インタビュー
[TGS 2007#52]PvP特化型オンラインゲーム「Fury:Unleash the Fury」は,マーケットに合わせた独自仕様で勝負
そんな日本マーケットを,果たしてAuranはどうとらえているのだろうか。そもそも日本でサービスを始める予定はあるのだろうか。PvPがメインのオンラインゲームは,プレイヤー数が少ないと,面白みがなくなってしまうだけに,日本人のゲーマーとして気になることを,AuranのDirector兼CFOであるGraham Edelsten(グラハム・エデルスタン)氏に聞いてみた。
4Gamer:
早速ですが,ChinaJoy 2007にも出展したことを考えると,アジアへの進出を本格的に考えていると思っていいんですよね。
Auran Director兼CFO Graham Edelsten氏 |
来月,オセアニア,ヨーロッパ,アメリカで正式サービスを開始します。そして,その後韓国と中国でもサービスを行う予定です。もちろん,日本も視野に入れていますよ。
ただし,アジアでは現地のパブリッシャと話し合い,そのマーケットに合った仕様にカスタマイズを行うつもりです。
4Gamer:
それはちょっと意外でした。各国の事情に合ったカスタマイズを行った場合,ゲームとしてのバージョン管理はどのように行うのでしょうか。
エデルスタン氏:
来月サービスを開始するオセアニア,ヨーロッパ,アメリカ版は,我々が直接管理をするのですが,アジアに関しては,その国のパブリッシャにまかせることになります。
4Gamer:
ということは,例えば,日本でサービスを開始するとしたら,日本サーバーができるということですね。
エデルスタン氏:
ええ,そうなりますね。日本を始め韓国,中国には,オンラインゲームの運営ノウハウを持ったパブリッシャがかなりあります。ですからその地域のマーケット事情を良く知った会社におまかせしたほうが,プレイヤーが楽しめるものになると思います。
4Gamer:
PvPがメインのゲームは,人が多ければ多いほど楽しめると思いますが,Furyの場合はどれくらいの人数が必要だと思いますか。
エデルスタン氏:
そうですね,1万人ぐらいいるとFuryの面白さを十分に感じられると思います。
4Gamer:
では,仮に日本と韓国でサービスを行っていて,どちらの国のサーバーもあまり人がいなくなってしまったとします。その場合,まったく別のサービスが行われてきていた2か国のサーバーを統合するようなことは可能でしょうか?
エデルスタン氏:
そういったことができるように設計しています。
もちろん,そんな状況にならないのが一番なのですが,PvPを好きなプレイヤーが気にするのはプレイヤー数なので,そういった可能性が考慮してあると聞いて安心しました。
エデルスタン氏:
また,FuryはPvPをメインにデザインしていますが,PvEの実装も考慮に入れてあります。ですから,各国の事情に合った対応ができますよ。
4Gamer:
あれ,PvEも実装可能だったんですね。ChinaJoy 2007でお話を聞いたときは,PvPだけにフォーカスしたのが,Furyの特徴だと聞いていたので,びっくりしました。
エデルスタン氏:
ええ,あくまでもPvPがメインですが,柔軟な対応をできるようにしてあるのです。ゲームのサービスが長く続き,要望があればPvEを実装する可能性もあるでしょう。
4Gamer:
βテストをプレイした人達の反応はどうでしょう?
PvP自体をあまり好きではない人は,Furyに興味を持っていないようですが,PvPが好きな人は,前向きな意見を寄せてくれていますね。すぐにでも正式サービスでプレイしたいという声も聞いていますよ。さらに嬉しいのは,普段FPSを好んでプレイする人達もFuryを遊んでくれていることですね。
4Gamer:
あまり,MMOやMOを遊ばないFPSファンにも評判がいいとは驚きですね。それはなにが評価されていると思いますか。
エデルスタン氏:
Furyのスピード感がうけているようです。
4Gamer:
確かにFuryの戦闘は,オートアタックではなくアクション性が高いですからね。
では,PvPを好む人が少ないといわれている日本でサービスするとしたら,どのような方向性でサービスをしようと思っていますか。
エデルスタン氏:
具体的なプランはマーケットの事情に詳しいパブリッシャと相談して決めたいと思っています。例えば,インスタンスダンジョンを追加したほうが日本のプレイヤーに喜ばれると提案されれば,対応できますよ。
ただ,いままでのオンラインゲームで行われていたPvPとFuryのそれとは別物だと思ってください。これまでPvPを好きでなかった日本人プレイヤーも,FuryのPvPを気に入ってくれるかもしれません。
4Gamer:
なるほど,食わず嫌いの人もいると思うので,その可能性はありますね。ところで,国によってプレイヤーの反応に差はありますか。
ヨーロッパなどでは,PvPがメインというだけで,かなり魅力的に映ったようです。ですが,アジアではPvPがメインのゲームと聞くと,構えてしまう人もいたようですね。あぁ,でも中国とか韓国と日本は別かな?
