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「Pro Gaming Mouse」レビュー。Logicool G初の「PRO」マウス,性能は文句なしだが……
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印刷2017/03/30 00:00

レビュー

Logicool G初の「PRO」マウス,性能は文句なしだが……

Pro Gaming Mouse

Text by BRZRK


Pro Gaming Mouse(国内製品名:PROゲーミングマウス)
メーカー:Logitech International
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター
電話:050-3786-2085
実勢価格:7830円前後(※2017年3月30日現在)
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 2017年3月30日,ついにLogicool G(日本以外ではLogitech G)の新シリーズ「PRO」に属するゲーマー向けマウス「Pro Gaming Mouse」(国内製品名:PROゲーミングマウス)が国内発売となる。
 「ついに」と書いたのは,北米市場だと2016年8月に発売済みだったからだ。つまり,日本市場は7か月以上も待たされたわけだが,「小型軽量の筐体に最新仕様を詰め込んだ,新シリーズのマウス」は,首を長くしていた国内のゲーマーに何をもたらしてくれるだろうか? 発売に合わせて製品版を入手できたので,BRZRK氏によるテスト結果をお届けしたい。

 それに先だってお伝えしておくと,主なスペックは以下のとおりだ。

●Pro Gaming Mouseの主なスペック
  • 基本仕様:光学センサー搭載ワイヤードタイプ
  • 搭載センサー:PixArt Imaging「PMW3366」
  • ボタン数:6(左右メイン,センタークリック機能付きスクロールホイール,スクロールホイール手前×1,左サイド×2。左右メインボタンは耐久性2000万回)
  • 最大トラッキング速度:300IPS
  • 最大加速度:40G
  • フレームレート:未公開
  • 画像処理能力:未公開
  • トラッキング解像度:200〜12000 DPI
  • ポーリングレート(USBレポートレート):1000Hz
  • オンボードフラッシュメモリ:搭載
  • データ転送フォーマット:16bit
  • リフトオフディスタンス:未公開(※おそらく調整可能)
  • LEDイルミネーション:搭載(約1677万色)
  • 実測本体サイズ:約62.9(W)×116.8(D)×38.2(H)mm
  • 実測重量:83g(※ケーブル抜き),128g(※ケーブル込み)
  • マウスソール:動摩擦係数 −μ(K)0.11,静止摩擦係数 −μ(S)0.16
  • 公称ケーブル長:2m
  • 対応OS:Windows 10・8.x・7
  • 発売日:2017年3月30日
  • 直販価格:7830円(税込)
  • 保証期間:2年間


G100sとは似て非なる小型軽量筐体を採用するPro Gaming Mouse


筐体はプラスチック製で,天板部には滑り止め用と思われるコーティングがなされている。側面にラバーなどは貼られていない
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 発売にあたってその立ち位置をあらためて確認しておくと,Logitech G/Logicool Gのマウスとして初めて数字型番を持たずに登場した今回のPro Gaming Mouseは,Logitech G/Logicool Gの立ち上げに合わせて世界市場で発表されたエントリー市場向けマウス「G100s Optical Mouse」(以下,G100s)をベースとするものであることが明らかになっている。「Counter-Strike: Global Offensive」(以下,CS:GO)のプロゲーマーで,G100sのヘビーユーザーとして知られるSkadoodle選手によるリクエストを受けて開発をスタートした製品だ。
 同選手から「G100sの形状に,最新のセンサー,ボタンテンションシステムを組み合わせてほしい」というリクエストがあり,そんな「プロの要望」に応えた製品だから,「PRO」シリーズのマウスという命名になっているのだという(関連記事)。

左右メインボタン部にある,指を配置しやすくするための凹みに寄ったところ
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 下に示したのは実際にPro Gaming MouseとG100sを並べたところだが,ぱっと見は確かにG100sと同じ,といったところ。ただ,きちんと見れば,左右メインボタンが天板から独立したセパレートタイプになっていることや,さらにボタン部に指が収まりやすくなるようなガイドとしての凹みがあること,スクロールホイールに溝が入っていること,そして左サイドに2ボタンが追加となり,左右対称形状ながら右手用になっていることといった具合で,次々と違いに気付くだろう。
 Logitech G/Logicool Gによる事前説明から,かなりG100sっぽいのかと思ったが,天板部のデザインはLEDイルミネーションも含め,似て非なる製品という印象を強く受けた。ちなみに金型も別だそうだ。

