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YNK Koreaのユン社長が語る,「R.O.H.A.N」そしてYNK JAPAN
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印刷2006/10/20 15:41

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YNK Koreaのユン社長が語る,「R.O.H.A.N」そしてYNK JAPAN

 11月1日(水)にYNK JAPANが正式サービスを始めるMMORPG「R.O.H.A.N」。同作の韓国でのパブリッシャであり,開発元YNK Gamesの親会社であるYNK Koreaから,ユン・ヨン・ソク社長が来日していた。
 そのユン社長が,10月17日にMMORPG「R.O.H.A.N」のプレイヤーを集めて行ったオフラインイベント「ユーザー感謝DAY」に参加し,熱弁を振るったことは当日中にお伝えしたが,その翌日にあらためてインタビューの時間を設けてもらった。

 ユーザー感謝DAYの感想から,R.O.H.A.Nのプレイヤーから上がっているYNK JAPANに対する不満について,そして正式サービスに向けての意気込みなどを聞いてきたので,R.O.H.A.Nプレイヤーはぜひ読んでほしい。



■ユン社長から見た,日本のR.O.H.A.Nプレイヤーの特徴

4Gamer:
 お忙しいところ,ありがとうございます。
 早速ですが,昨日(10月17日)のオフラインイベント「ユーザー感謝DAY」の感想から聞かせてください。

ユン・ヨン・ソク社長(以下,ユン社長):
 私にとって,プレイヤーは師匠,先生であると考えているんですよ。だから一言で言うと,「とても勉強になった」。これに尽きますね。

4Gamer:
 イベントの最後にユン社長がした挨拶の中で,日本ではコミュニティ機能へのニーズが高いということが分かったとおっしゃっていましたよね。

ユン社長:
 ええ,日本のプレイヤーは,コミュニケーションのやり方,スタイルがほかの国とは違うようですね。例えば韓国やアメリカに比べると,見た目は穏やかでも緊密な絆を作っていくようなスタイルなのではないかと感じています。まだ,ハッキリとは分かりませんが。

4Gamer:
 確かにそういう傾向はあるかもしれませんね。SNSの隆盛も,そのあたりに理由の一つがあるのでしょうし。

ユン社長:
 また,ほかの国とのコミュニケーションスタイルの違いとしては,オンライン上であっても礼儀,マナー,エチケットを守っている人が多いというような気もしています。

4Gamer:
 例外はあると思いますけどね(笑)。

ユン社長:
 まぁ,それはそうですよね(笑)。
 そこでR.O.H.A.Nでは,システムと運営の両面で,こういうスタイルのコミュニケーションを求めている人達に向けて,アップデートなどを行っていく必要があると考えています。

4Gamer:
 それは,具体的にはどんな形のものを考えているのですか?

ユン社長:
 そうですねぇ……。ホットキーなどを使って,登録した挨拶文を簡単に出せるようにするとか,そういう細かい部分もフォローしていきたいです。
 それ以外にも,昨日のイベントでプレイヤー代表から指摘されて気付いたのですが,チャットをするとき,相手のキャラクター名に難しい読みの漢字が使われていたりすると,入力に手間がかかるんですね。こういう部分も,日本のプレイヤーでないとなかなか気付かないですよね。きちんと対処したいと思います。

4Gamer:
 日本語を使っていると,どうしてもそういう部分で不便さを感じることは多いんですよ。

ユン社長:
 そうなんですよね。最初にそこに気付いていなかったのは,私達のミスでした。でも,そういうものを一つ一つクリアして,最終的にはWindows Live MesengerやYahoo! Messengerと同じぐらい,ゲーム内のチャットシステムを使いやすいものにしたいと思っています。



4Gamer:
 チャットシステムも重要だとは思うのですが,昨日,ミニゲームなどに対して批判的な声もありましたよね。ゲーム性についても,日本のプレイヤーと韓国のプレイヤーとで,求めるものが違うと思うんです。そのあたりはどうお考えですか?

ユン社長:
 今,さまざまな韓国産のゲームが,日本市場に投入されていますよね。そういう状況を見ていて感じるのですが,日本のプレイヤーは理解しやすいゲームを求めているようです。もちろん,とっつきにくいゲームでも,時間をかけて慣れるから問題ないという人もいますが,やっぱり好きになってもらえるまでの過程が複雑過ぎたり,時間がかかりすぎたりするようなものは,多くの人に受け入れられないようです。

4Gamer:
 ライト層ほど,そういう傾向は強いかもしれません。

ユン社長:
 韓国では,こういうスタイルでも受け入れられるので,日本でも同じような感じだと思っていたのですが……。ちょっと読みが甘かったですね。私自身,とてもゲームが好きですから,開発側に立ちながらもプレイヤーの気持ちを忘れたことはないつもりだったんですが。

