インタビュー
「MHF」の2012年にかける意気込みを表すため,獣竜種“アビオルグ”と甲殻種“タイクンザムザ”を実装した,「フォワード.3」直前インタビューを掲載
今回のアップデートでは,「MHF」初となる獣竜種のモンスター“アビオルグ”と,甲殻種“タイクンザムザ”の2種類が実装されることをはじめ,サービス開始から5周年を控えながら,“攻め”の姿勢が見て取れるほど,豊富なコンテンツが投入される。
今回は,4Gamerで恒例となる大型アップデート直前インタビューを,運営プロデューサーの杉浦一徳氏に行ってきた。MHFプレイヤーは最後まで目を通してほしい。
MHF「フォワード.3“未知なる系譜、獣竜種”」プレビューサイト
新モンスター“アビオルグ”と“タイクンザムザ”の2種類を実装したのは,2012年の意気込みを見せるため
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まずは,獣竜種“アビオルグ”と甲殻種“タイクンザムザ”という2種類の新モンスターを,1回の大型アップデートで実装することになった意図から教えてもらえますか?
2012年はMHF5周年の年ですし,フォワード.3は2012年最初の大型アップデートになりますから,MHFチームの意気込みを見せる意味でも,大型モンスターを2種類用意しましょうということになったんです。
4Gamer:
出し惜しみをせず,でき上がったものをどんどん提供していこうという訳ですね。となると,今後はアップデートのたびに,新モンスターが2種類実装される可能性もあるのでしょうか。
杉浦氏:
今回は新モンスターを2種類実装しますが,その代わり,新しい特異個体モンスターは用意できなかったんです。内容とスケジュールを天秤にかけながら進めているというのが現状ですから,毎回というのは難しいですね。
4Gamer:
なるほど。2種類の新モンスター実装は,トレードオフで実現したものだったんですね。
杉浦氏:
それから,タイクンザムザの実装時期は2012年4月上旬を予定しています。
実は,次の「フォワード.4」の実装は2012年5月予定と,例年春に実施している大型アップデートと比べると,少し遅い時期になります。そこで,投入するコンテンツの分散という意味合いも含め,意図的にずらしました。タイクンザムザを楽しみにしている方には申し訳ないのですが,少しの間,お待ちいただければと思います。
4Gamer:
では,新モンスターのうちMHF初となる獣竜種,アビオルグの特徴を教えてください。
アビオルグには“獰猛”の意味を込めて,“獰竜”(どうりゅう)という二つ名が付いています。ムービーを見ていただければ,その獰猛さが全身から出ているのを感じ取っていただけるのではないでしょうか。
4Gamer:
具体的には,どのような形で獰猛さを表現しているんですか?
杉浦氏:
全般に攻撃に特化したモンスターと言えます。アビオルグならではの大きな特徴としては,連続攻撃が挙げられます。中には,ハンターを空中に突き上げたあとに地面に叩き付けるというように,初撃をかわしても次の攻撃が来ることがあるので,初見で攻撃をかわすのは,なかなか苦労するのではないでしょうか。
ほかにも,棘のある尻尾を使った,いわば尻尾癖の悪い攻撃をしてきたり,ブレスを吐いたり,巨岩を投げつけてきたりもします。
4Gamer:
ムービーを先ほど見せてもらいましたが,いくつかのフィールドにアビオルグが登場するシーンがありました。アビオルグには複数フィールドでのクエストが用意されるのでしょうか?
はい。初めて登場する獣竜種を,さまざまなフィールドで楽しんでいただこうという意図から,樹海/沼地/雪山/密林の4フィールドに登場するクエストがフォワード.3から順次配信されます。また,2頭のアビオルグを狩猟するクエストも後日実装する予定です。
ちなみに,アビオルグのクエストの受注可能ハンターランク(HR)帯は,下位がHR17以上,上位がHR71以上,そしてHR100以上で,HR100以上は剛種クエストとなっています。
4Gamer:
なるほど。さまざまなクエストを用意して,いろいろな楽しみ方ができるようにするということですね。
もう1種類の新モンスターであるタイクンザムザについても教えてもらえますか?
