インタビュー
スキルフェーズの今後から,「まどか☆マギカ」タイアップの裏話までじっくり聞いてきた「TARTAROS-タルタロス-」開発&運営インタビュー
今回,これまでの運営・開発の取り組みの舞台裏や今後のアップデート方針に関して,開発元のINTIV Soft CEOのLee Ju Won氏と,日本の運営プロデューサーを務める曽根光太郎氏に,前回の記事から4か月ぶりとなるインタビューを行った。多くのプレイヤーから熱望されている新機能やコンテンツについてもじっくり聞いてきたので,ぜひご一読いただきたい。
スキルフェーズのバランス調整を継続しつつ,2次フェーズの実装も準備中
本日はよろしくお願いいたします。
まず,3月に大規模アップデートとして「スキルフェーズ」が実装されましたが,プレイヤーからの現在の反響はいかがですか?
タルタロス運営プロデューサー曽根光太郎氏(以下,曽根氏):
良い部分・悪い部分と両方の意味で非常に反響が大きかったですね。まず良い部分に関しては,スキルのバリエーションが増えたことにより,キャラクターの個性が出せるようになったたり,プレイヤーさんごとに使用するスキルが違うことで,楽しみ方の幅が広がってきたことに対するご意見が多かったです。
一方,悪い部分というより,これは改善を進めなくてはならない点ですが――スキルシステム自体が大きく変化してしまったので,キャラクターのバランスの部分に関して,プレイヤーさんからいろいろとご意見をいただいている状態です。スキルフェーズの実装後1か月の間に随時バランスの修正を加えていきましたが,依然として多くのご意見をいただいていますので,バランスについては今後も継続して調整をしていきます。
4Gamer:
バランス調整については,運営側がプレイヤーから吸い上げた意見をまとめて開発に渡し,それを随時パッチで当てて……といった流れで行われているのでしょうか。
曽根氏:
そうですね。スキルフェーズの実装後,お問い合わせ窓口や公式掲示板から各キャラクターのバランスについての意見を募りまして,それを運営側でまとめたものを開発側と共有した上で,修正を行っております。
4Gamer:
スキルフェーズは今後さらに進化していく予定だと伺っていますが。
曽根氏:
ええ,一番最初にスキルフェーズを発表した時点でもお話ししましたとおり,現状は各キャラクターが2つに分岐するという状態ですが,“2次フェーズ”ではさらに4つに分岐する予定です。
2次フェーズについては,年内に公開できるように開発を進めています。
なお,スキルフェーズの企画はそもそも「自分のキャラクターがいろいろなスキルを使えるようにカスタマイズしよう」というものでしたので,2次フェーズを実装した時点でスキルフェーズの開発が終わるわけではなく,さらに拡張性をもったシステムを開発しようと思っています。
4Gamer:
ということは,“3次フェーズ”なども登場する可能性もあるわけですね。
5月上旬に「第6回 次のシーズンへ!タルタロスプレイヤーアンケート」を行われましたが,このアンケートでもスキルフェーズについての意見・要望は集まったのでしょうか?
