テストレポート
HW短評:Kingston「HyperX Cloud II」(3)マイク特性検証とまとめ
下に示したのは,その計測結果だが,問題は公称で18kHzまでサポートするとされる周波数上限が,8kHzでぷっつり切れた格好になっていること。これはおそらく,HyperX Cloud IIのUSBサウンドデバイスへ新たに搭載されたノイズキャンセリング機能が8kHzまでしか入力しない仕様なのだと思われる。おそらくUSBサウンドデバイスではなく,ヘッドセット本体の仕様のみが記されているのだろうが,不親切だ。
なお,製品情報には「デジタル処理のノイズキャンセリング機能」を持つと書かれているが,その場合,出力はモノラルになる。それを裏付ける位相特性はモノラル出力で期待されるとおりの結果になっており,この点はまったく問題ない。
2マイクを用いたノイズキャンセリング機能はDSPに与える負荷が大きいため,非力なDSPだと,今回のようにサンプリングレート16kHz,実測値8kHz以下に設定しないと処理しきれないことが多い(※)。それで,先ほど示したような周波数特性になっているのだろう。
※「あるオーディオ波形を正確にサンプリング(標本化,つまりデータ化)するためには,当該波形の周波数成分よりも2倍以上高い周波数を用いる必要がある」という「サンプリング定理」に基づいた解釈
音質面での褒めるところは,低周波ノイズ,高周波ノイズとも聞こえないこと。話していないときはほぼ無音状態が維持されていること。Kingstonは,ゲームイベントや大会の会場といった,非常にノイジーな環境を想定して仕様を決定した可能性もありそうだ。
オリジナルの「HyperX Cloud」と基本仕様を共通化しつつ,USB Micro-B端子もあるがサウンドデバイスを付属させた結果,スマートフォンやPlayStaton 4,Xbox Oneと簡単に接続できるようになったことと,比較的高品位なヘッドフォン出力品質をワンパッケージで入手できるようになったこと,マイク入力時のノイズがとにかく少ない点は評価できるだろう。
「7.1chサラウンドサウンド」とされる機能がゲーム用途ではまず使い物にならないのと,マイクの周波数特性が公称値と大きく異なるのは減点対象だが,全体的には価格に見合った製品と言っていいのではなかろうか。
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Kingston TechnologyのHyperX Cloud II製品情報ページ
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