インタビュー
2011年のテーマはバランス調整とサブコンテンツの強化。一周年を迎えた「蒼天」が何を目指すのか,運営マネージャーに聞いた
一周年という節目を迎えた蒼天は,何を目指して今後サービスされていくのか。この1年間の動向を,今後の運営指針やアップデート予定などと合わせて,アラリオで運営マネージャーを務める細川晋太郎氏に聞いてきた。
定評のあるアクション性に加え,人気コンテンツを確立
一周年を迎え盛り上がる蒼天
本日はよろしくお願いします。蒼天は4月15日で正式サービス開始から一周年を迎えますが,この1年を振り返ってみて,プレイヤーからはどういった反応がありましたか?
細川晋太郎氏(以下,細川氏):
プレイヤーさんからは,一貫して操作性のよさを評価していただいています。アクションパターン自体はそれほど多くないのですが,ノンターゲッティングの応用が利く戦闘システムなので,うまく操作すればレベルや装備の差をひっくり返すこともできます。
ステータスも比較的自由に配分できて,各職業いずれも活躍できる場面があるので,そういった面でも蒼天の戦闘システムを気に入ってくれる方は多いですね。
4Gamer:
特徴であるノンターゲッティングバトルは好評なんですね。
細川氏:
ええ。ただその一方で,3国間の人口バランスについては改善要望などをよくいただいておりまして,調整に悩まされています。今,ゲーム内では魏が強くて,蜀が人数的に有利,呉が少し勢いがないという感じになっています。しかしプレイヤーさんからすると,「人数が多いから勝った」というのはあまり面白くないんですよ。
4Gamer:
人数に偏りがあると,アクションを駆使して個人の技量で勝つのは難しくなってしまいますからね。やはり,対等な条件で対戦を楽しみたいというニーズはありそうです。
細川氏:
そうなんですよ。なので,戦場ではほぼ同じ人数で戦えるよう,バランス調整にはかなり配慮しています。
4Gamer:
例えば,どういった取り組みを行っていますか?
細川氏:
一例としては,当初は各国とも同時に1か所にしか攻め込めない仕様となっていたのですが,そこに変更を加えました。蒼天のPvPは最大100人対100人なので,その仕様では同時に600人までしか参加できないことになります。そこで,ログインしているプレイヤーのうち,PvPで活躍できるレベル帯の人数をチェックして,攻め込める場所が増減するように調整したんです。
ほかにも,人口の多い国から少ない国への移住は簡単ですが,その逆は厳しくなるシステムなども実装されています。
4Gamer:
なるほど。三国志という世界がベースにある以上,人口バランスはサービスを続ける限り向かい合っていかなければならない問題ですよね。
細川氏:
はい。そこはアップデートのたびにきっちり調整をしていかないと,プレイヤーさんも楽しめなくなってしまいますので,我々としても大きな課題です。
4Gamer:
そういった苦心の結果として,実際のところ,同時接続者数やアクティブプレイヤー数などは増えているんですか?
細川氏:
2011年1月のアップデートと,続く2月のサーバー統合で大きく伸びましたね。これはデータ的にもそうですし,プレイヤーさんにも実感していただけているようです。
4Gamer:
盛り上がりを見せているところで一周年,というのもいいタイミングですね。
サーバー統合でプレイヤーの人口密度が上がり,PvPコンテンツが盛況になったことは想像できるのですが,1月のアップデートが好評だった理由は何でしょう?
3国が三つ巴で戦える「孟獲の乱」が実装されたことです。このコンテンツはレベルが低くても,ステータスに補正がかかる仕様となっているので,多くのプレイヤーさんが一緒に楽しめます。その平等性が受けたのではないでしょうか。
4Gamer:
なるほど。誰でも気軽に楽しめる対戦コンテンツが登場したわけですか。
細川氏:
それに加えて,3つの国が同時に戦うコンテンツだったということもあります。コンテンツ内では敵か味方かということしか分からないので,蜀を攻めているつもりが,実は魏だったなんてハプニングも起こります。孟獲の乱は,これまでの蒼天にいまいち足りないといわれていた部分に,上手くハマッた感がありますね。
2012年予定の大改革に向けて,連合機能の強化やさらなるバランス調整を図る
4Gamer:
それでは,今後どういった方向で蒼天のサービスを進めていくのか,指針などを教えてください。
細川氏:
まず,3国それぞれが天下統一を目指すという基本的な内容に変更はありません。しかし,天下統一は条件が厳しいですから,達成できるかどうか分からない遠い目標となってしまいがちです。
4Gamer:
条件は2011年2月のアップデートで緩和されていましたけど,それでもまだ目標としては厳しいものですか?
厳しいですね。「本当に天下統一できるのか」というプレイヤーさんもいます。ただ,頻繁に天下統一できるようなゲームにしてしまっては,それはそれでバランスが悪いですよね。
4Gamer:
あまり簡単にすると,今度は対戦のモチベーションが保てなくなってしまいそうです。
細川氏:
ええ,だから天下統一はあくまで大きな目標としておいて,もう少し身近なところで達成感を覚えていただけるような別の目標を作ろうと,企画・検討しています。
現在検討しているのは,連合(ギルド)コンテンツの強化ですね。例えば,連合で城を所有できるようにしたり,攻城戦をできるようにしたりといった感じです。これは2012年初頭に,蒼天最大規模のアップデートとして実装されることになると思いますよ。
4Gamer:
お,大型アップデートが予定されているんですね。その具体的な内容は,現段階でお話いただけますか?