ええ,こちらが結果になります。
4Gamer:
スキルフェーズに関しては,本当に満足/不満が二分した結果になっていますね……。
曽根氏:
バランス調整などの部分に関しては「もうちょっと手を加えてほしい」といったご意見が多いですが,スキルフェーズというシステム自体に対しては満足をいただいており,「2次・3次フェーズともっと進めてほしい」というようなご意見が非常に多かったです。
4Gamer:
確かに「不満点」の内訳を見ると,スキルバランスに対するものが大半ですね。逆に言えば,バランスさえ良ければ多くのプレイヤーは文句なし,と。
曽根氏:
そうですね,すべてのプレイヤーさんを満足させるためのバランス調整は容易ではございませんが,良いシステムに改善をしていく必要があります。バランス以外で多かったのは,プレイ中のフェーズの切り替えに対してですね。現状,プレイ中にフェーズを切り替えるにはアイテムを必要とするのですが,プレイヤーさんのアイテムインベントリが不足しているという問題もあり「1種類のフェーズを使い続けたほうが効率がいい」といったご指摘がありました。
4Gamer:
確かに,もっと簡単に切り替えられてもいい気がしますね。
曽根氏:
ええ,もっと切り替えやすいかたちに変えていきたいと考えております。
また,「“特性ポイント”が足りないため,一種類のフェーズしか楽しめない」といったご意見も多くいただいているのですが,現状のタルタロスはまだまだレベルキャップを開放している途中の段階ですので,スキルフェーズに関してもまだ次の段階があります。その特性ポイントもレベルアップに伴って増えていきますので,今後レベルキャップが開放されることにより,そういった問題も解消されていくかと思います。ですので,現時点では「完成形」ではないということを,プレイヤーの皆さんにお知らせしていくことも大事かと思います。もちろん,前提としてバランス調整をしっかり行ったうえで,での話であることは認識しております。
4Gamer:
不満点のうち,この「不具合の修正」とはなにを指すのでしょうか?
曽根氏:
スキルの発生条件などについて,ゲーム内の表記と実際の効果が違っていたり,本来開発側が意図していない部分での不具合についてご指摘いただいたということですね。こちらは,随時修正を行っておりますが,まだまだ細かい部分が残っていますので,なるべく早く修正ができるように対応を進めております。
リアンがプレイヤーキャラクターに追加される可能性は……?
アンケート結果のうち,とくに印象的だった部分はありますか?
曽根氏:
毎回お聞きしている設問ではあるのですが,「追加・改善してほしいコンテンツ」については,「キャラクターの追加」の要望が最も多かったですね。まったく新しいキャラクターを追加してほしいというだけでなく,「このNPCキャラをプレイヤーキャラに」といった意見もよくいただいております。
とくに,1周年の際に「タルタロス総選挙」で1万件以上の投票をいただいたのですが,メインキャラクターの順位が高い中,2位のリアンのように上位に入るNPCキャラクターもいまして,NPCキャラクターに対するプレイヤーさんの想いを感じます。
4Gamer:
ではこの総選挙の結果を見て,開発側としても「2位になったからには,リアンはプレイヤーキャラクターにしなくてはいけないな」と感じておられるのでは……?
こういったアンケートの結果を見ていつも悩んではいるのですが,開発上のリソースの都合もありますので,すぐに「やりましょう!」とはいえないんです。心の中ではいつもプレイヤーキャラの追加について検討してはいるのですが,なかなか開発に取りかかれないのが正直なところです。
4Gamer:
とくに,今はスキルフェーズの実装や調整を行なっている真っ最中ですから,このタイミングで新たなプレイヤーキャラクターを追加するのは難しいでしょうね。では逆にいうと,スキルフェーズの実装がひと段落した暁には,キャラクターの追加を期待してもよいのでしょうか?
Lee氏:
それも難しい質問ですね(笑)。日本のプレイヤーさんのご要望は,常に運営側と共有させていただいているため,開発の内部でも日本のプレイヤーさんがなにを求めているのかも分かってはいるんです。ただ,今年はシナリオの“1回めのエンディング”もあり,次のシーズンのオープンのための作業日程もありますので,そういった大きなアップデートは難しい状況です…。決まっていない話を「やります!」と約束してしまうと,その日程に間に合わなかった場合,逆にプレイヤーさんをがっかりさせてしまいますし。
4Gamer:
なるほど……では,新キャラクターについては気長に待ちましょう。ほかにはどういった部分の要望が多かったでしょうか?
