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ゲーマーは自宅の回線をWiMAX化できるか。据え置き型ルーター「URoad-Home」を使ってみた
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印刷2012/03/31 12:00

レビュー

WiMAX回線はゲームに使えるのか? その疑問に答えてみる

URoad-Home

Text by 米田 聡


URoad-Home
メーカー:シンセイコーポレーション
問い合わせ先:UQコミュニケーションズ
実勢価格:2800〜1万5800円程度(※2012年3月31日現在,契約方法により端末価格は異なる)
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 Mobile WiMAX(以下,WiMAX)サービス事業者であるUQコミュニケーションズは頻繁にサービスエリアの拡充をアナウンスしているが,実際,モバイルルーターで使っていても,東京近郊なら,接続性にさほどの不自由さは感じなくなってきた。
 しかも,最近では家庭用の据え置き型ルーターが登場してきているので,同時利用しない条件なら,1契約で複数のWiMAX対応PCやルーターを使える「機器追加オプション」も併用すれば,固定回線とモバイル回線をまとめてWiMAX化し,コストを抑えるという選択肢も考えられるようになってきている。仮にFTTHと3G回線を定額プランで使うとなると,普通はそれだけで軽く1万円を超えてしまうが,WiMAXなら,最もシンプルなプランでも月額4480円(税込),1年契約なら月額3880円(税込)となり,機器追加オプションもプラス200円(税込)だ。

 ただ,サービスの初期から「WiMAXはゲーム用途だとpingが悪い」とも言われてきた。要するに,ネットワークの応答速度がよろしくなく,オンラインでアクション性の強いタイトルをプレイするのには向かない,というわけだ。それだけに,WiMAXへ一本化するというのはなかなかハードルが高いという考える人もいるだろう。
 では実際のところ,ネットワーク接続が必要となるゲームはWiMAX接続でどの程度プレイできるのか。WiMAXに対応する据え置き型ルーターのなかから,シンセイコーポレーション製の「URoad-Home」をUQコミュニケーションズから貸し出してもらえたので,WiMAX回線の持つゲーム用途での実用性を調べてみたいと思う。


家庭内利用に限定して感度を高めたURoad-Home

「WiMAXハイパワー」は確かに効果あり


URoad-Home。本体サイズは36(W)×98.3(D)×140(H)mmで,台座を取り付けると同70(W)×126(D)×152(H)mmとなる
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 さて,WiMAXでは,下り最大40Mbpsのデータ転送速度が謳われている。40Mbpsというのは理論値なので,実際にそこまでの速度が出るわけではないが,条件次第で20Mbps程度の速度が得られることは知られているので,いわゆるブロードバンド回線として,一般的な利用にあたって不自由することはまずないだろう。

 URoad-Homeは,そんなWiMAX接続環境を自宅内で構築し,光回線やADSLなどといった固定回線の代わりに使おうという製品だ。

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WiMAXハイパワーに対応するURoad-Home。家庭内の無線LAN到達距離をモバイルルーターよりも延ばす「ハイパワーWi-Fi」にも対応するとされる
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付属品一覧
 従来のWiMAXルーターは,バッテリーを内蔵し,スマートフォンやタブレット,ノートPCなどと組み合わせて持ち運ぶ,いわゆるモバイルルーターが基本だった。そのため,バッテリー駆動時間に最適化された製品設計が行われているのだが,URoad-HomeはACアダプター駆動のみとなり,バッテリー駆動時間を考慮する必要がない。そこで,弱電界(≒電波強度の弱い場所)でも使えるよう,“高感度動作モード的”な機能「WiMAXハイパワー」に対応してきたというのが,大きな特徴となっている。
 簡単にいえば,WiMAXモバイルルーターでは電波を拾えないような場所でも,URoad-Homeなら拾える可能性が増す,というわけである。

 また,100BASE-TXに対応したLANポートを2系統用意するのも,一般的なブロードバンドルーター(のエントリーモデル)といったところで,実際,URoad-Homeの外観も,そのイメージから大きく外れてはいない。プラスチック製の白い筐体を,縦置き,横置きの両方に対応した台座に乗せて使えるようになっており,台座はやろうと思えば壁掛けも可能だ。