杉浦氏:
タイクンザムザは,久し振りの登場となる甲殻種のモンスターで,“多殻蟹”(たからがに)という二つ名のとおり,いくつもの殻を全身に纏っているのが特徴です。
先ほど,タイクンザムザのデモを見せてもらいましたが,けっこう簡単に殻が剥がれるうえに,破壊できる殻の数もかなりあるのが新鮮でした。
杉浦氏:
ええ。今までのモンスターだと,ある程度攻撃を当てないと部位破壊できませんでしたが,タイクンザムザは殻がポロポロと剥がれていくので,爽快感を得られると思います。
4Gamer:
タイクンザムザの行動には,どのような特徴があるんでしょうか?
杉浦氏:
動きはゆっくり目ですが,その代わりに一撃あたりのダメージが大きい,重量級のモンスターというイメージです。ただ,動きが遅いだけだと,ハンターが有利になって面白味も薄れてしまうので,そのあたりのバランスを取るようなギミックも仕込んでいます。
最初の印象と殻が剥がれたあとのギャップもありますから,これまでの甲殻種とはまったく違う感覚で楽しめるのではないでしょうか。
4Gamer:
タイクンザムザが登場するのは,どのフィールドになるんですか?
潮島に追加される2つの新エリアに棲息しています。新エリアは洞窟のようになっていると捉えてください。
4Gamer:
新エリアにも,ギミックはあるんですか?
杉浦氏:
あります。ただ2エリアしかないので,あまり大がかりなものは期待しないでください(笑)。
4Gamer:
ちなみに,潮島でのクエストは,フォワード.3ではどうなるんでしょうか? 既存のクエストは4エリアのままなんですか?
杉浦氏:
既存のクエストでは,一部,岩でふさがれている場所もありますが,マップ表示としては6エリアに切り替わります。
4Gamer:
甲殻種の新モンスターが登場するのはシーズン3.5のアクラ・ジェビア以来となりますが,どういった理由で間が空いたのでしょうか?
杉浦氏:
正直に申し上げますと,飛竜種や甲殻種といった種別で決めているわけではなく,新モンスターでどんなアイデアを実現できるかに尽きます。面白いモンスターにできるなら実装の優先度を上げますし,面白くなければ,面白くなるまで実装は見送ることになります。
4Gamer:
なるほど。甲殻種のモンスターではアップデートの目玉モンスターとして厳しい面があって,2種類同時の実装になったのかと勘ぐっていたのですが,そういうわけではないんですね。
杉浦氏:
ええ。タイクンザムザは内容的にもクオリティ的にも十分自信がありますから,別の機会であれば,1種類だけの新モンスターとして実装していたはずです。
肉質を柔らかくする“強酸弾”が撃てる進化武器のライトボウガンが登場。HC防具には“自動回復”効果を付与
4Gamer:
フォワード.3で実装される新モンスターの武器・防具も実装されるんですよね。
杉浦氏:
もちろんです。アビオルグ素材の武具はミリタリーっぽいデザイン,タイクンザムザ素材の武具はモンスターの素材を活かしたデザインになっています。
タイクンザムザ素材の武具に,ヘビィボウガンの剛種武器が実装されるので合わせてお話しすると,フォワード.3では剛種武器のヘビィボウガン全体において,排熱噴射機構の性能を底上げしています。
アビオシリーズ(剣士) |
アビオシリーズ(ガンナー) |
ザムザシリーズ(剣士) |
ザムザシリーズ(ガンナー) |
4Gamer:
それは楽しみですね。そういえば,進化武器にボウガンの追加はありますか?
大蛇ノ軽弩 |
大蛇ノ軽弩【燦然】 |
大蛇ノ軽弩【煌然】 |
大蛇ノ軽弩【絢爛】 |
進化武器では,ライトボウガンが登場します。ボウガン系は適切なギミックを考えるのが難しく実装が遅れていたのですが,モンスターの肉質を柔らかくできる,進化武器専用の「強酸弾」を撃てるというものになりました。
4Gamer:
肉質を柔らかくできるとなると,大型モンスターの狩猟方法も変わってきそうですね。
杉浦氏:
ええ。ガンナーは射撃の腕を問われるでしょうし,肉質を柔らかくしてから攻撃する,ほかのハンターとの連携も重要になってくると思います。
4Gamer:
強酸弾は,既存の状態異常弾のように,一定量累積すると効果が発生するタイプの弾なんですか?