Furyにはキャプチャーザフラッグのようなルールや,4対4のグループ戦,バトルロイヤル風のものなど,PvPと一言でいってもいろいろと用意してあり,ヨーロッパの人達はそれらをスポーツのように楽しんでいるようです。
4Gamer:
アジアでは独自に進化してきそうなFuryですが,オリジナル(?)はどのような方向性で発展させていく予定ですか。
エデルスタン氏:
オセアニア,ヨーロッパ,アメリカでは10月にサービスインしますので,実際にプレイヤーの声を聞いてから判断していきます。
4Gamer:
Furyはさまざまな仕様に対応しやすいということですから,その利点を生かすわけですね。
エデルスタン氏:
そうですね。そしてさきほどもお伝えしたようにアジアでは現地のパブリッシャと協力して,よいゲームを提供してきます。
4Gamer:
アジアではいつ頃正式サービスを開始する予定ですか。
エデルスタン氏:
韓国と中国では2008年の中頃にはサービスを開始できると思います。そして,東京ゲームショウに来ていることからも分かるように,日本でのサービスも行いたいと思っていますよ。
4Gamer:
色々な国でサービスを行っていく予定ですが,ところでローカライズはしやすいように設計されているのでしょうか。
エデルスタン氏:
基本的には各国のパブリッシャに翻訳してもらい,私達がそれをゲームに組み込んでいきます。すでにドイツ語,フランス語,イタリア語などにローカライズしているので,問題ないでしょう。
4Gamer:
それらの国々はアルファベットを使いますけど,アジアでは2バイト文字が主流です。そのあたりは大丈夫でしょうか。
エデルスタン氏:
すでに2バイト文字に対応させていますよ。
4Gamer:
そうだったんですね。安心しました。
エデルスタン氏:
ヨーロッパやアメリカでは一定の成功を収められると予想していましたが,アジアは未知数でした。ですが魅力的な市場ですので,そこでよいサービスをスムースに行うために,準備していたのです。
実際に東京ゲームショウに出展したところ,かなり好意的な意見をいただいており,ちょっとびっくりしていますが,アジアでやっていく自信がつきました。ただ,日本でのサービスはまだ決まっていないので,早く決めることが私の仕事です。
4Gamer:
いいニュースが届くのを待っていますね。
Furyはオープンβテストを行っており,ゲーム内イベントの「Fury Challenge」を開催しています。英語版になりますが,ぜひ日本からも参加してください。以前のβまでに比べるとだいぶクライアントも進化しているので,イヤになってしまった人も,ぜひ戻ってきてください。
ゲームのやり方を覚えるのがちょっと難しいところがあり,初心者の人などはイライラしてしまうかもしれませんが,すぐに投げ出さないでもらいたいです。プレイしていけば,きっとFuryの楽しさが分かると思いますから。
もちろんチュートリアルなども改善していき,よりよいものにしていきますよ。
4Gamer:
ええ,期待しています。本日はありがとうございました。
とはいえ,Furyを通してPvPを好きになる可能性もあると考えているようで,決して自分達の作品に自信がない,というわけではない。あくまでも良いサービスを提供し,プレイヤーを楽しませることを第一に考えているようだ。
限定βテストに触れた人なら知っていると思うが,FPSともアクションゲームともつかないちょっと変わった感覚のPvPゲームであるFuryは,今後どう発展していくのかが興味深い。GuildWarsを明確に意識している発言も見られるし,また違う方向性になっていくであろうことは想像に難くない。
まだ日本での正式サービスは決定していないが,パブリッシャ数社と接触はしている模様。日本のパブリッシャとしっかりタッグを組み,良いサービスを提供してくれる日がくることを期待したい。
(Photo by kiki)
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