コンテンツ拡張の要望が多かったのは,やはりシナリオですね。タルタロスでは3か月に1回くらいのペースでシナリオの追加を行っていますが,シナリオを更新するには新しいマップの追加やレベルキャップの開放・スキルの追加など,さまざまな要素が含まれます。我々としても次々にシナリオを追加していきたいところではあるのですが,こうした理由があることから,これまでと同じペースで定期的に新シナリオの実装を順次進めさせていただければと思います。また,先ほどもLee氏が仰ったように,年末の“1回めのエンディング”に向けてストーリーが進行しておりますので,ぜひ今後のストーリー展開にご期待ください。
4Gamer:
アンケートの中では,プレイヤーのプレイ歴やレベル帯といったデータも集まっているのでしょうか。
曽根氏:
これはあくまでアンケートに回答してくださったプレイヤーさんのみのデータになりますが――1年以上プレイされている方が約4割,半年以上プレイされている方も加えると約6割になりますので,MOジャンルの特性としてプレイ周期が短い中,比較的長く遊んでいただいているプレイヤーさんが多いのかなと思います。1年以上となると,正式サービス開始時やOBT・CBTなどの時期からとなりますから,ゲームに対しての愛着の強さを,この結果を見て感じます。
4Gamer:
ということは,レベル帯もかなり上のほうに?
ええ,約半数が高レベル帯になっています。ただ,タルタロスでは“遠征隊”として9人のキャラクターを使用することができますので,メインのキャラクターがレベルキャップに到達したからといってゲームを離れてしまうのではなく,さらにセカンド・サードといった,ほかのキャラクターを育てているプレイヤーさんもたくさんいらっしゃいますね。
4Gamer:
年齢層についてはいかがでしょう?
曽根氏:
10代から20代前半のプレイヤーさん,とくに学生の方が多いですね。ですので,アバターアイテムを一つ作るにしても「どういうものだったら若い方に受け入れられるのだろうか」といつも真剣に考えています。
シナリオリプレイ機能は近く実装? アイテムインベントリ関連も改善が進行中
4Gamer:
今回のようなアンケートに関係なく,普段から多く届いている要望はありますか?
曽根氏:
以前のインタビューでも話題に出ましたが,アイテムのインベントリの容量不足で「これ以上アイテムを持てないです」と苦言をいただくことが多いです。対応が遅れてしまっており大変申しわけないのですが,現在,改善のために開発元で調整をしていただいております。持ち物の数を増やすだけじゃないかと思われる方もいるかもしれませんが,もし,不具合が出てアイテムがロストするなどが発生してしまいますと大問題になってしまいますので,慎重に改善を進めている段階です。
4Gamer:
インベントリ不足への対策として以前に挙げられていたものに「アイテム製作方式の簡略化」がありますね。
Lee氏:
インベントリ自体の拡充を進めつつ,さらにアイテム製作に必要な材料の種類を減らすことで,インベントリに負荷がかからないような策を進めています。
4Gamer:
そしてさらに,「アクセサリーのリサイクル」機能も準備中ですよね。
毎月のアップデートでどんどん新しいアバターアイテムが追加されているため,昔使っていたアバターアイテムを溜め込んでしまい,倉庫がいっぱいになっている人も多いと思います。この機能では,以前使っていたアバターアイテムや装身具を合成することで,アバターアイテムをよりよいものにできるため,インベントリが不足している問題についても,ある程度解消ができるのではないかと思います。
4Gamer:
アバターアイテムがよりよくなるというのは――オプションの効果がアップするだけでなく,通常では買えない特殊な見た目のアバターアイテムができあがる,ということもあるのでしょうか?