杉浦氏:
強酸弾は,1発当たれば一定時間効果を発揮します。それから,効果中は該当部位にエフェクトが発生し続けるので,すぐに分かるようになっています。
4Gamer:
そのほか,武器に関する新要素やリファイン要素はありますか?
杉浦氏:
注目していただきたいのは,毎日特定の武器種にプラスαの効果が加わる“フィーチャーウェポン”というシステムです。
例えば,大剣がフィーチャーされている日なら「抜刀攻撃時に会心率が+100%になる」というように,武器種ごとに異なる効果が加わります。
4Gamer:
その効果は複数存在するんですか? また,どの武器に効果が加わるのか。事前に知ることはできるんでしょうか?
杉浦氏:
プラスαの効果は武器種ごとに1つずつで,どの武器種の性能がアップするかは,当日と翌日の2日分を確認できるようにします。フィーチャーされる武器種をチェックしながら,いろいろな武器種を使ってみていただきたいです。ただ,一部の定期開催イベントの実施時など,フィーチャーウェポンの恩恵が得られない日もあります。
実は,フィーチャーウェポンには,以前からご要望の多かった武器種間の性能是正の意味も込めているんです。
フィーチャーウェポン対象時に発動する特典効果一覧
片手剣 属性攻撃・状態異常攻撃の効果がアップ 双剣 鬼人化時のスタミナゲージ減少速度を軽減 大剣 抜刀斬り時の会心率が+100%になる 太刀 練気ゲージ最大時に攻撃力がアップ ハンマー スタンの蓄積値アップ 狩猟笛 旋律の効果時間延長 ランス ガード時の性能がアップ ガンランス 竜撃砲を含む砲撃ダメージアップ ライトボウガン 状態異常攻撃の効果上昇 ヘビィボウガン クリティカル距離でのダメージ量上昇 弓 溜め時間を短縮
4Gamer:
それはどういうことですか?
杉浦氏:
イベントでお客様と直接お話しさせていただくと,「この武器種が不遇だから上方修正をしてほしい」というご意見をいただくことがよくあるのですが,武器種レベルでの性能修正は大がかりなものになりますし,一度実施したらそう簡単には再修正を行えません。そこで考えたのが,日替わりで武器種の性能を上げるという試みなんです。
4Gamer:
なるほど。今後のテストケースとしての側面も持っているんですね。
杉浦氏:
フィーチャーウェポンは,あくまでもボーナスですから調整もしやすいですからね。まずは,「もう少し良い性能にしてほしいのに……」と思われている武器種でも,「今日は性能が上がるから使ってみようか」という雰囲気を構築できれば,試みとしては成功だと考えています。
4Gamer:
フィーチャーウェポンは,フォワード.3の実装と同タイミングで導入されるんですか?
杉浦氏:
フィーチャーウェポン自体は,もう実装可能な状態になっていますが,アビオルグ実装によるバランスへの兼ね合いで,システムの実装は2012年2月下旬を予定しています。
4Gamer:
防具関連では,どのような新要素が導入されますか?
