連載
こんな妹が欲しかった。
唐突で恐縮だが,全国の「Wonderland ONLINE」(以下,Wonderland)プレイヤーが右のイベントCGを目にしたとき,そう思ったはずだ。まだ幼いリンはこの時点ですでに身寄りがなく独りぼっち。そんなつらさを微塵も見せず,ノースアイランド某所で無邪気に蝶を追いかける姿に,ちょっと目頭が熱くなる。
理想の妹候補ナンバーワンのリンを守ってやろうという気概のプレイヤーも多いだろうが,なにせ冒険には危険が付きもの。行く先々に予想もしない強敵が控えている。
「リンは稲穂色のひよこに倒された」
「リンは青カブト虫に倒された」
「リンはカエルに(以下略)」
可愛いリンを盾にするつもりは毛頭なかったのだが,うっかり戦闘不能にすること数十回。「友好値」が下がりすぎたリンは「実家に帰らせていただきます!」と言ったとか言わないとか。仲間から離脱してクラン村に帰ってしまった。
この友好値はリンに限らず,仲間となったすべてのNPCと捕獲したペットに適用されるので,読者の皆様はくれぐれも気をつけてほしい。なお,離脱したNPCを再び仲間に引き入れることも可能だが,筆者のポリシーとして去る者は追わず。レイチェル姉さんと不思議少女ニースを引きつれてノースアイランドを離れ,次なる土地サウスアイランドへと冒険の場を移すことにしよう。このあと,とんでもない出来事が……。
費用のかさむ宿屋を避け,長引くテント生活にもすっかり馴染んでしまった津瑠子一行。しかしニースもレイチェルも年頃の女の子とあって,風呂もトイレもない現状に不満たらたらの様子だ。まあ確かに「お花摘みに行ってきまぁ〜す」で済ませるのも,普通の女子なら1日が限度だろう。
元山岳部の筆者にはよーく分かるのだが,人目を避けて“お花摘み”に行こうとする人間の心理は,だいたい同じポイントを最適と判断するらしく,穴を掘るとその,いろいろと先客が残した不都合なものを発見してしまうものなのだ。いや,下世話な話ですいません。
そこで(?)今週の課題は,トイレとお風呂とベッド作り。この中で最もお手軽に挑戦できるのが「レトロな浴槽」だ。
島の様子が分からないうちは,レトロな浴槽の素材となる「白粘土」の入手方法で行き詰まりやすい。Wondlerlandの世界には泉のように粘度や鉱石がこんこんと湧き出す,不思議な採集/採掘場が点在しているので,まずはこれを探してみよう。
今回必要な白粘土は,ノースアイランド海岸近くに見える黄色い泉で入手できる。泉ごとに数種類の採取可能な素材が設定されており,クリックするとランダムで素材を一つ入手できる。必要な個数を揃えるまで何度もクリックすることになるのだが,素材は3分に1回しか入手できないという制限がある。太っ腹なユーザーならば,有料アイテムの「上級掃除機」を購入して3分ごとの自動採集に励むのもいいが,あいにく筆者の懐はそこまで温かくない。そこで金はなくとも時間がある人に紹介したい方法が,(リアルの)キッチンタイマーの利用である。
素材を採集するごとに,あらかじめ3分に設定したキッチンタイマーをスタートさせ,3分間は4Gamerを眺めるなりカップラーメンを作るなり好きなことをする。タイマーが鳴ったらおもむろに採集場をクリック。これでお金を使うことなしに,効率よく素材を集められるわけだ。ただし,家族や世間から「この暇人が!」と後ろ指差されても筆者は責任を取らないし取れない。
さて,ここまで順調にやってきた家具作りも,ついに壁にぶつかってしまった。洋式トイレ作りに欠かせない「プラスチック」とその原料となる「原油」が,サウスアイランド中を巡っても見つからない。
途方に暮れ,道行くプレイヤーに尋ねてみたところ,原油は隣の島「オーストラリア」最大の特産物なんだとか。個人露店で原油やプラスチックを販売しているプレイヤーも多いのだが,本連載のコンセプトは自給自足と勝手に決めている以上,やはりここは津瑠子に海を渡らせるしかあるまい。
オーストラリアはWonderlandのプレイヤーにとって,最も身近な海外だ。何しろノースアイランドの端から,カヌー一つで簡単にたどり着けてしまう。
オーストラリアで最初に思い浮かべるイメージは,カンガルーにコアラといった野生動物,あるいは羊や牛が放牧されている広大な平原といったところ。しかしWonderlandにおけるオーストラリアは,もうちょっとワイルドで,翼竜やTレックス,ラプトル達が元気にお出迎えをしてくれる。えー,322年どころか数千万年単位で時代をさかのぼっているらしい。と,そこで心に浮かび上がる一つの疑問が。
原油は化石燃料とも呼ばれていて,ものすごくはしょって言うと,土砂に埋没した古代生物の死骸が変化したものという説が主流だ。てことはですよ,恐竜がまだ生存している時代にさかのぼっちゃったら,原油はまだ出来ていない可能性がある気もする……。ま,いいか。
原油を無事手に入れ,ホクホク顔でサウスアイランドに戻ってきた津瑠子。これで少しでも文化的な生活を,可愛いレイチェルやニースに送らせてあげられる。リンといいレイチェルといい,ノースアイランド出身のNPC達はやたらとプリミティヴな衣装を身に着けているのに対して,サウスアイランド唯一の村「クライスト村」は少し文明が進んでいるのか,人々はきちんとした洋服を着て,村の中央には立派な教会が設立されている。宗教と信仰が人々に進んだ文明と豊かな生活をもたらすという示唆か? などという穿ったものの見方はやめておこう。
さあ,津瑠子,ニース,レイチェルの3人で力を合わせて冒険をと思った矢先,悲劇はクライスト村の室内で起こった。身に覚えのない殺人事件の容疑者として,レイチェルが捕らえられ,クライスト村地下牢に閉じ込められてしまったのである。
リンを見棄て,打たれ弱いニースを過保護に守り,攻撃・防御ともに優秀なレイチェルをメインに育成してきた筆者にとって,これは青天の霹靂としか言いようがない。
レイチェルを地下牢から救い出そうにも,守衛が強すぎて歯が立たないのだ。ああ,こんなことならリンを見棄てずに育てておくんだった。しかし後悔しても始まらない,テントの中でニースと顔を突き合わせる津瑠子。
「これから2人でどうやって生きていきましょう,ニースさん」
「トスモースアホシ,キポトス,ヴィアニア……ラモリース」
「……」
津瑠子(と筆者)の受難は,まだまだ続きそうである。
読者の皆様,大変お待たせいたしました。新たな美女との出会いはなかったけれど,今週もイベントCGが目白押し。4Gamer週刊連載は予想を裏切り期待を裏切りません。先週は見られなかった,リンとレイチェルの立ち姿をたっぷりとご覧あれ。
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