レビュー
ついに登場したG5T後継製品は“買い”か?
Gaming Mouse G500
» 「G-Series」初のマウスとして,「G5 Laser Mouse」が登場してから4年。ついに登場した後継機を,fumio氏がさっそく掘り下げる。製品命名ルール変更後の第1弾製品でもあるこの新型機に,ゲーマーは何をどこまで期待できるだろうか。
G500で,従来の「(型番の省略形)+(センサー仕様)+Mouse」という製品命名ルールから一新されたため,少々分かりづらいが,Logitech/ロジクールの位置づけは,「G9x Laser Mouse」(以下,G9x)の下位モデル。G5のマイナーチェンジ版(※製品型番が“G-5T”なので,以下便宜的にG5Tと表記)や,(「G3 Optical Mouse」を含む)「Logicool MX518 Performance Optical Mouse」(以下,MX518)と同様の形状を採用しつつ,G9xと同じレーザーセンサーを搭載するということで,いやが上にも注目は集まるが,果たしてG500は,PCゲーマーの期待に応えることができるのか。今回は,その点を掘り下げてみたいと思う。
従来製品と比べて左サイドにわずかな変化
浅めに持ったときの感触には違いが
冒頭で紹介したとおり,G500のデザインは,定評,実績あるG5T,MX518のそれをベースとしている。「つまみ持ち」「つかみ持ち」では,本体両サイドの窪みが持ちやすさに寄与し,「かぶせ持ち」で深く握ったときには,手のひらへのフィット感が素晴らしいといった具合に,たいていの持ち方で違和感なく操作できる印象だ。
一方,「かぶせ持ち」などで,本体前方側(=ケーブルの根本に近い側)を持つ場合は,“窮屈感”の影響を受けないので,G5TやMX518とほとんど同じ感覚で操作できるだろう。
「SideWinder Mouse」と比べても,センサー位置が本体前方に相当寄っていることだ。世にあるほとんどのマウスは,本体中央寄りになっており,ゲーマー向けマウスでは,完全にマウスの重心と重なるようにデザインされているものすらあるので,この配置には賛否が分かれそうである。
ただ,「かぶせ持ち」を好む筆者個人としては,これくらい前に寄っていたほうが,指先での細かい微調整を行いやすく,また,左右への切り返し動作も,より機敏にできるように感じた。実際,「Quake Live」や「Warsow」といったFPSでは,G5T利用時よりも,命中率が上がっている印象だ。
重量はケーブル込みの実測値で約161g。ケーブルを秤からどかしたときの参考値は114〜120gといったところで,最近のゲーマー向けマウスの基準からすると,やや重い部類に入る。G5Tだと同157g,112〜117gなので,G5T比でもわずかに重さが増した計算だ。また,G-Seriesおなじみの重量調整機能「ウェイトカートリッジ」により,最大で30g重くすることもできる。
FPSプレイヤーの間では必要性が疑問視されることが多い重量調整機能だが,オンラインRPGプレイヤーの中には,重いマウスを好む“派閥”が少なからず存在するそうなので(関連記事),そこに向けた機能なのだろう。
センサー位置が極端な前寄りとなったので,「本体後方を重くすると,手首視点での操作がしやすくなったりするのではないか」と思って試してみたが,筆者には,何のメリットも見いだせなかった。従来同様,FPSプレイヤーは,重量約4gのウェイトカートリッジも含めて,箱にしまっておくのが正解のようだ。
予想以上に使いやすいサイド3ボタン
指をあまり動かさずに押下可能
さて,あえて紹介を後回しにしたが,G500では,「デュアルモード・スクロールホイール」と呼ばれる,チルト&センタークリック機能付きスクロールホイールの採用と,左メインボタン脇に2個,サイドに3個のボタンを搭載するのが,G5Tと比べたときの大きな違いとなっている。
そんなわけで,クリック・トゥ・クリックモードで評価することになるが,チルトの入力精度も含め,ホイール周りはG9xやG5Tに軍配が上がる。ノッチがやや緩く,センタークリックやチルト入力時に,上下への回転が誤入力されるケースがたびたび見られたからだ。ゲーム中の切羽詰まった状況で使うには,G500のホイールはやや心許ない。
ただ,人差し指で左メインボタン,中指で右メインボタンを受け持ち,ホイールはどちらかの指で操作する2本指スタイルだと,やはり指が攣(つ)りそうになる。
