プレイレポート
「Fantasy Odyssey」プレイレポート:“シルクロード”をめぐる冒険を,西洋風の世界観/パーティプレイで楽しもう
厳密にいえば,FOとSOは同一タイトル(一般的な意味で言えば,SOの大規模アップデートとしてFOが実装された形)なのだが,その世界観やゲームシステム,バランシングなどを見てみると,別タイトルと言っていいほどの違いが確認できる。
中国を起点として地中海沿岸に至る古代の交易路“シルクロード”を軸に,SOでは東洋ベースの,FOでは西洋ベースのファンタジー世界で冒険が楽しめるという仕掛けは,MMORPGという作品群全体を見渡してみても,なかなかユニークといえる。
本稿ではSOとの違いに注目しつつ,FOのプレイレポートをお届けしていく。SOに関する基礎知識を得ておきたいという人は,「こちら」の記事にざっと目を通していただきたい。
ヨーロッパを起点として
シルクロードを東へ進んでいく冒険
キャラクター作成時に,東洋(SO)と西洋(FO)のどちらでプレイするかを選ぶ。同じクライアントを用いるが,世界観は大きく異なる |
中国からスタートした場合のゲーム展開は,従来のSOと同じであり,これについては過去に掲載したSOのプレビュー記事などを見てもらえば分かりやすいだろう。掲載した記事のスクリーンショットを見ると,その景観やキャラクターの装備品など,SOが中国風,言い換えると武侠的な雰囲気であることがよく伝わってくるはずだ。
その点を踏まえたうえでヨーロッパからプレイを始めると,結構驚かされる。なにしろSOの特徴であった,中国風のグラフィックスはどこにも見られず,西洋の雰囲気がそこかしこに漂っているからである(当然といえば当然なのだが)。SOのプレイ経験がある筆者は,「これは本当にSOと地続きの世界なのだろうか……」と,しばし呆然としてしまったほどだ。
だが,インタフェースや操作系統などを確認してみると,確かにSOの面影が残っている。そのためSOの経験者であれば,比較的簡単にFOに慣れるはずだ。また,世界観が一般的なファンタジーRPGの雰囲気に近いこともあり,とくに日本人のプレイヤーには,SOよりもすんなりと入り込みやすいかもしれない。
FOをプレイするとき,最初の拠点となるのは“コンスタンティノープル”で,これは現在のイスタンブール(トルコ共和国)に相当する。FOの冒険者は,最初はこの近辺で経験を積みながら,次第に西/東ヨーロッパの各拠点を巡っていき,やがてシルクロードを東へと進んでいくわけだ。SOがシルクロードを“西”へ進んでいったのとは,まるっきり正反対のゲーム展開である。
コンスタンティノープルの景観は中世ヨーロッパそのもの。SOにおける長安の画面と見比べると,その違いに驚いてしまう |
実際に操作してみると,SOと同様のプレイフィールが得られる。序盤のゲーム展開も似たような雰囲気だ |
お使い系クエストの依頼を受けているところ。一般的なクリックタイプのMMORPGの経験があれば,戸惑うことはないだろう |
職業システムが一新し
パーティプレイ推奨のゲームバランスに
FOにはパーティプレイを盛り上げるための仕掛けが,数多く用意されている。できれば積極的にパーティプレイを楽しんでほしい |
しかしFOは,ソロプレイよりもパーティプレイを推奨としたゲームバランスになっており,これがSOとの最大の違いとなっている。
FOのゲームバランスに影響を与えているのは,SOから一新されたクラス(職業)システムである。
SOのクラスシステムは,装備する武器によって“剣,槍,弓,氷,雷,火,回復”という得意分野が切り替わるものだった。これらのうち,“回復”を除くクラスはいわゆるアタッカー系であり,基本的にはソロプレイで大半の活動を行えるゲームバランスだった。
それに対してFOのクラスは,“ウォーリアー,チェイサー,ウィザード,ウォーロック,バード,クレリック”と,名前もその内容もまるっきり違っている。しかも,複数のクラスが力を合わせることで弱点を補い合い,大きな戦闘力を発揮するという,パーティプレイ寄りのゲームバランスになっているのだ。
まずは,FOにおける六つのクラス(マスタリー)を,代表的なスキル例を挙げながら簡単に紹介していこう。ここでは,多くのスキルがパーティプレイを念頭に置かれている,という点に注目してほしい。
●ウォーリアー:
近接攻撃に特化したクラス。FOの防具は“重鎧,軽鎧,ローブ”の3タイプがあるが,ウォーリアーはこのうちの“重鎧”を装備できる唯一のクラスだ。そのため防御力は全クラス中で最も高い。また前線でモンスターを攻撃するだけでなく,仲間を守るためのスキルも数多く習得できる。
・習得スキル例:タウンティングターゲット(敵からの標的を自分に向ける),スラッシュ(敵にダメージを与える),ペインクォーター(仲間が受けるダメージを他メンバーで肩代わりする)
●チェイサー:
クロスボウをはじめとした間接攻撃を得意とする,アタッカー系クラス。武器に毒を塗って攻撃したり,モンスターをやりすごしたりするスキルを習得でき,どちらかというと“暗殺者”のイメージに近いかもしれない。装備できる防具は“軽鎧”タイプまでで,ウォーリアーと比較すると防御力は若干低い。
・習得スキル例:ステルス(一定時間敵から感知されなくなる),モンスターマスク(一定時間モンスターになりすます),ポイズン(武器に毒を塗って攻撃する)
●ウィザード:
“地/水/火/風”の各元素を用いた攻撃魔法を駆使するクラス。元素はそれぞれ別の特性を持っており,これらを状況に応じて使い分けることになる。攻撃魔法は強力だが,パーティプレイでは,モンスターにダメージを与えすぎて,敵からターゲットされないように気をつけたい。ウィザードはキャスタータイプであり,“ローブ”しか着られないため,防御力が低いからだ。
・習得スキル例:アイスアロー(氷の矢を放ち敵を鈍化させる),グラウンドブレイク(自分を中心とした範囲内の敵にダメージを与える),ライフコントロール(自分のHPを消費し,マナを素早く回復する)
●ウォーロック:
ウィザードと同じキャスタータイプのクラスだが,こちらは敵を弱体化させる能力に秀でている。瞬間的なダメージではウィザードに及ばないものの,じわりじわりとなぶり殺しにするのが得意だ。どちらかというとザコ敵の乱獲といった短期戦よりは,長期戦で力を発揮するタイプである。
・習得スキル例:ダークファイヤ(一定時間継続ダメージを与える),フィジカルレイズ(敵の物理防御力を減退させる),マジカルレイズ(敵の魔法防御力を減退させる)
●バード:
音楽を奏で,パーティメンバーを鼓舞するクラス。武器の代わりに楽器を装備するため,自分自身の戦闘能力はそれほど高くない。しかし音楽は範囲内にいる全員に効果があるため,パーティの人数が多ければ多いほど,全体の戦闘力はアップする。ソロプレイは苦手だが,支援に関しては随一のクラスといえるだろう。
・習得スキル例:ショックコード(不快なメロディを奏で敵にダメージを与える),アレグレット(仲間の移動速度を速める),アダージョ(仲間の被物理ダメージを一定量吸収する)
●クレリック:
回復に特化したクラス。パーティプレイ時には最低でも一人はほしい,お馴染みのクラスだ。比較的早い段階で蘇生のスキルを習得できるほか,敵へダメージを与えるスキルも習得できるという,使い勝手のいいクラスである。
・習得スキル例:ヒーリング(仲間一人のHPを回復),オーバーインフューズ(神の力で敵にダメージを与える),リザレクション(倒れた仲間を復活させる)
FOでは,複数のクラスを同時に育てることができる。各マスタリーにポイントをどれだけ割り振るかが悩み所だ |
グラフィックス関連は,SOよりもさらに洗練されている印象。その分,必要とするマシンスペックが,若干高くなっているようだ |
パーティプレイ時に役立つスキルが多く用意されている。パーティを組んで狩りをする際は,メンバー構成を意識した戦術で戦おう |
パーティプレイが楽しい
「Fantasy Odyssey」
FOのパーティプレイは,多少のレベル差ではペナルティが発生しにくいゲームバランスとなっている。積極的にメンバーを集めて遊ぼう |
ただし,一つのクラスに注ぎ込めるマスタリーポイントは,キャラクターレベルによって上限が定められている。仮に単一のクラスにマスタリーポイントを注ぎ込んでも,かなりのポイントが余ってしまうので,プレイヤーは複数のマスタリーを成長させつつ,自分好みのキャラクターを育てられる。これはFOの大きな魅力といえるだろう。
例えば,マスタリーポイントの大半をウォーリアーに使い,余った分をバードに注ぐとしよう。この場合,一人でクエストを行ったりする間はウォーリアーで活動し,パーティプレイ時はバードで支援を行う,といったプレイスタイルの切り替えが可能になるのだ。ほかにも,上述した“アレグレット”(バード)に,ウォーリアーの強力な攻撃スキルを併用させるのは,ザコモンスターを狩りまくりたいときにすこぶる便利だ。
このようにFOでは,パーティプレイ時におけるさまざまな状況に対し,キャラクターのマスタリーを変えることで応じられる。大半のクラスがアタッカー系だったSOと比べて,大きく違っているのだ。
パーティプレイを推奨する仕掛けは,クラスシステムのほかにもいくつかあるようだ。中でも,パーティを編成した際の経験値ボーナスが大きく,大人数でプレイすればさくさくとレベルアップできる。しかも,仮にメンバー間でレベル差が開いてしまっても,ほかのMMORPGと比べて極端なペナルティを受けないのだ。そのためゲーム内全体が,「とりあえずパーティ組もうよ」といった雰囲気に満ちている。
逆にソロプレイに関しては,SOよりも少々行いにくくなっているようだ。例えばポーションの再使用間隔は長めに設定されており,いわゆる“ポーションがぶ飲み”スタイルでは,ゲーム中盤以降が厳しい展開となる。この点については,クレリックなどのサポート役とパーティを編成すれば問題はないので,これもまた,パーティプレイを推奨するシステムの一部,といえるだろう。
要するにFOでは,アタッカーが前線で敵を引きつけ,サポーターが支援し,キャスターが攻撃魔法を放つという,パーティプレイを盛り上げる役割分担に沿ったシステム構成になっているというわけだ。
今回FOをプレイしたところ,SOとはまったく別物のタイトルだという印象を受けた。かつてSOを経験した人は,この世界のまったく新たな側面に触れるという意味でも,FOを一度プレイしてみるといいだろう。武侠的な世界観が好みでなかったり,ソロプレイがあまり好きではなかったりという理由からSOを敬遠していた人には,ぜひとも挑戦してもらいたい。
- 関連タイトル:
Fantasy Odyssey
- 関連タイトル:
SiLKROAD Revolution
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