画像集#006のサムネイル/ゲーマーは自宅の回線をWiMAX化できるか。据え置き型ルーター「URoad-Home」を使ってみた 画像集#007のサムネイル/ゲーマーは自宅の回線をWiMAX化できるか。据え置き型ルーター「URoad-Home」を使ってみた
本体背面のインタフェース群(左)。左から,USB Micro-Bを用いたACアダプター端子,100BASE-TX LAN端子×2と,無線LAN機能のオン/オフスライドスイッチ,無線LANの接続設定を容易に行えるよう用意された「WPS」(Wi-Fi Protected Setup)のスイッチとなっている。右は縦置き時に本体上側へ置かれるリセットスイッチ。ペン先などで突くタイプだ
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本体と台座はツメで引っかけるようにして固定する仕掛けになっている。本体は横置きが可能。台座は柱などにネジ留めすることもできる

 で,実際にこのWiMAXハイパワーに効果はあるのかだが,結論からいうと,モバイルルーターとの違いは劇的だった。

 今回,テストする場所に選んだのは,東京都千代田区内にある筆者の事務所と,千葉県千葉市花見川区にある筆者の自宅の2か所。事務所は鉄筋コンクリート造りとなるビルの2F,自宅は鉄筋コンクリート造りとなるマンションの2Fだ。事務所はWiMAXの商用サービスが始まった2009年2月の時点で,室内でも余裕で使えるという強電界エリアにあるのだが,千葉市郊外だと,さすがにそうはいかないので,サンプルとしては悪くないだろうと判断した次第である。

 さて,今回は担当編集の私物であるシンセイコーポレーション製のWiMAXモバイルルーター「URoad-8000」と比較してみたが,まず,強電界エリアの都内だと(当たり前だが)どちらでも普通に利用できる。

 違いが顕著だったのは筆者の自宅のほうだ。
 筆者の自宅があるエリアも,UQコミュニケーションズが提供しているエリア判定サービスだと「○」扱いなのだが,これはあくまでも屋外の話。自宅内だと,URoad-8000の場合,「窓際に置けばWiMAX接続インジケータがかろうじて点灯する」というレベルで,インターネット接続は正常でなく,Webブラウザもほとんど反応しない状態だった。窓を開けて外に出すとなんとか使えるというレベルで,正直,自宅内で利用するというのは無理だ。

 ところが,URoad-Homeなら,窓際に設置したときだけでなく,窓から少し離したところへ置いても,通信が途切れたりすることなく利用できた。違いがあまりに歴然とし過ぎていて,URoad-8000が壊れているのではないかと心配になったくらいである。

 ちなみに,URoad-HomeのWiMAX受信強度は,Webブラウザからログインすると利用可能な設定メニューに用意された「ルーター情報」で見ることができる。どの程度の強度が得られているのか,下に画面で示しておきたい。
 ちなみに「電波強度」が受信強度を見る欄で,評価は0〜5の6段階。0が最弱,5が最強となるが,URoad-8000だと使い物にならないような環境でも,「やや弱い 1」〜「弱い 0」レベルを確保し,接続を維持できているのが見どころだ。

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千代田区内のオフィスビルにある事務所から確認した「ルーター情報」。窓から1mほど離した状態でも「電波強度」は「普通 2」と表示される
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千葉市郊外にある自宅で窓際に置いたときのもの。「電波強度」は「やや弱い 1」から「弱い 0」になる程度だったが,接続は切れたりしなかった

 以上のテスト結果からして,WiMAXハイパワーには謳い文句どおりの高感度を期待できると述べてよさそうである。WiMAXエリア外はともかくとして,千葉市郊外のような「サービスエリア内だが室内だとモバイルルーターが電波を掴まない」ケースでも,URoad-Homeなら使える可能性が出てくるのはポイントが高い。

 次に,気になるネットワーク帯域幅のチェック結果も示しておこう。
 今回は,筆者が運用している,FPSのマルチプレイサーバー上でFTPサーバーを立ち上げ,ファイル転送を試みることにした。下に示したスクリーンショットは,PCに導入したFTPクライアントソフト「FFFTP」からURoad-Home経由でFTPサーバーへアクセスし,ファイルをダウンロードしたときのものだが,都内の事務所では8〜10Mbps台,千葉の自宅では2〜4Mbps台の数字が得られている。

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都内の事務所でファイル転送を試みたときの結果。FTPのオーバーヘッドを勘案しても8Mbps程度は得られる。10Mbps台を示すこともあった
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こちらは千葉市花見川区にある自宅で,同じテストを行ったときの結果だ。こちらでは2〜4Mbps台程度の転送速度が得られている

