進めないと狩りに影響が出るようなものではありません。
先ほどもお話したように,HR/SRは以前よりずっと上げやすくなっていますし,歌姫に会うまではそれほど手間がかからず,会ったあとにいろいろあるような形に仕上げています。ですので,狩りの合間にちょっとずつ進めていただければと。
人口減少で生じるマッチング問題に,サーバー統合で先手を打つ
4Gamer:
ここからは,G2アップデート以降の話を聞かせてください。
アップデートの目玉として,「極限征伐戦」が7月に実装されました。すでに調整されていますが,1回目はかなり難度が高かったように記憶しています。実際のところ,プレイヤーの評判はどうだったのでしょうか。
杉浦氏:
正直に言って,シャンティエンが強すぎるというご意見を多くいただきました。
もともと極限征伐戦は,最高峰の古龍に挑戦するというコンセプトで,シャンティエンはG2アップデートにおけるラスボスという位置付けでした。強めには設定していたのですが,事前の社内テストではそれなりクリアできていたので,お客様なら我々の想像以上にシャンティエンのレベルを上げるだろうと考えていたんです。
ただ,クリアできないというご意見を実装後に多くいただいたので,序盤がやさしくなるように調整し直しました。
杉浦氏:
半年かけてモンスターを作った「MHF-G」チームメンバーの気持ちも分かるんですが,我々の仕事はサービス業でもあります。クリエイターとしてコンテンツを作っても,お客様に「もう二度とやらない」と言われてしまうようなコンテンツでは意味がありません。
やはり最初は,討伐できる難度から始まって徐々にハードルが上がっていき,お客様が繰り返しプレイする過程で立ち回りなどを覚えていくことで乗り越えられる,という内容にすべきでした。
その反省から,第2回,第3回の極限征伐戦でリファインを行いました。おかげ様で現在では,G級に上がったお客様の半数以上に参加していただけるコンテンツになっています。
木本氏:
リファインの際には,シャンティエンの強さと報酬で獲得できる素材のバランスも見直しました。強化関連素材を入手しやすくなったので,G級武器やGX防具はかなり強化しやすくなっていると思います。
4Gamer:
そして8月には,PC版のサーバー統合が実施されることが発表されました。2011年に実施されたXbox 360版のサーバー統合は,サーバーが異なるとXbox Liveのフレンドと一緒に遊べないというコミュニティ的な要因で実施されたものでしたが,PC版はどういった理由で実施に至ったのでしょうか。
杉浦氏:
正直に言ってしまえば,アクティブ人口が減ったのが一番の理由ですね。現在はほぼ下げ止まりを迎えたという印象です。
以前にもお話ししたと思いますが,G級の追加に伴って,ハンターの皆さんの分布が今まで以上に縦に伸びました。縦長になれば,同ランク帯での人口が減ってマッチングがしにくくなります。
その対応策自体はG級の実装前から行っていましたが,今回は,母数となるアクティブ人口全体が減ってしまいました。「自分が遊びたいクエストに人が集まらなくてつまらない」「つまらないから『MHF-G』をやめてしまおうか」という負の循環に陥る前に,手を打たないといけなかったんです。
4Gamer:
サーバー統合の実施を決めたのは,いつ頃のことだったのでしょう。
杉浦氏:
具体的な検討を始めたのは,G1アップデートの後半からです。データベース統合に必要な作業期間や,統合後の定期メンテナンスにおける作業時間の短縮など,事前に解決すべき問題にある程度目処が立ったので,G2アップデートのデータを見た時点で実施を決めました。
4Gamer:
統合後のサーバーは,3サーバー分のアクティブプレイヤーが同時に接続しても耐えられるのは当然だと思いますが,仮に復帰プレイヤーが増えても大丈夫な設計になっているのでしょうか?
杉浦氏:
もちろん,そのあたりも技術責任者と相談しています。現在,「MHF-G」で使用しているサーバー機器は,PC版のサービスを開始した7年前とは比べ物にならないほど性能がいいものになっていますから,まったく問題はありません。運用しながら細かな部分の調整を続けて,さらに同時接続数と安定性の向上を図りたいと思います。
4Gamer:
ちなみに,最近のオンラインゲーム,具体的には「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」のようなタイトルがサービスインして話題になっていますが,「MHF-G」の同時接続者数に影響が出ることはありましたか?
