インタビュー
激動の1年を振り返る。「The Tower of AION」運営チームインタビュー
例えば,当時の国内オンラインゲームは,アカウントハックの被害が蔓延しつつあったが,それに集中的に狙われたのがAIONであった。エヌ・シー・ジャパンが決してMMORPGの運営に不慣れなわけではないことは誰にでも分かると思うが,どんなに対処しても絶滅する気配のない規約違反キャラクター(BOT)の存在は,業者にとってAIONがどれだけ"儲かる"ものかを端的に示しており,ある意味,人気の裏返しといえるものだろう。
ゲーム内バランスに関しては,日本では天族への人気が集中しがちで,天族と魔族によるPvPという基本コンセプトを成立させるのに苦心してきた。さらには業界内では比較的高額な課金システムも相まってか,正式サービス開始から1年を迎えた7月27日にワールド統合を行うことになった。
しかし,AIONはこれからが要注目である。すでにお伝えしているように,この7月は怒涛の勢いで1周年イベントを行っており,今後は超大型アップデート「Episode 2.0」も控えている。今回は,AIONの運営チームから張 盛然氏とエヌ・シー・ジャパンのPRTeamの金子晃利氏の両名にこの激動の1年を振り返ってもらうと共に,ワールド統合をはじめとした,今後の展望などについても話を聞いてきたので,プレイヤーは隅々まで目を通してもらいたい。
AION激動の一年を振り返る
本日はよろしくお願いします。
まずは,お二方がそれぞれ,どのような形でAIONに携わっているのかを聞かせてください。
PR Team金子晃利氏(以下,PR金子氏):
AIONを含め,弊社の全タイトルのPRチームを統括している,金子と申します。
張 盛然氏:
NCJが運営するタイトルのコーディネートを担当している,張 盛然(ジャン・ションヨン)です。韓国NCsoftとのやりとりが主な業務内容で,時期によってやることは異なります。プロデューサーから雑用係まで,サービスを円滑に進めるための何でも屋といったところですね。
4Gamer:
現在は,プロデューサーの役職の方はいないのですか?
PR金子氏:
はい。AIONは弊社にとって最も力を入れているタイトルということもあり,少し前からチーム体制を変更しています。現在は各ジャンルのスペシャリストに,一般的なプロデューサーと同じ権限を与えています。以前と比べると,業務が全体的に行いやすくなっていますね。
4Gamer:
そうでしたか。AIONが国内サービスを開始してから1年が経ちましたが,これまでを振り返り,率直な心境はいかがですか。
PR金子氏:
この1年間,ゲーム内外であまりに多くの出来事がありました。「やっと1年」という気持ちと,「まだ1年」という気持ちが入り混じった,複雑な心境ですね。
昨年の7月7日の午前7時にオープンβテストを開始しましたが,あのときのユーザー間の盛り上がりは今でも鮮明に覚えています。しかし,その後はさまざまなトラブルに直面して,とても苦労した1年でした。
内部スタッフとして,OBTが開始する前からローカライズ作業に携わっているので,実質1年以上が経ちます。しかし,正式サービス後は常にトラブル対応に追われており,あっという間に時間が過ぎていきました。1年どころか,半年くらいしか経っていないような気がしますね。
4Gamer:
サービス当初のトラブルというと,アカウント盗用とBOTの被害が特に顕著でしたね。これらに関して,現状はどのようになっていますか。
アカウント盗用に関しては,セキュリティカードをはじめとした一連の対策が功を奏し,現在は鎮静化の方向にむかっています。BOTやRMTなどについても常に対策を行っており,その結果については公式サイトを通じて発表させていただいています。また,4月には専門部署の"セーフティプロテクション"(SP)を立ち上げ,BAN制裁などのアクションを続けています。
4Gamer:
4月末から相当な勢いで処分されていますね。
PR金子氏:
はい。それと,これはプレイヤーからは見えにくい部分ですが,例えば不正行為を行う団体に対しては,アカウント取得のタイミングで阻止するなど,さまざまなところで目を光らせています。
また,SPチームが不正行為への対策を専門的に行うことで,FSチームはゲーム内外でお客様を楽しませるという,本来の目的に人的リソースを回すことができるようになりました。サービスイン当初は,トラブル続きで「そんなことやってる場合か!」といった状況でしたが,その辺りはだいぶ改善されてきています。
4Gamer:
ゲーム内でBOTの目撃頻度が減るなど,プレイヤー視点での認識の変化が起こっていると思われますか?