G100sと並べると,第一印象がそっくりなので,ベースデザインがG100sなのは一目瞭然と言える。しかし,メインボタンがセパレートタイプになっていたり,メインボタンに指を置くときのガイドになる凹みがあったりと,細かくアレンジが入っていた
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 左右メインボタンは,「G302 Daedalus Prime MOBA Gaming Mouse」以降の上位モデルで採用が進んでいるボタンテンションシステムを組み込んであるため,端的に述べて気持ちのよい操作感が得られる。
 一定以上の圧力を加えない限りスイッチはオンにならず,それでいて,意識的に押したときは一気にカチッとスイッチが入る感じがする。そして,メインボタンを押し返すボタンテンションシステムのおかげで,押していた指の力を抜くと,瞬時にボタンは正位置に戻るのだ。このあたりはG900やG303とよく似た印象がある。

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 メインボタンに挟まれたところのセンタークリック機能付きスクロールホイールはラバーコート済みで,太さは実測約10mm。実測約0.5mm間隔で幅1mmの溝が2列にわたって彫ってある。スクロールホイールの回転は24ノッチで1周する,Logitech G/Logicool G製マウスでお馴染みの仕様だが,ホイールの回転は若干重め。ただ,ノッチが変わるときに生じるカチっとした感覚はいままでのLogitech G/Logicool G製マウスにないもので,悪くない。

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 ホイールの手前にあるボタンは標準だとDPI設定値を順繰りに切り換えるものとなっている。ボタンは横幅が4.5mmと細く,ホイールからの距離も十分にあるので,ゲームプレイ時のホイール操作中に誤って指が触れるようなことはないだろう。
 あまり連打するようなボタンではないと思うが,押下感はこの手のボタンとしては適切な印象がある。左右メインボタンほどの心地よさはない一方,少なくとも安っぽさはない。

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 本体側面は,左側面でいうところの「サイドボタンがあるあたり」から,底面に向けて緩やかに弧を描きながら切れ込んで傾斜するデザインになっている。側面はざらついた凹凸になっているのだが,高低差はあまりなく,滑り止めの効果は薄いと言わざるを得ない。最近のLogitech G/Logicool G製マウスはサイドボタンの滑り止めが凝っていて効果もある印象なのだが,それと比べるとPro Gaming Mouseのそれは一段落ちると言わざるを得ないだろう。
 せめてラバーコートしてくれればけっこう違ったと思うのだが,そこでラバーコートを選べないほど,Skadoodle選手は軽量化を要求したということなのだろうか。

サイドボタンの存在を除けば左右側面は同じ形状をしている。いずれにせよ,小さな凹凸はあるのだが,滑り止め効果はあまり見込めない
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 なお,サイドボタンの実測サイズは前後方向に4mm,縦方向に16.5mmという長さで,筐体からは約2mmほど突き出ている。ボタンの押し心地はスクロールホイール手前ボタンと変わらない印象だ。

右側面を見たカット(左)。右はサイドボタンに寄ったカットだ
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製品ボックスから出した状態。最近のLogitech G/Logicool G製ワイヤードマウスはだいたいこんな感じでケーブルがまとまっているが,それはPro Gaming Mouseでも変わらない。ケーブルは布巻きタイプで太さは実測約4mm。ワイヤードマウスにありがちな硬さは感じられず,半日ほど使用していれば梱包時によるクセは消失していた
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 先ほど軽量化うんぬんの話をしたので続けると,ケーブル抜きの公称重量は約83g。後述とおり,今回は本体を分解しているが,その状態でケーブルを外して計測した実測重量は約83gで,公称値どおりだった。ゲーマー向けの小型マウスらしい重量感で,端的に述べて軽い。

 ちなみに実測の本体サイズは62.9(W)×116.8(D)×38.2(H)mm。公称値である62.15(W)×116.6(D)×38.2(H)mmと比べると底面積が若干大きかった。測定誤差かもしれないが。

こちらは,4Gamerの比較用リファレンスマウスである「Gaming Mouse G500」と並べたところ。Pro Gaming Mouseのほうが明らかに一回り小さい
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 なお,本体底面には,四隅に楕円形で,最も長いところで計測して15×8.5mmという大きさのソールが貼ってあり,さらにマウスの中央部でセンサーホールを囲むようにリング状のソールも貼ってあった。リング状ソールの幅は約3.5mmだ。
 スペックを見る限り,ソールのスペックは「いつもどおり」。しかし,Pro Gaming Mouseは本体重量が軽いためほかのマウスよりもソールが滑る印象を強く受けた。


