インタビュー
[G★2007#29]Frogsterとエキサイトが語る,MMORPG「The Chronicles of Spellborn」の魅力
そこで本記事では,主にFrogster StudiosのCEO,Sunny Park氏から本作の詳しい内容を教えてもらいつつ,エキサイトのオンラインゲーム部プロデューサー 小泉雅人氏に,ライセンス獲得を決めた理由などを語ってもらった。
Spellbornが持つ三つの魅力
4Gamer:
今日はよろしくお願いいたします。
Spellbornは,Frogster Interactive Picturesがドイツとフランスでのパブリッシング権を持ち,その子会社であるFrogster Studiosがアジア全域でのパブリッシング権を持っているそうですね。まず,Frogster Studiosさんにお伺いしたいのですが,Spellbornのどこに魅力を感じ,アジアでのパブリッシング権を獲得したのですか?
Spellbornの魅力には,三つのポイントがあるんです。
まず一つめは,“Fun to Play”。遊んでいて楽しいということです。ゲームならば当然のことなんですが,これまでのMMORPGは,作業の繰り返しになりがちなものが多いと思うんです。
そして二つめは,“Depth Game”。ゲームの世界観に深みがあるということです。ストーリーラインの背景には,複雑な歴史がありますし,それらがゲーム進行に,密接に繋がっているんです。そのため,クエストからクエストへの繋がりや構成などがしっかりしているので,途中でやめられなくなるほど,中毒性が高いんです。
4Gamer:
それでは,三つめは?
Park氏:
“ユニークであること”。これに尽きます。Spellbornは従来のゲームの集大成ではなく,新たな創造性に富んでいるんです。確かにMMORPGの文法は踏襲していますが,表現としてユニークなものになっています。
4Gamer:
具体的に,どのあたりがユニークなんですか?
Park氏:
とくに戦闘システムですね。敵をクリックしたら,コーヒーを飲みながら待っているだけでも自動で攻撃をし続ける,といったシステムにはなっていません。マスターするには,少しの訓練が必要ですが,非常にダイナミックなんですよ。
4Gamer:
なぜこのような戦闘システムを採用したのですか?
Park氏:
4Gamer:
というと,こういう戦闘システムのゲームを作りたいという欲求が先にあったのですか? それとも,市場の要請を受けてのものなのでしょうか。
Park氏:
MMORPGだけに限っても,2Dグラフィックスのものが登場し,その後,3Dグラフィックスのものが出てきた。どんどんレベルが高くなっているのは,明らかです。市場はいつでも新しいものを求めていますし,クリエイターは常に新しいものを作ろうとしています。その二つが合致すると,ゲームは次の世代へと進むのではないでしょうか。私達はSpellbornを,“次世代MMORPG”だと呼ぶこともできると思っていますよ。
4Gamer:
そう考えると,このタイトルが生まれたのは必然的なことだったのかもしれませんね。
Park氏:
そのとおりです。
4Gamer:
遠距離攻撃では,三人称視点のシューティングゲームのように遊べるとのことですし,戦闘自体がスリリングなものになっているようですね。このような戦闘システムを採用したSpellbornは,これまでヨーロッパでβテストが行われてきていますが,そのときの評判を教えてください。
Spellbornには,“MMO meets FPS”と言えるような側面があります。そのため,FPSが昔から人気を集めているヨーロッパや北米では,とくに受けていますね。
4Gamer:
それでは,日本を含むアジアでは,どのように受け止められると思いますか?
Park氏:
アジアや日本にもFPSのプレイヤーがいますし,彼らはきっと喜んでくれるでしょう。まあ,さすがに一夜にして「World of Warcraft」の人気を抜くようなことはないでしょうけど(笑)。でも,Spellbornは先ほどお話ししたような魅力を持つ作品ですので,多くの人達に楽しんでもらえるという自信はありますよ。
アジアで受け入れられる“洋ゲー”になるか
4Gamer:
そして今回,エキサイトが日本でのパブリッシング権を,Frogster Studiosから獲得したとのことですが,今後,日本でのサービスについてFrogster Studiosは何か関わっていくことになるのでしょうか。
Park氏:
我々からエキサイトに,ただ権利が移ったわけではありません。オペレーションやカスタマイズ,ローカライズ,そしてテクニカルサポートに至るまで,日本でのサービスが成功するよう,エキサイトと力を合わせていきます。
4Gamer:
なるほど,中間でライセンスを売買するだけ……というわけではないんですね。
エキサイトでは,どうしてこのゲームを日本でサービスしようと考えたのですか?