PR金子氏:
以前と比べると体感レベルでも大分違っているはずですが,「いる」か「いない」かという視点では,現在も間違いなくいます。不正行為への対策は慎重に行っており,そのため若干やきもきしているプレイヤーもいらっしゃるかと思います。BOTに関しては今後も引き続き,最優先事項の一つとして対応していきます。
ワールド統合は,なぜ必要になったのか
4Gamer:
7月27日に,AIONのワールド統合が行われます。9あるワールドが5まで減少するわけですが,まずは統合に至る経緯について聞かせてください。
PR金子氏:
AIONはOBT直後をピークに,非常に多くの方々に興味を持っていただきました。当初想定していたサーバー規模では到底収容できないことが分かり,かなりの余裕を持ってワールド数を増やしていきました。
4Gamer:
ワールド数がここまで一気に増えた理由には,多くのプレイヤーが天族へ殺到していたことも影響していそうですね。
はい。一時期,全ワールドで天族の作成制限がかけられましたが,天族で遊びたい人にとって思うように遊べないという事態だけは,なんとしても避けたかったのです。ワールド数を9に増やすことで,作成制限の問題は解消されました。しかし一方で,天族と魔族の人数バランスに関しては,ややおざなりになっていました。
4Gamer:
そして,ワールドごとの人口も上がりきらないままワールドだけが増えていったと。
PR金子氏:
その後,時間が経つことでプレイヤー数が少しずつ減り,その問題が浮かび上がってきました。パーティ編成に長時間を要するなど,お客様に不便な思いを強いることになってしまいました。
弊社としては,これまでさまざまな対策を検討・実施してきましたが,最終的にワールド統合という判断を下すことにしました。
4Gamer:
プレイヤー数が減っていった原因については,どのように分析されていますか?
PR金子氏:
まずは,レベルキャップの到達速度をはじめ,プレイヤーのコンテンツ消費速度が,我々の想定を大きく上回っていたことです。そしてもう一つは,アカウント盗用やBOTなど,さまざまなトラブルに対する運営対応が遅れたことです。当時は対応スピードが求められる中,お客様のご期待に応えることができませんでした。
張 盛然氏:
当時の弊社はFSも含め,スタッフ一同が全力で,それらの対応に取り組んできました。しかしそれでも,多くのお客様にとって満足のいくレベルではなかったのだと思います。
4Gamer:
サービスイン直後に,外部からあそこまで大規模に攻撃されたタイトルって,これまでなかったかもしれませんね。
AIONのサービスが始まる少し前から,日本国内のオンラインゲーム業界全体で,アカウントハックの被害が深刻になりつつありました。その後,AIONはセキュリティカードを導入しましたが,同じような時期に他社さんでも似たサービスを見かけるようになりましたね。
4Gamer:
業界的にかなり深刻な問題になってきているということですね。
PR金子氏:
いずれにせよ,お客様に,対応が遅れていると見られてしまったのは事実です。その気持ちも我々は理解しており,大変申し訳なく思っています。
張 盛然氏:
少し話が戻りますが,先ほどコンテンツの消費速度の話があったように,多くの顧客のニーズを理解してちゃんと提供できなかったのも離脱の原因だと思います。コア層にはコンテンツの追加が必要ですが,ライト層にはコンテンツの遊び方,いわゆる攻略ガイドが必要だったと思います。今年春から主要インスタンスダンジョン中心で攻略を提供しながらゲームイベントを集中させているのはコンテンツをちゃんと消費してもらうためです。
4Gamer:
「Episode1.5」から「Episode1.9」までの間が若干開いてしまった感じはしますね。
コンテンツの消化速度は,MMOをサービスするうえでの大きなポイントですが,AIONはそれに対しRvRへの誘導を行うというコンセプトでした。この点についてはいかがでしょうか。
PR金子氏:
RvRのゲームシステム自体は,今でも大きな問題はないと思っています。しかし,先ほど申し上げたように種族間に大きな人数差が生じていると,パワーバランスが崩れてしまいがちです。種族作成制限によるコントロールも行いましたが,これをあまり強引にやってしまうと,人が離れていってしまいますし。
4Gamer:
今では大分落ち着いてますが,サービス開始当初は天族に大きく偏っていましたからね。人数バランスという意味では,AIONのサービス国の中で日本が一番酷かったのでは。
張 盛然氏:
そうかもしれません。
人口ではなく勢力比を重視:ワールド統合はどのように行われるのか?