 WiMAX接続サービスを日常的に使っている人なら体験的に知っているだろうが,WiMAXのネットワーク帯域幅は,“調子”の善し悪しによる揺らぎがかなり大きい。なので,相応に幅のあるテスト結果となったが,いずれにせよADSL並みの帯域幅を得られているのは確か。帯域幅の問題は,つながっている限りまず問題にならないと判断してよさそうだ。

PSPを接続するため,2つめのSSIDにWPA-PSK(暗号化アルゴリズムはAES-TKIP)を設定している例
画像集#012のサムネイル/ゲーマーは自宅の回線をWiMAX化できるか。据え置き型ルーター「URoad-Home」を使ってみた
 ところで,固定回線用ルーターの代わりに用いる場合はルーターとしての基本機能も気になるところだが,URoad-Homeの場合,やはりエントリークラスの一般的なブロードバンドルーター程度の機能は持っているといえる。

 LAN回線は前述した100BASE-TX×2のほか,IEEE 802.11g/n準拠の無線LANにも対応。無線LANアクセスポイントとしては最大2つのSSID(Service Set Identifier,アクセスポイントとしての識別子)をサポートしていて,SSIDごとに異なる暗号化設定を行える仕様だ。片方のSSIDにより安全なWPA-AES(Wi-fi Protected Access-Advanced Excryption Standard)を設定し,一方には携帯ゲーム機が対応しやすいような軽い暗号――WPA-TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)やWEP(Wired Equivalent Privacy)――を設定するという使い方もできる。
 また,先ほど本体の写真キャプションでも紹介したように,WPS機能にも対応しているので,WPS対応ゲーム機の接続は容易だろう。

パケットフォワーディングや,LAN内のPCに外部からの接続を全てフォワードするDMZ機能に対応。また,ダイナミックDNSクライアントも内蔵している
画像集#013のサムネイル/ゲーマーは自宅の回線をWiMAX化できるか。据え置き型ルーター「URoad-Home」を使ってみた
 そのほか,LAN内に置かれたサーバーに対して,インターネットから送られてくる一部のパケットを通すポートフォワーディングや,DMZ機能,さらにダイナミックDNSクライアントもサポートしている。自分でサーバーを運用できるゲームタイトルが減っているので少数派だろうが,ゲームサーバーを自宅で運用したいという用途にも,対応できなくはないわけだ。

 ただ,筆者が使った限りでは,パケットが途絶えてしばらくするとWiMAXが自動で切断される仕様になっており,切断を行わない常時接続設定は用意されていなかった。再接続のたび,グローバルIPアドレスは変わるため,サーバー的な用途に使うのは難しいと思われる。


マルチプレイFPSで試す

WiMAXの実用度


 さて,ここまでURoad-Homeの概要を見てきた。普通に使う限り,URoad-Homeは固定回線の代わりを十分務められそうで,一般のPCユーザーなら,確かにインターネット接続方法の選択肢となりそうな気配だ。

 だが,ゲームをオンラインでプレイする場合,単に「インターネットにつながっていて,転送速度もそこそこ出ている」ことだけをもって「使える」とは言い切れない。いわゆる「ping」,つまり,ゲームサーバーの応答が返ってくるまでの時間が,アクション性の高いゲームの快適さを大きく左右するからである。

 ただ,このpingというものは,帯域幅との単純な比例関係で決まったりするようなものではない。
 そもそも,マルチプレイ対応タイトルやオンライン専用タイトルは,ネットワーク帯域幅をそれほど使っていないタイトルが多いのだ。古いゲームの例示で恐縮だが,筆者がかつて「Quake III Arena」ゲームサーバーを運営していた頃,トラフィックはサーバーに10人程度が入っていても上下合計で1Mbps前後だった。
 Quake III Arena世代のゲームタイトルはダイヤルアップ接続でもプレイできる必要があったので当然といえば当然なのだが,それ以降も,なるべくプレイするハードルを下げるべく,ネットワーク帯域幅を使わない実装になっているタイトルがほとんどである。

 したがって,ゲームのpingは,帯域幅よりむしろ,クライアント(≒PCやゲーム機)からホスト(≒ゲームサーバー)までの間に存在する経路上のオーバーヘッド(overhead,行おうとしている作業と直接は関係のない処理)が左右していると考えていいだろう。インターネットでやり取りされるパケットは,ルーターからルーターへとバケツリレー形式で受け渡されるので,リレーする回数が多ければ多いほど,パケットの行き来には時間がかかるようになる。また,たまたま混雑しているルーターを通れば、いわゆるパケ詰まりのような状態になってより所要時間が増すという具合に,パケットの通り道(経路)には多くのオーバーヘッドが存在している。