側面の仕様がゆえに持ち方を選ぶ筐体デザイン


 外観とボタンをチェックしたところで,実際に握ったときのフィーリングを確認してみた。今回も例によって「つまみ持ち」と「つかみ持ち」「かぶせ持ち」に,筆者独自の持ち方だと思っている「BRZRK持ち」の4パターンで握ってみた。その結果を写真とキャプションで以下のとおりお伝えしたい。

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つまみ持ちの例。両サイドをしっかりと握り込めるかどうかですべてが決まる印象だ。かちっと握れるならOKだが,握り方次第では親指と小指に余計な力が入って,疲れやすくなる
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つかみ持ちの例。握るとき,薬指にも少し力を入れて握り込むようにするとベターだった。手のひらでも本体をホールドするため,つまみ持ちと比べるとグリップ力が上がるため,疲れにくいのだと思われる
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かぶせ持ちの例。手のひらと指をベタ置きしてもとくに問題はない。Pro Gaming Mouseとの相性がよい持ち方という印象だ
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BRZRK持ちの例。両側面を親指と薬指,小指で握り込むにあたって指を立てると,滑らないようにかなりの力を入れる必要があり,負荷がかかって指が痛くなる。長時間の利用は無理だと断念した

 前段でも触れたとおり,Pro Gaming Mouseの両側面にある凹凸の滑り止め効果はあまりない。そのため,「滑らず持てるか」が,Pro Gaming Mouseを使いこなすにあたってはカギとなるだろう。個人的には,指を立てて持つ感じでグリップするつまみ持ちとBRZRK持ちは,多くの人にとってグリップしづらい持ち方ではないかと考えている。
 もちろん,人によって持ち方は千差万別なので,言い切ることまではしないが,ほかのLogitech G/Logicool Gのマウスと比べて,Pro Gaming Mouseは持つときに追加の力が必要になったり,持ち方を変えたりする必要に迫られる可能性が高いとは言える。

 なお,かぶせ持ちであればとても持ちやすい。かぶせ持ちのプレイヤーであれば,利用にあたって困難を覚えることはまずないはずだ。


LGSは相変わらず。LEDイルミネーションは今回もやや青が強い


LGS伝統の「マウス接続時のトップ画面」
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 USB接続型のLogitech G/Logicool G製デバイスは基本的にWindowsのクラスドライバで動作し,別途「Logicoolゲームソフトウェア」(日本以外では「Logitech Gaming Software」,以下 LGS)を導入することで,細かな設定を行えるようになる。そしてこの仕様は,PROシリーズ第1弾となるPro Gaming Mouseでも変わらない。
 そして変わらないということはどういうことかというと,筆者がこれまでのレビューでも再三指摘している,初心者への配慮のなさにも変化はないということになる。

 LGSで最悪なのは,マウスを接続するといきなり,

  • 設定内容はPC側に保存されるので,LGSを導入したPCでしか設定内容を利用できないが,センサーやボタンの設定を細かくカスタマイズできる「自動ゲーム検出」
  • 設定できる要素は基本的なものに限られるが,その内容をマウス側のフラッシュメモリへ保存できるため,LGS未導入の環境でも設定内容を利用可能な「オンボードメモリ」

の選択をほぼ何の説明もないまま要求されることだ。LGSに慣れている人には問題ないが,そうでないと,この二択は相当に難度が高いだろう。

オンボードメモリを選ぶと,ボタンのへの機能割り当てとセンサー設定の統合メニューになる
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 ちなみに,ほとんどの4Gamer読者にとっての“正解”は自動ゲーム検出のほうである。オンボードメモリのほうは,外出先や大会で,LGSなしに手間いらずでLogitech G/Logicool Gのマウスを使うための設定という理解でいい。
 この説明をLogitech G/Logicool GがLGS上でしてくれれば,筆者は毎度毎度同じ話を繰り返さなくて済むのだが……。

自動ゲーム検出を選んだところ。ボタンへの機能割り当てとセンサー関連設定が別メニューになる
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 オンボードメモリ,自動ゲーム検出に関わらず,センサー設定では200〜1万2000DPIの範囲から100DPI刻みで最大5段階のDPI設定を,125,250,500,1000Hzの4段階からUSBレポートレート(ポーリングレート)設定をそれぞれ行える。また,「表面のチューニング」からは,組み合わせるマウスパッドに対してセンサー出力を調整する,いわゆるサーフェスキャリブレーションを行うことができる。調整する前と後ではセンサーの挙動に雲泥の開きがあるので,LGSの導入後は,センサー設定だけではなく,サーフェスキャリブレーションも忘れず行っておきたい。

