プレイレポート
コーエー突撃 マスター直前「信長の野望・革新」に触れてきた・2
すでにその前半部分は記事化しているので,まだ読んでない人は「こちら」からどうぞ。ここでは,合戦を中心とした後半部分をお伝えしよう。
■部隊について:好きな数だけ部隊を出せる
信長の野望シリーズの華,合戦シーンも当然見せてもらった。戦闘システムは,部隊が出動中でも常に命令を変更できたり,技(戦法)を任意に発動できたり,その戦法が連鎖したりといった微妙な違いはあるものの,イメージとしては「三國志IX」のそれに近いといえる。
合戦に備えてまずプレイヤーがするのは,城にいる(=遂行中の命令のない)武将で,部隊を編成することだ。一つの部隊は,1〜3人の武将で編成できる。
ちょっと話が変わるが,武将パラメータの「統率」は,通常攻撃の威力や,"戦法"の発動に必要な「闘志」の増加力,指揮兵力(率いられる兵士数)に影響する。また似たようなパラメータである「武勇」のほうは,(その系統の熟練と共に)"戦法"の威力に影響する。
さて3人の武将で部隊を編成したとして,この部隊に影響を与えるのは,統率,武勇共に(ついでにいうと「知略も」),3人の中でその値が最も高い武将となる。では部隊に武将が3人いる必要がないように感じるが,もちろんそうではない。部隊が1回の行軍で装備できる戦法は,武将の人数×一つ。つまり一人の武将で編成された部隊では一つしか戦法を装備できないため,以前「こちら」で紹介した"連鎖"も起こり得ないのである。
なお戦法は,部隊編成時にあらかじめ選択できるが(このあたりも三國志IXに似ている),ここで選択肢に登場するのは,編成された全員の武将分すべて。1武将につき戦法一つとはいえ,別に一人の武将の持つ戦法ばかり三つを選択しても構わない。
先ほどのパラメータの話も併せて考えると,3人のうち一人だけでも優秀にしておけば,その部隊は十分機能しそうである。
部隊の攻撃目標を指定すれば,あとは時間の流れに合わせて自動で移動し,目標や敵部隊と接触すれば自動で戦闘する。三國志IXではこうなるとプレイヤーは何も手を出せなかったが,本作ではいつでも部隊の移動先を変更できるし,また何度か紹介している"戦法"を,プレイヤーの任意のタイミングで発動できる。
戦闘が始まると,部隊の"闘志"(部隊を表す枠内の,白いゲージ)が溜まっていく。この溜まるスピードは,前述したとおり,部隊を率いる武将の統率値によって違う。この闘志が目印のところまで溜まると戦法を……という話は,以前の記事「こちら」に詳しいので,ここでは省略しよう。
さて,リアルタイムですべての作業を並行して行う本作の場合,合戦中だからといって,ほかの作業の手を止めてはいられない。また合戦も,あちらこちらで同時多発的に行えるわけだ。
そこで,一度に出せる部隊数を聞いてみたら,「10でも20でも,いくつでも出せますよ」と阿野氏。軽く驚きつつも,よくよく画面を見てみると,画面右側の,部隊の一覧が出ている部分に,縦スクロールバーがついている。確かに,20の部隊を同時に出しても,インタフェース的に問題はなさそうだ。
RTSや「Civilization」の影響を感じられる本作では,確かに同時に出せる部隊数が少なくては,話にならないだろう。
■合戦:誰もいない城が戦法を発動!