 経路上のオーバーヘッドはバカにできないもので,そのことはWindowsのコマンドプロンプトからpingコマンドを実行してみるとよく分かる。
 pingコマンドは,ICMP(Internet Control Message Protocol,インターネット制御通知プロトコル)を使った要求「ICMP Echo Request」をホストに送り,ホストが「ICMP Echo Replay」というパケットを返すまでの時間を測定するコマンドだ。

 「サーバーにパケットを送り,サーバーから返事が戻ってくるまでの時間を測る」という意味において,ここでいうpingと,ゲームにおけるpingは同じもの。ただし,ゲームの場合はUDP(User Datagram Protocol)が主に使われるので,試用するプロトコルが異なることになる。また,ゲームの場合はゲームサーバーがデータを解釈して返事を返す必要があるが、ICMPのpingにおいては,一般に,データ部分をサーバー側で解釈する必要がないといった細かな違いもある。

国内でよく知られたサーバーに向けてpingコマンドを実行すると,ほとんどの場合,応答に数ms〜数十ms程度の時間がかかると分かる
画像集#018のサムネイル/ゲーマーは自宅の回線をWiMAX化できるか。据え置き型ルーター「URoad-Home」を使ってみた
 話を戻すと,ICMP Echoのパケットサイズは任意に変更できるが,Windows上のpingコマンドだと,標準のデータサイズは32bytes。それにICMPヘッダの8bytesとIPヘッダの20bytesを合わせ,60bytesという小さなパケットの往復にかかる時間を測定するものになる。

 最近はセキュリティ上の理由からICMP Echo Requestを受け付けないサーバーも多いが,返してくれるところで調べると,FTTH回線でも数ms(ミリ秒)〜数十ms単位の時間がかかることが多い。
 このpingの応答時間は,サーバー側でレスポンスにかかる時間がほとんどゼロに近いことと,パケットのサイズが非常に小さいことから,経路のオーバーヘッドそのものと見ていい。なので,この数ms〜数十msというオーバーヘッドが,pingにも影響を与えているわけだ。

 そして,通信に電波を使うWiMAXの場合は,電波強度に応じて変調方式を切り替え,フレームサイズ(=一度に送るデータの量)を変更するという,電波ならではの複雑な動作方式を採用している点が,追加でオーバーヘッドの要因となる。常に変化する電波状況に応じて変調方式を動的に切り替えて対応しているため,こうした複雑な動作が,ゲームにおけるpingにも影響を与える可能性は大きい。

 というわけで,まずはpingに最もシビアなゲームジャンルであるFPSではどうなのかを,「Enemy Territory: Quake Wars」(以下,ETQW)を使って調べてみることにしよう。

 なぜいまETQWかと疑問に思う人もいると思うが,これは,筆者が現在もETQWのサーバーを運用しており,利用し慣れているうえ,自由にテストを繰り返せるからだ。ETQWのゲームエンジンは,id Software独自の「id Tech 4」をベースに,新世代の「id Tech 5」にも取り入れられたレンダリング技術「MegaTexture」を追加したもので,現役のゲームエンジンとして使われているからでもある。ゲームタイトルとしては古くても,マルチプレイFPSの代表として使うことに問題はないだろう。

 さて,プレイ感だが,これは実際にプレイムービーを見てもらったほうが早そうだ。下に示したのは,千葉市内にある筆者の自宅で,クライアントPCとURoad-Homeとを有線LANでつなぎ,都内の事務所内に設置したETQWサーバーへログインし,実際にプレイしているときのものである。自宅PCのスペックは,GPUが「ATI Radeon HD 4750」,CPUが「Phenom II X4 940 Black Edition/3.0GHz」,OSは32bit版Windows 7 Professional+SP1という構成で,ETQWをプレイするだけなら十分すぎるほどの3D性能を持った構成となっている。
 なおムービーは解像度1920×1080ドットでプレイし,録画したものを,掲載にあたって1280×720ドットへリサイズをかけた。


