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[GDC 2009#36]ゲーム業界の大御所,ピーター・モリニュー氏が語るR&Dの意義と必要性
ピーター・モリニュー氏。現在は,「Project X」という秘密の新作を手掛けているという話だ |
そんなモリニュー氏が,GDC最終日に「Lionhead Experiments Revealed」(Lionhead Studiosの実験のことを暴露しよう)という講演を行った。Lionhead Studiosは,現在「Project X」という仮称の作品を制作中であることが知られており,そのセンセーショナルな表題から「ひょっとしたら新作発表?」と期待した参加者も多かったようだが,講演の内容は,これまでLionhead Studiosが,リサーチ目的で開発してきた実験作を次々に紹介していくというもの。中には過去のGDCで発表された作品も多く,筆者を含むモリニュー・ウォッチャーにとっては少し残念な内容だったかもしれない。
技術的に難しいリアルタイムのレイトレーシングは,まだゲームには実装できる段階ではない |
「だからといって,実験的プロジェクトを続ける必要がないということにはならない」と続けるモリニュー氏。開発チームとしての質の高さや,開発者達の士気を高めるには,内部で実験をさせてやることが重要なのだそうだ。実際,開発会社としては珍しいことに,同社にはCentral Technology Groupと呼ばれるリサーチを専門に行う部門が存在し,数人のプログラマがさまざまな実験プログラムを常時トライアウトしているという。
非常に現実的な水流シミュレーションも開発したが,これを活かせるようなゲームはいまのところ思いつかないらしい |
ワンボタン式コントロールの格闘デモ。こちらはFableで採用されているが,その後の改良で周囲のオブジェクトも利用できるようになった |
また,Lionhead Studiosでは,レイトレーシングや数千体レベルでの群集システム,また金属の酸化現象などを自動的に行うプログラムなども開発されており,まだ製品として実装するには至っていない技術デモも紹介された。
キャンセルになったことが判明した,「The Room」のデモ。このプログラマーはMedia Moleculeで「リトルビッグプラネット」を開発した |
Black & Whiteを利用したプロトタイプ向けエンジンで,「Fable II」のペットの実験を行う様子を示したデモ。このあと,より完成に近付いたデモムービーが紹介された |
2005年10月リリースの「Black & White 2」。グラフィックス技術のレベルは非常に高く,今見ても色あせていない |
ちなみに,このThe Roomの実験を行っていたプログラマー達は,2006年にはモリニュー氏のすすめにより独立し,新メーカーであるMedia Moleculeを設立しており,2008年末には「リトルビッグプラネット」を作り上げている。そういえば,そのMedia Moleculeのメンバーの一人,Mark Healey(マーク・ヒーレー)氏は2005年頃,Lionhead Studiosの公式サイトで自分達が作ったインディゲーム,「Rugdoll Kungfu」を無料公開していたことがある。そうした若い才能が次々とモリニュー氏のもとを巣立っていることが,イギリスでユニークなゲームが多く出回る一つの理由なのかもしれない。
- 関連タイトル:
マイクロソフト フェイブル:ロスト チャプター
- 関連タイトル:
Fable II
- 関連タイトル:
Black & White 2
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