メランHCシリーズ |
エクエスHCシリーズ |
HR500以上では,防具の中でも最高峰となる秘伝防具シリーズの生産が目標の一つになると思います。ただ,そこに至るまでのハードルはかなり高く,またその前段階に当たるハードコア(HC)クエスト難度も高いです。
そこで,一部既存防具の強化派生先として新たに実装する「メランHC」シリーズをはじめ,ハードルを緩和し,かつ生産するモチベーションを高められるよう,すべてのHC防具に体力回復効果を付けたんです。
これは,体力ゲージの赤い部分だけが回復する自然回復力アップではなく,赤ゲージの回復後,時間の経過とともに体力ゲージが最大まで回復するタイプのものです。1つでも装備すれば効果が発動して,装備部位が多いほど,時間当たりの回復量が増えます。
4Gamer:
峡谷の覇王樹(※サボテンっぽい植物)のようなものなんですね。
杉浦氏:
はい。HR500のハードルをクリアして初めて入手できる防具ですし,秘伝防具ほどではないにしても生産のハードルが高いですから,それに見合った性能が必要だろうと考えて,体力回復効果を選びました。
中にはノーダメージでモンスターを討伐するような方もいますから,そういった方々にはあまり嬉しくはないかもしれませんが,プレイしている方全員がそのようなプレイをできるわけではありませんから,地味ですが有用性は高いと思います。
4Gamer:
秘伝防具にも修正が入るとのことですが。
はい。秘伝防具はまだまだ完成とは言えませんので,優先順位をつけて順次見直しを図っていきます。
まず,以前からご要望の多かった,大剣/太刀の秘伝防具に付与されるスキルを見直しました。具体的には,需要が低いと思われるスキルを一つ,もっと使えるであろうスキルと差し替えます。
さらに,ランス/ガンランス/ヘビィボウガンの秘伝防具についても,特殊効果を上方修正しています。
【大剣】発動スキル「体力」が「ガード性能」に変更 |
【ランス】攻撃をガードした時にダメージを一切受けなくなる |
【ガンランス】砲撃の装填数がアップする。通常型は+2,放射型と拡散型は+1 |
【ヘビィボウガン】排熱噴射の威力がアップする |
4Gamer:
秘伝書関連では,複数のSRを習得すると,秘伝防具における特殊効果のパラメータが上昇するそうですが,これはSRを上げたときの効果とは別のパラメータのことなんですか?
杉浦氏:
いえ,SRを上げたときと同じパラメータが上がっていきます。ですから,全11種の秘伝書でSR999を達成すると,すごいことになりますよ。
4Gamer:
そのほか,防具関連で実装されるものにはどのようなものがありますか?
杉浦氏:
イベント防具として,「ククボ」シリーズと色使いをガラリと変えた「カカブ」シリーズ,プレミアムキットにも新防具の「カウチュ」シリーズが登場します。また,一部のプレミアムパッケージ防具の強化先に,FZシリーズが加わります。
カカブシリーズ(剣士) |
カカブシリーズ(ガンナー) |
4Gamer:
FZシリーズはどういう位置付けの防具になるのでしょうか。
杉浦氏:
既存のFXシリーズと,同等の性能だと考えていただいてかまいません。FXシリーズに強化するにはやはり相当手間と時間がかかりますが,社会人の方など,FXシリーズまで強化する時間が取れないという方も多くいらっしゃいます。
そういった方々が「FXシリーズが作れないからプレイするのを諦める」のではなく,「お金をかけることで時間を短縮できる」という選択肢を用意したということです。
4Gamer:
時間とお金のトレードオフとしての意味ですか。
そのほか今回,防具にいくつかの新スキルも加わっていますね。
杉浦氏:
正直に言って,今回は有用というよりはネタ系のスキルが多いです。いろいろアイデアはあるのですが,もうスキルも一とおり揃っているので,従来のスキルに影響しないものを導入しようとすると,新スキルの性能にはかなり悩みます。
4Gamer:
ムービーに出ていたドロップキックのようなものも,新スキルですか?
杉浦氏:
それは,既存スキル「体術」の上位版として今回実装される「格闘王」です。ダッシュ中にキックの入力をすると,ドロップキックができます。「スーパーストリートファイターIV」とのコラボ防具もありますし,自作ムービーなどで活用していただけると嬉しいです。
HR500に到達する施策として大規模なボーナス要素を導入。HR200未満なら,3回のクエストでHRが上がる
4Gamer:
ここまで聞かせてもらったお話だと,今回はHR500以上にスポットを当てたものに感じられるのですが,HR500未満のHR帯に向けた施策はないのでしょうか?