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 なお,どういうわけか以前から,「設定」で開けるダイアログウインドウの中に“直線補正を効かせるかどうか”の設定項目があるので,念のためチェックしておこう。また,ファームウェアのアップデートも,設定ダイアログの下にある。

 LEDイルミネーションの色をカスタマイズしたい場合は「ライトの設定」を確認だ。

LGSのライトの設定からプリセットの9色を選んだところ。上段左から赤,橙,黄,黄緑,白。下段左から水,青,紫,桃だ。Logitech G/Logicool GのLEDイルミネーションは伝統的に,ブランドカラーである水色をキレイに出すためか青が強いのだが,その影響がPro Gaming Mouseでも白と紫で確認できる
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インストーラによる「Overwolfインストール案内」。ここでチェックを入れるとOverwolfの配布ページがWebブラウザで開いた
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 また,これはインストール時に気付いたのだが,スクリーンショット取得やゲーム録画といった機能を持ち,ボイスチャットツールの通話状況をオーバーレイ表示させることもできる外部ツール「Overwolf」を導入するかどうかが,LGS導入時に尋ねられた。
 日本でOverwolfを積極的に使っている人はほとんどいないと思うので,基本的には導入しなくていいと思うが,導入すると,LGSからOverwolfを呼び出せるようになる。


リフトオフディスタンスと入力遅延が突出して低いPro Gaming Mouse


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 本稿冒頭のスペック一覧を見た読者ならお気づきのとおり,Pro Gaming Mouseは,最近Logitech G/Logicool G製マウスが共通で採用するPixArt Imaging製光学センサー「PMW3366」を採用している。そのため,最大トラッキング速度が300IPS,最大加速度が40Gという基本スペックは,2016年下半期に国内発売となった「G403 Prodigy Wireless Gaming Mouse」(以下,G403WL)や「G403 Prodigy Gaming Mouse」(以下,G403),あるいはフラグシップモデル「G900 Chaos Spectrum Professional Grade Wired/Wireless Gaming Mouse」(以下,G900)と共通だ。
 ただ,センサーが同じなら挙動も同じ,とはいかないのがマウスの世界である。今回も恒例のテストを行ってみたい。

 テストで使用した環境は以下のとおりだ。

●テスト環境
  • CPU:Core-i7 4770(4C8T,定格クロック3.4GHz,最大クロック3.9GHz,共有L3キャッシュ容量8MB)
  • マザーボード:GIGA-BYTE TECHNOLOGY GA-Z87X-UD4H(Intel Z87 Express)
    ※マウスはI/Oインタフェース部のUSBポートと直結
  • メインメモリ:PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2
  • グラフィックスカード:MSI GTX 970 GAMING 4G (GeForce GTX 970,グラフィックスメモリ容量4GB)
  • ストレージ:SSD(東芝「HG6」(THNSNJ256GCSU,Serial ATA 6Gbps,容量128GB)
  • サウンド:オンボード
  • OS:64bit版Windows 10 Pro

●テスト時のマウス設定
  • ファームウェアバージョン:110.2.16
  • LGSバージョン:8.91.48
  • DPI設定:200〜12000 DPI(※主にデフォルト設定の800 DPIを利用)
  • レポートレート設定:125/250/500/1000Hz(※主にデフォルト設定の1000Hzを利用)
  • Windows側マウス設定「ポインターの速度」:左右中央
  • Windows側マウス設定「ポインターの精度を高める」:無効

 テスト1つめは,「MouseTester」を用いたセンサー性能の検証である。
 ここでは,Pro Gaming MouseをARTISAN製マウスパッド「飛燕 MID」と組み合わせ,ポーリングレートを1000Hzで固定してから,400,800,1600,3200 DPIの各DPIでそれぞれLGSの表面のチューニングからサーフェスキャリブレーションを行って,そのうえでテストを実行する。具体的にはマウスを一定のリズムで左右に振るだけのシンプルなものだが,MouseTesterを使えばセンサーの挙動に関する,けっこう詳細なデータを得られる。