4Gamer:
続いて,ワールド統合の目的や,統合の具体的な仕様などをお聞かせください。
PR金子氏:
統合の第一の目的として,サーバー内のプレイヤー数を底上げすることが挙げられます。それにより,パーティ編成などの基本的なゲーム環境が改善されます。
4Gamer:
"ジケル"ワールドだけは統合とは無関係なんですよね。相対的に,統合後の4ワールドと比べると人数が少なくなりそうですが。
ジケルをそのままにした理由は,9ワールドの中で両種族の人数比のバランスが取れていたからです。これは,作成されたキャラクター数を単純に見ているのではなく,アクティブプレイヤー数や,パーティ編成を踏まえたクラス数も考慮しています。ある意味,理想にもっとも近いのがジケルワールドですね。
ただし仰るとおり,ワールド統合後は,ワールド内人口が相対的にほかのワールドより少なくなってしまいます。これに関しては,新規誘導キャンペーンなどでサポートしていく予定です。
4Gamer:
ワールド内の人数が底上げされることで,遊びやすくなるのは分かります。AIONの場合は,2種族の人数バランスも考慮する必要がありますが,統合にあたりこの点をどのように考慮しましたか。
PR金子氏:
ワールドが統合されることで,種族のバランスをイーブンに持っていくことが理想です。しかし,これに関しては,アクティブプレイヤー数だけでは推し量ることができず,判断が非常に難しかった部分です。では実際に,ワールドのカップリングをどのように決めたのかについてですが,勢力比すなわち"現在占領している要塞の数"など複数の要素を参考にしました。ちなみに,勢力比を過去数か月に遡って集計した結果は,このようになります。
(資料を見る。公開はできないが,各ワールドのリアルな状況が示されている)
4Gamer:
これまで"シエル=天族優勢""イズラフェル=魔族優勢"というイメージを漠然と抱いていましたが,実際はむしろ逆になっているんですね。アクティブプレイヤー数は魔族のほうが少ないのに,勢力比では上回っているワールドもありますね……。
このような感じで,何十時間,何週間もかけてRvRのデータを集めていきました。この作業のおかげでゴールデンウィークは潰れてしまいましたが,結果としてベストのカップリングができたと自負しています。
4Gamer:
全ワールドのトータルで見ると,種族間の勢力比はそんなに悪くない感じですね。この表を見る限り,ですが。
張 盛然氏:
はい。ちなみに全ワールドのトータルだと,魔族が43%の勢力比となっていますが,個別ワールドを見ると片方の種族の勢力比が70%以上のワールドもいくつかございます。ワールド統合後は,すべてのワールドにおいて最適なバランスに近づくはずです。
4Gamer:
ワールド統合によって,ゲームの基本的なプレイや,種族間バランスが向上するのは分かりました。しかしサーバーを統合するという時点で,プレイヤーにとって不便さがどうしても出てきます。例えば,名前が重複した際のルールはどうなっていますか。
張 盛然氏:
ワールドを統合するにあたり,"存続ワールド"と"非存続ワールド"の二つに分けました。非存続ワールドのキャラクターが,存続ワールドに移動するという形になります。そして,両方のワールドで同じ名前のキャラクターがいた場合は,非存続ワールド側が名前を変更する必要があります。
4Gamer:
やっぱり,そのようにせざるを得ないですか。
お客様にとって,極力リスクのない方法を模索した結果,この方法を選びました。仮に,まったく新しいサーバーを用意して,全員を引越しさせれば,存続/非存続に関係なく名前を変更する必要があるでしょう。しかし,この場合だと,必然的により作業時間も長くなってしまい,結果パーティ編成時間などの問題がより深刻化してしまいます。非存続ワールドのお客様には申し訳ありませんが,ご容赦いただきたいと思っております。
4Gamer:
しかしそのルールだと,存続ワールドに適当なキャラクターをこれから作られても,名前が被ったら統合時に弾かれてしまいます。対人戦を掲げるタイトルですし,ハラスメントが起こる可能性も否定できませんが,この点はなんとかならなかったのでしょうか。
PR金子氏:
それに対しては,例えばレベル○○未満のキャラクターは弾くなどの方法を検討しましたが,主に技術的な問題により取りやめました。
