プレイレポート
4神族によるPvPがメインのMMORPG,「天上碑外伝」のクローズドβテストに参加してみた
そんな本作の世界観は,北欧神話,中国神話,ギリシャ神話,エジプト神話の四つの神話を背景としており,それぞれの神を崇める四つの「神族」が登場する。これら4神族は,信仰の違いにより「大聖連合」と「神聖連合」の二つの勢力に分かれており,もう一方の勢力と絶え間ない戦いを続けているという,対人戦メインのゲームシステムが採用されている。また,本作ならではのシステムとして,「祈り」という要素が存在するのも大きな特徴だ。11月29日から12月6日まで実施されていたクローズドβテストに参加したので,さっそく本作の概要やプレイフィールをお伝えしよう。
四つの神話と4神族で構成された神話世界が舞台
本作では,中国神話を背景に持つ「バンコ」族,ギリシャ神話を背景に持つ「カオス」族,北欧神話を背景に持つ「ユミル」族,エジプト神話を背景に持つ「アトム」族の,4神族が登場する。このうち,バンコ族とカオス族が「大聖連合」,ユミル族とアトム族が「神聖連合」に属しており,それぞれ敵対している。
キャラクター作成時には,男女の性別は自由に選択できるものの,神族によって就けるクラスが決まっている。一つのアカウントで両方の勢力のキャラクターを作成可能で,作れるキャラクターは1アカウントにつき4キャラクターまでとなっている。それぞれの種族の特徴やイメージは以下のとおりだ。
キャラクター作成時には,大聖連合か神聖連合のどちらかを選択する必要がある。1アカウントで両方の連合のキャラクターが作成可能だ |
天上碑外伝では,キャラクター作成時に顔や髪型などの指定はできない。ただし,ゲーム内にはゲーム内通貨を消費することで,いつでも顔や髪型の変更が行える美容師NPCが用意されている |
<大聖連合>
・バンコ族
中国神話を背景に持つバンコ族のクラスは,本作で唯一盾を装備できる「戦士」。イメージは「龍」だ。強靭な肉体を持ち,近接武器を得意とした種族で,頭に2本の角が生えているのが特徴。とはいえ,牛をモチーフにしたような巨体ではなく,スマートで均整の取れたスタイル。1次転職によって,「突撃戦士」か「守護戦士」へと成長する。
・カオス族
ギリシャ神話を背景に持つカオス族は,高貴な印象を持つ神族。クラスとしては,魔法を得意とする「魔法使い」。イメージは「鳥」だ。翼が生えているものの,残念ながら空を飛ぶことはできない。1次転職では,「ホワイトソーサラー」か「ダークマジシャン」が選択でき,魔法による支援や攻撃を行うことになる。こちらもバンコ族同様,スタイルが良く知的な印象を持った種族で,パーティにいれば心強い種族といえるだろう。
<神聖連合>
・ユミル族
ユミル族は北欧神話を背景に持つ神族。イメージは「虎」で,軽い剣や弓の扱いに長けた,機敏な攻撃を得意とするクラス。バンコ族のように正面からガッチリ受け止めて闘うのではなく,設定上のイメージは,素早く敵の死角に回り込んで攻撃するといったものだ。北欧神話らしく,見た目は小柄なエルフ族のような印象。1次転職では,「ウインドナイト」か「シャドウナイト」へと転職することになる。
・アトム族
エジプト神話を背景に持つアトム族は,本作でもっとも小柄な神族だ。森羅万象を司る精霊の力を借りての魔法を得意とする,「呪術師」的なクラス。イメージは「砂漠狐」ということもあり,耳が尖っていて狡猾そうな印象を受ける。1次転職では「大地の呪術師」「創造の呪術師」が選択可能。
大聖,神聖どちらの連合も,近接職と魔法職という構成になっており,スキルや神族ごとのステータスの違いに,特色が表れるようになっている。
各神族のスタート地点となる街は異なっており,それぞれの神話や文明を模した建物が建ち並んでいるなど,個性的な雰囲気が漂っている。スタート地点が異なるとはいっても,同じ連合の神族の街へは少しの危険を覚悟すれば,序盤からでも走って行ける距離にある。序盤のクエストをこなしていれば,お互いの街へ赴くこともあるので,同じ連合に所属している神族同士ならばすぐに会えるはず。