 下に並べたグラフ画像がその結果だ。
 グラフはY軸のプラス方向が左への振り,マイナス方向が右への振り,横軸がms(ミリ秒)単位での時間経過を示す。青い点が実際のセンサーのカウント,青い波線はそれを正規化したものとなっており,波線が滑らかで,かつ,その上に青い点が並んでいるほどセンサー性能が良好ということになる。
 総じて,左右の振り返し時に挙動がやや不安定になることもあるが,これは現行,すべてのゲーマー向けマウスで改善を見ていない問題だ。また,マウスの直線移動中にカウントが乱れるケースも見られる,全体を通して見るなら悪くないと言えるレベルだと思う。

400DPI設定時。振り返し前後で若干の乱れが見られるが,全体としては良好と言える部類だ
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800DPI設定時。横軸3600msの先,減速からの振り返し時にカウントがやや乱れている
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1600DPI設定時。よく見ると,左方向へ降ったときは振り返し直前に800dpi設定時と同じような乱れ方が少しだけ見える。逆に右方向へ振った場合は,右方向から左方向へと切り替えした直後に左方向よりも大きく乱れる傾向を確認できた
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3200dpi設定時。波線,カウントともにきれいだ
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 次はリフトオフディスタンス,つまり,マウスを接地面から持ち上げたとき,どれくらいの高さでセンサーの反応が途絶するかの検証だ。方法は単純で,11枚の異なるマウスパッド上に厚さの異なるステンレスプレートを重ね,マウスの反応がなくなった時点の高さを0.1mm単位で計測するというものになる。
 その結果が表1で,優秀の一言。最も長いケースでも1.2mmで,平均値は0.89mm。4Gamerが基準とする最大2mmを大きく下回っており,マウスを振り回すときの心配は無用と断言してよさそうである。

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 続いては直線補正だ。前述のとおり,Pro Gaming MouseはLGS上の設定メニューからアングルスナップという名前のチェックボックスを用いることにより,直線補正を有効化できる。つまり標準では無効ということだが,ここでは,Windows標準の「ペイント」で線を引いて,アングルスナップ無効時と有効時を比較することにした。
 その結果が以下のとおりで,無効時は,体感できる補正なし。有効時には若干の補正感があった。

直線補正無効時。何の違和感も覚えず,普通にマウスを扱える感覚だ
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直線補正有効時。補正の効きを若干感じるものの,強い違和感とまではいかない。たまに「あれ?」と思う程度だった
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 最後は,遅延状況のテストである。
 ここでは,G900のテスト時と同じく,マウスクリックをしてから音楽制作ソフト上のシンセサイザが音を鳴らすまでの遅延を,テスト対象間で比較することになる。その手順は,ざっくり説明すると以下のとおりだ。

  1. テスト対象のマウスを定位置で固定する
  2. マイクスタンドに吊したRazer製マイク「Razer Seirēn」を,マウスの左メインボタンすぐ近くに置く
  3. Windowsから音楽制作ソフト「Fruityloops」を起動。本アプリ上にあるソフトウェアシンセサイザの鍵盤をクリックする
  4. クリック音をRazer Seirēnで集音しつつ,「XSplit Gamecaster」を使って,「Razer Seirēnで集音した音」と「Fruityloops上の鍵盤で鳴った音」をミックスし,映像として録画する
  5. 動画編集ソフト「AviUtl」で,音声をWaveファイルとして切り出す
  6. サウンド編集ソフト「Audacity」でWaveファイルを開き,クリック音とシンセサイザの音が出るまでの時間を計測する
  7. テストを連続30回行ったうえで,ブレ対策のため最初の5回をカット。6回めから30回めの平均を取ってスコアとする

 今回のテストにあたって,比較対象としては前出のG403WL,G403と,競合の「Razer DeathAdder Elite」(以下,DeathAdder Elite)を用意した。G403WLはワイヤレスおよびワイヤード両対応なので,両方でテストを行う。
 なお,G403シリーズで用いたファームウェアのバージョンは3.1.7。DeathAdder Eliteのテストにあたってはバージョン2.20の「Razer Synapse」を用いている(※ファームウェアバージョンは未公開)。

 その結果が表2で,はっきり言って,Pro Gaming Mouseのボタンクリック時における応答速度は相当に速い。最初は計測ミスかと思い,追加で4回再計測したが,測定結果はほぼ同一だったので,これはとてつもないと言わざるを得ないだろう。これまでテストしてきたマウスの中では圧倒的に最速だ。

※G403WLではワイヤレス接続とワイヤード接続の両方でテストを行った
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シンプルに軽量化を目指しつつも,LEDイルミネーションへのこだわりが見える内部構造