その代わり,代案というわけではないのですが,今回のワールド統合を機に,キャラクター名に使える文字として,今まで使えなかった「・」を使用できるようになります。
4Gamer:
根本的な解決ではないですが,名前の選択肢が増えるのはいいですね。
続いての質問ですが,存続ワールドと非存続ワールドに,天族と魔族のキャラクターをそれぞれ作成していた場合,どのようになりますか。
PR金子氏:
天族と魔族の対立構造はAIONのメインコンセプトで,ここを変えるつもりはありません。仮に,同一アカウントの同じワールド内に,両種族のキャラクターが共存してしまうと,ゲームそのものが成り立たなくなります。しかしながら,今回のアクションによって,こういった状況が発生することは把握しており,これへの対応はワールド移動なども含め,統合実施後,すぐにお知らせさせていただく予定です。
4Gamer:
特例ですね。
もちろん,いずれかのキャラクターを任意のワールドへ移動していただきます。ワールド統合から期限を定める予定ですので,ぜひとも期間内で皆様のご理解とご協力をお願いしたいというところです。
4Gamer:
なるほど。名前が変わることで生じる,コミュニティに対する影響も気になります。
張 盛然氏:
名前を変えた場合も,フレンドリストにはそれが反映されるようになっています。非存続ワールドの方は,知らない名前がフレンドリストに表示される可能性が出てきますが,一度確認してみてください。あとはコメント欄に「以前○○という名前でした」と記入しておくのも,一つの手かもしれません。
4Gamer:
統合発表後のユーザーの反響はいかがですか?
PR金子氏:
賛成,反対,中立と,いろいろな人がいますね。全員がハッピーになれるのが一番ですが,サーバーを統合する以上,どこかで不満が噴出するのは避けられません。そういった中,できるだけ不満が出にくいようにしながら,統合によって得られるメリットをしっかり伝えていくのが我々の役割だと考えています。
4Gamer:
これは個人的な印象ですが,ワールド統合の案は,以前からちらほら要望としてあったものの,いざ統合を発表すると,反対派の声を多数見かけるようになりました。運営する側にとって,フィードバックを的確に吸収するのは大変だなぁと思ったのですが,そのあたりはいかがですか。
PR金子氏:
ここは我々にとって反省すべき点ですが,ワールド統合を行うことを最初に発表したときに,統合の具体的な仕様や,統合によって生じるメリット・デメリットなどを明確に示していませんでした。当然不安になるでしょうし,それが反対の声に結びついたと考えています。
あとはタイミングの問題もあると思います。例えば,自分達の勢力が今まさにアビスで盛り上がろうとしているところなら,「ちょっと待ってよ!」といいたくなる気持ちは当然あると思います。
しかし,その一方で,存続/非存続ワールドのコアプレイヤー同士が,統合後の戦術についてやりとりしているケースも見られます。統合の詳細が明らかになるにつれ,最初は不安だった人の意識も,少しずつ変化しているように思われますので,やはり最初が肝心だったと反省しきりです。
4Gamer:
ワールド統合後に,パーティ募集が活性化されるのを見ると,前よりよくなったかな? と思う人もいるでしょうし。
PR金子氏:
はい。そういったケアを含め,説明はしっかり行わねばとあらためて実感しています。
日本以外でのAIONの状況はどうなっているのか
4Gamer:
続いては,AIONのワールドワイド展開についてです。現在の各サービス国における,ワールド数はそれぞれどのようになっていますか。
PR金子氏:
日本とテストサーバーを除くと,韓国で42ワールド,欧米で31ワールド,中国で32ワールド,台湾で20ワールド,ロシアで5ワールドです。欧米の内訳は,アメリカで13ワールド,ヨーロッパで18ワールドとなっています。
4Gamer:
日本以外のサービス国でも,ワールド統合を順次行っているようですが。
PR金子氏:
中国は運営会社がまったく別なので,詳細については非公開とさせてください。欧米のワールドでも,14日に統合を実施しました。
4Gamer:
韓国でのAIONの盛り上がりは相変わらず凄まじいですが,それ以外の国では厳しい状況なのでしょうか?