4神族のスタート地点となる街は,それぞれの神話や文明のイメージにあった建物や風景になっている。アトムのスタート地点には,口から水を吐き出すスフインクスの像も…… |
それぞれの街にいるNPCの名前には,画像の「ラー」のほかにも「トト」や「ヘパイトス」など,それぞれの神話にまつわる神々の名前が使用されている |
「祈り」システム
本作の大きな特徴の一つとして,「祈り」システムというものがある。これは,神々に祈りを捧げることで「神力ポイント」(AP)を高め,それを使って神々の祝福を受け,キャラクターの能力を一時的にアップさせるというもの。この祝福効果は,街にある祭壇で受けられる。
祈るという動作は,戦闘で消耗したHP(体力)やMP(魔力)の回復を早める,いわゆる“休憩”に当たり,これに加えて,祈りシステムのためのAP蓄積もできるというもの。祝福の効果には,HPやMPの上限が増えたり,移動速度が上がったりといった,なかなか便利なものが用意されている。
APは,不要なアイテムを「奉納」したり,敵対勢力のプレイヤーキャラクターを倒したりすることで手に入る。奉納では,捧げるアイテムによって得られるAPの量が変化するほか,特定の高価なアイテムを奉納することで,神々からレアなアイテムが授けられる場合もあるという。
さらに,祭壇に捧げられた祈りが一定値に達すると,祝福ではなく「奇跡」が連合全体へ付与される。これは「神光の奇跡」と呼ばれ,全ステータスがアップするほか,移動速度,最大HP,防御力が上昇する。奇跡の効果は,全エリアにいる味方キャラクター全員に与えられるので,大規模対人戦のときには,祭壇前で集団で祈る行為が見られるようになるかもしれない。
祈りは,回復を早めると同時に神力ポイントを溜める行為でもある。また,不要なアイテムを奉納することでも,アイテムの価値に応じた神力ポイントを得られる |
それぞれの街にある「祈りの祭壇」では,溜まった神力ポイントを使用して祝福を受けられる。祝福を受けることで,さまざまな補助効果が付与される |
クエストに沿ったテンポの良いレベルアップ
プレイ開始直後は,クエストで街中を走り回ることになるだろう。本作の操作は,マウスクリックによる移動のみがサポートされており,キーボードを使用しての移動はできない。街はそれほど広くなく,最初のクエストは各NPCの元を訪れて場所を把握しつつ,説明を受けるというチュートリアル的なものだ。かなりの数が用意されているようで,現時点ですでに500個ほどが実装されているとのこと。
クエストを持っているNPCの頭上には「?」マークが,クエスト完了もしくは話しかけなければならないNPCには「!」マークが輝いているので見つけるのは簡単だ。
同じ連合の神族の街へ行けば,チュートリアルクエストを除くほとんどのクエストを別の神族でも受けられるので,うまく双方の街のクエストを利用すれば比較的容易にレベルアップが図れる。したがってレベル上げは,クエストの一環としてモンスターを狩りつつ行うスタイルになりそうだ。序盤のうちはクエストもソロで楽々こなせるが,ある程度育ってきたらパーティ推奨といった難度になるようだ。
キャラクターは,レベル20で1次転職が可能で,転職を行わなければそれ以降レベルが上がらないようになっている。ただし,1次転職のクエストをこなすためには,強力な敵を倒さなければならないようなので,このあたりから仲間を見つけて戦う必要が出てきそうだ。なお,2次転職以降に関してはまだ不明なので,今後の情報を待つしかなさそうだ。
ゲームを開始したら,まずはチュートリアルクエストをこなして一通りの操作やNPCの配置を覚えよう。チュートリアル中は,画面右下に操作のヘルプが表示される |
レベルアップに応じて発生するクエストは,同じ連合の他神族の街でも受けられる。生まれた街,連合種族の街を行き来してクエストをこなしていこう |
これからの進化が待たれる対人戦要素
マグの雪原では,その中央にある「マグ族の集落」の支配権を争うことになる。これが「紛争システム」と呼ばれる,連合同士のPvPシステムだ。