杉浦氏:
もちろん,それも用意しています。
実際,HR500のハードルが高く,とくにHR200台から300台で止まってしまう方も多いので,今回,HR500を目指す方のモチベーションを上げるために,3つの施策を用意しました。
一つ目が「混合パーティボーナス」です。HR500未満のハンターと,スキルランク(SR)にしているハンターのパーティでクエストをクリアすると,ボーナスが発生します。HR500未満ならHRポイントが多めに入りますし,SRハンターならHCチケットがもらえます。
4Gamer:
HRハンターとSRハンターの交流も活性化しそうですね。
デイリークエスト |
ええ,そういう効果も期待しています。
2つ目が,クリアすると破格の報酬がもらえる「デイリークエスト」です。1日1回だけ受注できて,報酬はクエストの種類に応じて決まっており,レア素材やかなりの量のHRポイントがもらえます。
3つ目が「ポイントボーナス」です。これは,1日3回限定で,クエスト達成時に獲得できるハンターランクポイントにボーナスを受けられるというものです。
4Gamer:
3つ目の「ポイントボーナス」は,どのくらいのハンターランクポイントがもらえるんですか?
「ポイントボーナス」があれば,HR200までのハンターは,種類を問わず3回クエストをクリアすることで,必ずHRが1上がります。3回目以降は,通常通りの獲得ポイントになります。
4Gamer:
たった3回のクエストでHRが上がるというのはすごいですね……。それは,HR200未満のハンターだけが対象なんですか?
杉浦氏:
いえ,HR200以上のハンターでも,「ポイントボーナス」自体は有効です。HRが1上がるほどではないのですが,かなりのHRポイントを獲得できるので,HR上げはかなり楽になるはずです。
これら3つの施策によって,HR500に到達するためのサポートはひと通り揃ったかと思います。MHFは,「モンスターハンター」のシリーズとして展開していますから,すでにシリーズを経験者されている方のように,始める前から知識やテクニックを備えている方がいらっしゃいます。そのような方にはどんどんHRを上げて,MHFを楽しんでいただければと考えています。
4Gamer:
そのほか,「ホルク」のアップデート/リファイン要素はありますか?
杉浦氏:
まずホルクですが,フォワード.3ではレベル2が解放されてステータスの上限が上がり,「学びの書」も追加されます。前回実装分をすべて習得させたという方もいらっしゃいますが,再びやり込んでいただけるのではないでしょうか。
4Gamer:
では,「グーク」はどうでしょう?
グークは,お世話できる数が2匹から3匹に増え,カラーバリエーションも10増えて全15パターンになりました。あとは衣装を3種類と,新しいお部屋パーツを用意しています。
また,グークからクエスト用のアイテムを入手できるようになります。「グークばくだん」は自走式の爆弾で,半分は役に立つもの,半分はネタとして導入しました。どなたか,有効な使い方を発見してくださればと思います(笑)。もう一つの「たまご風ぼむ」は,従来の毒けむり玉のような効果を持っています。
あとは細かい話になりますが,プレイヤーネームの色を設定できるようにしています。
4Gamer:
それは,自分の名前の色を変えられるようになる,ということですか?
杉浦氏:
いえ,自身のハンターネームを含め,自分から見たほかのプレイヤーのハンターネーム表示色を変更できる機能です。
実は,これはゲームを始めたばかりの方に向けた施策なんです。ご存じのように,MHFではHRによってプレイヤーネームを色分けして表示していますが,入門区で高HR/SRのハンターがいたら,初心者の方が圧倒されてしまうんですね。
4Gamer:
確かに,ビギナー向けの入門区にいるのが高ランクのプレイヤーばかりだと,初心者は一緒に遊んでいいものか悩むでしょうし,気が引けてしまうでしょうね。
杉浦氏:
ですから,HRに差があっても気兼ねなく一緒に遊んでいただけるよう,デフォルトの設定色を統一しました。表示色はオプションで変更できるので,従来通りの表示にすることも,もちろんできます。
4Gamer:
有料サービスでの新規追加はありますか?
杉浦氏:
まず,プレミアムコースにパローネコースの内容を含めました。プレミアムコースには長らく新コンテンツの追加ができていなかったので,ビジネス的な意味で統合しました。
それから,エクストラコースには継続特典がなかったので,エクストラ継続コースに追加特典を付けました。これはどちらかというと,好調な売上に見合ったサービスを提供しようという意味が強いです。
そのほか,イメチェンサービスで「デミトリ」と「モリガン」のボイスも追加されます。デミトリは檜山修之さん,モリガンは神宮司弥生さんがボイスを担当しています。
「フォワード.2」では継続コンテンツを筆頭に,安定した同時接続数を実現
4Gamer:
それでは,ここからはフォワード.2を振り返っての質問をさせてください。まず,実装された2011年9月以降の同時接続者数の推移はどうでしたか?