AIONはサービス開始からまだ1年しか経っていません。また今後の「Episode 2.0」をはじめ,アップデートなどで大きく進化していきます。ビジネス観点から見ても,今もなお成長株といえます。
ワールド統合を行うことで,事業が縮小しているように思われる人がいるかもしれませんが,我々としては決してそのように受け止めてはいません。今後の改善,そして飛躍のためのワンステップだと考えています。
4Gamer:
ワールド内の人数が増えることは,遊ぶ人にとっての環境がよくなるという意味で確かにプラスです。しかし,客観的に見るとプレイヤー数が減ったから統合しているように見えるわけで,そういった意味で後退と見られるのはしかたないですよね。
「Episode 2.0」以降も,例えば先行公開した"ビジョン映像"の実現に向け,開発チームは一生懸命頑張っています。我々も運営会社として,これからもっともっとAIONを盛り上げていく心構えです。成長株であるという見方も,サービス開始から変わりありません。
4Gamer:
AIONの場合は環境が特殊なので,ワールド内人口が上がらないのは避けられないのかな,という気もしますね。例えば,天族の作成制限を回避するためにワールドを増やすというのは,ほかのMMORPGでは起こらない類の問題でしょうし。
張 盛然氏:
ワールド数の調整は,当時を振り返っても非常に難しい判断でしたね。OBT直後は我々が想像していた以上に天族に集中してしまい,このまま作成制限を続けていたらお客様が離れていってしまう,という危機感がありました。
4Gamer:
そのあたりの,日本人プレイヤーの先入観や偏見は,現状どうなっているのでしょうか。全ワールドでの現在の勢力比が,天族57%で魔族43%とのことで,少なくともバランスは均衡に近づきつつあるようですが。
PR金子氏:
時間が経つにつれ改善されてきていますが,まだまだ根強いものがあると感じています。そこは我々にとっての大きな課題で,今後いくつかの試みを行っていきます。たとえば魔族のコワモテなメインビジュアルを変えたり,うまく露出していったり。例えば,キャラ作成の種族選択画面で,お気づきになった人もいるかもしれませんが,天族と魔族の選択肢の位置を左右逆にしており,魔族のビジュアルも,よりキャッチーな形にしました。ランダムで4種類のビジュアルを用意しておりますので,よかったら確認してみてください。こういった小さいながらも,行動マーケティングも参考にしながら,現在試行錯誤しているところです。
4Gamer:
種族差もそうですが,もう一方の同じ種族同士でのゲームプレイに対しては,どのような認識でしょうか。たとえばAIONのインスタンスは,比較的序盤からパーティプレイ前提のバランスが多いですよね。
現在はソロプレイ向けコンテンツとして,デイリークエストが導入されるなど,コツコツ進める人にとっての環境がよくなってきています。このデイリークエストはかなり人気がありますね。
とはいえ,何でもソロで遊べればいいかというと,それも違うと思います。友達と一緒にインスタンスダンジョンを攻略するのは,AIONの大きな醍醐味の一つです。そういった環境に挑戦できるように,FSを中心にサポートしていきたいですね。
4Gamer:
個人的には,例えば,無料お試しDVDで始めたライト層にとっては,レベル20手前くらいで壁を感じやすいのかなと思いました。そこからもう少し頑張ってノフサナ訓練場まで進めても,キュアが見つからなくて1時間募集とか。
張 盛然氏:
そういったクラス間バランスに関しても,ワールド統合で人数が底上げされることで,大分改善されてくるはずです。あとはレベル30までの育成中に,段階的にいろいろなアイテムがもらえる"初心者応援キャンペーン"などもあります。インスタンスダンジョンとRvRの面白さに到達するまで,初心者をどうやって牽引するかは,これからも検討していきます。
4Gamer:
あとは課金額のバランスについては,現在どういった認識でしょうか。
PR金子氏:
主に定額課金を採用していることもあり,他社さんのタイトルと比べて高いという指摘は受けます。しかし,額そのものは問題ではないと我々は考えています。本質は,額の高い低いではなく,その額に見合ったコンテンツやサービスを提供できているかどうかでしょう。
4Gamer:
例えば「BOTいるじゃないか」と感じたとき,料金の高さにどうしても目がいきがちですよね。高い金払っているのになんで? ほかの無料系タイトルだと見かけないよ? と思う人は多そうです。