細川氏:
すいません,まだお話するのは難しいです。大きな改革になるのは間違いないので,期待していただければと思います。
4Gamer:
では,近いうちに実装されるアップデート予定などは,どういったものがあるのでしょう。
そうですね。2月に連合で所有する対人兵器として「戦車」を実装したのですが,それに続いて5月にはオートタイプの戦車が登場しますよ。今度はプレイヤーが乗り込むのではなく,NPC武将と同じように行動指示が出せます。
また夏には,孟獲の乱に続いて,3国が入り乱れて戦うコンテンツが登場する予定です。
4Gamer:
好評を得ている孟獲の乱の拡張版,ということですか?
細川氏:
いえ,基本的にはボスを倒してレアアイテムを狙うような内容ですが,孟獲の乱の反省点を踏まえ,また違うゲーム性を表現していく予定です。
ほかにも,夏に大きなバランス調整を予定しています。これは回復アイテムからサブコンテンツ,メインの戦争に至るまで,ゲーム内のかなりの範囲に適用されるものです。
4Gamer:
蒼天はPvPをメインに据えたタイトルですから,バランス調整は重要ですよね。
細川氏:
プレイヤーさんからは,「一部の不遇といわれる職業はどうするんだ」と言われることもあります。不遇な職業が存在するのは否定できないのですが,かといって強い職業と同じベクトルで上方修正したのでは意味がありません。職業バランスは,より特色を出す方向での調整を考えています。
4Gamer:
そういった日本のプレイヤーからの声をゲーム内に反映するにあたって,当然開発元と協議が必要になりますよね。その点で,言葉の壁などで開発元に日本の声が届かない,みたいなことはないんですか?
細川氏:
実は,開発のWeMade Entertainmentさんとは,風通しがかなりいいんですよ。開発ディレクターが日本語に堪能なので,連日のようにさまざまなアイデアを出し合っています。
4Gamer:
ということはもしかして,日本独自コンテンツなどが実装される可能性も?
ほかの国でも実装されることになるので,独自とはいかないですけど,日本発案で取り入れられる要素はありますよ。
例えば,一定レベルに到達するごとに装備やアイテムをプレゼントするという仕様は,日本から提案したものです。PvPメインのゲームでは,新規プレイヤーが勝てずに止めてしまうというケースが非常に多いですから,こちら側で支援しましょう,と。
ほかにも近いうちに,戦争の可決システムが変更されます。今は複数アカウントを使って結果を操作するケースが見受けられるのですが,それをやってもあまり影響が出ないようにする調整ですね。
4Gamer:
日本の意見で細かな調整が行われることもある,ということですね。
細川氏:
調整だけってこともないですよ。実は,日本発案の新コンテンツも実装予定です。2011年の後半になってしまいそうなので,少し遠いのですが……。
4Gamer:
おお,それはどういったものなんですか?
細川氏:
蒼天って,「戦争以外の部分が弱い」という指摘を,常々いただいているんですよ。そこで,コンテンツのバリエーションを増やせるよう,馬のレースの開発が進んでいます。
4Gamer:
というと,ミニゲーム要素が追加される感じでしょうか。
それがですね,ちょっとしたレースゲームを作るくらいの規模になっています。蒼天は,馬がなかなかリアルにできているのですが,それを使って何かコンテンツを作れないかとお話ししていたら,妙に盛り上がってしまいまして。
4Gamer:
戦争とは違う方向に走ってしまった,と(笑)。
細川氏:
タックルで妨害したり,ジャンプで近道したりと,これはこれでおもしろいコンテンツになっています。同時に馬用の装備も実装する予定なので,馬の要素が大きく強化されますね。蒼天はどこに向かおうとしているのか? と考えてしまいますが(笑)。
4Gamer:
楽しみにしています。
それでは最後に,蒼天に期待している人に向けて,メッセージをお願いします。
蒼天は,個々のプレイヤーキャラクターのレベルアップや装備の充実に留まらず,天下統一という大きな目標に向けて国が一丸となって戦うタイトルです。政治力を発揮して,連合や国を動かし,ぜひ“中原の覇者”を目指してください。
4Gamer:
ありがとうございました。
細川氏によると,韓国WeMade Enterteinmentは現在,2012年に予定している蒼天の改革に向けて鋭意開発を進めているという。そのため,2011年の実装予定は若干地味に思えるかもしれないが,バランス調整とサブコンテンツの充実によって,今まで以上に楽しく遊べるゲームになるとも話していた。
また既報の通り,現在,蒼天では一周年記念のキャンペーンやイベントを開催している。併せて,呂布のアバターと赤兎馬がもらえる初心者支援キャンペーンも実施しているので,蒼天に興味を持った人はぜひ一度プレイしてみてほしい。
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