フォワード.1と比較しても非常に良かったと言えます。アップデート直後に一気に増えるという傾向自体はほぼ同じだったのですが,フォワード.2では,そのあと全然数字が下がらなかったんです。
4Gamer:
2011年12月など,年に1回ほど同時接続者数が落ち込むであろう“MHFならではの外的な要因”も,今回は影響がなかったと。
杉浦氏:
予想より影響が少なくて驚きましたね。これまでにない傾向だったのですが,フォワード.2の「元気のみなもと」などの企画効果があったのではないかと考えています。
それと,運営ディレクターの宮下の発案で「5のつく日はHRPたっぷりデー!」というイベントも実施しましたが,こちらも非常に順調でした。
4Gamer:
その元ネタとなるフォワード.2のメインモンスター,“ゴゴモア”の評判はどうでしたか?
杉浦氏:
「子どものココモアが可愛い」「ココモアを斬りたくない」というご意見が目立ちましたね(笑)。
「スピードがあるので追いかけるのが大変」というようなご意見もいただきましたが,実装前に予想していたとおりの反響という印象でした。とくに下位は難度もそれほど高くはないので,クエストに挑戦した人数も受注回数も多かったですね。
4Gamer:
基本的に評判は良かったと。
杉浦氏:
そこは難しいところで,経験上,難度が高いなど不満点があると厳しいご意見を多くいただくのですが,難度が低い,もしくはボーナス的な“おいしい企画”は,ご意見自体をいただくことが少ないんですね。
ですから,クエストの受注回数などでプレイしていただけたというデータは見て取れるのですが,お客様に満足していただけたかどうかは,分析の結果を見てみないと判断しかねる部分があります。
4Gamer:
では,多からず少なからずを目指した,4エリアの潮島の評判はどうでしたか?
杉浦氏:
それについては「多すぎる」「少なすぎる」という意見は来ませんでしたね。4エリアで合格点をもらえたとまでは言いませんが,普通に受け止めてくださったお客様が多いんじゃないかなと思います。
実際に遊んでみれば分かりますが,決して少なくはないと思っています。
4Gamer:
強化先が追加された「親方印武器」の反響はどうでした?
杉浦氏:
まだ性能的に今一つという武器があるので一概には評価できないのですが,実装後はクエスト受注数も生産数も一気に増えました。
多くのお客様は一番強い武器が作りたいわけですから,自分が目指す道でフックに引っ掛かる武器は全部作りますし,引っ掛からなければ剛種武器だろうが親方印だろうが作ろうとしません。時間やお金を含めた条件の中で,自分が今作れる強い武器を作って使っている,というお客様が多いんじゃないでしょうか。
4Gamer:
以前,「VS.クエスト チャンピオントーナメント」イベントで話していた,武器倍率の撤廃はいつ頃になりそうでしょう?
杉浦氏:
今は,次回アップデート以降としか言えません。個人的には,次のフォワード.4の頃に実施できればいいなと考えています。
4Gamer:
iOS/Android用アプリ「MHFエッグラン」の動向はどうでしょう?