上面カバーを外したところ
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 一通りのテストを終えたところで,カバーを取り外して分解してみよう。
 ということで,いつものように底面部のソールなどの下に隠れているネジを外すと,上面カバーは簡単に取り外せる。この時点で分かるが,基板の枚数は大小2枚。テンションシステムが「G302 Daedalus Prime MOBA Gaming Mouse」やG303と似たタイプなのも確認できた。

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底面カバー部から基板を取り出したところ。軽量化のためか,筐体と比べるとかなり小さい。また,サイドボタン用スイッチの載ったサブ基板は着脱不可だった
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こちらは上面カバー部のテンションシステムに寄ったところ。金属バネの使われ方はG303などとよく似た印象で,3巻きされている。スイッチと触れる部分の作りもそっくりだ

 というわけで,下に示したのがメイン基板での写真である。中央のセンサーはもちろんPMW3366(※刻印はPMW3366DM)だった。スクロールホイール手前のボタン用スイッチには「Kailh」の刻印があるので,Kaihua Electronics製ということになる。

メイン基板に寄ったところ
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 左右メインボタン用のスイッチはお馴染み,オムロン スイッチアンドデバイス製の「D2FC-F-7N(20M)」。スイッチレベルでは2000万回の押下に耐える仕様ということでいいだろう。左サイドボタン用のスイッチは,スクロールホイール手前のボタン用スイッチと同じくKaihua Electronics製だ。

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メインボタン用スイッチは定番のD2FC-F-7N(20M)。サイドボタンは詳細不明だがKailhロゴ入りだ
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センタークリック用スイッチには,メーカー名を示すようなヒントがなく,詳細不明である
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メイン基板の底面側にはセンサーカバーがある。このカバーのレンズ部がマウスの底面部から顔を覗かせているのだ
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チップ上のシールを剥がしてマイクロコントローラを確認。STMicroelectronics製の「STM32L100R8T6」だ。これも定番品である

 スクロールホイール部のLEDも外すなど,軽量化を頑張ったのだろうなあと思わせる一方で,本体後方部のLEDには,明らかな「光をキレイに回すための配慮」が見られる。ここを削ればもっと軽くできるのではないかとも思うが,やはり2017年のハイスペックマウスとしては見栄えも重要だということなのだろうか。

※注意
 マウスの分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は筆者が入手した個体についてのものです。「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」と保証するものではありません。


性能面はほぼ完璧! それだけに人を選ぶ側面の仕様が本当に残念


製品ボックス
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 以上,国内では新発売となるPro Gaming Mouseを見てきた。正直に言えば,北米市場ではG403WL&G403より前のリリースだったので,G403シリーズと比べると性能面のインパクトは薄いのでは,なんて高をくくっていたのだが,その結果はご覧のとおり。センサーの挙動からして,高性能であることに疑いの余地はない。とくにクリックに対する応答速度は尋常でなく,テスト中には素で「ええいロジクールのマウスは化け物か」と口に出してしまったほどだ。

 ただ,それだけに残念なのが,持ち方を思いっきり選ぶ,側面の仕様である。
 申し訳程度についているとても中途半端な凹凸がかなり滑る,おそらく軽量化のためにラバーコートを排除したのだと思われるが,だとしてももう少しやりようはあったのではないだろうか?

画像集 No.054のサムネイル画像 / 「Pro Gaming Mouse」レビュー。Logicool G初の「PRO」マウス,性能は文句なしだが……
 いずれにせよ結果として,かぶせ持ちの人にはただひたすらお勧め,つかみ持ちの人も持ち方次第でOKである一方,それ以外の,少しでも指を立てる持ち方の人にはまったく向かないマウスにPro Gaming Mouseは仕上がってしまっている。もともとが軽さ重視のエントリー市場向けマウスだったのだからしょうがないと言えばそれまでだが。

 気になる実勢価格は7830円前後(※2017年3月30日現在)。性能面は文句なしなので,あとは読者それぞれの持ち方と相談,ということになる。個人的には,側面をラバーコートしたバリエーションモデルを出してくれれば即買いなのだが……。出してくれませんかね?

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Logicool GのPro Gaming Mouse製品情報ページ

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画像集 No.033のサムネイル画像 / 「Pro Gaming Mouse」レビュー。Logicool G初の「PRO」マウス,性能は文句なしだが……

 細則はAmazon.co.jpのヘルプを参照してもらえればと思う。
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