どのようなタイトルをサービスしようかと検討していた中でこの作品に触れたんですが,先ほどSunnyさんが話していたような部分に我々も魅力を感じたんです。戦闘システムは,TPSライクなだけでなく,スキルシステムとのバランスも優れています。世界観自体は,これまでの日本人好みのものとは少し違う路線ですけど,作り込みがしっかりしているので,日本でも受け入れられると思ったんです。さらに,もう一つ大事なことがあるんです。
4Gamer:
と,言いますと?
小泉氏:
新しいゲームを作ろう,新しい楽しみをプレイヤーに提供しよう,そんな熱いパッションに溢れていると感じたんです。
4Gamer:
なるほど,小泉さんご自身が,Spellbornに魅せられたというわけですね(笑)。
でも,いわゆる“洋ゲー”のMMORPGって,日本ではなかなか成功していないですよね。一部に熱烈な支持者がいても,多くの人は試すどころか見向きもしないようなケースも多いと思います。
Park氏:
確かにそういう傾向はあるようですね。でも,今回は自信があるんですよ。これはあくまでも私の考えですが,韓国や中国,台湾のゲーマーは,結果を非常に重視します。一方,日本のゲーマーの多くは,ゲームの結果そのものよりもプロセスに楽しみを見いだす傾向があるように感じます。これって実は,ヨーロッパのゲーマーの性質に似ているんです。ですから,北米で生まれたゲームよりも,日本で受け入れてもらいやすいのではないでしょうか。
4Gamer:
え,では韓国でSpellbornは人気が出ないかもしれない……と?
Park氏:
いや,そんなことはないですよ(笑)。先ほどの話とは別に,アジアで受け入れられるゲームというのは,「最初のは易しくても,極めようとすると難しい」というタイプだと思うんです。Spellbornは,この点を満たしていますから。あ,もちろんヨーロッパでも最近は,こういう考え方が広まってきました。ちょっと前まで,最初から凄く難しいゲームのほうが多いぐらいでしたけど(笑)。
4Gamer:
地域によるゲーマーの傾向の違いということでいえば,ビジネスモデルにも関係してきますよね。ヨーロッパでは月額課金制を採用するそうですが,韓国や日本では基本プレイは無料のアイテム課金制になるとのこと。でも,ベースとなるゲームが同じなのに,地域ごとにビジネスモデルを変えると,ゲームとしてのバランスがいびつになってしまったりしないのでしょうか。
小泉氏:
T.A.P. Vrakking氏(Spellborn CFO):
最後にいいですか?
ヨーロッパで生まれたMMORPGの中で,アジアで成功する初めてのタイトルがSpellbornになるよう,デベロッパとしても力を入れていきますので,少しの間,待っていてくださいね。
4Gamer:
まだ日本でのサービス時期などは発表されていませんが,一日も早く遊べる日がくることを楽しみにしています。
今日はありがとうございました。
今回のインタビューを通じて,とにかくPark氏の熱い語りっぷりには圧倒された。「『The Chronicles of Spellborn』のことは,すべてオレが話す!」と言わんばかりの勢いで,本作の魅力を語ってくれたのだが,本作にはそれだけさまざまな新機軸があるということなのだろう。
とはいえ,送り手がいくら熱意に溢れていようとも,まずはゲームに触れられる機会がないことには……と思う読者もいることだろう。前の記事でも触れたとおり,日本でのサービススケジュールは,後日,日本で開催される予定の発表会で明らかにされる予定となっている。まあ,スケジュールが発表されたとしても,すぐに遊べるようになるわけではないだろうが,実際にプレイできるようになったときには,Park氏の言葉の意味を深く理解できるかもしれない。いやむしろ,Park氏の言葉の意味を深く理解できるような,魅力に溢れたゲームであってくれることを願ってやまない。
- 関連タイトル:
スペルボーン
- この記事のURL:
Copyright(C)2007 FROGSTER ASIA Co., Ltd. & SPELLBORN N.V. ALL RIGHTS RESERVED Copyright(C)1997-2009 Excite Japan Co.,Ltd. All Rights Reserved.