まぁリアルさという言葉とはかけ離れた各種エフェクトは今作に始まったことではないので,「あはは,今作はまたにぎやかだなぁ」くらいと楽しく見ていたのだが,そのとき耳に飛び込んできた"音"に,驚いた。PC版"信長の野望シリーズ"では非常に珍しい,音声が出ていたのだ(よくよく思い出してみれば前作「天下創世」でも出ていたのだが,なぜだろう,あまり覚えていない)。
といっても,"キャラゲー"よろしく武将達がベラベラしゃべりまくるということではもちろんなくて,「おのれ〜」「一歩たりとも近づけるでないぞ」「なかなかやるな」「続け〜」といった,比較的短いセリフのみが,音声で出ていた。
今どき音声データくらい珍しくもなんともないのだが,信長の野望シリーズに限っていえば,なんだか新鮮ですらある。
また,いくつかの部隊で城を攻めているときにも,不思議な現象を見た。攻撃の対象となっているのは部隊ではなく,あくまで"城"なのに,守備(城)側が戦法を発動してきたのである。
阿野氏に解説をお願いしたところ,各拠点も,その拠点に応じた(例えば"天守"によっても違う)戦法を発動できるとのこと(一人でも武将が城にいることが条件となる)。ただし部隊と違い,プレイヤーの任意のタイミングでは発動できないようだ。
ちなみに筆者が目撃したのは小田原城で,当然城としてのレベルが高く,かなり派手な戦法となっていたが,一番レベルの低い城では何も戦法が出ないようである。
さてまた別の城を攻撃していて,そのまま力押しでも勝てそうという状況で,阿野氏は違うコマンドを出した。「包囲」を命じたのだ。
拠点ごとに,(当然だが)城門がいくつかある。この城門を,部隊で封じてしまうのが,包囲である。阿野氏が攻めていた城は城門が多く,三つあった。ちょうどその城攻めを行っていたのが3部隊だったので,それぞれの部隊が三つの城門の前に陣取り,包囲に成功した。
包囲している間は,当然その拠点の"耐久"は減らず,包囲している側は一方的に攻撃を受け続ける。ただしこの間,拠点側の兵士の"士気"が減っていくのだ。城は,兵力が0になった場合だけでなく,この士気が0になった場合にも,落ちる(この場合,残った敗軍兵は,すべて落とした側のものとなる)。
包囲を効果的使うことで,城の耐久をあまり減らさず,また兵力をあまり削ることなく,落城させられるというわけだ。
■中盤以降の話:自然と2大勢力による総力戦が発生!
領土が少ないうちであれば,内政や合戦を同時に進行させても,それほど不都合はないかもしれない。しかし徐々に大勢力となってくれば,とても一人で,すべての領土で内政や合戦,技術開発を行っていられないはずだ。
そこで,"委任"についても聞いてみた。本作での委任は,軍団単位で行える。軍団は大名を含めて八つまで作れ,それぞれにかなり細かい指示を出せる。その指示の内容については,前回の記事で掲載した画像を見てもらうほうが早いだろう。
ある程度の大きさの勢力になれば,軍団を編成して委任することで,各種作業(本作の場合,主に人材運用)をCPUに任せてしまえる。これは信長の野望シリーズでは当たり前のことだが,これまでとは逆に"RTS的な視点"で見た場合は,嬉しい機能となるかもしれない。
また自分で多くの部隊を操作する場合でも,戦法の発動をCPUに任せられるので,そうなれば20部隊くらい同時に動かしていても,さほど面倒ではないだろう。
さて,そのようにいくつも軍団を作って回すほどの大勢力になったとき,ほかの大名家の状態は,どうなっているのだろうか。
前作「天下創世」には,"決戦"というシステムがあった。これは,信長の野望シリーズに見られた"中盤から終盤にかけてのマンネリ"を回避するために導入されたシステムで,ある程度の大勢力同士が文字どおり総力を挙げて戦う合戦だった。
これが天下創世の大きな特徴でありながら,同時に最大のウィークポイントになっていたのは,否めない。相手がどれほど巨大な勢力であったとしても,この決戦で勝てば,一発でその勢力を骨抜きに出来る。しかも,(少なくとも発売当時のプログラムでは)思考ルーチンが実にまずく,どんな相手だろうが,決戦で簡単に勝ててしまったのだ。
では今作ではどうだろうか。阿野氏にこういったシステムがあるかと聞くと,少し微笑み,「システムとしては,用意していません」と答えた。
阿野氏の話では,本作ではプレイヤーの操る大名家が大きくなっていくのに合わせるように,ほかの大名家でも淘汰が進み,いくつかの大名家がかなり大きな勢力を持つようになるらしい。そして最終的には,(わざわざ決戦システムを導入しなくても,)二大勢力による大激戦というシチュエーションが,"自然に"発生するというのである。「きっと驚きますよ。なにせ普通にプレイしていれば,必ずいつか50万vs.50万という戦いを目撃することになるんですから。それを一度見てしまうと,ほかの戦いは小競り合いに思えちゃうでしょうね」(阿野氏)。
考えてみれば,部隊を出す数に制限がなく,それが常にあちらこちらで戦っているという本作で,さらに大名家の淘汰が激しいのであれば,どこかのタイミングで,数多くの部隊同士がぶつかり合う一大決戦が自然発生してもおかしくない。