4Gamer:
 文化が異なる国のプレイヤーの気持ちは,なかなか分からないですよね。逆も真なり,ですし。

ユン社長: 
 そうなんですよね。ただ,作り手と遊び手の間に溝があると,お互いに成長できないと思うんです。だから,もっとお互いに近づいてコミュニケーションをとれるようにしていかなければなりません。そして,お客様が求めているものを提供していきたいです。

4Gamer:
 ところでユン社長は,前回のインタビューでも言っていたように,今後も昨日のようなイベントに参加するのでしょうか。

ユン社長:
 自分自身,自社のゲームのプレイヤーですから,プレイヤーと同じ目線,もしくは下から見上げるような感じで,ほかのプレイヤー達と対話をしたいと思っています。ですから,要望があればどんどん参加するつもりです。
 それに,韓国の開発グループでは,今までよりはるかに大きな開発プロジェクトがそろそろ終わるんです。これのテストが終わるころに,また日本に来て,プレイヤー達とコミュニケーションをとりたいと思っています。



■これからのYNK JAPANを見守ってほしい

4Gamer:
 ただ現状,Botであったり,海外からの不正アクセスであったりという問題に,YNK JAPANは対応しきれていないと感じているプレイヤーが多いようですよ。

ユン社長:
 確かにそういう声が届いていることは否定できません。
 実は昨日(10月17日)の夕方,YNK JAPANの新社屋のオフィス開きをしました。これまでずっと,R.O.H.A.Nを愛し,共にがんばってくれる運営チームやGMといった仲間達を探してきました。オフィス開きのとき,ようやくその仲間が揃ったんだと実感しました。
 これまでは,至らぬところが多々あったと思います。でも,今後の戦略についてのビジョンはきちんと持っていますので,それは必ずお見せします。

4Gamer:
 具体的には,どのようなことでしょうか。

ユン社長:
 これまでは,会社としての組織作りや環境を含め,投資をする段階だったんです。それがようやく整ったので,問題とされている点を改善できるよう,本格的に取り組んでいきます。
 例えば,GMや運営チームのためのマニュアル作りなどを行っていきます。そして,常にどんな状況でも安定したサービスを提供できるようにします。

4Gamer:
 それは,どれくらいの期間で実現されるのでしょうか。

ユン社長:
 そうですね……。もしかしたら1年近くかかってしまうかもしれません。でも逆に,1年後に何も変わっていないようだったら,それは私を含む経営陣の責任です。経営陣が,適切な指示を出していなかったということになりますからね。でも,そういう風にはならない自信があります。

4Gamer:
 では今後,ユン社長も経営陣として,積極的に運営チームやGMに対しても関与していくのでしょうか。

ユン社長:
 基本的にはYNK JAPANの経営陣が,それをやるべきだと思っています。ですが,前回の出張時にYNK JAPANの経営陣とミーティングをして,GMの環境を改善させようという案を出しました。
 GMもGMである前に一人の人間なんです。ですから,会社としても良い環境を用意して,働きやすさややりがいを与える必要があります。そうすれば,プレイヤーに対しても,精一杯のサービスをできると思うんです。

4Gamer:
 労働環境が悪く,プレイヤー達からは不満の声ばかりが届くような状態だと,GMもモチベーションの維持ができなくなりますよね。

ユン社長:
 ええ,ですから例えば……給料を,ほかの仕事より,100円でも1000円でも多く払います。そうすることで,会社への所属意識を高め,サービスの質の向上も狙いたいです。

4Gamer:
 うまく機能するといいですね。先にプレイヤーの不満を取り除いてくれ! という意見もあるでしょうが,オンラインゲームを“サービス”として考えた場合,そういった環境整備は重要だと思います。でも逆に,どうして今まではそういうことを取り組んでこなかったのかという疑問も残ります。



ユン社長:
 そうですよね。非常にお恥ずかしいことなんですが,これまでさまざまなドタバタ,トラブルが続いていたんです。その結果,プレイヤーの皆さんにご迷惑をおかけしてきてしまいました。
 でもそれは,現場のスタッフ達の責任ではありません。経営陣が状況を把握して,適切な指示を与えることができなかったのが間違いだったんです。ですから経営陣も,初心に戻って精一杯がんばります。

4Gamer:
 日本の状況というのは,韓国にいらっしゃる間は見えにくいでしょうしね。

ユン社長:
 それは事実です。でも,R.O.H.A.Nを愛してくれている日本のプレイヤー達に,不快な思いをさせてしまったのは確かだと考えています。その原因は,YNK JAPANだけでなく,R.O.H.A.Nというゲームを生み出して,日本でサービスすることを決めた私にあります。ご迷惑をおかけしてしまったプレイヤーのみなさんには,この場を借りてお詫びします。どうかもう一度,見守ってください。

4Gamer:
 実は,4Gamerのフォーラムに,R.O.H.A.Nに会員登録して以来,携帯電話宛に迷惑メールが届くようになったという書き込みがあったんです。この書き込みの真偽は,私には分かりません。ですが,こういう噂が広がることで,R.O.H.A.NにもYNK JAPANに対しても,悪い印象がついてしまいますよね。こういう疑惑に対して,これまでYNK JAPANは対応しきれていなかったように思うんです。