 これといって不自然なところはないように見えるかもしれないが,pingはほぼ3桁台で推移する。つまり,10分の1秒以上の遅れが生じるわけで,プレイヤーからすると,若干のラグを感じつつプレイしている状況にある。
 具体的にいうと,「引き戻され感」というか,ググッと体が引き後ろに引っ張られる感じがまれにあるほか,ビークルに乗り込むときのラグや,撃ち合いにおける不利を感じることもある。
 また,まれに,操作が一時的にできなくなることもあった。ムービー中,21〜26秒くらいのところで,銃を持たない状態に切り替えたままビークルに乗っているが、このときに実は銃を持つ状態に切り替える操作を行えなかったのだ(※筆者の「プレイ中にマウスをクリックするクセ」が出ているため,武器を振る動作が繰り返されている)。これは自宅で検証したときだけに生じた問題なので,回線状況があまりよくないときには,一部のパケットがサーバーまで正常に送られなくなるのかもしれない。

 それでもETQWはチーム戦なので,ラグや操作不能が不快ながらも遊べてしまうが,1 on 1のようなシビアな戦いをこの環境でやろうとは思わないレベルだ。

 ちなみに,ネットワーク回線をFTTHへ変更したのを除くと同条件でプレイした結果が下のムービーとなるが,ラグをまったく感じられないのがムービーからも分かると思う。普通にプレイできており,敵とも対等に撃ち合えている。


 なら,より電波状況のいい都内の事務所内ならWiMAX接続時のプレイ感が改善するかというと,意外にそうでもなかった。それを示したのが下のムービーで,確かに改善は体感できるものの,それでもラグはわずかに残るのである。電波状況とpingの間に大きな相関関係はないと見るべきだろう。かねてより言われているように,やはりWiMAXの電波を使ったパケットのやり取りそのものがpingの悪化を招いているのではないかと思われる。


 なお,ETQWでは,サーバー側のコマンドでプレイヤーのping情報が得られるので,サーバースクリプトを使ってpingを記録した結果を下のとおりグラフで紹介しておきたい。

 ここでは,マルチプレイ開始から100秒間のping推移を,ムービーで示した3条件で追っている。FTTHだとpingは30ms前後に収まっており,ワーストで50ms台を記録するものの大幅な変動は少なく,おそらくこれがラグを感じにくい理由になっているのだろう。ちなみにFTTH回線では,休日の昼間だとpingが平均10ms以下で安定することもあった。
 一方,URoad-Homeのスコアは都内,千葉市内ともFTTHと比べるとかなり悪化しており,最小でも100ms前後といったところだ(※昼夜,平日休日を問わず)。ただ,千葉市内でテストしたときのほうが変動は大きい。体感でもムービーでも,URoad-Home利用時は都内よりも千葉市内のほうがラグを強く感じられたが,このことはグラフからも裏付けられるわけだ。pingの変動幅が大きく,頻度の多いことが,プレイしづらさにつながっているのではと推測している。

画像集#014のサムネイル/ゲーマーは自宅の回線をWiMAX化できるか。据え置き型ルーター「URoad-Home」を使ってみた

 このほか,付け加えるべき事項もある。
 今回は都合3週間ほど試用したが,千葉市内でURoad-Homeを使ったときには,期間中,ゲームプレイが不可能なレベルにまでpingが悪化したことが1回だけあった。また,日時による変動も大きな印象で,「プレイできなくはないが相当厳しい」ということも週に1回程度の頻度で生じている。

 特定の曜日だけ悪化するということはなく,また,天候も関係ないようだったので,理由は定かではないのだが,ネットワーク接続環境が悪化しているときにはpingコマンドでパケットロスが観測されたこともあったので,単純に「WiMAX回線が混んでいる」というだけの理由ではなく,電波の伝搬状況に問題が生じることがあるのではないかと推測している。
 たとえば何らかのノイズなどが原因で,WiMAX物理層においてパケットが失われているのかもしれない。

 問題は,調子が悪くなることを予測できないので,「調子が悪くなりそうだからそのタイミングはゲームをしない」という対策が取りづらいことだ。また,そもそもの話として,調子がよくても,やはりpingの値はよろしくない。徹頭徹尾リアルタイム性が求められるマルチプレイFPSをプレイする前提だと,WiMAXは今のところ勧められないというのが,ここまでのテスト結果から導ける中間的な見解だ。


FPS以外なら十分にプレイ可能

MHP 3rdもとくに問題なし


 以上,PC版のマルチプレイFPSという,最もシビアなタイトルでWiMAXの使い勝手を試してきたが,さすがにこれだけで判断するのは厳しいため,コンシューマタイトルやPCオンラインゲームなどもざっと試してみた。筆者は基本的にFPS以外のタイトルをほとんどプレイしないので,以下はどちらかというとプレイ感覚のレビューというよりネットワーク周りの挙動確認というイメージになるが,計5タイトルのインプレッションをお届けしてみたい。