残念ながら今回のデモンストレーション中にはそのような場面までは見られなかったが,阿野氏の話が本当ならば,これはゲームとして実に魅力的な仕様といえるだろう。
■その他 役職/官位,クリア条件,仮想シナリオなど
・役職/官位
シリーズ従来作と同様に,役職や官位を得られる。また現在の役職/官位の前にもらっていたものを,自分の配下に与えられるのも従来作どおりだ。
役職は,その武将の指揮兵力に影響する。指揮兵力はどの武将でも最低5000はあり,統率によって普通は7000〜8000程度となる。また,大名自身を含む一門衆は"+5000"される。そしてこの役職に就くことで,さらに多くの兵士(征夷大将軍なら+13000)を率いられるというわけ。
一方の官位は,統率と政治がアップする。最高位である"関白"だと12ずつ上がるのだから,そのパラメータ上昇の影響は馬鹿にできない。
・クリア条件
基本的には,全国モード/地方モードともに,すべての"拠点"(本城含む)を落とすのがクリア条件だ(後述するチャレンジモードは違う)。ただ,一つの大名家が過半数(全国モードなら30以上)の本城を手にしていて,ほかがすべて(その大名家から見て)同盟国の領土であれば"同盟統一"となり,これもクリアとなる。
エンディングは基本的に1種類だが,プレイ大名が征夷大将軍になっていた場合,関白になっていた場合,どちらにもならなかった場合や,同盟統一の場合,同盟統一の従属国側の場合(同盟国が過半数を占めてのクリア)などで,少しずつ違ってくるようだ。
・仮想シナリオ
賛否両論あるかもしれないが,いろいろ言いつつもきっと多くの人が一度はプレイしてしまうこのシナリオも,少し見せてもらった。
最近の三國志シリーズの仮想シナリオと同様に,この時代の英雄達,例えば北条早雲も伊達政宗も真田幸村も,同じマップ上で寿命に関係なく生きている。なお当たり前の話だが,どの武将も,一人ずつしかいない。例えば羽柴秀吉は羽柴家の大名であり,織田家には存在していない。まぁ,それでもなお,どこの大名家もタレント揃いで,しばらくは俸禄の高さに頭を悩ませそうだ。
本作の登場武将数は,1000人オーバーと公表されている。まぁ寿命もあるのでシナリオごとに人数は変わってくるわけだが,寿命のない仮想シナリオでは,どうだろうか。
阿野氏に聞いたところ,仮想シナリオでも,すべての武将が必ずどこかの勢力に所属しているわけではないとのこと。未発見状態の武将も多く,「探索」で見つけられるようだ。その場合,大抵その武将のゆかりの地にいるので,お目当ての武将がいる人は,場所を絞って探してみよう。
もっとも,そんなことをしなくても,どの大名家も人材は豊富すぎるだろうが……。
・ネットサービス
最近お馴染みとなったネット関連サービスは,もちろん本作でも行われる。いつものように,武将の顔エディタや顔CG,そして武将そのもののデータの配信などが予定されているようだ。
また先日「こちら」で詳細が明らかにされた,"ネットジョイ"が気になっている人も多いだろう。ネットジョイの「チャレンジモード」とは,本編とは違うさまざまなクリア条件で楽しめるモードだ。"一定期間内に●●を攻め落とせ",もしくは"守りきれ",あるいは"名声を●●まで上げろ"など,短期間で楽しめるようになっている。
本作には地方モードもあるので,「パワーアップキットでは何をするんだろう?」と心配してしまうほどである。
また,賛否両論ある「オンラインユーザー認証」についても実はいろいろと話を聞いたのだが,本日の発表(記事は「こちら」)で,「諸般の事情」でオンライン認証自体がなくなったので,これは割愛させていただく。
阿野氏から読者に向けてのコメントをもらったので,それをこの取材記事の締めとさせていただく。(Text by Iwahama / Photo by 市原達也)
本作では,初級,中級,上級と難易度を3段階用意しているので,まったくの初心者でも統一まで行けると思います。地方モードもあることですし。また上級を選べば,誰もがそれなりの手応えを感じられるはずです。
なので,"戦国"に少しでも興味がある人なら,ぜひ手に取ってみてください。きっと誰でも,楽しめるはずです。
本作では,完成度という部分に,力を入れています。決して前作までも手を抜いていたわけではなかったのですが,完成度に関して厳しい評価もいただいたので,そこは今回とくに気を遣っています。
発売こそいつものペースから遅れましたが,実は開発期間はこれまでとほぼ同じです。ただ,いつもに比べ,クオリティの向上に時間をかけています。敵大名家のAIも,「納得してもらえる強さ」を目指して作っています。
今までの信長とは少し違う,一般的なRTSとも違う,新しい信長の野望を,ぜひプレイしてみてください。(阿野越雄氏)
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信長の野望・革新
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