Lee氏:
これについても,段階的なアップデートを考えています。1段階目のアップデートの時点では見た目は変わらず,オプション効果が変化するのみですが,2段階目のアップデートではアバター自体の見た目も変化したりと,そういった拡張性を持ったシステムとして考えています。
4Gamer:
前回のインタビューで「追加予定」として挙げられていた機能でいうと,「シナリオリプレイ」機能もありましたね。
Lee氏:
シナリオリプレイ機能についても現在開発が進んでおりますが,プレイヤーが世界観をより理解しやすくなったり,プレイヤーにもう一度感動を味わっていただけたりするように,“過去への時間旅行”のようなコンセプトを持って開発を進めています。
4Gamer:
時間旅行,ですか? ということは,単にシステムメニューからシナリオを選択して過去のシナリオをリプレイする,というだけでなく,シナリオリプレイ時に特有の演出なども含まれるのでしょうか。
Lee氏:
例えば,特定のNPCを通じて「●●に行きますか?」といったアナウンスを流したりだとか,そういった演出のコンセプトで開発を進めています。
これら3つの機能については,年内に開発を完了し,アップデートをする予定です。
曽根氏:
進捗を聞いている限り,シナリオリプレイ機能については年内といわず,そこまで遅くならないかなあ,とも思うのですが(笑)。
4Gamer:
具体的な時期はまだ明かせないにしても,作業自体は順調ではある,ということですね。
曽根氏:
そうですね。
「こんなの絶対おかしいよ」とプレイヤーを驚愕させた“キュゥべえ”アバターの仕掛けとは?
アンケートの中には,テレビアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」とのタイアップについての質問項目もありますね。回答を見ると,好意的な感想が大半のようです。
曽根氏:
タルタロスとしては初めてアニメとのタイアップを行ったのですが,既存のプレイヤーさんはもちろん,「まどか☆マギカ」をきっかけにタルタロスを始めた方にも満足いただける内容になったのではないか思います。
4Gamer:
ところで,今回のタイアップに至ったそもそもの経緯とは?
曽根氏:
「アニメとタイアップすることで,元々の軸となるタルタロスのストーリーがぶれてしまうのでは?」という懸念もあったのですが,タイアップを行う前にアンケートで「アニメとのタイアップ企画などについて,どう思われますか?」とプレイヤーさんに伺ったところ,「ぜひアニメタイアップによってタルタロスのプレイヤーを増やしてほしい」というご意見をたくさんいただきました。それならば「新たなプレイヤーさんを増やすために,タイアップできる作品を探そう」と。
4Gamer:
数多い作品の中から「まどか☆マギカ」を選ばれたのは,どうしてでしょうか。
曽根氏:
やはり候補はいくつかあったのですが,世界観から著しく外れているものも駄目だと思いますし,逆にシナリオ部分と調和しすぎてタルタロス本編がぶれてしまうのも困りますので,我々としても考えに考え抜いた答えでした。
最初にアニメ制作会社さんとお話しした時に「このアニメは固定概念にとらわれず,新しいことに挑戦していきますよ」と伺っていたのですが,我々としても「オンラインゲームの各タイトルがアニメタイアップをやっている中で,他社と同じことをやっていてもいけない」と思っていましたので,目新しいところで勝負をかけたいという気持ちから今回「まどか☆マギカ」を選ばせていただきました。
「まどか☆マギカ」は,情報が事前にまったく出ていないアニメでした。そのため,先ほどの「新しいことに挑戦していく」という一言だけでほぼ判断をすることになったのですが,本音をいうと,どの方向に向かうのか,正直我々には分からない状態でした。
アニメ制作会社さんとしては,視聴ユーザーさんのために情報が漏れないように徹底管理していまして,その最中イメージビジュアルのみをもとに開発元の方にアバターを作っていただいていたのですが,おそらく非常に大変だったと思います。
なるほど,動いているアニメの映像が観られず,公式サイトに掲載されているようなイメージビジュアルだけを参考にアバターを作られたと。
曽根氏:
ええ。他のアニメであれば,大半が漫画などの事前の情報がありますよね。ただ,このアニメは情報公開が大きく制限されていましたので,開発の方に素材のオーダーを受けても「……ないです」と(笑)。そういう苦労はありましたね。
4Gamer:
作られたアバターについては,アニメ制作会社などの監修を受けているんですよね?
曽根氏:
はい。おそらくプレイヤーさんも気づかれていると思うのですが,“キュゥべえ”というキャラクターについては,実装の直前まで修正を重ねていました。監修による修正指示が入っても開発の方がすぐに対応してくださったので,なんとか間に合わせられましたね。
4Gamer:
開発元としては,タイアップのお話を受けてどう思われました?
- 関連タイトル:
タルタロス:リバース
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