・Call of Duty: Modern Warfare 3(PlayStation 3)
 無線LANでPlayStation 3をURoad-Homeと接続できることを確認のうえ,テストは有線LANで行った。今回はデスマッチを行ったが,印象はETQWと同じで,端的に言えば「ラグは確実にあるが,ネットワーク状況がよければ遊べなくもない」というレベルだ。積極的には勧められない。

・モンスターハンターポータブル 3rd(PSP)
 4Gamerの御月亜希に編集部から参加してもらいつつ,PlayStation 3のアドホック接続を使って協力プレイしてみた。このときPSPは,AES TKIPで暗号化したURoad-Home側のセカンダリSSIDに接続している。パスフレーズの設定さえ間違えなければ,まったく問題なくPSPはWiMAXネットワークに接続可能だ。
 手元のPSP上における動きに違和感はなく,確認してもらったところ,筆者のキャラの動きにもおかしなところはないとのことだった。FPSほどのシビアな動きが求められなければ,アクションゲームでも十分プレイできるというわけだ。先に述べたような接続環境の極端な悪化さえなければ普通に遊べそうである。


・マビノギ(PC)
 典型的な3Dオンラインゲームとしてピックアップ。操作感に違和感はまったくなく,キーボード操作に対するレスポンスはFTTH回線との違いがあまり感じられなかった。もともと大がかりなネットワーク接続環境は求められないだけに,ラグも目立たないのだろう。

・RIFT(PC)
 描画負荷が高めの3Dオンラインゲーム代表として選んでみたが,こちらもマビノギと変わらない印象だ。先に述べたような,極端な電波状況の悪化さえなければ、問題なく遊べるだろう。

・モンスターハンター フロンティア オンライン(PC)
 3Dオンラインアクションの代表として用意したが,これもFTTH接続時とキーボード操作に対するレスポンスは、さほど変わらない印象を受けた。プレイしづらいとか,とっさの反応が遅れるといったこともない。


「リアルタイム性がシビアに要求されるタイトル」

以外なら問題なし。制限を受け入れられるかがカギ


URoad-Homeの製品ボックス
画像集#015のサムネイル/ゲーマーは自宅の回線をWiMAX化できるか。据え置き型ルーター「URoad-Home」を使ってみた
 というわけで,「URoad-Homeを固定回線の代わりに使えるか?」という問いに対しての回答は,「FPSのように,リアルタイム性がシビアに求められるタイトルはかなり厳しいが,そうでないならオンラインアクションも十分プレイできるので,FPSをプレイしないならアリ」といったところになるだろう。
 ただこれは,なかなか悩ましい回答でもある。普段からプレイするタイトルがほぼ固定されている(筆者のような)プレイヤーなら判断も容易だが,そうでなければ,いまはFPSをプレイしていなくても,将来的に仲間内などで流行したとき,自分だけ悲しい思いをしたりすることも生じ得るからだ。

 なので,WiMAX回線とURoad-Homeを,固定回線代わりにできるかどうかは,その人のプレイスタイル次第だ。最終的にはそういう結論になる。
 pingの大きさや不安定さが気になるのであれば,FTTHやADSLといった固定回線を選んだほうがいい。逆にそうでないなら,FTTHやADSLと並んで,自宅(+α)におけるインターネット接続環境の選択肢として,WiMAXは考慮に値する存在である。

 なお,すでに述べたとおり,WiMAX回線環境の善し悪しは場所によってずいぶんと異なるうえ,条件のあまりよくない場所では日時によって回線状況が悪化するという例が見られた。WiMAX回線でゲームをプレイしたいと考えている場合は,導入前にサービスエリアだけでなく,実際の電波状況もチェックしておいたほうがいいだろう。
 幸いにして,UQコミュニケーションズは,自社のWiMAX接続サービス「UQ WiMAX」で,普段の生活環境でWiMAXが使えるかどうかを無料で試せる「Try WiMAXレンタル」というサービスを提供している。完全に新規で,固定回線の代わりに導入したいという場合には,こちらをまず試してみることを勧めたい。

UQコミュニケーションズのTry WiMAXレンタル情報ページ

UQコミュニケーションズ公式Webサイト

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