マグ族の集落には,中央付近に「伝説の巨人」というNPCがおり,このNPCを倒すことで集落の支配権を得られる。集落を支配するとマグ族を味方にでき,マグ族の経営しているショップを通じて,高レベル装備を購入できるようになるのだ。マグ族は,最初は両方の勢力と敵対しているが,どちらかの勢力が支配権を手に入れてからは,このマグ族の集落がPvPの舞台となる。
さらに,マグ族の集落には,クローズドβテスト時点では唯一となるダンジョンの入り口があり,中には武器を作るための重要なアイテムをドロップするボスモンスターが存在する。敵対勢力が集落を支配しているときでも,強引に駆け込むことでダンジョンの利用は可能だ。とはいえ,集落の支配権を持っているほうが有利であることに変わりないので,連合で協力して集落の権利を手に入れたいところだ。
また今後は,ギルド戦や闘技場といった,さまざまなPvP要素の実装を予定しているとのこと。クローズドβテストでの要望などを踏まえたうえで,アップデートの方向性を決めていくとのことなので,テストに参加した人は,意見をどしどし出してみるのがいいかもしれない。
マグ族の集落の支配権を得れば,伝説の巨人も心強い味方となる。この集落には高レベル向けの装備が売られているので,なんとしても死守したい |
マグ族の集落には,天上碑外伝で唯一のダンジョンが存在する。ここには合成に必要な,重要アイテムをドロップする巨人モンスターが配置されている |
テンポの良い成長は○,操作面には更なる向上を期待
プレイヤー間のアイテム売買は,商店NPCを利用して行う。一定期間売りたいアイテムを出品しておいて自動で売買を行ってくれる機能で,売買成立時には手数料を徴収される |
基本的な操作は,上述のとおりマウスのみの移動に,ホットキーを使ったスキルや魔法,回復アイテムの使用というシンプルなもの。ただ,クリックでの移動は確かに便利だが,カメラ位置によっては変なところをクリックしてしまうことがあり,細かい移動がしづらい印象も受ける。
視点は,マウスの右ボタンをホールドしての回転が可能で,カメラ位置を最大まで寄せてもキャラクターの背後で止まる仕様となっている(一人称視点にはならない)。視点をかなり遠くまで引けるため,戦闘中に周囲の確認をするのも容易だ。そのほかの操作感に関しては,一般的な3D MMORPGと大きな違いはなく,馴染みやすいものになっているといえるだろう。
戦闘時には,Tabキーで最も近い敵をターゲットし,Spaceバーで攻撃開始と,キーボードだけでも操作できる。しかし,マウスで移動を行っていると,必然的にそのままマウスで敵をターゲットし,攻撃するといった流れが多くなる。マウスをクリックした瞬間に敵が動いてしまうと,その場所まで移動してしまうので,いま一つ操作しづらいと感じた。これに関しては,今後のバージョンアップによって,キーボードによる操作も可能になる予定とのことなので,操作面での向上を期待したいところだ。
グラフィックス面では,それぞれの神族のイメージをうまく捉えており,どれも個性的で細かく描かれている。動作に必要なPCスペックも,2,3世代前の環境で十分なので,最近のPCならば不安はまったくないだろう。
また,天上碑外伝で最も特徴的な祈りシステムに関しては,先々,さらに高い効果が追加されたり,特殊なアイテムが貰えるようになったりといった,大幅な要素追加の計画があるようなので,今後のアップデートが楽しみだ。
率直にいってしまえば,クローズドβテスト時の天上碑外伝は,まだまだ発展途上の段階だと感じた。今後メインとなるであろうPvPのほかに,フィールドに点在するボスクラスのモンスター討伐などといった要素もあるが,ボリュームとしてはそれほど大きなものではない。
しかし,豊富なクエストを中心としたレベル上げのテンポは良く,序盤のうちは敵対勢力に頻繁に遭遇するわけでもないので,ライトゲーマーでも気軽にプレイできるタイトルといえる。現状ではやや不満の残る操作性やボリュームの少なさが,βテストの結果を受けてどのように変わっていくか,今後の動向に注目していきたい。
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