杉浦氏:
まったくありませんでしたね。同時接続者数が減ったのは,単純に我々がお客様の期待に応えられなかったからだと分析しています。
昔からそうなのですが,「MHF-G」は大型MMORPGタイトルの影響を受けないんです。以前にもお話ししましたが,むしろ家庭用ゲーム機のモンスターハンターシリーズの影響のほうが大きいです。今だと「モンスターハンター4」ですね。
ただ,以前から同様の傾向なのですが,多くの方は時間が経てば「MHF-G」に戻ってきていただいていますし,家庭用ゲーム機をプレイした方が新たに「MHF-G」に関心を持ってくださることも多いです。そういう意味では,持ちつ持たれつというか,いい循環ができている感じです。
4Gamer:
前回のインタビューでは,G2アップデートでG1の挽回をするという話でしたが,あらためてG2アップデートを振り返っての所感を教えてください。
先ほど,同時接続者数が下げ止まりの状態になったとお話ししましたが,これは言い換えれば,G1アップデート以降も「MHF-G」を遊び続けているお客様がそれだけいらっしゃるといえます。
これで安心しているわけではありませんが,まだまだ多くのお客様に支えていただいていることが実感できましたし,もちろんXbox 360版もそうですが,支え続けてくださるお客様が,今の「MHF-G」チームの励みとなっていることに間違いはありません。
これからサービスが始まるPS3版やWii U版を含め,減少した人口をきちんと取り戻していくべく,その施策も準備していきます。
4Gamer:
それでは最後に,G3アップデートに向けた意気込みと「MHF-G」プレイヤーに向けて,メッセージをお願いします。
木本氏:
大きくつまづいたG1アップデートの応急手当をG2アップデートで行い,今回のG3アップデートではそれを回復させようと取り組んできました。
G3アップデートでは,エンドコンテンツとしての烈種や極限征伐戦のモンスター追加,アクション以外の要素を楽しみとしての歌姫やパートナーを導入しました。またシジルも,本来目指していた武器のカスタマイズとしての形がようやく整ってきました。
お客様にいただいている宿題のすべてに応えられたわけではありませんが,一定の評価をいただける内容には仕上がっていると思います。続くG4アップデートで生まれ変わった「MHF-G」を皆さんにお見せできるよう,頑張っていきます。
杉浦氏:
G1アップデートの傷跡が深く,「MHF-G」でサービスをリローンチするという当初の目標を達成するのが遅れてしまったことは,本当に申し訳なく思っています。
G3アップデートは,そのような中でも遊び続けてくださった皆さんに,「続けてきてよかった」と言っていただけるよう,気合いを入れて企画開発をしてきました。私も相当注文を付けてきましたが,それを「MHF-G」チームがきちんと形にしてくれたと思っています。
G3アップデートでお客様に及第点をいただければ,次のG4アップデートでは,武器種の追加はもちろん,あまり遊ばれていないコンテンツの見直しなどを含めた,新たな「MHF-G」の姿をお見せできるでしょう。
「MHF-G」チームでは,今まで継続してプレイしていただいている方はもちろん,G1アップデート以降にプレイを休止してしまった方にも,「ずいぶんいい方向に変わったな」と言っていただける場所を作ることを目指しています。G3アップデートが実装される10月16日以降,様子見でもかまいませんので,まずはゲームにログインしていただけると嬉しいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
冒頭でも触れたが,PC版「MHF-G」ではサービス開始後6年が経過して,ついにサーバーの統合が行われた。記事中で杉浦氏と木本氏も話していたが,プレイヤーに不評でアクティブプレイヤーの減少を招いた,G1アップデートの傷跡はかなり深かったことをうかがわせる。
今回のG3アップデートの内容を聞いた限りでは,G級コンテンツにさらに手が入ることで,G2アップデート時よりも遊びやすくなりそうだ。
G1アップデート時点で多くのプレイヤーに問題視されていたであろうクエストの単調さと装備強化の難度は,G2アップデートでのリファインを含め,G3アップデート時点でかなり解消されているのではないだろうか。
G2アップデートにおける極限征伐戦のリファインに象徴されるように,「MHF-G」チームの対応速度がかなり早いのは,長年にわたり運営を続けてきた経験が生きているからだろう。あとは,2014年春に予定されているG4アップデートに向けて,開発上の意図とプレイヤーの需要のズレを最小限に留められるように期待したいところである。
「モンスターハンター フロンティアG」公式サイト
G3アップデートプレビューサイト
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