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[G★2008#29]AIに物理エンジン,韓国の国家研究機関によるゲームの基礎技術開発状況
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印刷2008/11/16 13:34

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[G★2008#29]AIに物理エンジン,韓国の国家研究機関によるゲームの基礎技術開発状況

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 ETRI(Electronics and Telecommunications Research Institute:電子通信研究院)は,韓国の電子技術研究のための国家機関だ。G-Star会場では,オンラインゲームに関する同研究所の成果を展示していた。いや,産官協同はともかく,国がゲームの基礎技術レベルからサポートしてるってのは,なかなかない。

 いくつかの展示を順に軽く紹介しよう。

●AI
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 AIの研究分野では,ルールベースによるキャラクターAIと学習型AIのデモを行っていた。デモの素材は,JC Entertainmentが発表したばかりの「Freestyle Manager」で,現在JCEと共同で研究を進めているのだという。現在会場で公開されているバージョンでは,ルールベースのAIでプレイヤーを動かしているのだが,次のバージョンからは学習型とルールベースのハイブリッド型のものが搭載される予定だという。
 ゲームAIを国家レベルで開発して,しかも第一線のゲームで使われているってあたりが凄い話だ。

●物理エンジン
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 最近のゲーム業界でのトレンドでもある物理エンジンも,ETRIで研究されている。
 デモでは,キーフレームアニメーションとラグドール,物理干渉の複合的なデモが行われていた。内容的には,ちょっと前にHavokが,去年くらいにPhysXがやっていたのと同じようなもので,運動するキャラクターに対して,例えばボールをぶつけるとかすると,その影響で動きが変わるというもの。走っている最中に頭にボールが当たれば,頭がのけぞるとか,そういったモーションが加わった走りになる。

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 ほかではあまり見ないデモとしては,ロボットが打撃を受けてバラバラになるといったものもあった。通常は普通の歩行などを行っているロボットが,強い打撃を受けると,その部分のパーツが吹っ飛んでいくという感じだ。まだ実験的なものらしいが,いかにもゲーム用の物理演算という例だろう。
 またラグドール処理により,不定形な場所で(地形に対し)適応的に倒れたりするデモなども用意されていた。ラグドールとキーフレームアニメーションの組み合わせでは,Havokが「ラグドールで倒れたキャラをもう一度立ち上がらせることができるのはウチだけ」とアピールしていたので,ちょっと話を聞いてみたところ,Havokの処理を見る限り,表か裏かで2パターンの基本姿勢に戻してからキーフレームで起こしているだけなので,さほど難しい処理ではないとのことだった。
 まあ,2パターンよりは多い気はするのだが,コケるときは実に自然にコケても,起き上がるときはちょっと不自然なのは明らかだったので,だいたいそのような処理なのだろう。

●サーバー負荷テストツール
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 オンラインゲーム用のサポートツールとして,サーバーに負荷をかけるためのテストツールも紹介されていた。複数のクライアントの動作をシミュレートして,実際の運用に近い感じで負荷を与え,大勢の接続者を必要とせずに負荷テストができるツールである。Webアプリケーションなどでは同種のテストツールで有名なものもあるのだが,オンラインゲームで使えるものというのはあまり聞いたことがない。

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 実際のゲームクライアントからパケットサンプリングをするツールや,サーバーにバーチャルクライアントを任意数接続した状態を作り出すもの,データベースに記録されたデータを閲覧するツールなどで構成されている。
 テストでは,ログイン/ログアウトを繰り返している状態のもの,キャラクターが円移動している状態をシミュレートするパケットや四角形移動をしている状態のパケット,狩りをしている状態のパケットなどを設定できる。もちろんカスタマイズも可能で,ゲームの特性に合せたパケットや,回線遅延なども設定できる(クライアント個別の設定までは無理とのことだが)。
 稼働させるPCの性能にもよるが,だいたい300クライアント分を1台のPCで実現できるという。なんとなくもう一桁はほしい感じだが,実運用前にだいたいの負荷テストができれば,βテスト開始当日にあわてなくて済む。もっと普及してほしい種類のツールである。

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 最初に述べたように,国家の研究機関がゲーム技術を開発する体制は,日本のメーカーにしてみればうらやましい限りであろう(お役所仕事ではなくて,ちゃんと使いモノになっているというあたりがとくに)。こういう部分は見習ってほしいものである。
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