左サイドボタンは,初期G5の1個からG5Tで2個に,そしてG500で3個に増えたわけだが,ボタンの出っ張りが大きくなり,以前よりも押しやすくなった。ボタンを“真下から親指で押し上げる”ような感覚でクリックできるため,指を大きく動かす必要がないのだ。押し分けの難度は高いものの,親指の先をマウスにつけたまま,指の腹でボタンを押下することもできるようになっているので,総合的な使い勝手は高くなっているといえるかもしれない。
もっとも,指先を立てて持つ「つかみ持ち」だと,指の腹で押すのはおそらく無理だろうが。
G9xと同じセンサーを搭載し,追従性は十分
微加速は残ったままだが,実用上問題にはならない
400〜2000DPIくらいが一般的なゲーマーの選ぶ解像度範囲ということもあるので,果たして5700DPIという解像度が必要なのかという意見はあるだろうが,普段“180度4cm”(※視点を180度移動させるのに,マウスを4cm動かす必要があるという意)でプレイしている筆者にとっては,解像度が追いついてきた印象だったりもする。
いずれにせよ,G500のセンサーユニットがG9xと同一とされている以上,その信頼性には期待が持てるが,実際のところはどうなのか。今回は,表1に示した,筆者の軽量級ゲーム専用機で検証してみたいと思う。
テストに当たっての設定とテスト方法は以下のとおり。
●Gaming Mouse G500の設定
- SetPointバージョン:5.20.40(※ドライババージョン:4.82.11)
- トラッキング解像度:5700DPI(※ハードウェア設定の上限値)
- レポートレート(≒ポーリングレート):500Hz
- Windows側設定「マウスのプロパティ」内「速度」スライダー:中央
- Windows側設定「ポインタの精度を高める」:オフ
- SetPoint側設定「ポインタの速度と加速にOSのドライバを使用します」:オン/オフ両方
- SetPoint側設定「アングルスナップを有効にする」:オフ
- SetPoint側設定「速度」:5
- SetPoint側設定「加速」:0
●テスト方法
- ゲームを起動し,アイテムや壁の端など,目印となる点に照準を合わせる
- マウスパッドの左端にマウスを置く
- 右方向へ30cmほど,思いっきり腕を振って動かす「高速操作」,軽く一振りする感じで,ある程度速く動かす「中速動作」,2秒程度かけてゆっくり動かす「低速動作」の3パターンでマウスを振る
- 振り切ったら,なるべくゆっくり,2.の位置に戻るようマウスを動かす
- 照準が1.の位置に戻れば正常と判断可能。一方,左にズレたらネガティブアクセル,右にズレたら加速が発生すると判定できる
テストに用いたゲームタイトルは「Warsow」(Version 0.5)。ゲーム内の「Sensitivity」設定は,「180度ターンするのに,マウスを約30cm移動させる必要がある」0.15に設定し,読み取り異常の発生を分かりやすくさせている。
その結果を示したのが表2だ。
マウスの最終的な追従性は,センサーユニットの品質だけでなく,ドライバソフトウェアやファームウェア,マウス内部の設計などにもよるので,不思議な結果,というわけではないが,やや残念なのは確かだ。
なお,G9xのレビュー時に触れた,「OSとSetPoint側の設定を適切に調整しても,ごくわずかに加速が残ってしまう」現象はG500でも“健在”。マウスパッドの素材にかかわらず,この現象は再現できたが,とはいえそれは,OSやSetPointから加速をオンにしたときのような,目に見えるレベルの加速ではなく,検証用の極端な環境で高速/低速に動かしたとき,初めて気づく程度のものだ。よほどのローセンシ設定で使うのでなければ,気にする必要はないと思われる。
持ちやすさと追従性能,価格のバランスが取れたマウス
従来製品から乗り換える人は,形状の違いに注意
ただし,左サイドの手前側に微妙な形状の違いが生じたため,G5TやMX518の形状に慣れきった人が,乗り換え目的で安易に導入すると失敗するおそれはある。とくに「つまみ持ち」の人には,焦って購入するのではなく,一度店頭などでサンプルを握ってみることを勧めたい。
個人的には,思い切って前方に寄ったセンサー配置がとくに気に入った。多くのマウスが,センサーを底面の中央か,どちらかというと手首側に配置し,ゲーマー向けマウス市場全体を見渡しても,「中央こそ正義」のような風潮がある中で,この思い切った配置は印象的だ。過去にG5TやMX518に触れ,いまいち操作感がしっくり来なかったという人も,G500は一度試してみるといいかもしれない。
- 関連タイトル:
Logitech G/Logicool G
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