PR金子氏:
AIONは,さまざまなトラブルへの対応も含め,課金額に見合った十分なサービスを提供できていませんでした。結果として,お客様にそのように思われてしまったことは,大きな問題だと考えています。
4Gamer:
仮に基本プレイ料金が無料といっても,実際にはいろいろありますからね。気が付いたら,毎月何千円も注ぎ込むのが前提のゲームバランスになっていたりとか。
PR金子氏:
ただ,現在のAIONの課金バランスが,人によって抵抗感を与えてしまっているのは分かります。そこで今回,決済プランのリニューアルを行うことにしました。
4Gamer:
時間制限があるとはいえ,30日900円というのは社会人にとって助かりますね。ほかにも1day/2dayプランもありますし,料金に対する印象は結構違ってきそうですね。
PR金子氏:
BOT対策に関してはスタッフ一同全力を注いでいます。その成果をお客様にも実感していただき,課金して良かったと感じていただけるように,これからも頑張っていきます。
そしてAION2.0に向けて
4Gamer:
今後のアップデートについてはどうでしょうか。韓国では1.9→2.0の間が2か月だったので,日本でもそろそろ2.0が公開されないかと期待している人は多いです。
2.0に関しては,もう間もなく発表できると思います。とはいえ,2.0をそのまま持ってきているのではなく,韓国の公開後に行われたバグフィックスなども含めており,それは現在進行形で続いています。そういった点も含めると,ローカライズ関連の作業量は想像を絶していますね。
張 盛然氏:
日本版では声優のボイスも追加収録していますしね。テキストだけで済む話なら,それこそ今頃は公開できていてもおかしくないくらいなんですが。
4Gamer:
最後に,今回話を聞いて感じたのは,AIONのゲーム仕様/バランスが,基本的にどの国でも同じでいいのかということです。現地のニーズに対応しきれなかったことが,サービス開始後1年でワールド統合という結果を招いたのではないでしょうか。サービス国に合わせた仕様変更,いわゆるカルチャライズを行う予定はないのでしょうか?
張 盛然氏:
去年は各国でのローンチ作業に専念しており,作業的にも5つくらいの地域で並行して進んでいました。当時はカルチャライズを行う余裕がなかったのが正直なところですね。
PR金子氏:
しかし,その点については,各国のローンチが落ち着いたことで次第に状況が変わりつつあります。実は現在すでに,各国のニーズを吸い上げて,反映させるための専門の部署も設立されています。詳細を発表できるようになったら,また別の機会でしっかり発表させていただきます。
4Gamer:
なるほど,今後は日本向けの仕様も導入されてくるわけですね。期待しています。
PR金子氏:
現在,ワールド統合を目前に控えております。皆様にはご迷惑をおかけいたしますが,よりよい「TheTower of AION」をお楽しみいただけるよう,サービスチーム一同,一丸となり全力で対応を行ってまいります。また,大規模アップデート「Episode 2.0」や,さらにはビジョン映像でご紹介した「Episode 3.0」に向けて,「The Tower of AION」の世界はますます楽しくなりますので,今後も「The Tower of AION」をどうぞよろしくお願い致します。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
NCJ関係者とAIONについて話すと「オープンβテスト時のような」という表現がよく出てくる。それはFSとプレイヤーの距離感やゲーム内の雰囲気などが理想的で蜜月状態といってよい期間だった。それがサービス開始直後から不正利用者に蹂躙され,事後処理などに追われて現在に至るのはご承知の人も多いだろう。その対応に追われ,システム改善やアップデートは遅れ,洒落ではないが,手痛い停滞を余儀なくされていたのが,この1年だ。
それでもセキュリティカードや4月に導入されたセーフティプロテクションチームによって,状況は変わりつつある。FSも本来の仕事を行うようになってきた。大型アップデートもやってくる,そしてワールド統合によって,よりプレイしやすい環境を取り戻そうとしている。1周年を機に仕切り直しを図るAIONは,再びプレイヤーとの蜜月状態を取り戻せるだろうか。今後の展開に注目したい。
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