ユン社長:
 そうなんですか……。それは,YNK JAPANとすぐにミーティングをして,きちんと事情を聞いてみます。そこでどういう対応をするか,決めることにします。
 ですが,迷惑メールの問題についてYNK JAPANが直接関わっているようなことは絶対にないと,120%の自信を持っています。セキュリティは三重にしていますから,情報の漏洩もないと思います。ですが,もしも情報の漏洩などが判明したら,すぐにでも全体的なチェックをし直します。

4Gamer:
 例えば,「そんなことはありません」「セキュリティもしっかりしています」という情報を,少しずつでも公開しておけば,悪いイメージも付きにくいと思うんです。
 もちろん,私自身こういう業界に身を置いていますから,YNK JAPANにも何かしらの事情があるのだろうとは推測できす。ですが,,プレイヤーにとっては,どんな事情があろうと関係ないんですよね。だから一旦悪いイメージがついてしまうと,それを払拭するのは相当難しくなってしまうと思います。

ユン社長:
 おっしゃるとおり,遅かったと思います……。でも,YNK JAPANが積極的に悪事に手を染めているようなことはありません。先ほどもお話ししたとおり,これからがんばっていく姿を,プレイヤーの皆さんにはお見せしていきます。いつの日か,分かってもらえるように。

4Gamer:
 はい,期待しています。



■正式サービスで重視している三つのポイント
4Gamer:
 話をちょっと変えますね。11月1日には正式サービスが始まります。お金を払う分,プレイヤーが求めるものも,より高度になっていくと思うんです。そこで,正式サービスに向けての意気込みを聞かせてください。

ユン社長:
 正式サービスを始めるにあたって,三つのポイントがあります。
 まずはコンテンツ。より豊かなコンテンツを提供していきます。

4Gamer:
 「EPIC III 混沌の時代」も実装されるんですよね。

ユン社長:
 はい。そして次に,コミュニティです。活発なコミュニティが形成されるためには,プレイヤー達が楽しく簡単にコミュニケーションできる機能,環境が必要です。

4Gamer:
 先ほどお話しいただいた,チャットシステムの改良なども正式サービスでは期待できそうですね。

ユン社長:
 ええ,正式サービス開始直後には間に合いませんが,早急に対応します。
 そして最後に重要なのは,テスト期間に判明した問題の改善です。もちろん,改善できるからこそ正式サービスを始めるわけですが,運営/管理の両面から会社として安定的なサービスを提供します。
 この三つのポイントを,正式サービスでは重視しているんです。

4Gamer:
 本当にこれからが勝負ですよね。

ユン社長:
 そうですね。オンラインゲームって,開発側が完成させて,「はい,遊んでくださいね」というものではありませんよね。プレイヤー達とコミュニケーションをとりながら,徐々に育っていくものだと思うんです。

4Gamer:
 ゲームが続く限り,開発も終わらないわけですし。

ユン社長:
 ええ,そういう意味では,“完成”という形はありえないのかもしれません。ゲームを成功させるためには,プレイヤー達と親密にコミュニケーションをとる必要があると思っています。
 はっきり言って,そのための道は平坦ではないし,簡単に終わるようなものでもない。誰もが歩けるような道じゃないんです。でも私は,そこを歩く覚悟を決めています。

4Gamer:
 その覚悟が,良い結果を導くことになるといいですね。

ユン社長:
 はい。成功させるのは並大抵のことじゃないと思っています。でも,私は諦めませんよ。私の人生はこの道しかありませんから,ずっと挑戦を続けていきます。心の半分は常に日本にいますから,これからもよろしくお願いします。

4Gamer:
 ありがとうございました。


 前回のインタビューでも感じたが,ユン社長はとても高い理想を持ち,それを実現するためのバイタリティに溢れている人物だ。日本運営についての話を聞いてみたときには,申し訳ないと語りながら何度となく頭を下げていたのだが,ユン社長の理想に現実が追いついていない状況を,ユン社長自身が一番苦慮しているように見えた。
 ともあれ,プレイヤーにとって重要なのは,まずゲーム自体が面白いかどうか。そして,ゲーム内の諸問題を適切かつ迅速に対応してもらえるのかどうか。基本的には,その二つに集約されるといってもよい。
 一度失った信頼を取り戻すのは,容易なことではない。だがユン社長は「テストはテストだから」といった逃げ方はせず,非を認めたうえで,必ず改善すると約束してくれた。この約束が果たされるのか否かはまだ分からない。しかし,前回のインタビューでの「プレイヤーと直接対話をしたい」という公約を果たしたユン社長なら,必ず何かの成果を出してくれるに違いない。その日を期待しつつ,今後の動きに注目していきたい。(TeT)



2006年10月18日収録

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