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[Gamefest 08#01]「Gamefest Japan 2008」開催。より広く,より高度で,より新しく,マイクロソフトが目指すゲーム開発の世界
基調講演を行ったマイクロソフトXNAグループ部長の田代昭博氏は,同社のゲーム開発サポートの状況をまとめて紹介した。曰く,幅広いプラットフォームへの対応,新しい技術,新しい体験という3項目を挙げ,これらが業界を活性化していくうえで重要だという。
まず,マイクロソフトが対応しているゲームプラットフォームとしては,2000万台を突破したXbox 360をはじめ,毎月3000万人がゲームをしているというMSNメッセンジャー,10億台のWindows PC,1200万人規模となったLIVE(Xbox LIVEとGames for Windows LIVE),昨年7月から今年6月のほぼ1年間に1800万台を売り上げたWindows Mobile,そして日本では発売されていない音楽プレイヤーZuneが挙げられた。確かに大から小までいろいろ揃っている。マイクロソフトでは,今後も幅広いプラットフォームの確保を約束するという。
4Gamerに関係が深いところでは,Windows PC10億台のうち,1億台がWndows Vistaだそうで,Vista発売以来1年半,Windows XPの販売が終了していることを思えば,まだ伸び悩んでいる雰囲気ではある。興味深いのは,今後は64ビット版が主流になるとしていることで,北米ではこの秋発売のPCのうちデスクトップモデルの55%,ノートPCの19%が64ビットOSを搭載するという。今回のセッションでは64ビットOSでの開発をテーマにしたものもあり,マイクロソフトとしても64ビット化に力を入れている模様だ。日本での状況を見る限り,それほど64ビットOSが流行っている様子はないのだが,メモリモジュールの価格が順調に下がってきていることもあり,64ビットOSに注目する人も今後増えてくるだろう。
次に最新技術としてDirectX 11の概要が紹介された。ハードウェアでのテッセレータ,演算シェーダなどをDirectX 10世代のグラフィックスカードでもサポートしていくという。
XNA関係では,XNA 3.0でXbox LIVEの機能がほぼサポートされることなどが新しい技術として挙げられていた。また,XNAは3.0でZuneに対応したが,今後はマイクロソフトがサポートする,あらゆるプラットフォームに対応していくという。
新しい体験としては,Windows上でのゲームの取り扱いをまとめたGames for Windows LIVEで,セキュリティやペアレンタルコントロールで保護された安全で安心なコンテンツが利用できるようになったこと,Wndows VistaでDVDを入れるとすぐにゲームが起動するなどの要素が紹介された。この秋からはGames for Windows LIVEでもマーケットプレースが利用でき,マルチプレイヤー機能が無償で提供されることなども明らかにされた。
Xbox 360では,E3で発表された新しいUIやアバター機能の追加などで,これまで以上に親しみやすいものになっていくことが示された。
LIVEの部分では,コミュニティゲームズが登場し,一般のユーザーが作成したゲームをマーケットプレースで公開する仕組みが用意される。YouTubeやニコニコ動画のゲーム版といった位置付けとのことだが,これは個人レベルで制作したゲームを全世界で販売する仕組みとなる。なかなか画期的な試みといえるだろう。
コミュニティゲームズの登場とあわせて,これまでにないような手軽にゲームを配信できる環境が整いつつあるといってよいだろう。
マイクロソフトは,ゲームのプラットフォームを広げ,技術を磨き,新しい体験を提供するという部分で今後もイノベーションを続けていくという。ユーザーコミュニティをターゲットとした開発環境と発表の場を用意するという方向は,これまでのゲーム業界では見られないものである。ユーザークリエイトコンテンツの流れがゲームでも花開くのか,今後の動向が注目されるところだ。
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