杉浦氏:
もともと職場や学校で,休憩時間に遊んで欲しいという狙いがあったのですが,それは的中して,昼間の稼働率がかなり高いです。App storeの最高位は13位で,秘撃玉が欲しい方に遊んでいただけていますね。
2012年はソーシャル事業も積極的に展開。積まれていた課題をこなし“次の5年間”を見据える年に
4Gamer:
2007年のクローズドβテストから数えると,MHFも5年目を迎えますが,杉浦さんに話を聞くたびに,非常に安定して,より充実したサービスに向けて注力していると感じられます。
2011年はXbox 360版のサービスも1年間フル稼働できて,おかげさまで売上も非常に好調でした。組織的にも,これまで育ててきた若いスタッフ層に少しずつ権限を委譲している段階です。引き継ぎ段階での細かいミスなどはありましたが,大問題に発展するようなものもなく,個人的にはまあまあ順調だったと捉えています。
ただ,毎年同じような点数しか取れないようでは,お客様からお叱りを受けてしまいますので,2012年はさらに気を引き締めていかないといけません。
4Gamer:
勝って兜の緒を締めよ,というところでしょうか。
杉浦氏:
ただ,運営が順調だと,どうしてもスタッフの中に安定志向と言うか,まったりした空気が生まれてしまいます。それ自体は悪いことではないのですが,組織をマネジメントする立場としては,考えるところがあります。
2012年は,オンライン事業だけではなくソーシャル事業も積極的に展開していくため,部署全体が大きく飛躍する重要な転換期です。そう考えると,まだまだ修羅場の経験が足りないスタッフもいるのではないか,と感じるんです。
4Gamer:
修羅場ですか。
杉浦氏:
ええ。無理にストレスを作るつもりはないですが,やはり経験のありなしで非常時の対応スキルは大きく変わりますし,提供するサービスにも大きく影響します。
お客様から「サービスの質が落ちた」と指摘されないよう,そういった万が一のことにも備えなければなりません。
4Gamer:
なるほど。
それでは,最後の質問です。MHFは2012年7月で正式サービス開始から5周年を迎えますが,クローズドβテストから数えると,2012年2月で5年になります。今後MHFというIPをどのように運用していく予定なのか,現時点での考えを聞かせてください。
以前,イベントなどで「2012年はお客様の宿題にお答えしたい」と発言した件については,まだ準備が整っていないため,詳しくはお話しできません。
今,お話しできる部分だけ触れると,この5年の間に解決できなかった,初期の頃からの宿題がいっぱいあります。その中で,私が最も高い要望だと捉えているものについて,「今後こうしていきます」とプレゼンテーションできる年になるのかなと思っています。また切りのいい5周年ですから,お客様に次の5年間に向けて何か示せる年にしようと考えていますので,楽しみにしていてください。
あとはインターネット上のサービスとはいえ,お客様と直接顔を合わせた方がいいだろうと考えて始めたネットカフェのオフラインイベント「VS.クエスト チャンピオントーナメント」が,2012年夏に47都道府県での開催をとうとう達成できる予定です。
このイベントでは,本当にさまざまなお客様とお話ができて,自分自身も成長できました。47都道府県を回りきったあとは,大き目のイベントの開催を予定しています。せっかくのオンラインゲームですから,オンラインとオフラインを連動させるような,ちょっとほかのタイトルとは違うこともやりたいと考えています。
本当に5年経ってもたくさんの宿題もあれば,やりたいこともたくさんあります。まだまだMHFは進化します。この5年間で築き上げてきたお客様との絆も,「VS. クエスト チャンピオントーナメント」などで接することで強く感じています。もう少しお時間は頂戴しますが,次の5年を目指すためのビジョンを,今後の機会にきっちりお話しできたら嬉しいと考えています。
4Gamer:
ありがとうございました。
これまで4Gamerに掲載してきたMHFのニュース記事やインタビューを読んでいる人なら分かると思うが,MHFは好調な運営にあぐらをかかず,常にコンテンツの充実を目指し,さまざまな新コンテンツを定期的に投入し続けている。
なお,杉浦氏が率いる運営チームは,設立当初の10倍もの規模に成長しているそうだ。堅実なサービスで利益を上げ,その利益で“できること”を増やし,プレイヤーに新たなサービスとして還元するという,理想的なサイクルがMHFでは確立しているといえるだろう。
杉浦氏は,“2012年に応えたい宿題”について明確に語ってはくれなかったが,話しぶりからして,少なくとも2012年内にはその宿題が何なのかは明らかになりそうだ。まずは2012年2月1日に実装される,アビオルグとタイクンザムザを筆頭としたフォワード.3を存分に楽しみつつ,2012年7月には5周年を迎える,MHFにおける今後の展開に期待したい。
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- 関連タイトル:
モンスターハンター フロンティアZ
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